コモディティ・レポート <2011 年 5 月 - 三菱UFJリサーチコンサルティング

2011 年 5 月 30 日
調査レポート
コモディティ・レポート <2011 年 5 月>
Ⅰ.原油市況 ∼ 急落後、WTIは 100 ドル前後、ブレント 110 ドル台前半
原油価格(WTI、期近物)は、5 月 5 日に約 10 ドル急落した後、100 ドル前後を中心に推移している。北
海産のブレント原油は、急落後、110 ドル台前半を中心に推移している。5 月に入って下落したとはいえ、依
然として、原油価格の水準は高く、経済活動を抑制し、ひいては石油需要を下押しする圧力になっていると
考えられる。欧州財政問題への懸念を背景にドル高観測も生じやすく、年後半にかけてWTI原油で 90 ドル
割れ、ブレント原油で 100 ドル割れまで下落すると予想される。
Ⅱ.ベースメタル市況 ∼急落後、下げ止まり
LME金属指数は、5 月上旬にて急落したが、足元では下げ止まりの動きが見られる。5 月上旬の下落率
は銀や原油に比べると緩やかだが、2∼4 月につけた高値に比べると、ニッケル、亜鉛、錫、鉛は 2 割程度
下落し、アルミニウムと銅は 1 割以上下落している。この間、LMEにおいて不正取引があったとの嫌疑で捜
査が行われているとの報道がある。もっとも、世界景気の拡大にともなって上昇するというベースメタル相
場の基本的な変動パターンは変わっておらず、先行き、緩やかな上昇傾向が見込まれる。
Ⅲ.トピック ∼乱高下するコモディティ市況
5 月 5 日にコモディティ全般が急落し、その後も中旬まで総じて下値を試す動きになった。下旬に入って、
コモディティすべてが連動して下落する状況は一巡し、各コモディティが個別の要因により変動するようにな
っている。そうした局面で、米国の大手金融機関がコモディティ市況の見通しを上方修正したと報道され、
注目された。過去の例では、金融引き締めの初期段階は、各コモディティが総じて価格上昇を続けることが
多い局面であるが、今回は、量的緩和や中東情勢を材料に価格上昇が先行してきた原油などについては、
価格が下落傾向で推移する可能性がある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
調査部 芥田 知至 (
〒108-8248 東京都港区港南 2-16-4
TEL:03-6711-1250
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)
Ⅰ.原油
1.原油市況:急落後、WTIは 100 ドル前後、ブレント 110 ドル台前半
原油価格(WTI、期近物)は、5 月 5 日に約 10 ドル急落した後、100 ドル前後を中心に推移
している。北海産のブレント原油は、急落後、110 ドル台前半を中心に推移している。
5 月 5 日の急落の背景については、米国や中国の景気減速懸念、ドル高(ユーロ安)の急進、
銀相場の大幅下落による心理的影響などが指摘される(「トピック」で詳述)。急落後から 2 週間
ほどは、コモディティ市況全般と同様に原油市況も値動きが荒い状況が続いたが、結果的に方向
感は出ず、横ばい圏での推移になった。
5 月 25 日に米国の大手金融機関が原油価格の見通しを上方修正したこと、また、26 日に、米
国石油週次統計で中間留分の在庫が減少したことが、それぞれ買い材料とされた。
WTI・ブレントの油種間スプレッド(価格差)は、リビア情勢が急速に悪化した 2 月中旬に
ブレント高・WTI安が大幅に進んだ後、10∼15 ドル程度の価格差(ブレント−WTI)が続
いている(図表 3)。先物市場における投機筋のポジションをみると、3 月 1 日に終わる週をピー
クにやや縮小しているとはいえ、大幅な買い越しが続いている(図表 7)。商業筋も含めた先物
の全建玉残高は、高水準で推移している(図表 8)。
原油価格は下げ止まったものの、上値も限定されている。電力不足が見込まれる中国における
自家発電向けの軽油需要の増加、インドでの補助金を背景とした石油製品需要の増加、ドライブ
シーズンが本格化する米国のガソリン需要の増加、リビアの内戦のさらなる長期化などが相場の
押し上げ材料とも指摘される。しかし、中国の電力不足やインドの補助金の問題は、エネルギー
価格の高騰により、経済の効率が悪化していることを示しているといえる。また、米国では価格
メカニズムが働き、ガソリン需要が抑制される動きが出ている。5 月に入って下落したとはいっ
ても、依然として、原油価格の水準は高く、経済活動を抑制し、ひいては石油需要を下押しする
圧力になっていると考えられる。欧州財政問題への懸念を背景にドル高観測も生じやすく、年後
半にかけてWTI原油で 90 ドル割れ、ブレント原油で 100 ドル割れまで下落すると予想される。
(図表 1)原油市況の推移
(図表 2)石油製品市況の推移
(ドル/バレル)
160
180
WTI原油
140
(ドル/バレル)
160
原油
暖房油
ガソリン
ブレント原油
140
ドバイ原油
120
120
100
100
80
80
60
