レニウム錯体触媒を用いる最近の研究成果 - 岡山大学工学部 物質応用

Organometallic News, 48-53 (2013)
トピックス
レニウム化合物を用いる有機合成反応の開拓
岡山大学大学院自然科学研究科化学生命工学専攻 髙井和彦
はじめに
化学において「もの」の性質を考えるときの一
番 のよりどころはやはり周 期 表 です。110余 の
元 素がありますが、放 射 性 元 素や有 毒 な元 素
を除 くと、その数 は80といったところでしょうか。
そのほとんどは金属であり、また有機合成に使
われています。でもよく見 るとその使 われ方 に
は濃 淡 があります。ここで取 りあげるのは、うす
いほうの元素、レニウムの化合物です。
レニウムは安 定 な元 素 の中 で最 後 に発 見 さ
れた元素 です。正式にはドイツのノダック、タッ
ケとベルクが1925年にコルンブ石に含まれてい
るのを確 認 しました。ちなみに元 素 名 はライン
川のラテン語名 Renus に因んでいます。今年
の第 93春 季 年 会 で第 4回 化 学 遺 産 に認 定 さ
れたこともあり 1 、この元素が後の東北帝国大学
総長である小川正孝によって分離され、ニッポ
ニウムとよばれるはずだったことをご存じの方も
おられることと思います。レニウムはマンガンの
下にあり7族ですが、両者の間に人工元素のテ
クネチウム(43番元素)があり、そこに間違って
アサインされたことが幻となった理由です。
安 定 な元 素 の中 で最 も存 在 量 が少 ないと聞
くと、価 格 は非 常 に高 いのでは、と思 われるか
も し れ ま せ ん 。 金 属 粉 末 1g あ た り の 価 格 を
Strem のカタログで見 ると、レニウムが$44で、
ルテニウム$78、パラジウム$90、白 金 $189、ロ
ジウム$416よりは安 価 です。需 要 が多 くないこ
とが一 因でしょう。しかしもちろん、化 学 反 応に
は触媒で使うレベルです。
周 期 表 を見 るとレニウムのある7族 は遷 移 金
属のほぼ中央に位置しています。私は2005年
以前は、主にクロム、チタン、タンタルなどの有
機金属化合物を調製し、合成反応に使う研究
をおこなってきました 2 。これらの前周期遷移金
属は電気陰性度が比較的小さいので、それら
金属と結合した炭素は求核性をもちます。しか
し、酸素との親和性が高いので、たとえばカル
ボニル化合物に付加すると安定な金属アルコ
キシドが生じ、その結果、金属を化学量論量用
いる反 応 となってしまいます。一方、後周期の
遷移金属では、酸素などヘテロ原子との親和性
がそれほど強くないため、様々な触媒反応が報
告されています。レニウムは7族なので、求核性
と触媒化の両方が期待できるのではないか、こ
のような漠然とした期待から研究をはじめました。
レニウム化合物は、他の後周期あるいは前周
期 遷 移 金 属 と比 べると、有 機 合 成 においてあ
まり使 われていませんでした。当時 は、酸化反
応や奈良坂らの Lewis 酸としての利用を除き、
炭素-炭素結合形成反応でみると、Herrmann
の MeReO 3 によるメタセシスなどの触媒反応 3、
村橋らのレニウムヒドリド錯体を用いる Braise 反
応 4 など、その利用は限られていました。研究室
では求核性をキーワードとして研究を進めてい
たこともあり、低原子価のレニウム錯体を用いて
反応を検討することから始めました。
1. C-H 結合活性化を基盤とする新しい反
応の開発
レニウム錯 体 を触 媒 に用 いて最 初 に見 いだ
した反 応 は、芳 香 族 アルジミンとアルキンとの
[3+2]型環化付加反応でした(式1) 5 。
ルテニウムやロジウム錯体を用いるC-H結合活
性化反応とは異なり、この反応ではカルボニル
酸素は配向基として働きません。イミンにすること
で窒素がレニウムに配位し、反応が進行しました。
この反応は低原子価レニウム錯体のもついく
つかの特 徴 を含 んでいます。第 1は、レニウム
錯体に CH 結合活性化の触媒作用があること
です。この研究より前の1999年に、Hartwig が
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レニウム触媒反応では、配向基としてはイミン
窒素だけが働き、カルボニル酸素は働きません。
このことを逆手にとる官能基選択的な反応を検
討しました。その結果、ケトン部位でも環化した
予想外の生成物3と4が副生しました(式3) 7。反
応系中で生じたアニリンがケトンと反応し、イミン
が生じたことを示唆しています。たしかに、触媒
量のアニリンの添加で、芳香族ケトンとアクリル
酸エステルとの脱水を伴う[3+2]型環化付加反
応がおこなえることがわかりました(式4)7。
CH 結 合 活 性 化 を 経 る ホ ウ 素 化 反 応 を
