31P2-pm105 フルチカゾンプロピオン酸エステルの安定性と新局所適用の可能性 1 1 国際医 ◯加納 愛美 1 ,金子 菜都美 1 ,宮崎 英梨 1 ,井坂 ひとみ 1 ,徳村 忠一( 福大薬) 【目的】合成副腎皮質ステロイドホルモンであるフルチカゾンプロピオン酸エス テル(FLT)は、喘息治療用吸入剤や鼻過敏症の治療薬として、局所投与で使用さ れている。ヒトにおける経口投与後の生物学的利用能については、10mg/kg の投与 量で 0.91%という報告がなされている1)。FLT は、作用が強く肝臓で速やかに代謝 されることから、他の部位での局所投与においても幅広く使用できる化合物と考 え物性検討に着手した。本報告では FLT の安定性と新たな局所投与の可能性につ いて報告する。 【方法】フルチカゾンプロピオン酸エステル(FLT)は、Chemagis 社製のものを使 用した。水溶液中の安定性は、FLT メタノール溶液を各種pH の緩衝液とメタノー ルの混液(メタノール 50%)に加え 37℃における残存率を測定した。ラットの腸 管内溶液等の生体由来成分については、それぞれに定量法を作成し HPLC で測定を 行った。HPLC は、島津社製 LC-9A を、カラムは YMC AM12S05-1506WT(YMC 社製) を使用した。緩衝液中の安定性では、分析波長は 240 nm、移動相は、アセトニト リル:水:過塩素酸:過塩素酸ナトリウム=660:340:1:5 を使用した。 【結果・考察】FLT は各種緩衝液とメタノールの混液中において、酸性から弱塩基 性の条件では安定であったが、強塩基性下では分解が認められた。本発表では、 まず FLT の分解速度ならびに生体由来溶液中の安定性について報告する。次に本 学会で他の演題として発表している FLT の物性、特に溶解性及びその改善方法を 含めて考察を行い、今後適用可能な局所投与ルートとその製剤の可能性について 報告する。 1)C. Falcoz et al., Britich J. Clinical Pharmacology 41, 459P (1996).
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