60
40
40
20
20
08
09
(注)直近は5月27日
10
08
11
09
(注)直近は5月27日。
すべてNYMEXの期近物
(年、日次)
(出所)Bloomberg、日本経済新聞
ご利用に際しての留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。
1/15
10
11
(年、日次)
(図表 3)油種間スプレッドの推移
(図表 4)米国天然ガス市況の推移
(ドル/バレル)
20
(ドル/バレル)
(ドル/百万Btu)
16
スプレッド(ブレント−ドバイ)
スプレッド(WTI−ドバイ)
スプレッド(WTI−ブレント)
15
10
160
14
140
天然ガス価格(Henry Hub)
(左目盛)
12
5
120
WTI原油価格
(右目盛)
10
100
8
80
-10
6
60
-15
4
40
0
-5
-20
08
09
10
2
11
(年、日次)
(注)5日移動平均値。直近は5月27日
(出所)Bloomberg、日経新聞
20
08
09
10
11
(注1)天然ガスの単位BtuはBritish thermal unitsの略
(注2)直近は5月27日。
(図表 5)原油先物価格と先物カーブ
(年、日次)
(図表 6)WTI原油の先物カーブの変化
(ドル/バレル)
(ドル/バレル)
115
140
期先(5月27日時点)
110
120
105
100
100
95
80
90
60
85
2010年11月
2011年1月
2011年3月
直近(2011年5月27日)
80
40
75
20
06
07
08
09
10
(注)限月は28ヵ月先まで、2011年5月27日時点
(出所)ニューヨーク商業取引所(NYMEX)
11
12
13
2010年12月
2011年2月
2011年4月
70
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
(限月)
(注)各時点における各限月(28ヵ月先まで)のWTI原油先物価格
(出所)ニューヨーク商業取引所(NYMEX)
(年、月次)
(図表 7)投機筋のポジション(原油)
(図表 8)原油先物の建て玉(NYMEX)
(千枚)
(ドル/バレル)
150
600
WTI原油価格(期近物)
140
130
400
120
110
買い(Long)
200
100
90
80
0
70
60
売り(Short)
-200
50
40
30
-400
20
投機筋(非当業者+非報告者)
10
のネットポジション(右目盛)
-600
0
07
08
09
10
11
(年、週次)
55
(%)
(千枚)
50
1600
45
1400
40
1200
35
1000
全建玉残高(グロス)(右目盛)
30
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2/15
800
全建玉残高に占める投機筋の割合
600
25
07
08
09
10
11
(週次)
(注1)1枚は1000バレル。直近は5月24日時点
(出所)米国先物取引委員会(CFTC)
(注1)ポジションの直近は5月24日時点、WTI原油は5月25∼27日平均値
(注2)旧分類に基づいた統計により作成
(出所)CFTC
1800
2.石油需給動向
(1)米国需給;原油輸入は低調が続く
米国ではガソリンを中心に季節需要が増加する夏場の需要期を迎えつつあり、製油所の稼働率
が上昇し、原油処理量が増加してきている。もっとも、米国内における原油生産は高水準で推移
しており、これを受けて原油輸入は低水準で推移している(図表 9)。こうした中、原油在庫は
この時期としては高い水準で推移している(図表 10)。
ガソリン小売価格(全米全種平均)は、3 月に 3.5 ドルを上回り、5 月に入ると一時 4 ドルを
上回った。足元の原油価格は一時に比べ下落したとはいえ水準は高く、当面、ガソリン価格 は
3.5 ドルを上回った推移が続きそうである。3 月以降、ガソリン消費量は前年水準を下回ってお
り、ガソリン高が消費者心理に悪影響を及ぼし始めていることを示唆している(図表 11)。中間
留分の消費量は、今年に入って平均的には前年をやや上回る水準で一進一退である(図表 12)。
(図表 9)米国の各年の原油輸入
(図表 10)米国の各年の原油在庫
(百万バレル/日)
11.0
(百万バレル)
380
10.5
360
10.0
340
9.5
320
9.0
300
8.5
2011年
2009年
2007年
8.0
2010年
2008年
2006年
280
7.5
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
260
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
(注)直近値は5月20日。4週移動平均値
1
(月、週次)
(出所)米国エネルギー情報局(EIA)
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
