NEWS REPORT 中村秀仁氏が、財団法人内藤泰春科学技術振興財団

NEWS REPORT
中村秀仁氏が、財団法人内藤泰春科学技術振興財団
「内藤泰春記念賞」
を最年少で受賞
中村秀仁氏(基盤技術
研究基盤技術部 放
射線計測技術開発室) 、平成21年3月23日 、財団法人
内藤泰春科学技術振興財団(理事長:鈴木幸壽氏、専務理
事:鈴木啓祐氏、理事:矢野信太郎氏) 、第三回内藤泰
春記念賞 受賞
。同賞 、内藤泰春科学技術振興
財団 事業内容 一
科学技術 関
優
業
績 挙
者 対
表彰 記念品 贈呈
。
平成20年度 、
1名 顕彰者 決定
。
(URL: http://www.naito-zaidan.or.jp/)
中村氏 、放射線源
放出
放射線
放射線量 厳密 計測
方法 開発 、従来法 比 非
常 精密 放射線計測器 校正 可能
。
、
技術 導入
放射線計測器 、従来法 高 分解能
放射線測定 可能
。
以上 研究成果
、中村秀仁氏 第三回内藤泰春記
念賞 受賞
。
、 本人
、今後 展望 受
賞
頂
。
今後
展望
放射線計測方法
、放射線 種類(
線、
線、
線、
X線)
大 、放射線計測器
種類(半導体検出器 有機・無機
、 他 放射
線測定器 対
有効)等 一切依存
使用出来
優
特徴
。 、新
何
購入
必
要
、既存 装置 精度 向上
魅力
。
特徴 活
、今後行
様々 放射線計測
、
行
放射線計測 精度 更
向上
貢献
考
。
受賞
授賞式
記念写真(前列中央:鈴木幸壽理事長、後列左
3番目:
鈴木啓祐専務理事、前列中央右:矢野信太郎理事、前列左端:中村秀仁氏)
受賞
、
「放射線源
放出
粒子 用
高
信頼度
放射線計測方法 確立」
、平成20年12月
1日 米 国 科 学 誌 R a d i a t i o n R e s e a r c h R a p i d
Communication 掲載
論文 、卓越
業績
評
価
。放医研
世界 向
発信
研究
、
高 評価
、受賞 機会 得
、非常
大
栄誉
思
。
NEWS REPORT
中村秀仁氏が、財団法人内藤泰春科学技術振興財団
「内藤泰春記念賞」
を最年少で受賞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・1
IAEA/RCA地域トレーニングコース
「Regional Training Course
on Advanced Clinical Applications of PET」開催・・・・・・・・・・2
国際オープンラボラトリー第4回ワークショップ
”Cellular and Molecular Effects of Light Ions”報告記・・・・・・・3
Flash NEWS
肝移植における急性拒絶とその治療効果の画像診断に成功∼PET による
がん診断のシステムで肝臓移植の拒絶反応を診断:早期の臨床応用に期待∼・・4
近年 科学技術 著
進化 伴 、数十年前
出来
思
事
、現在
出来
。
「温故知新」
言葉
、今一度、基礎研究
原点 振 返 事 、未開 領域 切 拓
出来
。
最後
、財団法人内藤泰春科学技術振興財団
鈴木幸壽理事長
、鈴木啓祐専務理事、矢野信太
郎理事、評議員 皆様
、
名誉
賞 頂
事
、心 厚 御礼申 上
。 、受賞 際
、大変
世話
寺田容子事務局長
、心 深 感謝申
上
。誠 有難
。
基盤技術
研究基盤技術部 中村 秀仁
栄えある受賞
山田正俊氏が、第24回海洋化学学術賞(石橋賞)
を受賞・・・・・・・5
渡邉直行氏が、放射線影響研究奨励賞を受賞・・・・・・・・・・・・・・・5
岡本裕之氏が、
「日本医学物理学会大会長賞」
を受賞 ・・・・・・・・・6
土橋卓氏が、
「日本医学物理学会大会長賞」
を受賞・・・・・・・・・・・6
HIMAC REPORT
HIMACシンクロトロン加速器の高度化∼可変エネルギービーム
取り出し∼・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・
