アハバ-ル・カシオン - JICA

JICAシリア事務所
2010年3月1日
第232号
アハバ-ル・カシオン
★★ 3月・4月の予定 ★★
【行事予定】
3月18日(木) 15:00-16:00
安全対策連絡協議会
16:00-18:00
ボランティア活動報告会
(会場:ウマヤドホテル)
4月15日(木) 16:00~18:00
ボランティア活動報告会
【専門家・ボランティアの動き】
<着任>
3月25日
JV
・水野里奈(幼児教育、婦人連盟)
・鈴木恵理(幼児教育、婦人連盟)
・安部勇次(柔道、シリア柔道協会)
・貝野綾子(村落開発、UNRWA)
JV-短期
・輪島千江子(幼児教育、婦人連盟)
SV
・山田康(空手、シリア空手協会)
・山本八朗(株式業務取引、UNRWA職
業訓練センター)
活動報告
UNRWAシリア・ヨルダン広域研修
内田謙一:フィールド調整員(UNRWA担当)
『将 来、あ な た 達 が 美 術 教 師 と
なってこの学校で教えてくれること
を願います』担当した公開授業で熱
い思いを生徒へ伝えた鷲田隊員。ク
ラシック音楽を授業に取り入れて、
今までとは違ったスタイルの授業を
開催した細川隊員。遊びの要素を取
り入れつつも体育の側面を考慮に入
れた新しい授業を紹介した金崎隊
員。研修期間中、率先して写真・映
像データの編集作業してくれた池島
隊員・・・。
長い長い準備期間を経て開催され
た広域研修では11名のUNRWA隊員全員
がそれぞれ主役となった4日間になり
ました。
<離任>
3月9日
SV-短期
・日永田晴美SV(高速回転機器の振動
調整、ジャンダール電力研究所)
3月22日
JV
・松下真弓(保健師、保健省)
・福吉恵子(保健師、保健省)
・中野貴行(村落開発、保健省)
・有澤律子(村落開発、保健省)
SV
・井田由美(幼児教育、婦人連盟)
【事業の動き】
・3月:北東部地域小児保健医療機材整
備計画準備調査来訪
・3月5日~「応用一般均衡モデル構築運
用プロジェクト」開始
・3月11日-18日:会計検査
<休暇>
なし
他方、ヨルダンではJICAボランティ
アによる同支援を2009年に開始した
ばかりであるため、シリアにおける
これまでの協力実績や現状の取り組
みを視察することで、ヨルダンにお
ける同支援にて効果的に活用したい
との要望があったことが今回の広域
研修開催のきっかけとなりました。
発表を聞く体育隊員
66名の参加者
公開授業を担当する薄井隊員
10年、70名の歴史
2010年2 月14日から 17日まで の間
『UNRWAシリア・ヨルダン広域研修』
がここシリアにて開催されました。
シリアではJICAボランティアの教育
現場への派遣による対UNRWA(パレス
チナ難民救済を目的とした国連機関)
支援が開始されてから10年の月日が
経ち、そのボランティア派遣総数も
70名となりました。
1
シリア側、ヨルダン側ともに3職種
( 体 育・音 楽・美 術 ) の JICA ボ ラ ン
テ ィ ア と そ の 同 僚 教 師 を 中 心 に、
UNRWA 教 育 部 門 に 従 事 す る 幹 部 や
UNRWAを管轄する省庁の役人も当研修
に参加頂きました。その結果、総出
席者数は66名となり当初想定を大幅
に上回る数となりました。また、開
会式においてUNRWAシリアの代表から
スピーチを頂いたことからも分かる
ように、当広域研修に対してUNRWA側
の大きな理解と協力を得ることがで
きました。
なお、広域研修初日は両国におけ
る協力概要の紹介を中心として『知
る』をテーマに、二日目はハマ・ア
レッポにおける隊員活動の現場視察
を中心として『見る』をテーマに、
三日目はダマスカスにおける学校巡
回および職種別ディスカッションを
中心に『考える』をテーマに。四日
目はその総括として職種ごとに今後
のアクションプランを発表しまし
た。
島田隊員による活動紹介
『普段の授業をいつも通りに』とい
う隊員の思いに対して『見せる授業
を披露したい』と固執する同僚教師
と教科総括主任。広域研修当日、当
たり前のように隊員が授業を展開す
る中、事前準備では幾度と無く議論
を重ねてきた経緯がありました。
UNRWAはその組織の特性上『存在す
ること自体が対外アピール』と言っ
ても過言ではありません。UNRWAは組
織内部にてお金を作り出す活動は一
切ありません。ドナーからの拠出金
があるからこそ組織として成り立つの
です。逆説的に、ドナーからの拠出金
減少はUNRWAが提供している教育分野に
大きく影響します。そうならないため
にも、生きていくためには、常に対外
アピールが必要なのです。『見せる授
業』に固執する根底にはそのような思
いがあるのではないでしょうか。
事前準備過程における議論の果て
に、両者の意見を取り入れる形でそれ
ぞれの思いを込めた授業を披露できた
ことはヨルダン側へ提示するという目
的を十二分達成できたことでしょう。
