泊発電所 敷地前面海域の断層の連動を考慮した 地震動評価について

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地震・津波(地震動)1-3
泊発電所
敷地前面海域の断層の連動を考慮した
地震動評価について
平成24年4月23日
北海道電力株式会社
2
目
次
1.敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価について
2.追加調査の進捗状況について
2
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3
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1.敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価について
4
4
1.1 はじめに
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○敷地前面海域の地質・地質構造について,意見聴取会にて示された課題
【平成24年2月28日意見聴取会】
3.現時点で,陸域への延長が否定できないのであれば,活断層長さを更に陸域へ延長して評価し
たもので,地震動評価を行うべきと考える。
【平成24年3月8日意見聴取会】
○岩内堆東撓曲の南方については,複数の褶曲が断続的に認められることから,それらの連続性
及び活動性を確認するために更なるデータ拡充を目的とした追加調査を実施することとした。
○更に,調査結果により,敷地前面海域の連動範囲の南端評価が確認されるまでは,上記課題を
踏まえ活断層長さを更に陸域へ延長して地震動評価を行うこととし,具体的には,平成24年2月
28日の意見聴取会において提示した敷地前面海域の連動の評価範囲約90kmを更に陸域へ延
長すると仮定し,地震動評価を実施する。
5
5
1.1 はじめに
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検討内容
○Fs-10断層,岩内堆東撓曲,岩内堆南方の
褶曲から更に陸域へ延長するものとして設定
した敷地前面海域の連動断層による地震動
評価
○念のため,上記の敷地前面海域の連動断層
と,現時点で評価している黒松内低地帯の断
層に,八雲断層を含めた黒松内低地帯-八雲
断層について,破壊が連続的に進行(同時活
動)する場合の地震動評価
敷地前面海域の連動断層
約 98km
黒松内低地帯-八雲断層
約 66km
6
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
6
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検討範囲
○敷地前面海域の連動断層
・Fs-10断層,岩内堆東撓曲,岩内堆南方の褶曲から,
更に陸域へ延長した断層長さ約98kmを考慮
地震動評価手法
○応答スペクトルに基づく地震動評価
・Noda et al.(2002)の手法
○断層モデルを用いた手法による地震動評価
・ハイブリッド合成法
・短周期領域は統計的グリーン関数法
・長周期領域は理論的手法
・破壊開始点及び応力降下量(1.5倍)について丌確か
さを考慮
敷地前面海域の連動断層
約98km
7
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
7
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震源モデルの設定
○Fs-10断層,岩内堆東撓曲,岩内堆南方の褶曲が大
局的に同走向でほぼ同一直線上に認められることか
ら,西傾斜の1枚の矩形断層を設定
【モデルの端点】
○敷地前面海域の連動断層北端(地点a)
・Fs-10断層の北端
○敷地前面海域の連動断層南端(地点b)
・Fs-10断層,岩内堆東撓曲,岩内堆南方の
褶曲が大局的に同走向でほぼ同一直線上に
認められることから,Fs-10断層~岩内堆
南方の褶曲について直線的なモデルを設定
・その南端については,弁慶岬西側の海成段
丘面に,現段階では,変位地形が認められ
ないことを踏まえ,直線的なモデルを陸域
まで延長した地点を南端と設定
【モデルの傾斜方向】
○地質調査結果から大局的に西傾斜の断層が推定
されることから,西傾斜の断層面を設定
【断層上端深さ及び下端深さ】
○弾性波探査結果から上端深さを2.2kmと設定
○キュリー点深度,D10-D90評価等を参考に
下端深さ18kmと設定
a
敷地前面海域の連動断層
約98km
b
8
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
8
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震源モデルの設定
FS-10断層
岩内堆東撓曲
断層モデル範囲
岩内堆南方の褶曲
敷地前面海域の断層の連動に関しては,Fs-10断層,
岩内堆東撓曲及び周辺のN-S走向の褶曲が走向方向に
概ね線状あるいは帯状に連続する位置に分布することか