(注)SPR(戦略石油備蓄)を除く原油在庫、直近値は5月20日
(月、週次)
(出所)米国エネルギー情報局(EIA)
(図表 11)ガソリン消費量の推移
(図表 12)中間留分の消費量の推移
(百万バレル/日)
4.8
(百万バレル/日)
9.8
4.6
9.6
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
4.4
9.4
4.2
4.0
9.2
3.8
9.0
3.6
8.8
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
3.4
3.2
8.6
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
(注)速報系列の4週後方移動平均、直近値は5月20日
1
12
(月、週次)
(出所)米国エネルギー情報局(EIA)
ご利用に際しての留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。
3/15
2
3
4
5
6
7
8
(注)速報系列の4週後方移動平均、直近値は5月20日
(出所)米国エネルギー情報局(EIA)
9
10
11
12
(月、週次)
(2)ナフサ;震災後の変動は一巡
日本の 3 月の輸入ナフサ価格(通関)は、1 リットルあたり 51.9 円と前月に比べ 1.7 円上昇
した。一方、3 月の輸入原油価格は 53.4 円と前月比 3.7 円上昇した。原油価格の上昇に比べて、
ナフサ価格の上昇は小幅にとどまり、ナフサと原油の価格差は逆転した(図表 13)。
日本の震災後に、アジアを中心にナフサが原油に対して割安化する動きがみられたが、4 月以
降、ナフサ市況は持ち直していた(図表 14)。しかし、5 月に入ると、原油価格の大幅下落に連
動して、ナフサ価格も大幅下落した。
(図表 13)日本の原油輸入価格とナフサ輸入価格
(円/リットル)
100
60
(円/リットル)
35
ナフサと原油の価格差
30
(右目盛)
25
輸入ナフサ
(左目盛)
20
輸入原油
15
(左目盛)
50
10
40
5
30
0
20
-5
10
-10
0
-15
90
80
70
07
08
09
10
(出所)財務省「貿易統計」
(図表 14)ナフサ価格の日欧格差と
160
(ドル/バレル)
ナフサ・原油の価格差の推移
ナフサ(シンガポール)
140
原油(ドバイ)
120
100
80
60
40
20
08
11
08
(出所)Bloomberg
(年、月次)
10
11
(年、日次)
(3)産油国動向
リビアからの原油供給の大半が停止した状態が続いている。しかし、リビアを除いたベースで
もOPEC(石油輸出国機構)の生産余力は 400∼500 万バレルあり、2008 年に 200∼300 万バ
レルにまで縮小していたことなどと比較して、十分な供給余力がある。
5 月 19 日にIEA(国際エネルギー機関)は、産油国に増産を促す声明を発表した。5 月上旬
に原油価格が急落した後も、依然として原油価格の水準は高過ぎるとの判断が背景にあると思わ
れる。しかし、6 月 8 日に開催されるOPEC総会では、生産目標の引き上げは見送られそうだ。
サウジアラビアは、不足があれば追加的に供給するとの姿勢を続けており、個別に増産に応じる
可能性があるが、OPEC全体が増産を決定する機運にはないとみられる。
OPEC議長であるイラン石油相は、イラン国内の省庁統合によりミルカゼミ氏が解任されて
空席になっている。リビアの代表として、先頃、カダフィ政権から離脱したガネム氏がOPEC
総会に出席する予定とされている。
5 月 25 日に、米国の製油業者が反政府勢力よりリビア産原油を購入したと報道された。一方
で、サウジアラビアがリビア原油の不足分を補うために、販売を開始した新油種の売れ行きは低
調とされる。石油精製には、一定の油種が安定的に調達できることが重要であり、今しばらく、
リビア原油の不足に伴う原油需給への影響が残るであろう。
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4/15
Ⅱ.ベースメタル
1.ベースメタル市況全般:急落後、下げ止まり
ベースメタル相場の動向を示すLME(ロンドン金属取引所)金属指数は、4 月 8 日に 4,469
ポイントと 2 月 14 日につけた高値(4,478 ポイント)に迫ったものの、その後は伸び悩み、5 月
に入って急落した。ただし、足元では下げ止まりの動きが見られる。
ベースメタル市況は、銀下落による不安心理などから 5 月 4 日に比較的大きな下げ幅となった
のに続き、5 日にはさらに大きな下げ幅を記録した(「トッピク」で詳述)。この間の下げ幅は銀
や原油の方が急であったが、ベースメタルについても、ニッケル、亜鉛、錫、鉛は 2∼4 月につ
けた高値に比べると 2 割程度下落し、アルミニウムと銅は同じく 1 割以上下落している。
現在、ベースメタル市況の抑制要因として、①米国の量的金融緩和策の終了によりドル安圧力
