いました。「私どもは、お客さまの No.44 講師 口に入る食品を製造しています。 河瀬 容子さん ホッチキスやクリップなど金属類 が何かの拍子で製造ラインに紛れ 大切なのは 自信と事前把握 込むことがあれば大変です。だか ら、門より内には金属類を持ち込 むことは一切禁止しています」。 この一言には、食品を扱うとい うことに対する真摯な企業姿勢 と、お客さまを大切に思う心が溢 話応対マナー研修に参りました」 れていました。感心するのと同時 と言っただけで、自分の名前を名 に、自分の持ち物の中にホッチキ 乗らなかったこと。自信のない態 スやクリップで止めた書類がたく ユーザ協会の講師になってまだ 度。教材や機材をつめた大きな荷 さんあることを思い出し、冷や汗 まもない、 十数年も前の話です。 物を引きずり、よたよたとしてい が出ました。 ある企業から研修の依頼があ る姿も頼りなくうつったはずで 事前準備とは研修の内容だけで り、 準備を整えてうかがいました。 す。 はなく、企業姿勢までもきちんと 会場に着き、 受付の方に「電話応対 私はユーザ協会の代表として、 こ 理解することが大切なのだと痛感 マナー研修に参りました」と告げ の企業に研修へ来たのだから、 自信 した出来事でした。 ました。すると、 「電話応対研修で を持って講義をしよう、 と気持ちを それ以来、研修前にホームペー すね。ところで河瀬先生はご一緒 切り替えて研修にのぞみました。 ジなどで企業情報をしっかりと把 講師に見えない 頼りなさ ではないのですか」という質問が。 「あの~、 私が河瀬でございます」。 「えっ!!」 。 握して、失礼のないように心掛け 企業姿勢を知らずに 冷や汗 るようになりました。そして、研 修にうかがう際は堂々と自信を持 初めて電話応対マナー研修を開 その日の研修で使うテキストは、 く企業だったので、受付の方は私 事前に原稿を送っており、 それをコ のことを知らず、マナー研修の講 ピーして、 ホッチキスで止めておく 師はもっと貫禄のある人だと想像 ようにお願いしていました。とこ していたのでしょう。ところが、 ろが、 受講者の持っているプリント 受付に現れた私は自信なげに立っ は、 パンチで穴をあけて紐を通して ており、どう見ても講師には見え あります。ページをめくるのが大 なかったようです。 変そうだったので、担当の方に 「ホ 会場までの廊下を歩きながら自 ッチキス止めでお願いしていまし 分の態度を顧みました。そうする たが、どうなされたんですか」とた と、講師に見られなかった要因が ずねました。 いくつも思い当たりました。 「電 担当の方はきっぱりとおっしゃ って出かけています。 イラストレーター:佐藤うらら ふくろう舎 代表 (財) 日本電信電話ユーザ協会契約講師 河瀬 容子さん 活動地域:大阪・兵庫・京都・岡山 「お客様第一」をテーマに電話応対・接遇対応・話し方・ マニュアル作成などの研修を行っています。 26 2011.1 *次号の講師の方は… 高橋 珠実さんをご紹介いたします。 いつも笑顔で明るい声が魅力です。豊富な知識 とフレッシュな感性で大活躍されています。
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