ら,これらの断層より想定される,ほぼN-S走向で西傾斜
の断層について検討している
検討で用いる断層モデルは,ほぼN-S方向に連なる,
Fs-10断層,岩内堆東撓曲,岩内堆南方の褶曲を直線
的にモデル化し,その南端は弁慶岬西側の沿岸部として
いる。断層の傾斜は,Fs-10断層,岩内堆東撓曲による
海底地形が相対的に西側隆起であることから,西傾斜と
している
なお,敷地前面海域の断層の連動範囲の南端について
は,現在実施している地質調査の結果を踏まえ,最終的
に決定する
9
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
9
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震源モデルの設定
【断層上端深さ】
○弾性波探査結果から上端深さを2.2kmと設定
敷地周辺で実施した弾性波探査結果
○地震基盤とみなせる層の上端深さ
標高-2200mで地震基盤とみなせる
P波速度6km/s(S波速度3.7km/s
相当)の層に到達
A
泊発電所
凡 例
○ 観測点
○ 爆破点
+
A
B
B
地質断面線
弾性波探査調査位置
泊発電所
3.7km/s
1.7km/s
3.0km/s
4.5km/s
4.5km/s
6.0km/s
6.0km/s
10
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
10
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震源モデルの設定
【断層下端深さ】
○キュリー点深度,D10-D90評価等を参考に下端深さ18kmと設定
キュリー点深度分布(大久保(1984)より抜粋・加筆)
○敷地周辺のキュリー点深度
敷地周辺のキュリー点深度:約7~10km程度
⇒キュリー点深度の1.5倍の深度:
約10~15km程度
泊発電所
(拡大図)
11
11
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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敷地周辺におけるD10-D90評価
鉛直方向震源分布(東西断面)
鉛直方向震源分布(南北断面)
D10( 3.8km)
D90(13.7km)
気象庁で観測された地震の震央分布及び震源鉛直分布
(深さ30km以浅,M≧1)
(1983年1月~2006年12月)
〔「気象庁地震カタログ」より作成〕
D10
3.8km
D90 13.7km
12
12
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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断層パラメータ(基本震源モデル)
○断層パラメータは,原則として調査結果,地震調査
委員会(2009)により設定するが,敷地前面海域の
連動断層は,長大な断層であるため,静的応力降
下量について,無限長縦ずれ断層の式を用いる
断層上端深さ 2.2 km
断層下端深さ 18.0 km
断層
走向
傾斜角
長さ
幅
N353°E
45°
98 km
22.3 km
○主な断層パラメータの設定方法
・断層面積→地震モーメント
M0={S/(4.24×10-11)}2:入倉・三宅(2001)
・地震モーメント→短周期レベル
A=2.46×1017×M01/3:壇ほか(2001)
・静的応力降下量:
Δς=(8/3π)×M0/(LW2):無限長縦ずれ断層の式
・アスペリティの面積:Sa=16πβ4S2Δς2/A2
・アスペリティの応力降下量:Δςa=(S/Sa)Δς
※赤字以外は,地震調査委員会(2009)による強震動予測レシピ
に基づく
項目
断層原点
(地表トレース原点)
走向
傾斜角
断層長さ
泊発電所
断層幅
断層面積
設定値
設定方法
北緯42.760°
東経140.151°
地質調査結果に基づく断層南端
N353°E
地質調査結果に基づく断層南端~北端
45°
地震調査委員会(2009)を参考にして設定
98km
地質調査結果に基づき矩形断層として設定
22.3km
断層上下端深さと傾斜角から計算
2185.4km 2
S=L×W
断層上端深さ
2.2km
調査結果等を踏まえて設定
断層下端深さ
18km
調査結果等を参考に設定
地震モーメント
2.66E+20N・m
モーメントマグニチュード
静的応力降下量
剛性率
M0={S/(4.24×10
7.5
2
2
μ=ρ×β ,ρ=2.8g/cm3,β=3.5km/s
354.4cm
D=M0/(μS)
S波速度
3.5km/s
β=3.5km/s
破壊伝播速度
2.5km/s
VR=0.72×βkm/s
破壊伝播様式
破壊開始点から同心円状
高周波遮断特性
3.41E+19N・m/s
6Hz
2
Δς=(8/3π)×M0/(LW )
2
平均すべり量
短周期レベル
)}
LogM0(N・m)=1.5×M W+9.1
4.6MPa
3.43E+10N/m
-11
2
