会計監査、投資判断、与信管理、訴訟のための 不動産鑑定評価書の審査とその活用 ~危ない鑑定評価書の見分け方~ 監査法人アヴァンティア 立花不動産鑑定株式会社 公認会計士 不動産鑑定士 小笠原 直 立花 俊輔 第一部 会計監査における鑑定評価書レビュー • 企業経営における不動産の位置づけ • IFRS'国際会計基準(導入に向けて • CRE'企業不動産(戦略 • 減損会計等の会計基準と不動産鑑定 企業の経営資源としての不動産の重要性 • 国土交通省統計によれば、法人所有不動産 は約490兆円、54,000k㎡'国土の14%( • 2008年度末、証券化された不動産45兆円、J -REITは9兆円弱 • 土壌汚染、アスベスト等の除去の対応 • 減損、棚卸低価法、賃貸不動産等の時価開 示等において、不動産評価が会計・財務報告 に与える影響が大 IFRS導入の本質 「IFRSは、理論モデルである。」 ↑ある意味、「フィクション」である 3つの理論から成るが、本質は「時価主義」 理論的 時価主義 資産・負債アプローチ 原則主義 実務的 4 IFRS導入の不動産に与える衝撃 • 原則:時価評価 • 資産・負債が毎期'毎四半期(時価評価 • 導入される「包括利益」を増減させる このままでは困るので・・・ • 原則主義の採用 ⇒時価'公正価値モデル(だ けでなく 原価'原価モデル(やIFRS適用時のみ なし原価なども選択適用可。'次ページ参照(⇒ 従来以上に評価についての説明責任が問われ る。 • 不動産に関わる情報開示の質や量が増大する。 IFRS適用時の不動産の評価 事業用不 動産 事業会社 原価'みなし原価があり。( 公正価値 モデル 投資不動 産 原価'みなし原価があり。( 公正価値 モデル 開発不動 産 原価 投資不動 産 'ただし低価法あり。( 原価モデル'みなし原価があ り。( 公正価値モデル 不動産会社 ※みなし原価とは、不動産の一部について、IFRS導入年度に再評価をする こと。 フランス上場企業取材~ウニベルコ・ロダムコ 社とゲルベ社のケース • ウニベルコ・ロダムコは、欧州最大手の不動 産賃貸業企業。 • 賃貸不動産について、進んで「時価」評価 • 一方のゲルベは、中堅の造影剤製造企業。 • 本業は不動産業でなく、メーカーのため「時 価」の適用はないが、本社についてのみ「時 価」をIFRS適用時に採用←いわゆる「みなし原 価」を適用。 7 ウニベルコ・ロダムコ社のIFRS適用後の決算 (億円) 2004'前( 2004'後( (包括利益計算書) 賃貸収入 その他収入 管理費用 投資不動産除売却損益 不動産価値変動損益 のれんの減損 財務費用控除前営業利益 財務費用他 税引前利益 税金 当期純損益 包括利益 実現損益 未実現損益 (財政状態変動計算書) 投資不動産(公正価値) 固定資産計 (キャッシュ・フロー計算書) 営業活動のキャッシュ・フロー 2005 2006 2007 2008 2009 656 20 -394 69 350 -91 259 -1 258 - 483 7 -31 71 603 1,133 -75 1,058 -30 1,028 - 441 9 -20 151 1,258 1,839 -100 1,739 -61 1,678 - 452 52 -34 109 1,871 2,450 186 2,636 -21 2,615 - 842 35 -74 23 1,834 -1,469 1,190 123 1,313 -59 1,255 - 1,337 46 -118 52 -1,951 -23 -657 -621 -1,278 42 -1,236 -1,280 860 -2,088 1,383 45 -115 -44 -2,411 -39 -1,181 -668 -1,849 126 -1,723 -1,751 920 -2,534 5,749 6,283 6,611 7,432 7,751 8,958 9,951 11,257 23,657 26,219 23,873 26,232 21,539 23,538 223 342 699 413 667 1,141 1,432 不動産鑑定評価と密接な減損会計等の最近の 会計基準 • • • • • • 減損会計 棚卸資産'販売用不動産(の低価法 合併'M&A(処理'パーチェス法のみ( 賃貸等不動産の時価開示 証券化ビークル'SPC(の連結処理 資産除去債務 これらの基準は、IFRSへのコンバージェンス'収 斂(の一環であるが、不動産鑑定評価書を前提 としているケースが大半。 CRE'企業不動産(戦略 • CRE戦略の目的 ⇒「企業価値の向上」 キャッシュフローの増加、コスト削減、遊休 地の解消'売却( • 企業を取り巻く環境の変化 ⇒IFRS導入による時価評価&情報開示 • 保有不動産を「正しく」把握し、査定すること が重要 第二部 不動産鑑定評価書の審査 1.鑑定評価書審査の必要性'求められる背景( 2.なぜ鑑定評価書の審査機関がなかったのか 3.不動産鑑定評価理論の概要 4.鑑定評価書の構造 5.鑑定評価書審査の考え方と審査方法について 6.鑑定評価書審査のケーススタディ 7.審査専門機関による審査の活用例と効果 鑑定評価書審査の必要性'1( '制度面から( • 国土交通省による 不動産鑑定評価基準の改正'2010年1月( ⇒審査体制の充実を指導 <内容> 上場会社等の財務報告 証券化不動産 審査を義務づけ 鑑定評価書審査の必要性'2( '不動産市況からの側面( サブプライムローン問題以後の市況悪化 証券化市場の急拡大 ⇒ REITの急落 ノンリコースローン⇒財務制限条項の問題 依頼者からの過剰なリクエスト 鑑定評価書審査の必要性'3( '投資家・ステイクホルダーの側面( • 投資家の不動産ファンドに対する不信感 利益相反行為 不動産評価への不信 • 鑑定評価書利用者の属性の変化 特定尐数 不特定多数 社会的な監視 不動産評価への不信 鑑定評価書審査の必要性'4( 'コンプライアンスの側面( • 善管注意義務'依頼者の検収義務( 仮に、内容に誤りのある鑑定結果を基に業 務遂行したら… 鑑定士 外注 契約関係 上場会社等 '鑑定依頼者( ステイクホルダー 委任関係 求償できるに すぎない 賠償責任 賠償請求 鑑定評価書審査の必要性'5( 金融庁によるファンド処分事例 '平成19年7月~平成21年9月に検査を終了したもの( 検査マニュアル 区分 指摘事項 当社は、社内規程において、利害関係者からの物件取得等に当たっては、投資法人役員会の事前承認を得なければならないと定めており、利害関係者との間の取引等に対して牽制機能を働かせることとしているが、当社における利害関係者からの物件取得に係る利益相反管理態勢につ 1. 内部管理態勢 '1( 取締役等の認識及び役割 利益相反 鑑定評価書が審議資料として用いられてお らず、また、鑑定評価額と取得価格の乖離に係る審議が不十分 き、①投資法人役員会の事前承認を得ていない事例がある、また、② コンプライアンス委員会の審査及び投資法人役員会の事前承認の際の審議において、 管理態勢の不備 であるといった不備事例が把握された。 当社は、当社が資産運用業務を行っている投資法人の投資対象物件の鑑定評価を外部の不動産鑑定評価会社'以下「本件鑑定業者」という。(に依頼しているが、本件鑑定業者が、鑑定時点での契約関係に照らして適切でないものと認められる収支を前提として鑑定評価を行い、 このこと 善管注意義 鑑定評価書上 用報告書に記載 投資法人決算時鑑定評価に係る 5. 運用リスク管理態勢 '3( 運用リスクの把握 務違反 が 不動産鑑定業者に対する不適切な資料提供に係る 5. 