が緩和する、②中国では引き締め策が継続する中で金属輸入が鈍化している、③欧州の財政や米
国の住宅など構造的な調整圧力が残っている、などが指摘されることが多い。
一方で、こうした状況から抜け出すきっかけとしては、①中国の引き締め政策が一巡すること、
②日本が緩和的な金融政策スタンスを強めること、③米国が量的金融緩和のスタンスを再び強め
ること、などが挙げられることが多いようだ。
なお、5 月 24 日にLMEが金属の在庫の買占めについて調査を開始したとの報道があった。
大手金融機関や大手商社が子会社として金属倉庫会社を保有しており、金属倉庫会社を通じて不
公正な取引があったとの申し立てが行われたようである。倉庫会社の情報をトレーディング部門
に流しているなどの嫌疑があるとされている。また、欧州委員会のバルニエ委員は、大手投資家
による穀物などコモディティへの投資に関する規制を提案する意向を示した。内容は、米国で提
案されているようなOTC取引に関する標準化やクリアリングの強化が中心になると思われる。
世界景気の拡大にともなって上昇するというベースメタル相場の基本的な変動パターンは変
わっておらず、先行き、緩やかな上昇傾向が見込まれる。
(図表 15)LME金属指数と世界景気
(1999年1月4日=1000)
5000
LME金属指数
4500
OECD景気先行指数(右目盛)
(2000年=100)
120
OECD生産指数(右目盛)
4000
(図表 16)LME金属指数(日次データ)
3500
3000
(1999年1月4日=1000)
5000
115
4500
110
4000
105
3500
100
3000
95
2500
90
2000
2500
2000
1500
1000
500
85
0
00
01
02
03
04
05
06
07
(注)LME金属指数の足元は5月27日までの値
(出所)London Metal Exchange(LME)、OECD
08
09
10
1500
07
11
(年、月次)
08
09
10
(注)アルミ、銅、鉛、ニッケル、スズ、亜鉛の市況の加重平均
(出所)London Metal Exchange(LME)
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5/15
11
(年月、日次)
2.銅 ∼ 急落後、やや反発
銅相場(3 ヶ月物、終値)は、2 月に一時 1 トンあたり 1 万ドルを上回って推移したが、その
後、下落基調が続いている。5 月に入って他のコモディティが大幅に下落すると、銅は 9,000 ド
ルを割り込んだが、下旬にかけて 9,000 ドルを回復した。
最大消費国の中国では、3 月の旧正月明けにも銅需要は盛り上がらず、5 月にかけても同様な
状態が続いているようである。これまで中国では、資金調達・運用手段として、換金性が高い銅
の輸入を進める動きがあったとされる。銀行側では、銅輸入をファイナンスする信用状(letter
of credit)の発行は、通常の貸出としてカウントされない。銅の輸入業者には、信任状による
ドル建てのファイナンスは、人民元高が続けば返済負担が軽減するというメリットがあった。し
かし、引き締めが強化される中で、こうした資金運用的な動きにも歯止めがかかり、足元の中国
の銅輸入の減少につながっているとされる。
もっとも、中国のエレクトロニクス産業の手元在庫は減少しているとされ、再び輸入が増加に
転じるとみられている。一方、鉱山各社の発表によると、1∼3 月期には鉱石の品位の低下や洪
水の影響などから生産量が伸び悩んだようである。アフリカの鉱山の開発が進んで供給力が増加
するまでには、まだ 1∼2 年はかかるとみられている。いずれ中国の銅需要が増加し、日本の生
産活動の復旧や震災の復興需要も見込めることもあり、銅相場が大幅に崩れることもなさそうだ。
不透明要因としては、中国の夏場の電力不足が銅相場に及ぼす影響が挙げられる。電力不足が
銅の精錬量を抑制する一方で、エレクトロニクス産業の工場の稼働率が低下することによって銅
需要は抑制される可能性がある。
2 月をピークに下落していた銅相場は、5 月に入って他のコモディティ相場が大幅に下落した
際には、相対的に底堅い推移になった。先行きについて、世界景気の拡大にともなう銅需要の拡
大が見込める状況は続くと考えられ、今後も底堅い推移が続くだろう。
(図表 17)銅
銅相場とLME指定倉庫在庫の推移
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
( 逆目盛 、万トン)
(USドル/トン)
12000
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
250
0
銅
10000
10
在庫(右逆目盛)
8000
20
6000
30
4000
40
先安↑
銅
200
150
100
50
0
2000
50
0
60
-50
先高↓
08
09
10
11
(日次)
(注)3ヶ月物。在庫はLME指定倉庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