地震調査委員会(2009)に基づき設定
A=2.46×10 17×M01/3
地震調査委員会(2009)に基づき設定
13
13
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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断層パラメータ(基本震源モデル)
項目
位置
全
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
断層上端深さ 2.2 km
断層下端深さ 18.0 km
断層
走向
傾斜角
長さ
幅
N353°E
45°
98 km
22.3 km
泊発電所
数
総面積
設定値
設定方法
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,地表付近に設定
4個
664.5km
地質調査結果を踏まえた上で,4個設定
2
2
2
Sa=πr ,r=(4S×Δς×β )/A
平均すべり量
708.8cm
Da=γD×D
地震モーメント
1.62E+20N・m
M0a=μSaDa
静的応力降下量
15.2MPa
Δςa=(S/Sa)Δς
第
1
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,断層北側の地表付近に設定
面積
221.5km
平均すべり量
785.4cm
地震モーメント
5.97E+19N・m
実効応力
15.2MPa
ςa1=Δςa
第
2
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,断層北側の地表付近に設定
面積
110.8km 2
アスペリティ総面積を2:1:2:1に配分
平均すべり量
555.5cm
Da2=(γ2/Σγi3)×Da
地震モーメント
2.11E+19N・m
実効応力
15.2MPa
ςa2=Δςa
第
3
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,断層南側の地表付近に設定
面積
221.5km 2
アスペリティ総面積を2:1:2:1に配分
平均すべり量
785.4cm
Da3=(γ3/Σγi3)×Da
地震モーメント
5.97E+19N・m
実効応力
15.2MPa
ςa3=Δςa
第
4
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,断層南側の地表付近に設定
面積
110.8km 2
アスペリティ総面積を2:1:2:1に配分
平均すべり量
555.5cm
Da4=(γ4/Σγi3)×Da
地震モーメント
2.11E+19N・m
実効応力
地震モーメント
背
景
領
域
面積
平均すべり量
実効応力
2
3
Da1=(γ1/Σγi )×Da
15.2MPa
199.6cm
2.6MPa
M0a1=μSa1Da1
M0a2=μSa2Da2
M0a3=μSa3Da3
M0a4=μSa4Da4
ςa4=Δςa
1.04E+20N・m
1520.9km
アスペリティ総面積を2:1:2:1に配分
2
M0b=M0-M0a
Sb=S-Sa
Db=M0b/(μSb)
ςb=(Db/W b)/(π
0.5
3
/Da)×r×∑γi ςa
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1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
14
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応答スペクトルに基づく地震動評価
○Noda et al.(2002)の方法に従って求めた,敷地のS波速度及びP波速度に基づく地震基盤から解放基盤表面ま
での地盤増幅率を用いて応答スペクトルを補正する
○ Noda et al.(2002)による内陸地殻内地震の補正係数は考慮しない
断層上端深さ 2.2 km
断層下端深さ 18.0 km
断層
走向
傾斜角
長さ
幅
N353°E
45°
98 km
22.3 km
項目
設定値
断層長さ
98km
マグニチュード
等価震源距離
8.2※
49km
S波速度
1.4km/s
P波速度
2.7km/s
※松田(1975)による断層長さと地震のマグニチュードの関係式による。
泊発電所
15
15
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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地震動評価結果[応答スペクトル]
鉛直方向
1000
1000
100
100
速 度(cm/s)
速 度(cm/s)
水平方向
10
10
1
1
0.1
0.01
Ss-H
Ss-V
Noda et al.(2002)(水平方向)
Noda et al.(2002)(鉛直方向)
0.1
1
周
10
0.1
0.01
期 (s)
応答スペクトル図
0.1
1
周
期 (s)
10
16
16