Cp*Re(CO)3 と光を用いておこなった報告があり
ますが 6 、市 販 さ れ て い る 使 い や す い 錯 体 に
CH 結合活性化の触媒作用があることは知ら
れていませんでした。 環 境 調 和 型 反 応 として
多くの研究者がしのぎを削っている CH 結合
活 性 化の分 野に入 るきっかけを得 た、という意
味でも大きな一歩でした(Scheme 1)。
第2は、不 飽 和 結 合 が CH 結 合 活 性 化で
生じた CRe 結合に挿入したことです。当時知
られていたルテニウムやロジウム錯 体 を用 いる
CH 結 合 活 性 化 反 応 では、活 性 化 で生 じた
CM(金属)H の MH 間に不飽和結合が挿
入 すること が 報 告 され ていました。 第 3 は、 挿
入 後に生 じた C(sp 2 )Re 結 合の炭 素に求 核
性 があり、分 子 内 環 化 反 応 が 進 行 したことで
す。これらの特徴は、レニウムを用いるとルテニ
ウムやロジウムとは異なる新 しい反 応が開発 で
きることを期待させるものでした。
式 1の反 応 の一 般 性 を探 るため、アルキンに
代 えてアクリル酸 エステルを用 い検 討 したとこ
ろ、同様に、[3+2]型環 化付加反応 が進行し、
アニリンの脱 離 を経 てエステル基 を有 するイン
デンが得られました(式2)7。
Scheme 1の中間体2の C(sp 2 )Re 結合の炭
素 が求 核 付 加 反 応 するということは、レニウム
錯体による CH 結合活性化で生じた中間体1
の C(sp 2 )Re 結合の炭素にも求核性があるの
ではないかと思 い、アルデヒドとの反 応 を試 み
ました。その結果、付加反応するだけではなく、
環化のあとさらに脱水がおこり、イソベンゾフラ
ンが生成することがわかりました(式5)8。イソベ
ンゾフランは Diels-Alder 反応のよいジエン成分
なので、そのことを利用すると多置換芳香族化
合物が合成できます(式6)9。
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窒 素 配 向 基 によりオルト位 のCH結 合 活 性
化がおこり、アルデヒドと反応しますが、環化が
おこらない基 質 5を用 い、トリエチルシランを共
存 させておくと、触 媒 量 のレニウム錯 体 でシリ
ルアルコールが生成することがわかりました(式
7)10。この反応は、触媒によるCH結合活性化
を経るGrignard型付加反応とみなすことができ
ます。従来はハロゲン化合物から出発し、化学
量 論 量 の金 属 塩 の副 生 が避 けられなかった
Grignard型付加反応が触媒反応になりました。
研 究 を進 めるうえで常 に持 っておくとよいキ
ーワードがいくつかあります。たとえば、一般化、
触 媒 化 、 不 斉 、 元 素 戦 略 ( よ り 入 手 しや す い
元 素 へ)、生 成 物 の利 用 などです。レニウム錯
体 を用 いて新 反 応 を探 索 していましたが、可
能 であればより安 価 で入 手 しやすい同 族 のマ
ンガンに置 き換 えたいと思 っていました。その
ため、レニウムで進行した反応は必 ずマンガン
でも試 していました。式 7の反 応 はマンガン錯
体でおこなうと、収率が向上しました 10。
レニウム錯体による CH 結合活性化がベン
ゼン環 に結 合 している水 素 だけでなく、オレフ
ィン水素でも進行することもわかりました 11。この
反応を検討する過程で、Cp レニウム錯体が微
量 副 生 することがわかり、Re 2 (CO) 10 錯 体 を用
いることで Cp レニウム錯体を one-pot で合成
する反応へと展開しました(式8)12。
O
N
1
Ph
+
/ 2Re2(CO)10
OR
R = CH2CHEt nBu
xylenes
150 °C, 72 h
2. C-C 結合切断を基盤とする新しい反応
の開拓
研 究 をおこなっていると、最 初 に狙 っていた
こととは違 う方 向 にどんどん転 がるように進 ん
でいくことがあります。この CC 結合切断を基
盤 とする一 連 の反 応 と次 の環 化 付 加 反 応 は、
さしずめその典型的な例だと言えます。
レニウムは周期表で第6周期に位置していま
す。金属(塩)は Lewis 酸性をもちますが、下に
位 置 する金 属 ほどよりソフトになり、酸 素 や窒
素の非共有電子対だけでなく、不飽和結合の
π電子との相性が増してきます。式1の反応で
三重結合が ReC 間に挿入しましたが、その前
段階としてアルキンπ電子がレニウムに配位し
ます。このようなソフトな Lewis 酸性を駆動力と
して用い、岩澤や茶谷らはレニウム錯体でアル
キンから金 属 -カルベン種 を発 生 させ、環 化
反応に応用しています 13,14 。
一方で、我々はハードなLewis酸性を利用し