何よりも、同僚教師及び教科総括主任
と長い時間をかけて行った議論の先
に、大きな信頼関係を築くことができ
たことはシリア側における広域研修の
大きな成果になったと確信していま
す。
先輩隊員が築いた礎
『10年前、UNRWAシリアの教育現場
におけるJICAボランティアへの理解
は今のそれとは異なっていた』
(UNRWAシリアの教師の発言)『シリ
アではJOCVとUNRWA教科総括主任との
間で良い連携が出来ている』(ヨル
ダン隊員の発言)『70人の隊員が
UNRWAシリアへ与えた影響は大きい』
(UNRWAヨルダンの幹部の発言)
研修を通じて、JICAシリアとUNRWA
シリアの両者間における理解、信頼
および人間関係の根底には歴代の先
輩隊員によって形成された大きな礎
があることを感じずにはいられませ
んでした。上述の発言のみならず、
UNRWA地 方オ フ ィス の 職員 や 現地 教
師、警備の人まで多くの関係者の理
解があるからこそ10年もの間良好な
関係が継続出来ていると感じている
次第です。今後、私たちが先輩隊員
の意思を継承していくことはもちろ
んのこと、さらに次のステージへ向
かってその礎をより大きくすること
が先輩隊員への恩返しとなり、パレ
スチナ難民支援となることと信じて
います。
集合写真
活動報告
「大切にしたいこと」
元岡 奏
(20-2次隊・新体操、ダマスカス/体操協会)
新体操の普及と技術向上の為に、
要請されたJOCV派遣。今年で関
わりはじめてから20年。わたしで
5代目となる。これまでの隊員とシ
リア人との努力により、その成果は
確実に現れてきている。そして、4
代目の隊員の帰国後より、新体操強
豪国、ウクライナ出身のコーチ陣の
技術支援が加わるようになってか
ら、より高いレベルの選手を育てて
いこうという『英才教育』へと、活
動先クラブの傾向は変わってきてい
る。そんな状況の中、派遣当時はど
うしていいかわからず、ただ立ち尽
くす日もあった。活動の方向性を見
出すのにとても時間がかかった。長
子供たちの柔軟基礎訓練風景
これは、演技の中に必ず入れなくてはいけな
い「柔軟の要素」難度である。生徒達には、
正しい形と難易度で必要とされる条件を守
り、完成した状態を目指す。
い期間、悶々とした状況が続いていた
が、6名の子供達(年齢:6歳~10
歳)との出会いをきっかけに、「英才
教育」へ繋げるパイプ役として、子供
達の持つさまざまな可能性を発掘し、
最大限に伸ばせたらと思った。
2
たとえシリアの代表選手になれなく
とも、新体操を通して、自主性や思
いやり、粘り強さなど、『生きてい
くうえで大切なこと』を身につけて
欲しい、が根本にある。
この6名の子供達は、新体操に対
する憧れ、熱意で溢れていて、とて
もエネルギッシュだ。そして何より
も、協力隊の活動の中で一番多くの
時間を共にしてきた同士であり、私
の仲間でもある。現在、今年5月に
行われる予定の試合に向けて、競技
用の演技を猛特訓中である。去年か
らはじめた子達ばかりなので、試合
に出場するのは初めて。これまで基
礎中心の練習だったので、音楽に合
わせて演技することが楽しくて仕方
がないようで、生き生きとやる気に
満ち溢れている。私もその夢中な姿
に便乗して、終了時間を忘れるくら
い没頭してしまう程である。厳しい
言葉をかける時もあるが、うまく伝
わっていないと感じた時は、レッスン
後、わかりあえるまで話し合うこと
もある。日本語に比べて私のアラビ
ア語が未完成な分、誤解のないよ
う、厳しい言葉をかけた時程、その
後のフォローは怠らないようにして
いる。
最後に、子供達に一番に大切に
して欲しい事は、子供達の新体操
に対する「気持ち」である。新体
操が好きでなくなった時に、ここ
に来る必要性はなくなる。誰の為
でもなく、自分の意志でそう思え
るかどうかが重要だと話をしてい
る。残りの任期が7ヵ月を切った
が、子供達と共に一緒に試行錯誤
し、心身共に成長していきたい。
「6名の子供達」・・・ジャーヒズ公園での
清掃活動のイベントにて。新体操の紹介演技中
活動報告
「農家訪問で生まれた活動」
加藤 誠
(20-1次隊・野菜、ダラー/農業農地改革省)
私は週に数回程度、ダラア市か
ら北に約40kmのところにあるナワ
市の農家を訪問しています。ここ
に住んでいる農家は青空の下で大
地に足をつけ、栽培面積が10ha以
上にもなる大規模な農業を営んで
います。この中から一農家を選定
し、JICA節水灌漑農業計画プロ
ジェクトの方々と共同で農家の営
農を探ろうとしています。これを
解明することで農家が抱えている
問題点が発見できて、節水灌漑や
低投入施肥などについて農家に説
得力のあるアドバイスができるよ
うになります。
この選定された農家には幾度と
なく足を運んでいるわけですが、
農家の営農を生で見ることは新た
な発見が多いです。その際、農家
の方から作業内容や経費について