-100
08
09
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
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6/15
10
11
(日次)
3.アルミニウム ∼ 急落後、やや反発
アルミニウム相場(3 ヶ月物、終値)は、4 月 28 日に 2,771 ドルと 3 年ぶりの高値をつけたが、
その後は下落に転じ 5 月下旬には 2,500 ドルを下回って推移している。
4 月下旬に高値をつけた背景には、他金属と同様に米国の低金利の長期化観測によりドル相場
が下落してドル建て表示される価格を押し上げる材料とされたこと、また原油高が進んだことに
より発電燃料の値上がり等による精錬コストの上昇が意識されたこと、などがある。また、今夏
の電力不足の影響が予想される中、中国政府は電力を大量に消費するアルミニウム産業への締め
付けを強化するとの見方がある。
一方、5 月下旬にかけて相場が下落したのは、原油価格が下落したことやドル高が進んだこと
による面が大きい。ただし米国の一部では、アルミニウム需給が引き締まっているとされる。自
動車生産の回復などにともなってアルミニウム需要が回復してきたが、リーマンショック後に閉
鎖された精錬所のうち再開されるものは限定されているためだ。国際展開するアルミニウム企業
は、米国よりも電力料金などの精錬コストが抑制できる中東やアイスランドに精錬所を建設する
計画を進めている。
もっとも、世界全体でみれば、アルミニウムの供給が需要を上回り、在庫が増加傾向を辿って
いる状況に変化はない。銅価格が高止まりする中で、相対的に価格が安いアルミニウムへの代替
需要が発生していることもあり、アルミニウム需要は増加傾向で推移している。しかし、アルミ
ニウム需要の増加見通しを背景に、中国で中小精錬所の増加に歯止めがかからず、中東などで大
型の精錬所の建設も続いている。
当面のアルミニウム相場は、中国の政策動向、日本の震災の後の生産活動の復旧などを材料に
緩やかな上昇傾向を辿りやすいとみられる。
(図表 18)アルミニウム
アルミニウム相場とLME指定倉庫在庫の推移
( 逆目盛 、万トン)
(USドル/トン)
30
アルミ二ウム
50
20
在庫(右逆目盛)
100
10
150
0
200
-10
250
-20
300
-30
350
-40
400
-50
450
-60
500
-70
2500
2000
1500
1000
08
09
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
0
3500
3000
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
10
11
(注)3ヶ月物。在庫はLME指定倉庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
先安↑
アルミニウム
先高↓
08
(日次)
09
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
ご利用に際しての留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。
7/15
10
11
(日次)
4.ニッケル ∼ 大幅下落
ニッケル相場(3 ヶ月物、終値)は、4 月 11 日に 27,950 ドルまで上昇したものの、その後は、
下落基調で推移し、5 月に入って 25,000 ドルを割り込んだ。
ニッケル相場の下落の材料としては、銅など他金属の相場の軟調さが影響したこと、中国の引
き締め策の影響等が懸念されていること、供給の増加につながる動きがあることが挙げられる。
太平洋金属の八戸製造所は 4 月 12 日に、鉱石の荷揚げをすでに再開したこと、出荷用港湾施
設の普及作業を続けていること、電気炉には 5 月中旬には通電の後、製品の生産は 6 月中旬より
た開始することなどを発表した。また、20 日には、2008 年の相場下落時に操業が停止されたザ
ンビアの Munali 鉱山(年産 5 万トン)が年内に再開される見通しだと発表された。また、中国
の 1∼3 月期のニッケル生産量は 5.4 万トンと前年比 25%増加した。
一方、需要面では、中国ではそれまでの減産により品薄化していたステンレスやニッケルの在
庫水準の回復が一巡してくるとみられ、今後、需要の増加テンポは緩やかになっていくと見込ま
れる。
昨年から今年にかけて高騰した金、銀、銅は割高だとする見方も出ているが、ニッケルについ
ては 2 万ドルで推移する現在の価格水準は妥当なものとの見方が大半のように思われる。
ニッケル相場の先行きについては、緩やかな上昇傾向が見込まれる。ステンレスの需要期とな
る年後半に向けて、現在よりも需給が引き締まる可能性がある。また、新規のニッケル開発計画
で導入が予定されている新技術の導入には困難がともなうことが予想されており、計画とおりに