た式9に示す反応を見いだしていました 15。この
反応 では、Lewis酸 の効果 により生 じたカルボ
カチオン6に、1,3-ジカルボニル化合物とレニウ
ム錯体から生じた求核種が付加しています。
ソフトな Lewis 酸性と1,3-ジカルボニル化合
物からの求核活性種の生成という両方の性質
を利用し、1,3-ジカルボニル化合物のアルキン
への付 加 反 応 がレニウム錯 体 でおこなえない
か検 討 しました。分 子 内 でのこの付 加 反 応 は
熱 で進 行 する Conia-エン反 応 として知 られて
おり、2004年に Toste が金触媒を用いると温和
な条 件 下 に進 行 することを報 告 していました 16 。
また、分子 間反応としては、当時 、中村栄一 ら
O
のインジウム触媒を用いる反応が知られている
17
OR
(8) のみでした 。レニウム錯体で試したところ、同
Re
様 に 分 子 間 反 応 が 進 行 することがわかりまし
CO
OC
CO
た(式10) 18 。
94%
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この反 応 では新 たに立 体 中 心 が一 つ生 じま
す。不斉というキーワードを試すためには、キラ
ルなレニウム錯 体 が必 要 になります。しかし使
っている錯体には、臭素のほかは一酸 化炭 素
が配位しているだけです。そこで、一酸化炭素
と等電子構造 のイソシアニド(RNC)を添加 して、
そのあと R にキラリティーを導入しようと考え、
反 応 をおこないました。その結 果 、1,3-ジカル
ボニル化合物の CC 結合が切断され、そこに
アルキン三 重 結 合 が挿 入 するという予 想 外 の
反応が進行することを見つけました(式11)19。
4員環ケトンの分子間でのCC結合切断反応
や、分 子 内 での4員 環 形 成 によるCC結 合 切
断反応は、ニッケルやロジウム錯体を用いて村
上らが報告しています20 。しかし、分子間反応で、
歪 みがほとんどない環 のCC単 結 合 が切 断 さ
れ、別 の分 子 が挿 入 する反 応 は知 られていま
せんでした。NMRから生成物は8員環だと推定
しましたが、最終的には誘導体の単結晶をX線
構造解析して環拡大反応を確認しました。この
CC結合切断は、Scheme 2に示すように、path
AあるいはBを経 由 して、途 中 で歪 みのある中
間体7が生じ、de Mayo反応と同様に、逆アルド
ール反応を経由して進行したと考えています。
歪みがない環で反応が進行するのであれば、
鎖状の化合物でもおこることになります。たしか
に鎖状のβ -ケトエステルを用 いても反応は進
行し、さらに高温あるいはTBAFを作用させると、
脱エタノールを伴う分子内環化により2-ピラノン
が合成できることがわかりました(式12)21。なお、
モレキュラーシーブにもイソシアニドと同様
の添加効果があることがわかり、臭わないの
で、当然ながら置き換わりました。
2-ピラノンもまた Diels-Alder 反応のジエンと
して用 いることができるので、多 置 換 の芳 香 族
化合物へと誘導できます(式13) 22 。
3. 新しい環化付加反応の発見
新 しい反 応 の開 発 は、いわば「置 き換 え」の
ゲームです。もちろん反 応 としてうまくいくかは
やってみないとわかりませんが、「置 き換 え」で
きるバラエティーに富 んだ札 をどれだけたくさ
ん持 っているかが反 応 開 発 のポイントとなりま
す。あるときは反 応 基 質 やその部 分 構 造 であ
り、また触 媒 として用 いる金 属 、配 位 子 、溶 媒
であったりします。ときには全 く別 のものを加 え
ることもあるでしょう。経 験を積み、センスを磨 く
ことにより、手 持 ちの切 り札 が増 えてくるので、
当たる確率が増すことになります。
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反 応の適 用 限 界を探 るためにふつうすること
は、基 質 検 討 という「置 き換 え」表 の作 成 です。
式 12の8に替 えてα位 にメチル置 換 基 がない
9を用いたところ、予想した CC 結合切断によ
る10,11とともに、β-ケトエステルと末 端 アルキ
ン が 1 対 2 で 反 応 し た 12 が 得 ら れ て き ま し た
(式 14)。メチル基 一 つでも予 測 できない大 き
な違 いが生 じるのが化 学 で、発 見 のベースに
は豊 富 な実 験 量 が必 要 な所 以 です。なお、こ
の 実 験 で も レニ ウ ム に 替 え て マン ガ ン 錯 体 を
使うと収率が向上しました(式15)23。
芳 香 環 を構 築 する方 法 としてアルキンの
[2+2+2]環 化 付 加 反 応 は原 子 効 率 も高 く、有