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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地震動評価結果[応答スペクトル]
水平方向
鉛直方向
2000
2000
Ss-H
Ss-V
Noda et al.(2002)(水平方向)
Noda et al.(2002)(鉛直方向)
1500
加速度(cm/s2)
加速度(cm/s2)
1500
1000
500
1000
500
0
0
0.01
0.1
1
10
0.01
周期(s)
0.1
1
周期(s)
応答スペクトル図
10
17
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
17
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断層モデルを用いた手法による地震動評価
震源モデル図
(基本震源モデル及び丌確かさ考慮モデル)
断層上端深さ 2.2 km
断層下端深さ 18.0 km
断層
走向
傾斜角
長さ
幅
N353°E
45°
98 km
22.3 km
泊発電所
☆:破壊開始点
○ハイブリッド合成法
・短周期領域は統計的グリーン関数法
・長周期領域は理論的手法
○破壊開始点は破壊の進行方向が敷地へ向かうように複数
設定(基本震源モデル・丌確かさ考慮モデルともに考慮)
○丌確かさ考慮モデルとして,基本震源モデルの応力降下
量について,アスペリティと背景領域の応力降下量をいず
れも1.5倍に設定した地震動評価も実施
・アスペリティの応力降下量
基本モデル15.2MPa→丌確かさ考慮モデル22.8MPa
・背景領域の応力降下量
基本モデル2.6MPa→丌確かさ考慮モデル3.9MPa
18
18
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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地下構造モデルの設定方法
○敷地内・敷地周辺の調査結果・地震観測記録を活用して設定
○調査結果等がない場合,他機関の地下構造モデル等に基づき設定
①標高
0m~ ー250m : 地震観測点におけるボーリング調査・地震観測記録による同定解析
②標高 ー250m~ ー990m : 1号機原子炉建屋位置におけるボーリング調査
③標高 ー990m~ー2200m : 弾性波探査・文献
④標高ー2200m~
: 他機関の地下構造モデル
標高
(m)
0
-56
-250
-430
層厚
(m)
56
S波速度
Vs(m/s)
P波速度
Vp(m/s)
地震観測点
PS 検層結果
地震観測点
ボーリングデータ
地震観測記録による同定解析結果
(初期値は PS 検層結果)
1号機原子炉建屋
PS 検層結果
1号機原子炉建屋
ボーリングデータ
1号機原子炉建屋 PS 検層結果
1210
弾性波
探査結果
ρ=0.31Vp1/4
物理探査学会
(1999)
-
-
194
180
560
-990
-2200
密度 ρ
(g/cm3)
Vp と Vs の関係式
により設定
太田ほか(1985)
Q値
地震観測記録による
同定解析結果を基に
安全側に設定
標高-250m 以浅
の設定値を用いる
弾性波
探査結果
防災科学技術研究所(2005)
19
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
19
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設定した地下構造モデル
統計的グリーン関数法に用いた地下構造モデル
標高
(m)
層厚
(m)
密度 ρ
(g/cm3)
S波速度
Vs(m/s)
P波速度
Vp(m/s)
Q値
0
56
2.1
1175
2660
100
-56
194
2.2
1935
3230
100
-250
180
1.9
1350
2700
100
-430
560
1.9
1560
3100
100
-990
1210
2.5
2400
4500
100
-2200
-
2.8※
3500※
6400※
150※
解放基盤表面相当
地震基盤相当
● PS検層結果,弾性波探査結果などに基づき設定
※ 防災科学技術研究所(2005)による
理論的手法に用いた地下構造モデル
標高
層厚
(m)
(m)
密度
ρ
(g/cm3)
S波速度
Vs
(m/s)
P波速度
Vp
(m/s)
Q値
0
56
2.1
1175
2660
100
-56
194
2.2
1935
3230
100
-250
180
1.9
1350
2700
100
-430
560
1.9
1560
3100
100
-990
1210
2.5
2400
4500
100
※
-2200
17800
2.8
3500
6400
150※
-20000※
10000
3.0※
3800※
6900※
150※
-30000※
-
3.4※
4500※
8000※
600※
● PS検層結果,弾性波探査結果などに基づき設定
※ 防災科学技術研究所(2005)による