・・・・7
Flash NEWS
ユニット紹介 研究倫理管理支援ユニット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
NEWS REPORT
IAEA/RCA地域トレーニングコース
「Regional Training Course on Advanced Clinical Applications of PET」開催
平成21年4月20日∼24日
、IAEA/RCA
開催
。本
RAS6049
「St reng t hen i ng Cl i n ica l
Appl i c at i o n s o f P E T i n R CA Me mb e r S t at e s」
、現行 腫瘍 FDG-PET
瘍以外
疾患
PET 適応
臨床応用 含
用
行
、
関
、
酸 代 謝、低 酸 素
腫瘍以外
PET 応用
性疾患
必要
改
。
、
酸代謝、核
非 FDG
放射線治療計画
研究者 更 向上
、PET 先
協議 重 、
加
PET/CT
日本
認識
共
臨床応
。
構成
、FDG
気概・気迫 強 感
参加
、腫
進
目標
目標 満
腫瘍診断
加
進国
。各々 国 代表
FDG 以外
PET・PET/CT
教育
考
参加者
地域
関連
向上
、
応用等 関
講義
、
、循環器、脳神経、炎症
PET 診断 関
講義 行
。
ウェルカムレセプション(村田理事の挨拶)
稿 終
、
大学
忙
Mariani 教授
先生方、快 施設見学等
市大、
行
本
多大
。初日 、米倉理事長
19名
開会
対応
協力
横浜
企画
IAEA
方々 心
分子
分子病態
、RCA 加盟11 国
所内外
先生方、
企画部国際係
参加者の集合写真
中、講義 引 受
研究
研究
挨拶
同日夕方
、
、
挨拶、外務
楽
過
、
訪問 、PET
関
講義、施設見学
、
行
、
立派 設備 参加者 目 見
。
今回
内容
内容
難解
講義
行
多岐
心配
結果
、
。
、参加者 方々
、活発 討論 行
前後
2
、参加者
。木曜日
横浜市大・
張
。
行
、
多
質問
。
、参加者
、
理解度
。
佐賀 恒夫
参加者
開始
Mr. Dondi、
感謝致
省国際原子力協力室 長沼主席事務官、群馬大学 中野
教授
遂
寄
ゆうあいクリニックの施設見学
NEWS REPORT
国際オープンラボラトリー第4回ワークショップ
”Cellular and Molecular Effects of Light Ions”報告記
第4回
細胞
国際
”Cellular and Molecular Effects of Light Ions”
4月15日
開催
子生物学的
去
講演
。今 回
重粒子線治療
研究
主催
2 回目
76名 含
多
(村上健
長)
、所内外
方
参加
種々 放射線 様々 線量
記名入場者
応答 特 性
最後
場合
分
紹介
、本
。
著名外国人研究員
Anders Brahme 教授
、重粒子線治療
死
―
細胞
役割
最大化
特別講演
、盛況 開催
。
。
ワークショップの参加者
本研究
資
照射
、更
講演するBrahme教授
重粒子線治療
、治療 用
高度化
治療照射時
得 、必要
議論
物理線量
応
分布
次回以降
臨床効果
研究
方々
、収穫
開催
、
参加・
講演頂
力添 頂
、
個々 専門分野
予定
多
踏
。最後
方々
皆様
礼申 上
重粒子医科学
研究協力 拡大
計画
。
物理工学部
松藤 成弘
松藤
報告
究
「適
議論
議論 引 継
。次回
分布 取
、分子
活発
Brahme 教授 交
込
治療照射 修正
。今回
非常
、
On line PET/CT 等 組 合
応放射線療法」 可能性 検討
状況
受
対
終了後
小
目的
、第1回
重粒子線治療
講演
物理分布 生物・
臨床効果
。加
最適化
頂
稲玉直子博士
後、分子
研
半導体検出器 用
新
PET 用検出器「X’
tal-cube」 開発現状
紹介
。
、粒子線生物研究