運用リスク管理態勢 '3( 運用リスクの把握 善管 注意義務違反 管注意義務違 資産の取得に係る善 5. 運用リスク管理態勢 '3( 運用リスクの把握 反 明らかであるにもかかわらず、 不適切な収支が採用されていることを看過し、当該鑑定結果を資産運 していた。 当社は、当社の利害関係者からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、 不動産鑑定業者に対し、 作成途中のエンジアニング・レポートや売主が当該物件を取得する際に使用したエンジアニング・レポートといった 不適 切な資料の提供 をし、また、鑑定評価に必要な管理委託契約書の提供をしておらず、委託報酬等の概要が記載された簡易な資料等を提供していた。 主要テナントから解約通知書が提出され たにもかかわらず、当該解約予告を反映させた場合の価格査定を行うことなく取得させた。 当社は、利害関係を有する者から投資法人に複数物件を取得させるに際し、当初、購入希望価格については当社査定価格とすることとしたが、その後、1物件について 当社は、当社が資産運用業務を行っている投資法人の物件取得時に不動産鑑定業者に鑑定評価を依頼するに際し、不動産鑑定業者が示した内示額に対し、当該物件の賃料の引き上げ余地に係る意見を述べ、これにより、不動産鑑定業者は取得○年目から賃料増額改定を行うことを前提 に、より高額な鑑定評価額を算定した。しかし、その後の市況の悪化等により、当社は当該賃料増額改定を取得○年目に行うことは実現困難であると認識するようになったにもかかわらず、不動産鑑定業者に対して、当社の賃料増額交渉に係るリスクの認識を伝えなかった。 '3( 運用リスクの把握 5. 運用リスク管理態勢 '3( 運用リスクの把握 当該鑑定評価書を受領した際に、その内容を検証し、当該鑑定評価書が賃料増額改定の実現 が実際には困難である状況を反映していないことについて不動産鑑定業者に確認していなかっ た。 内部管 理態勢の不備 また、 内部管理態勢 の不備 当社は、「含み損の減尐、含み益の増加」を目的として、 投資法人資産取得時鑑定評価依頼に係る 5. 運用リスク管理態勢 期末鑑定評価に係る 複数の不動産鑑定業者に価格査定を依頼して 動産鑑定業者を選定して鑑定評価書'又は価格調査書(の発行を依頼 価格査定額を複数受領した上、その中で当該査定額が 一番高い不 し、当該評価書に基づき資産運用報告にて開示し、また、上記複数鑑定に係る 費用を当投資法人に負担させていた。このような当社の不動産鑑定業者の選定等は、恣意性を排除して合理的な評価額を算定するという複数鑑定の趣旨にそぐわず、また、選定の妥当性等につき十分な検討がなされたものとはいえない不適切な取扱いとなっていた。 当社は、投資法人との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている当該投資法人の資産の運用において、当社の親会社等の利害関係を有する者'以下「当社の利害関係者」という。(からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、以下のとおり、利益相反防止の観 不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけを行い、また、不適切な不動産鑑定 業者選定プロセスをとっていた。 不動産鑑定業者に対し、 概算評価額が売主の売却希望価格に必ず到達するよう特段の働きかけを行う不適切な働 きかけ 点から問題となる、 ①当社は、当社の利害関係者からの取得となる物件の鑑定評価を依頼するに際し、概算の鑑定評価額'以下「概算評価額」という。(の算定を依頼した 売主の売却希望価格と同額以上で概算評価額の算定をするよう 依頼し、また、 1. 