※
※
解放基盤表面相当
地震基盤相当
20
20
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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地震動評価結果[断層モデルを用いた手法]
NS方向
EW方向
1000
1000
100
100
100
10
1
0.1
0.01
速 度(cm/s)
速
度(cm/s)
1000
度(cm/s)
速
UD方向
10
1
1
Ss-H
Ss-H
Ss-V
連動断層(NS方向)
連動断層(EW方向)
連動断層(UD方向)
0.1
1
周
10
期 (s)
10
0.1
0.01
0.1
1
周
期 (s)
応答スペクトル図
10
0.1
0.01
0.1
1
周
期 (s)
●接続周期1.0秒にて接続し,
ハイブリッド合成
※地震動評価において,プラントノースに対応し
たNS方向及びEW方向としている。
10
21
21
1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価
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地震動評価結果[断層モデルを用いた手法]
水平方向
鉛直方向
2000
2000
Ss-H
Ss-V
連動断層(水平方向)
連動断層(鉛直方向)
1500
加速度(cm/s2)
加速度(cm/s2)
1500
1000
500
1000
500
0
0.01
0.1
1
10
0
0.01
周期(s)
0.1
1
周期(s)
応答スペクトル図
10
22
22
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
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検討範囲
○敷地前面海域の連動断層については,断層長さ約98km
を考慮
○黒松内低地帯-八雲断層については,現時点で評価して
いる黒松内低地帯の断層に,八雲断層を含めた断層長さ
約66kmを考慮
○地震動評価にあたっては,断層をそれぞれ単独のものとし
てモデル化(断層パラメータ設定)し,それぞれの断層の破
壊が連続的に進行するものとして地震動を評価
敷地前面海域の連動断層
地震動評価手法
○断層モデルを用いた手法による地震動評価
・ハイブリッド合成法
・短周期領域は統計的グリーン関数法
・長周期領域は理論的手法
・破壊開始点について丌確かさを考慮
約98km
黒松内低地帯-八雲断層
約66km
23
23
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
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震源モデルの設定
○敷地前面海域の連動断層は,「1.2 敷地前面海域の断
層の連動を考慮した地震動評価」にて設定したモデル
○黒松内低地帯-八雲断層は,黒松内低地帯の断層のN-S
走向の構造と内浦湾沿岸のNNE-SSW走向の構造の延長
部が合流すると推定される長万部川河口付近を折れ点と
する西傾斜の2枚の矩形断層を設定
【モデルの端点】
○黒松内低地帯-八雲断層の北端(地点c)
・現段階(バックチェック評価)における黒松内低
地帯の断層の北端
○黒松内低地帯-八雲断層のモデルの折れ点(地点d)
・黒松内低地帯の断層のN-S走向の構造と内浦湾沿
岸のNNE-SSW走向の構造の延長部が合流すると
推定される長万部川河口付近に設定
○黒松内低地帯-八雲断層の南端(地点e)
・文献等により指摘される八雲断層の南端
【モデルの傾斜方向】
○地質調査結果から大局的に西傾斜の断層が推定され
ることから,西傾斜の断層面を設定
【断層上端深さ及び下端深さ】
○敷地前面海域の連動断層と同様に,上端深さ2.2km,
下端深さ18kmと設定
a
※ 黒松内低地帯-八雲断層
北端詳細位置(下図 地点c)
敷地前面海域の連動断層
約98km
b
c
d
約66km
e
黒松内低地帯-八雲断層
24
24
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
無断複製・転載等禁止
震源モデルの設定
黒松内低地帯-八雲断層の断層モデルの検討では,①黒
松内低地帯の断層, ②杉山ほか(2011)に示される長
万部沖背斜及び国縫沖背斜,③八雲断層を考慮している
黒松内低地帯-八雲断層の断層モデルでは,各々の断
層付近の地質構造を考慮して,走向が変わる長万部川河
口付近を折れ点とする西傾斜の2枚の矩形断層を設定してい
る
①黒松内低地帯の断層
黒松内低地帯には,長さ約数km
のN-S方向及びNW-SE方向の変
位地形が複数認められる
また,内浦湾沿岸では地質構造
が,NNE-SSW走向となり,それに
調和的に変位地形が認められる
また,この南方に連続すると推定
される長万部沖背斜もNNE-SSW
走向で分布する
地震調査委員会(2005)では,
地形の特徴等から,黒松内低地
帯の断層を西傾斜としている