平山亮一博士、松本孔貴博士
上 極
布 、小分割照射
応答特性 関
場合
紹介
。
・
Johanna Kempe 博士
理論計算
基
inverse planning
分
線量
指名研究員
研究所
研究所
低酸素領域
1 回線量 大
研究成果
一方、本
開発
治療効果 判断
重要 要素、即 腫瘍中
新
物理分布
紹介
応用 可能性、同
Annelie Meijer 博士
討論の様子
in-vitro 下
3
肝移植における急性拒絶とその治療効果の画像診断に成功
∼PET によるがん診断のシステムで肝臓移植の拒絶反応を診断:早期の臨床応用に期待∼
放医研分子
研究
研究
*1)
分子病態
非拒絶群
、藤田保健衛生大学疾患
研究
教育
森田美和先生、国立成育医療
所移植免疫研究室
絶反応
用
*2)
肝移植後 起
治療効果 PET装置
界 初
成功
、
高 生検*3)
待
。
、肝移植
作出 肝臓
移植手術後
経時的 PET診断 行
応
様 子 画像化
発生
疫抑制剤
治療効果 画像
、急性拒絶反
成功
、急性拒絶群 免疫抑制剤 投与
拒絶反応
5日後
、肝臓全体 非侵襲
方法 開発
主 成果
起
世
拒絶反応部位 採取
。
確実 診断
本研究
急性拒
画像化
、侵襲性
方法
、診断 誤
的、
2日後
、
。
現在、拒絶反応 確定診断
行
研究
李 小廉先生 共同研究 行
同所性肝移植
。
治療実験
同様
画像
確認
、
得
、免
成功
研究成果
疫抑制療法
診断法
、肝移植
最 一般的
FDG-PET*4) 診断可能
検査負担
向上 役立
抑制療法
軽減
治療計画 安全、
考
成果
、
国内
、
使
、臨床試験 早期
。今後、本研究成果
患者
免疫
実施
診断
福音
多
載
肝臓
部分 FDG 集積、
9日
療群(本来拒絶反応 起
、
9日後
、肝臓 部分
、
5日
。治
、免疫抑制剤 投与
FDG 集積 見
状況 画像上 判別
)
強 集積
、治療
)
拒絶反応 抑制
。
*5)
, J Nucl Med , 2009
改変]
用語解説
*1)分子
研究:PET(陽電子断層撮像法)
共鳴撮像法)装置 用 、外部
生体内 起
子
捉 画像化
肝移植
、肝移植 手術方法 一
同 場所 移植
。 *2)
方法 示 。
MRI(核磁気
様々 生命現象 分
同所性肝移植
:同所性
、元 肝臓 取 新
同所性肝移植
肝臓
、肝臓
摘出 他
開始
体組織診断)
:病変検出
病変部 質的診断 目的 身体組織
一部 採取 病理診断 行
。 *4)FDG-PET:
、医療
期待
現場
応用、
。本成果
。
分子イメージング研究センター
分子病態イメージング研究グループ
辻 厚 至主任研究員
4
後
、
2日後
拒絶反応診断
、The Journal of Nuclear Medicine 2009年5月号 掲
*5)
)
。拒絶群(拒絶反応 起
、今
拒絶反応診断
精度 高
肝移植後 拒絶反応 画像(矢印 部分 肝臓)
変化 見
[Tsuji
。
FDG-PET検査方法
導入
PET
成功率
。
、移植手術後
免
示
移植
期待
後PET 診断
実用化
急性拒絶反応
治療効果 非侵襲的
、移植患者
可能
(図1)PET
非拒絶群(拒絶反応
(図1)。
病院
9日後
大
今回
治療群
急性拒絶群
肝臓 元 場所 移植
広 用
)
用
方法。診断薬
PET 装置 診断
。 *3)生検(生
診断・検診
FDG(
。 *5)Tsuji AB, Morita M, Li X-K,
Sogawa C, Sudo H, Sugyo A, Fujino M, Sugioka A, Koizumi M,
and Saga T ;
18
F-FDG PET for Semiquantitative Evaluation of
Acute Allograft Rejection and Immunosuppressive Therapy
Efficacy in Rat Models of Liver Transplantation.; J Nucl Med