供給が立ち上がってこない可能性がある。
(図表 19)ニッケル
ニッケル相場とLME指定倉庫在庫の推移
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
( 逆目盛 、万トン)
(USドル/トン)
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
0
100
2
50
4
0
25000
6
-50
20000
8
-100
15000
10
-150
10000
12
-200
5000
14
-250
0
16
-300
40000
ニッケル
35000
在庫(右逆目盛)
30000
08
09
10
11
先高↓
08
(日次)
(注)3ヶ月物。在庫はLME指定倉庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
先安↑
ニッケル
09
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
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11
(日次)
5.亜鉛 ∼ 急落後、下げ止まり
亜鉛相場(3 ヶ月物、終値)は、4 月 11 日に 1 トンあたり 2,555 ドルまで上昇したものの、そ
の後は下落に転じた。これは中国のインフレやそれに伴う引き締め政策の影響による需要鈍化が
懸念されたためである。また、5 月 5 日には他の金属と同様にさらに下落が進み、一時 2,048 ド
ルまで下げた。その後、一進一退の推移が続いたが、下旬に入って 2,200 ドル台まで戻している。
国際鉛・亜鉛研究会によると、1∼2 月の世界の亜鉛消費量は前年同月の 188 万トンから 204
万トンに増加した。一方、供給量は同 199 万トンから 209 万トンに増加し、供給超過幅は同 10.7
万トンから 5.2 万トンに縮小した。なお、4 月 14 日に同研究会が発表した 2011 年の需給見通し
では、亜鉛需要は前年比 6.3%増の 1340 万トン、生産は 5.6%増の 1359 万トンで、供給超過幅は
20 万トンと 2010 年の 26.4 万トンに比べ縮小すると見込まれている。
日本など先進国の自動車生産が回復することに加えて、新興国での自動車生産は増加トレンド
が続くため、需要は今後も堅調な推移が見込まれる。銅などに比べて、亜鉛の在庫水準は高く、
需要が回復しても需給は引き締まりにくくなっているものの、亜鉛相場は、銅などに連動して緩
やかな上昇が見込まれる。
(図表 20)亜鉛
亜鉛相場とLME指定倉庫在庫の推移
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
3000
( 逆目盛 、万トン)
0
2800
10
2600
20
2400
30
2200
40
-10
2000
50
-20
1800
60
1600
70
(USドル/トン)
1400
80
亜鉛
1200
在庫(右逆目盛)
1000
08
09
10
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
20
11
10
0
-30
-40
90
-50
100
-60
(日次)
(注)3ヶ月物。在庫はLME制定在庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
先安↑
亜鉛
先高↓
08
09
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
10
11
(日次)
6.錫 ∼ 大幅下落
錫相場(3 ヶ月物、終値)は、4 月 11 日に 33,600 ドルと最高値を更新したが、その後は下落
基調で推移し、5 月下旬には 27,000 ドル前後で推移している。
最大輸出国のインドネシアでは、天候不順の影響で、鉱山からの生産量が大幅に落ち込んでお
り、供給懸念が強まっていた。ラ・ニーニャ型の天候不順は終息する見通しとされ、マレーシア
の大手錫会社は鉱山開発投資に積極的な姿勢を示していると報道されているものの、供給が不安
定な中で需要の増加が続く構図は続くため、錫相場の下値は限定的だろう。当面、錫相場は一進
一退の推移が見込まれる。
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(図表 21)錫
錫相場とLME指定倉庫在庫の推移
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
(逆目盛 、万トン)
0.0
(USドル/トン)
35000
錫
30000
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
800
先安↑
700
0.5
在庫(右逆目盛)
25000
1.0
20000
1.5
15000
2.0
10000
2.5
錫
600
500
400
300
200
100