投資運用業 (5) 不動産投資信託等 不適切な 利益相反 管理態勢 を行っていた。 ②当社は、当社の利害関係者からの取得となる物件の鑑定評価を依頼するに際し、複数の不動産鑑定業者に対し、売主の売却希望価格を伝えたうえで概算評価額の算定を依頼し、概算評価額が売主の売却希望価格に達しない場合には、当該希望価格以上又はそれに近似する額が提示 されるまで、不動産鑑定業者を追加して概算評価額の算定を依頼するとともに、いずれの物件についても、 最高価格であり、売主の売却希望価格以上又はそれに近似 する概算評価額を提示した不動産鑑定業者に鑑定評価を依頼する 鑑定業者選定プロセス をとっていた。 不適切な不動産 、売主の売却希望価格を最優先とした 鑑定評価書審査の必要性'6( 不動産鑑定士の独立性 制度的に不担保 • 特別の利害関係あっても 鑑定評価受託できる 不当鑑定の責任 • 鑑定業法のみ • 裁判外 • 有限責任 公認会計士の独立性 制度的に担保 • 特別の利害関係あると受託 できない 不当監査の責任 • 会社法・金商法'裁判( • 立証責任の転換 • 無限責任 鑑定評価書審査の必要性'6( '鑑定手法の問題点( DCF法の偏重 <問題点> ・シナリオ不記載 ・収支予測が一定 ・利回り次第で操作可能 なぜ、いま鑑定評価書審査なのか 不当鑑定ガイドラインの整備 開示資料等の充実 ベンチマークの質・量 鑑定手法の複雑化・高度化 • 内部統制の強化'コンプライアンス( • 不祥事に対する社会的監視の強化 情 報 開 示 ・ 説 明 責 任 の 充 実 「かんぽの宿」問題について • オリックス社が簡保施設を極めて低廉な価額で取得した問題 • 会計検査院は日本郵政に対して、減損会計適用における鑑定評 価額について 「試算価格'積算価格及び収益価格(の算定及び その調整方法並びに算定基礎数値について十分留意し、必要な 場合には受託者から説明や再検討を求めるなどして、適切な鑑定 評価額を徴すること」と指摘した'平成22年3月報告、以下同じ。(。 • また、会計検査院は、「不動産売却等における予定価格の基とな る鑑定評価額を徴するに当たっては、市場価格と大きくかい離す ることがないよう、その整合性に十分留意する必要がある」と指摘 した。 ↓ 日本郵政側に、または会計検査院側に、鑑定評価書審査機関が 付いていれば、鑑定評価書の具体的な問題点が明らかになり、 「かんぽの宿」問題の解決の一助になったはず。 不動産鑑定評価理論の概要'1( ~価格概念について~ • 証券化の鑑定評価では、 正常価格=特定価格 が多い しかし、鑑定理論上、正常価格≠特定価格 正常価格=売り手・買い手双方の価格 特定価格=買い手重視の価格 不動産鑑定評価理論の概要'2( ~最有効使用の原則について~ • 銀座通り沿い200坪の土地⇒高層店舗ビル • 東京駅近くに築60年の3階建事務所 ⇒取壊し最有効'15階まで建築可( ↓ この「最有効使用」を間違えてしまうと、 自ずと鑑定結果も誤ったものになる。 '具体例( ① 法令上、宅地造成できない土地 ⇒ 造成可能な土地として ② 取壊し最有効 ⇒ DCF法を既存建物を前提に査定している ③ 当面現況が最有効 ⇒ DCF法で取壊しが予定されている ④ 定期借地権'更新不可( ⇒ 再契約可能なものとして 不動産鑑定評価理論の概要'2( ~類型と鑑定手法について~ 貸家及びその敷地 鑑定評価額の決定 試算価格の調整 原価法 収益還元法 土地価格 直接還元法 建物価格 DCF法 ・取引事例比較法/地価公示価格との規準 ・土地残余法 不動産鑑定評価理論の概要'3( ~試算価格の調整~ 貸家及びその敷地 検 討 項 目 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 市況 周辺の地価動向とその見通し 不動産向け融資の状況 想定需要者の属性 