2009; 50:827‒830
栄えある受賞
山田正俊氏が、第24回海洋化学学術賞(石橋賞)を受賞
【概要】
放射線防護研究
環境放射線影響研
究
海洋動態解
析研究
受賞 対象
第29回石橋雅義先生記念講演会
山田正
、平成21年度海
行
水中
Oceanochemistry
求
Award) 受賞
海洋化学学術賞
。
、財
創設者
、海洋化学 分野
顕著
者、
海洋化学 進歩 寄与
将来 発展
期待
優
者 授与
受賞記念講演 、毎年4月28 開催
念講演会
執 行
制
、海洋内
、受賞講演
Pu/ Pu同位体比 海
239
蓄積量
沈降粒子束
動態 定量的 解明
広範囲 分布
、海洋
研究 行
Pu/ Pu同位体比 表面
239
西部北太平洋
鉛直分布
水爆実験起源Pu 移行過程 明
。
【受賞のことば】
長年
積 上
思
、
。今後
向
研究成果
。研究船
乗船研究者
。授与式
石橋雅義先生記
Cs
240
240
海水中
功績
研究
Pu
137
分布 海底堆積物
石橋
雅義先生 記念
定
。
239+240
。特
団法人 海洋化学研究
所
人工放射性
核種 動態解析」 、京都大学百周年時計台記念館 開催
洋化学学術賞(石橋賞,
俊氏
業績題目 「海洋
評価
大変
海洋観測 試料採取
協力
乗組員 方々 感謝申 上
研究 発展
、
、
動態 解明
思
。
。
渡邉直行氏が、放射線影響研究奨励賞を受賞
今回、
「 医療事故
療
体内放射性物質
研究」 係 業績 、
日本医学放射線学会
受賞
開催
年度放射線影響研究功績賞
祝賀会
受賞 喜
、平成20
名古屋大学飯田孝夫教授
放射線影響学会 推薦
励賞 東京大学細谷紀子先生
開催
推薦
。
受賞式 東京
、
化治
同放射線影響研究奨
受賞
参加者
。引 続
分
合
。
企画部企画課長/人材育成・交流課長 白川 芳幸
図1:青木芳朗理事長(左) 賞状 授与
(青木前内閣府
原子力安全委員 同事務局管理環境課 被
医療分科会・安
定
素剤予防内服 係 検討会 担当
渡邉前安全調査官
7年
再会
)。
渡邉直行氏(企画部人材育成・交流課 調査役) 、平成
21年3月13日、平成20年度放射線影響研究奨励賞 受賞
。本賞 、放射線影響研究 中心
研究分野
者 対
。
放射線科学
活発 研究活動 行 、将来
財団法人放射線影響協会
顕賞
研究
図2:授賞式 続
行
祝賀会
、安定
素剤予防内
服 係 検討会 特別委員
参加
長瀧重信国際被曝
医療協会長・長崎大学名誉教授(左) 祝福 受
。
5
栄えある受賞
岡本裕之氏が、
「日本医学物理学会大会長賞」
を受賞
平成20年4月
レーション及び、マイクロドシメトリーの手法を用いて評価を
17日∼19日に
行いました。具体的にはモンテカルロシュミレーション上にお
開催された第97
いてリニアック装置6MV X線、Co60照射装置、診断用X線
回日本医学 物理
装置200kVを構築し、RBEの算出に必要な微小領域の電離
学会学 術大会に
密度を計算、そして生物理学的モデルを用いて得られた電離
おいて、東京工業
密度分布をもとにRBEを算出しました。得られた計算結果は
大 学 大 学 院( 連
細胞実験との比較を行い、モデルの妥当性を評価しました。
携 大 学 院 生 )岡
結果ですが200kV のRBEはメガボルトの光子よりも約10%
本 裕 之 氏 が「 日
程高くなり、細胞実験の結果と同様な傾向を示しました。ま
本医学物理学会
たシュミレーションにおいて6MV X線の照射野外のRBEを
大会長賞」を受賞
評価したところ、低エネルギーの散乱線の割合が多い事か
しました。受賞の
らRBEの上昇が見られ、中心で比較した場合約5%高いこと
対 象となった発
が分かりました。今後は複雑な照射野を含むIMRT(強度変
表 演 題 は「 リニ
調放射線治療)のRBEを評価したいと思います。
アックX線場におけるモンテカルロコードを用いた生物学的
【受賞のことば】
効果の評価」です。この大会長賞はCyPosに登録されたファ