0
-100
5000
3.0
08
09
10
11
先高↓
-200
08
(日次)
(注)3ヶ月物。在庫はLME制定在庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
09
10
11
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
(日次)
7.鉛 ∼急落後、下げ止まり
鉛相場(3 ヶ月物、終値)は、4 月 11 日に 2,855 ドルをつけた後、下落に転じ、5 月上旬には
2,300 ドルを割れたが、下旬には 2,500 ドル台まで戻している。
中国政府は、アルミニウムなどと並んで、鉛についても中小の精錬所の淘汰を進めたいようで
ある。年間生産量 5 万トン未満の精錬所が対象とされている。昨年から続いている鉛中毒の問題
では、5 月 19 日に浙江省の大手鉛バッテリー・メーカーの責任者が逮捕され、鉛関連の生産活
動はすでに停止されている。
なお、一部の投資家がLME指定倉庫在庫の 8 割を買い占めていたとされ、5 月 24 日に開始
されたとされるLMEによる捜査の対象にもなっているとみられる。
中国など各地で鉛産業に対する環境面での規制が強化されるものの、新興国の自動車の普及と
ともにバッテリー向け需要が増加するトレンドは変わらないとみられる。当面、鉛相場は一進一
退が見込まれる。
(図表 22)鉛
鉛相場とLME指定倉庫在庫の推移
現先スプレッド(現物−3 ヵ月物)の推移
(逆目盛 、万トン)
0
(USドル/トン)
4000
鉛
3500
在庫(右逆目盛)
5
3000
10
2500
15
2000
20
1500
25
1000
30
500
35
(現物−3ヵ月物、USドル/トン)
100
先安↑
80
鉛
60
40
20
0
-20
-40
先高↓
08
09
10
11
(日次)
(注)3ヶ月物。在庫はLME制定在庫。2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
-60
08
09
(注)2011年5月27日までのデータ
(出所)London Metal Exchange(LME)
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(日次)
Ⅲ.トピック
∼ 乱高下するコモディティ市況 ∼
コモディティ市況は、昨年後半以降、米国の量的金融緩和、中東情勢などを材料に上昇テンポ
が速まっていた。しかし 5 月に入って、5 日にはコモディティ全般が急落し、その後も中旬まで
総じて下値を試す動きになった。下旬に入って、コモディティすべてが連動して下落する状況は
一巡し、各コモディティが個別の要因により変動するようになっている。そうした局面で、米国
の大手金融機関がコモディティ市況の見通しを上方修正する動きが報道された。コモディティ市
況は再び上昇するのだろうか。
(1)5 月 5 日の急落
5 月 5 日の相場急落を振り返っておこう。その理由としては、①米国の雇用保険申請件数が悪
化したこと、②トリシェECB総裁の発言を受けてドル高(ユーロ安)が進んだこと、③OPE
Cが原油高継続の場合に増産するとの報道があったこと、④銀相場の大幅下落がコモディティ全
般に対する投資家心理を悪化させた可能性があること、⑤ビン・ラディン氏の死亡が中東情勢の
安定化につながる可能性が意識されたこと、などが挙げられる。しかし、これらは、原油相場が
10 ドルも急落する理由としては、いずれも力不足だったり、関係が明確ではなかったりする。
実際には、ドル・ユーロと原油の連動性に注目したトレードが為替市場、原油市場の双方で増
えていたため、為替市場では原油安をドル高・ユーロ安要因とされ、原油市場ではドル高・ユー
ロ安を原油安要因とされたことで、スパイラル化したといったところではなかったかと考えられ
る。原油や銀だけではなく、コモディティ市場全体に下落圧力が広がり、株式市場や金利市場に
も先行き懸念が及んでいった。
5 月中旬まで、各コモディティが連動して下落することが多くなっていたが、下旬には、そう
(図表 23)各コモディティ市況の推移
(2007年末=100)
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
金
銅
原油
大豆
0
09
10
(注)金はCOMEX、銅はLME、原油(ブレント)はICE、大豆はCBOT
(出所)Bloomberg
ご利用に際しての留意事項を最後に記載していますので、ご参照ください。
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(年、日次)
した動きは一巡し、各コモディティに個別の要因で市況が変動する状況になっていた。そうした
タイミングで、米国の金融機関がコモディティ市況の見通しを上方修正したと報道された。コモ
ディティ市況が足元までに下げ過ぎており、再び上昇に向かうとみるならば、確かにコモディテ
ィを買うには絶好のタイミングである。
(2)下げ過ぎたのか?