用 で すが、 異 な るア ル キ ンを 選 択 性 よ く 導 入
することは難 しい問 題 です。この反 応 ではβケトエステルと末 端 アルキンが1対 2で位 置 選
択的に環化付加しています。
この研 究 には裏 話 があります。全 く新 しい形
式 の1対 2環 化 付 加 生 成 物 が得 られるので、
年 会 での発 表 よりも論 文 発 表 を優 先 して研 究
を進 めていました。ところが、2008年 の年 会 プ
ログラムが発 表 され、その中 に同 じ反 応 と思 え
る題 目 が中 村 栄 一 研 究 室 の発 表 にあることを
知 りました 24 。予 稿 の発 表 前 なので、急 遽 、メ
ールでこちらの研 究 の進 展 状 況 を伝 え、同 様
の反 応 ではないかと尋 ねたところ、やはり重 な
っていることがわかりました。こちらはすぐに出
せるほど化 合 物 の分 析 データがそろっていな
かったこともあり、一歩遅れて報告することにな
りました。研 究 をしていると、同 時 期 に同 じ反
応 を 見 つけること は少 なくあ りません。 見 えな
い相 手 と競 争 していることを想 像 するのはなか
なか難しいのですが、このような経 験をすると、
自 然 と身 につくことになります。「1番 でなけれ
ばだめなのですか。」という言葉が流行りました
が、研究では最初と2番目で大きな差があるの
は確かです。
さて、式10のレニウム触 媒を用 いるCH結 合
へのアルキンの挿入反応で、アルキンを同じsp
炭素を有する炭化水素であるアレンに換えたと
ころ、新しい形式の[3+2]環化付加反応が進行
することがわかりました。触媒を検討した結果、
Re 2 (CO) 10 を 用 い る と 収 率 が 向 上 し ま し た ( 式
16) 25 。この反応は5員環上の置換基の立体配
置が決まっていることが特長です。最終的な立
体 配 置 は、この反 応 でも、いわば飛 び道 具 で
ある単結晶X線構造解析で決めました。
4. レニウム錯体をプローブとして用いる反応探索
ほかのひとと違 う道 具 をもっていると、いろい
ろ試 すことで意 外 な結 果 が見 つかります。フェ
ノールの Friedel-Crafts アルキル化反応をレニ
ウム錯 体 を用 いて検 討 したところ、オルト位 選
択 的 にモノアルキル化 だけがおこなえることが
わかりました(式17)26。
大きな研究の流れからはスピンオフの物語が
生まれます。たとえば、レトロ Claisen 反応(式
18) 27 や CH 結合活性化によるシラフルオレン
合 成 (式 19) 28 も、使 っている金 属 触 媒 が異 な
ることから、一 見 、レニウムとは全 く関 係 がなさ
そうな反 応 ですが、実 は最 初 はレニウム錯 体
を用いることにより見つかったものです。そのあ
と種 々の錯 体 や金 属 塩 を用 いて条 件 を再 検
討 した結 果 、レニウムが看 板 から消 えました。
でも論 文 をよく見 ると、表 や脚 注 にレニウム錯
体が顔を出しています。
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4)
5)
6)
7)
おわりに
ここでは論文に書かれていない、発見につな
がる話 をできるだけ書 くことにしました。実 験 に
関 する細 かいところはそれぞれの論 文 を見 て
いただければ幸いです。
反応開発をおこなっていると、金を探している
鉱夫の気持ちになります。新しい鉱脈を探すとき
の最も頼りになる地図は周期表です。鉱脈を見
つけるにはいろいろな方法があると思いますが、
チタンやクロムのあとにタンタルやレニウムを選ん
だのは、できるだけ人のいないところを掘ってみ
ようと思ったからでした。ただ、こだわりが全くない
と余りにも漠然として考えが発散するので、キー
ワードとして「低原子価」「炭素-炭素結合形成」
「反応の容易さ」などを念頭に置いていました。
元 素 はそれぞれ個 性 をもっているのだから、
似 ているようでも異 なる反 応 性 を示 すはずだ。
その思いをよりどころに研究を進めてきました。
今回、結 果 としてレニウムカルボニル錯 体を用
いる触 媒 反 応 をまとめた総 説 29を出 せたことで、
ひと区切りつけることができました。
この一連の研究の立役者は当時助教の國信
洋一郎博士(現 東京大学大学院薬学系研究
科准教授)であり、また、実験をおこなった共著
者の学生さんたちです。とくに、川田篤志博士、
仁科勇太博士、西 光海博士、松木 崇修士、
ポスドクの Salprima Yudha S.博士が中心となり
研究を進めてくれました。その献身的な努力に
感謝したいと思います。
(本文敬称略)
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