この度このようなすばらしい賞を頂き誠にうれしく思いま
イルと報文集原稿をもとに、すべての演題の中から優秀な発
す。この喜びを忘れずに今後も研究に勤しみたいと存じま
表者に対して授与されます。
す。最後に私の研究の審査をして下さった先生方に心よりお
【概要】
礼申し上げます。
光子の生物学的効果比RBEに関してモンテカルロシュミ
土橋卓氏が、
「日本医学物理学会大会長賞」
を受賞
平成20年4月17日
す。しかし、体表面マーカの動きと腫瘍の動きは必ずしも一致
∼19日に開催された第
しない場合があることが知られています。より高精度の放射
97回日本医学物理学
線治療のためには、腫瘍の動きをX線透視により直接追跡
会 学 術 大会において、
し、その動きに同期させて照射することが望ましいです。そ
重 粒子医科学センター
の際、高画質なデジタル画像を得るためにフラットパネルを
重粒子線がん治療普及
用います。土橋氏の研究では、実際の臨床利用に先立ち、数
推 進 室の土橋 卓 氏 が
値ファントムをもちいて、腫瘍の呼吸性移動を追跡するアル
「日本医学 物理学会 大
ゴリズムについて検討しました。数値ファントムにより、規則
会 長 賞 」を受 賞しまし
的でない呼吸パターンをシミュレートし、その際の肺腫瘍の
た。受賞の対象となった
動きを金属マーカーを用いずに追跡できるかを調べました。
発表演題は「ダイナミッ
腫瘍の位置を直接追跡することは一般に難しいですが、アル
クフラットパネルを使用
ゴリズムを工夫することで高精度で追跡できることを示しま
した呼吸同期治療の高
した。
精度化」です。
【概要】
6
【受賞のことば】
今回、このような賞を頂けたことを光栄に思います。有益な
放射線を高精度で腫瘍に照射するためには治療中の腫瘍
助言、議論をしていただいている森慎一郎研究員をはじめ、
の動きが問題となります。特に肺がん治療では腫瘍の呼吸
物理工学部の皆様に感謝いたします。また、本研究は新治療
性移動が線量分布へ与える影響が大きく、このため、当施設
室での臨床利用を念頭に置いたものです。システムの実現に
では体表マーカ信号に基づいた呼吸同期照射を行っていま
向けて今後とも努力したいと思います。
HIMAC REPORT
HIMACシンクロトロン加速器の高度化
∼可変エネルギービーム取り出し∼
重粒子医科学センターでは高精度な治療照射の実現に向
け、次世代照射システムの構築を進めております。次世代照
射システムでは従来のブロードビーム照射法にかわり、新た
にスキャニング照射法が採用されます。ブロードビーム法で
は、加速器から得られる細く絞られたビームを一様に広げた
後、がん患部形状にあうよう切り出し患部へ照射しますが、ス
キャニング照射法では細いビームを患部形状にあわせ精密
に走査しながら患部へ照射します。加速器からのビームを切
り出すことなく直接照射できることから、効率的で高精度な
治療照射が可能となります。また、照射毎に製作していた
ビームを切り出すためのコリメータ等が不要になるなど、従
来の照射方法と比べ数多くの利点があります。
次に患部の深さ方向の分布調整はビームのエネルギーを
変えることで行われます。現状、エネルギー調整はビームライ
ン上にレンジシフタと呼ばれる複数の減速板を設置し、その
減速板を出し入れすることで行っております。ビームは減速
板を通過することでエネルギーの一部を失いますが、ここで
問題となるのが減速板によるビームの広がりです。また、レン
ジシフタ通過中に原子核反応が起こると破砕核が生じ、分布
を悪化させます。スキャニング照射法の利点を最大限に利用
するため、深さ方向の調整はレンジシフタを用いず、加速器か
ら得られるビームのエネルギーを直接変化させて行うことが
望まれます。
HIMACの加速器部は主に入射器と主加速器(シンクロト
ロン)に大別されます。入射器で光速の約1割まで加速され
た炭素イオン(ビーム)はシンクロトロンに入射されます。この
際、シンクロトロンの電磁石は入射器からの低エネルギー
ビームを周回させるため、低い磁場に設定されています。入