教えて頂くことがあり、私の不十
分なアラビア語と数多い質問に閉口
されることが多々あります。しか
し、私のしつこさに降参してか、他
の農家も呼んで来てくれてどうにか
理解しようとしてくれます。この活
動を通して、信頼関係を築きながら
お互いに分かち合おうというとする
気持ちの大切さも学ばせてもらって
います。
私の活動を陰で支えてくれている
のは、配属先のジッリン試験場の技
術者達です。ここでは主に、灌漑に
関する試験が行われています。彼ら
は灌漑のスペシャリストで、私に灌
漑やその周辺分野についても教えて
くれます。私が農家から得た情報を
紹介し、聞き取りが不十分であった
内容の再確認をします。農家の生産
現場に出向くことの少ない彼らは、
現場で起きていることについて外国
人という客観的な立場からの話を真
3
剣に聞いてくれ、私が農家から聞き逃
したことも教えてもらえるのでお互い
に話が弾みます。時には彼らが話して
いる内容と、農家の考えが大きくずれ
ていることがあり、試験場の灌漑理論
と農家の経験に温度差を感じることも
あります。
また、この地域には農業普及所があ
ります。この普及員は試験場の技術者
達や地元の農家をよく知っている方
で、今後、一緒に適正な灌漑量や施肥
量を農家にアドバイスをするパート
ナーです。栽培管理期間中の今後の活
躍が楽しみです。
私は試験場のボランティアとして農
家と普及所でも活動をしていますが、
機関の枠を超えて三者と一緒に活動で
きるのは、地元に住んでいるボラン
ティアの日本人だからこそできる活動
だと思っています。
現在は三者ともお互いに異なった立場
で仕事をしていますが、いずれは、農
家の問題点を普及所が吸い上げ、その
問題を試験場で解決して普及所に
フィードバックし、普及所が農家に
アドバイスできる関係の構築と、そ
の一農家から周辺農家へ波及できる
ような良い流れを目指して活動して
いくつもりです。
試験場の技術者の方々と共に
離任のご挨拶
シュクラン!
20-短期
名前:日永田晴美
任地:ホムス
職種:高速回転機
器の振動調整
19年度4次隊
名前:松下真弓JV
任地:マンベジ
職種:保健師
19年度4次隊
名前:福吉恵子JV
任地:マスカネ
職種:保健師
19年度4次隊
名前:有沢律子JV
任地:マスカネ
職種:村落開発
WEB=www.jica.go
.jp/syria/index.html
EMAIL=sr_oso_rep@
jica.go.jp
お疲れさまでした!
朝走っている時に、いつも挨拶をしていた人に出会ったときはうれし
かった。1組の夫婦と元気な爺さんの2組だ。夫婦とは最後の日まで毎朝
出会った。
このような平和が長く続くことを祈っています。
マンベジで過ごした2年間、つらいことも多く、泣きたくなるような現
実を見て、自分ではどうすることも出来ず、悔しい思いもしましたが、
今となっては、良い想い出です。私を見守ってくれたシリア人の同僚や
友人、支えてくれた家族や日本人の皆様に、感謝しています。ありがと
うございました。
お か げ さ ま で 無 事 2 年 間 過 ご す こ と が で き ま し た。
たくさんのひとたち、おいしい食べもの、成長させてもらったできご
と、ステキな想い出、、、すべての出逢いに感謝☆ありがとうございま
した。
お世話になりました。
あっという間に2年が過ぎて、気づいてみれば帰国直前に。
家に着くまでが協力隊活動、気を付けて帰ります!
たくさんの一期一会の出会いに感謝しつつ。。。
19年度4次隊
名前:中野貴行JV
任地:マンベジ
職種:村落開発
こんな僕を(マンベジ)王子と呼んで下さり、ありがとうございまし
た。ほんと、なんで王子なんですかね?
さ、続きはWEBで☆(僕のブログは「協力隊 志望動機」のGoogle検索
で1位か2位のやつです)
19年度4次隊
名前:井田由実SV
任地:ダマスカス
職種:幼児教育
シリアの人たちの優しさと子どもたちの笑顔に励まされ、楽しく充実し
た2年間を過すことができました。幼稚園に設置した「遊びの部屋」を
媒介にいろんな経験を重ねた子どもたちの成長の姿が、私にとって何よ
りの宝です。そして、シリアで出会った多くの方々と心身の癒しの場と
なったカシオン山に心よりお礼を申します。
お知らせ
本ニュースレター配信ご希望の方は当事務所まで氏名、メールアドレス、JICAとの関係(所属)を連絡願います。
編集後記
2月上旬、ダマスカスにも雪が降りました。うっすらと雪化粧したカシオン山はいつもの茶渇色のカシオン山とは一変して違った風情で
した。人にも言えることですが、いろいろな表情を持って生きているからこそ、むずかしさ、楽しさに深みが出るのでしょうか。2年間の
任期を終えて帰国する方々、日本でもがんばって下さい。(M.T.)
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