5 月 5 日のクラッシュ(市場崩壊)により、コモディティ市況は下げ過ぎていたのだろうか。
まず、コモディティを専門とするヘッジファンドで比較的大きな損失が発生したと報道された。
しかし、資産規模と比べて、相場の下落に見合った通常の損失程度とみられ、高いレバレッジや
流動性の低下などで損失が膨らむ異常事態に陥ったのではなさそうだ。この点では、大幅に下落
が行き過ぎる原因にはなりそうにない。
また、5 月上旬∼中旬に下落率が大きかったコモディティは、銀、原油など昨年 11 月以降に
相場上昇が大きかった品目である(図表 24)。米国での量的緩和策をきっかけに、ドルの通貨価
値の下落やインフレに対するリスク回避をテーマにした投資行動が急速に広がり、相場上昇が行
き過ぎていた可能性がある。行き過ぎた相場の上昇がある程度、修正されたと見た方が良いよう
に思われる。
(図表 24)各コモディティの騰落率(%)
銀
綿花
ガソリン
WTI原油
錫
コーヒー
暖房油
ココア
ブレント原油
パラジウム
ニッケル
鉛
天然ガス(米国)
アルミニウム
トウモロコシ
生牛
砂糖
プラチナ
銅
石炭(欧州)
大豆
鉄鋼
小麦
金
亜鉛
-40
5月1∼16日
昨年11月∼4月
-20
0
20
(出所)Bloomberg
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40
60
80
100
120
投資家が投資対象とするような資産は、通常、価格上昇が行き過ぎているかどうかは判断しづ
らい。例えば、ある企業が将来、今の何倍もの収益を上げるようになるというシナリオに基づい
て株価が形成されていても、必ずしも行き過ぎという訳ではない。ある土地を保有し続けた場合
の収益も、特に速いテンポで経済成長しているような国では、とても大きい可能性がある。貴金
属についても、将来時点で貴金属に対する評価がどのようになるのかが判らないため、ここまで
価格が上昇すれば行き過ぎという判断はしにくい。
しかし、日々消費することが主用途である原材料や燃料の場合は、原材料や燃料のユーザーが
価格高騰を理由に消費するのを止める動きが出てくるのならば、価格高騰が行き過ぎているとい
う判断が成り立つ。
現状であれば、例えば、米国のガソリン消費量は、前年に比べて下振れて推移している。3 月
にガソリン価格が 1 ガロンあたり 3.5 ドルを上回るようになって、そうした傾向が顕著になって
いる。米国の消費者は給油するタイミングを遅らせたり、給油量を若干抑えたりする行動をとる
ようになっていると思われる。米国の生活者はガソリン高にストレスを感じているのだろう。現
在の原油価格の水準(WTI原油 100 ドル前後、ブレント原油 110 ドル強)では、引き続き、ガ
ソリン価格は 3.5 ガロンを上回った推移が見込まれる。原油価格は、まだ高過ぎると思われる。
(3)従来パターンとは異なる可能性
つまり、現在の原油価格の水準では、「原油高が進めば、景気減速懸念が強まる」という関係
が生じてしまう。リーマンショック以降続いてきた「原油価格が上昇する時には、株価が上昇し、
ベースメタルや農産物も上昇する」というパターンは(図表 25)、景気拡大観測を軸に成り立っ
ていたものであり、原油高が景気減速懸念につながってしまうと成り立ちにくい。
(図表 25)原油相場と株価の推移)
(ポイント)
2000
原油相場(WTI、左目盛)
米国株価(S&P500、右目盛)
140
1800
120
1600
100
1400
80
1200
60
1000
40
800
↑
(ドル/バレル)
160
株
高
↓
株
安
20
2006
600
2007
2008
2009
(出所)Bloomberg
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2010
2011
(年、日次)
一方、過去の推移をみると、米国の金融政策が緩和局面から引き締め局面に入って、しばらく
の間は、「ドル金利の上昇と原油をはじめとしたコモディティ市況の上昇が両立する」のが通常
のパターンである(図表 26)。しかし、足元では、米国の量的緩和策やリビア情勢の悪化を受け
て、原油価格の上昇が先行して起こってしまっており、上述のとおり、さらなる原油価格の上昇
と景気拡大とは両立しにくくなっている。むしろ、金利上昇を受けたドル高により、ドル建ての
原油価格に下押し圧力がかかるという展開になっていくものと予想される。
また、最近 10 年間で、中国の動向がコモディティ市況をみるうえで飛躍的に重要になった。
中国の引き締め政策の影響などにより、米国と中国の景気動向にズレが生じると、米国を中心に
動く金融市場の動向と、中国需要の動向に左右されやすいコモディティ市況の動きが従来パター
ンと異なってくることになる。
以上をまとめると、過去の例では、金融引き締めの初期段階は、各コモディティが総じて価格
上昇を続けることが多い局面であるが、今回は、量的緩和や中東情勢を材料に価格上昇が先行し
てきた原油などについては、価格が下落傾向で推移する可能性がある。
(図表 26)米国の金利動向とコモディティ市況等の推移
(ドル/バレル)
160
原油価格(左目盛)
(%)
2年物米国債利回り(右目盛)
10
12000
(ドル/トン)
7
100
6
80
5
60
4
1
0
0
8
7
6
6000
5
4
4000
2
20
9
8000
3
40
3
2
2000
1
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
1800
(ドル/オンス)
大豆価格(左目盛)
(%)
2年物米国債利回り(右目盛)
10
10000
8
120
(%)
2年物米国債利回り(右目盛)
9
140
銅価格(左目盛)
10 1800
(ドル/オンス)
S&P株価指数(左目盛)
(%)
2年物米国債利回り(右目盛)
(年)
10
1600
9
1600
9
1400
8
1400
8
7
1200
1000
5
800
4
600
6
1000
5
800
7
1200
6
4
3
600
400
2
400
2
200
1
200
1
0
0
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
(出所)Bloomberg
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0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(年)
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