射が完了すると加速が開始され、また同時にビームの軌道半
径を一定に保つため磁場を徐々に高めていきます。そして、
ビームのエネルギーが治療で必要な値(光速の約7割)に達
したら磁場を一定に保ち、その間にビームはシンクロトロンか
ら取り出され、最終的に治療室まで導かれます。このように、
シンクロトロンは入射・加速・ビーム取り出しを3.3秒の固定周
期で繰り返し運転されております( 図 1上段参照)。
現状、運転パターンを決めると1運転周期中にある決まっ
たエネルギーのビームしか得ることができません。また、運転
パターンの切り替えには数分を要するため、要求される0.1秒
程度のエネルギー変更には対応できません。そこで我々は
図 1下段に示したような階段状の運転パターンを用い、ビー
ムを取り出す方法を考案しました。この階段状運転パターン
ではビームを一度加速した後、少しずつ減速します。そして、
ビームが所望のエネルギーに至った時点で磁場を一定に保
ち、ビームを取り出します。その後、更に減速して再度、磁場
を保持しビームを取り出す動作を繰り返すことで、運転パ
ターンを切り替えることなく複数の異なるエネルギーを持つ
ビームを得ることが出来ます。上記階段状運転パターンを用
図 1 シンクロトロンの運転パターン。上段は従来の運転方法、下段は
階段状パターンを用いた新しい運転方法。
いた治療ビーム供給の実現性を検証するため、430 MeV/uか
ら140 MeV/uまで(光速の72∼49%に相当)の11段を有
する運転パターンを用いたビーム試験を実施しました。調整
の結果、全11段でビームを取り出すことに成功しました。
図 2は試験で得た波形で、ビームが一度430 MeV/uまで加
速された後に順次減速し、6段目(290 MeV/u)に至った時
点で磁場が保持されビームが取り出される様子を示しており
ます。今回の試験で階段状パターンの実現性が実証された
ことから、今後は最終目的である430∼80 MeV/uで1%ずつ
エネルギーを変化させる150段運転パターンの運用実現に向
けた試験及び、それに対応した加速器制御システムの構築
を進めていきます。この運転パターンを用いることでレンジ
シフタが不要となり、更なる高精度な治療照射が実現できま
す。
図2 11段パターンを用いたビーム加速・取り出し試験結果。上からシ
ンクロトロン偏向電磁石の電流パターン(黄色)、取り出し六極の電
流パターン(水色)、周回ビーム強度(ピンク色)、取り出しビーム波形
(緑色)。
加速器開発室 岩田 佳之
7
ユニット紹介 研究倫理管理支援ユニット
臨床研究
審査
実施面
重要性・社会的要請
倫理面
昨今高
1日 「臨床研究 関
。今年度4月
倫理指針」
( 厚生労働省) 改正
施行 伴 、当研究所
臨床研究審査及 実施体
制
早急 見直
必要
事
設置
「臨床試験
企画部内 新
手続 等
、昨年度9月
研究担当理
方検討会」 議論 経 、
研究倫理管理支援
設置
。
当
、研究所 臨床研究倫理審査体制 「研究
倫理審査委員会」 一本化 、
担
。
局
事務局
、臨床研究 関
業務 行
利益相反委員会事務
、国 倫理指針等 基
運営 総括的 行
。
、動物実験 関
師
同
。
長 、専門職
併任者 構成
、組織横断的
、関係
連各部署 調整・連携 図
進
研究者 対
倫理面
対象者
、多岐 渉 業務
。
教育 実施 努
情報公開
保証
、研究
、
実施 機関
実践
貴重
得
財産
持
高
研究者 関
構築
研究
質、
、健康 福祉
国民(人類)
貢献
活動 、研究
支援 、
考
目的
信頼性
重要 基盤整備 一
向上
、貢献
。
信頼性 高
。
保証
看護
CRC(Clinical Research Coordinator)、
係員 3名 主務以外 、各
研究
範疇
情報管理 、所内 研
、医師
資格 持
管理
、研究倫理
究倫理管理体制 一元化 図
管理運営
透明性
。放医研 研究
目的
達成
。
企画部 研究倫理管理支援
21
5
福島 芳子