対象物件の市場競争力の程度 周辺の新規投資の状況 試 算 価 格 積算価格 収益価格 鑑定評価額の決定プロセス ~DCF導入以前と以後~ 自用 貸家 貸家 収益 鑑定 この乖離が問題 積算 積算 積算 鑑定 収益 鑑定 収益 ・DCF法導入以前 ・DCF法導入以後 不動産鑑定評価書の構造 鑑定評価書の記載事項 鑑定業者の名称・住所 記載内容 読み方のポイント ○○不動産鑑定士事務所 東京都○○区○△町□番地 鑑定評価の責任主体を示すもの ※不動産鑑定士の記名は認められない 不動産鑑定士の署名押印 自署・押印がなされる 対象不動産の表示 土地・建物の所在地番や家屋番号等が記載される 鑑定評価の対象を確定する意味がある 鑑定評価額 総額による表示 不動産鑑定士の最終結論 ※土地・建物の内訳価格を確認する 平成○年○月○日 ※「現状を所与とする鑑定評価」の場合、価格時点≦実査日<鑑定年月日 ≦発行日となる 鑑定評価の依頼目的 「財務諸表の作成のため」と記載される 会社にとっての鑑定目的'鑑定評価書の入手理由(と合致しているかを確 認する ※「資産評価のため」は鑑定目的が曖昧であり好ましくない 対象確定条件 原則として「現状を所与とする鑑定評価」と記載される 依頼時の評価条件'鑑定評価の仕様(と合致しているかを確認する 付加条件 「なし」が原則である 付加条件が記載されている場合、「想定上の条件」となり、条件設定の合 法性や実現性等を検証しなければならない 対象不動産の確認 「確認に用いた資料」が明記される 依頼時に提示した資料が記載されているかを確認する 発行日 価格時点 鑑定評価を行った年月日 実査日 鑑定評価額決定の理由の要旨 ・価格形成要因の分析 各要因分析の結果、「最有効使用」、「想定される需要者」、「市場競争力」 公表されている地価指標や民間オフィスレポート等と矛盾しないかを確認 及び「市場動向の見通し」等が記載される する ・鑑定評価方式の適用 「評価方針」や「適用手法」が明記される ・試算価格の調整 適用手法の特徴、対象不動産の競争力、市場動向の見通し等の視点から 鑑定評価の各段階における判断や解釈と矛盾する点はないかを確認する 試算価格の再検討が行われる ・鑑定評価額の決定 どの試算価格をどのように重視するか等が記載される 適用を断念した手法があればその理由を確認する 試算価格の調整結果と矛盾しないかを確認する 不動産鑑定評価書の審査方法'1( ~レビューのポイント~ 類型 鑑定評価手法 取引事例比較法 公示価格を規準とした価格 土地のみ '完全所有権( 開発法 (大規模地/宅地見込地) レビュー対象項目 レビューのポイント 採用事例の適切性 ・過去1年以内の「新鮮な」事例が採用されているか 等 時点修正率 ・近傍類似の公示価格の変動率と整合しているか ・取引動向の見通しが一般的要因分析・地域分析・市場分析と矛盾 しないか 等 地域格差率 ・地域格差率が50~200の範囲にあるか 等 個別格差率 ・増価要因の個別格差率が130%の以内か 比準価格との均衡 ・公示価格を規準とした価格÷比準価格が0.85以上となっているか 事業計画'シナリオ( ・事業計画'シナリオ(が鑑定評価書に記載されているか ・事業計画'シナリオ(は合理的な理由をもって説明されているか 開発スケジュール ・マンションの場合 建築確認申請は概ね2~3ヶ月程度 建築月数='地階の数×2(+'地上階の数×1( 等 販売収入の見込み ・マンション市況・成約率など公表資料と整合するか等 建築費・造成費の見積り ・適切な原価資料に基づき査定されているか 等 投下資本収益率 ・採用利率は10~15%の範囲内か 等 不動産鑑定評価書の審査方法'2( ~レビューのポイント~ 鑑定評価手法 類型 建付地価格 原 価 法 レビュー対象項目 レビューのポイント 上記「土地のみ」に係るレビュー対象項目すべて '上記参照( 再調達原価 ・適切な原価資料に基づき査定されているか '東京区部のRC造建物の標準的原価は坪70~90万円といわれ ている( 減価修正 ・経過年数、機能的陳腐化、市場性減価等が適切に考慮されている か'たとえば、OA対応していないオフィスの陳腐化減価を考慮して いるか等( 建物価格 その他 直接還元法 土地建物から成る 複合不動産 収 益 還 元 法 原価法適用過程において「収益性」が増価要因として考慮されてい ・原価法は費用性に着目した鑑定手法であるため、原価法適用にお る場合の当該項目 いて収益性を考慮することは論理矛盾となる。 総収益の算定 ・実際に収受されている家賃を計上しているか ・退去予定のテナント家賃の取扱いは適切か 等 総費用の算定 ・管理費、維持費、光熱費、固定資産税等が実額で計上されている か 還元利回り ・償却前利回りを採用していれば、総費用項目に減価償却費を含め てはならない 等 事業計画'シナリオ( ・事業計画'シナリオ(が鑑定評価書に記載されているか ・事業計画'シナリオ(は合理的な理由をもって説明されているか 将来CFの予測根拠 ・将来CFの見通しが一般的要因分析・地域分析・市場分析と矛盾し ないか ・民間オフィスレポート等の公表資料と矛盾しないか 等 割引率 ・立地条件の良否、建物品等・経過年数・規模等が適切に反映され ているか'たとえばSクラスビルの場合、4~5%(等 ターミナルキャップレート ・予測の不確実性を考慮した適切な利率を採用しているか等 大規模修繕計画 ・将来支出として適宜適切に修繕費用を考慮しているか等 DCF法 不動産鑑定評価書の審査方法'3( ~DCF法の審査~ • 事業計画'シナリオ(の検証 記載がない ⇒ 鑑定士に再度要求 • キャップレートの検証 6%が標準 • 積算価格による検証 DCF価格÷積算価格>1.5 かつ ⇒市場価格と乖離 DCF価格≒鑑定評価額 ※近年、 建付増価 という嵩上げ ⇒DCF価格との乖離を目立たなくする目的 不動産鑑定評価書の審査方法'4( ~不正鑑定の手口~ • • • • 非現実的、非合法的な条件設定 不適切な事例の採用 不適切な数値の採用 鑑定手法の省略 ⇒抵当証券、ゴルフ場を原価法のみで鑑定 東京地裁で、一手法のみで鑑定を行うのは鑑 定評価基準が求めている「三方式を併用の遵守 義務」違反と判決。不動産鑑定士が敗訴 不動産鑑定評価書審査の活用例'1( 監 査 上場会社・ファンド ステイクホルダー REA F/S開示に伴う説明責任 REAview REAview 監査法人 会計監査人は監査基準に基づき会社から提示 されたREAをレビューしなければならない。 REA :Real Estate Appraisal 不動産鑑定評価書 不動産鑑定評価書審査の活用例'2( 融 資 金融機関 お客様 融資申込 融資審査部 検査 REA REAview 根拠資料 金融庁 不動産鑑定評価書審査の活用例'3( 債権回収 裁判所 金融機関 異議申立の根拠 REAview 民事再生債務者 REA 担保権消滅の請求 債権管理部 不動産鑑定評価書審査の活用例'4( 裁 判 裁判所 原告弁護士 被告弁護士 REA REAview 相手方鑑定書の不備を指摘 <現状> 原告鑑定書の不備を指摘せずに、被告も鑑定書を提出。 裁判では双方ともに採用されず、裁判所選任の第三者鑑定が採用 鑑定コスト×3 となり、コストパフォーマンスが非常に悪い。 不動産鑑定評価書審査の活用例'5( ファンド合併・買収 買収対象ファンド 投資会社 開示資料として REA REAview 迅速な投資判断 不動産鑑定評価書審査の活用例'6( 税 務 税務署 クライアント 納税者 申告代理 税理士 REAview 申告前に REA
© Copyright 2024 ExpyDoc