①黒松内低地帯の断層
②長万部沖背斜及び国縫沖背斜
③八雲断層
黒松内低地帯断層群の構成断層
(地震調査委員会(2005))
25
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
25
無断複製・転載等禁止
震源モデルの設定
②杉山ほか(2011)に示される長万部沖背斜及び国縫沖背斜
杉山ほか(2011)では,陸上の長万部背斜から連続する長万部沖
背斜,その沖側に雁行する国縫沖背斜ならびにそれに関連する活断
層を示しており,これらの走向はNNE-SSWとされる
③八雲断層
八雲平野西縁付近にN-S方向に延びる変位地形が認められ,地形
の特徴から西傾斜と推定される
活断層研究会(1991)では,N-S走向,長さ5km,確実度Ⅰ~Ⅱ,
活動度Bの活断層として記載されている
①黒松内低地帯の断層
②長万部沖背斜及び国縫沖背斜
③八雲断層
黒松内低地帯南部,長万部沖背斜,国縫沖背斜及び八雲断層
(杉山ほか(2011))
26
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
26
無断複製・転載等禁止
断層パラメータ
敷地前面海域の連動断層
走向
N353°E
傾斜角 45°
断層下端深さ 18.0 km
長さ
98 km
断層上端深さ 2.2 km
幅
22.3 km
泊発電所
黒松内低地帯-八雲断層
[北断層]
走向
N345°E
傾斜角 45°
長さ
30.3 km
幅
22.3 km
[南断層]
走向
N19°E
傾斜角 45°
長さ
36.3 km
幅
22.3 km
断層下端深さ 18.0 km
断層上端深さ 2.2 km
○敷地前面海域の連動断層
・「1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動
評価」にて設定した断層パラメータを用いる
○黒松内低地帯-八雲断層
・断層パラメータは,原則として調査結果,地震調査委員
会(2009)により設定するが,敷地前面海域の連動断層
と同様に,静的応力降下量について,無限長縦ずれ断
層の式を用いる
○黒松内低地帯-八雲断層の主な断層パラメータの設定
方法
・断層面積→地震モーメント
M0={S/(4.24×10-11)}2:入倉・三宅(2001)
・地震モーメント→短周期レベル
A=2.46×1017×M01/3:壇ほか(2001)
・静的応力降下量:
Δς=(8/3π)×M0/(LW2):無限長縦ずれ断層の式
・アスペリティの面積:Sa=16πβ4S2Δς2/A2
・アスペリティの応力降下量:Δςa=(S/Sa)Δς
※赤字以外は,地震調査委員会(2009)による強震動予測レシピ
に基づく
27
27
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
無断複製・転載等禁止
断層パラメータ
[黒松内低地帯-八雲断層の断層パラメータ]
項目
断層原点
(地表トレース原点)
走向
傾斜角
断層長さ
断層幅
設定値
N345°E,N19°E
地質調査結果に基づく断層南端
地質調査結果に基づく断層南端~北端
45°
地震調査委員会(2009)を参考にして設定
30.3km,36.3km
地質調査結果に基づき矩形断層として設定
22.3km
断層上下端深さと傾斜角から計算
2
控除面積
107.5km
断層面積
1377.7km 2
S=L×W-ΔS
2.2km
調査結果等を踏まえて設定
断層下端深さ
18km
調査結果等を参考に設定
モーメントマグニチュード
静的応力降下量
剛性率
1.06E+20N・m
7.3
2.7MPa
3.43E+10N/m 2
M0={S/(4.24×10
Δς=(8/3π)×M0/(LW )
μ=ρ×β2,ρ=2.8g/cm3,β=3.5km/s
D=M0/(μS)
S波速度
3.5km/s
β=3.5km/s
破壊伝播速度
2.5km/s
VR=0.72×βkm/s
短周期レベル
高周波遮断特性
2.50E+19N・m/s 2
6Hz
)}
2
2
223.4cm
破壊開始点から同心円状
-11
LogM0(N・m)=1.5×M W+9.1
平均すべり量
破壊伝播様式
位置
全
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
数
総面積
設定値
設定方法
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,地表付近に設定
2個
167.1km
地質調査結果を踏まえた上で,2個設定
2
Sa=πr2,r=(4S×Δς×β2)/A
平均すべり量
446.8cm
Da=γD×D
地震モーメント
2.56E+19N・m
M0a=μSaDa
静的応力降下量
22.3MPa
Δςa=(S/Sa)Δς
第
1
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,北断層北側の地表付近に設定
面積
111.4km
平均すべり量
495.2cm
地震モーメント
1.89E+19N・m
実効応力
22.3MPa
ςa1=Δςa
第
2
ア
ス
ペ
リ
テ
ィ
位置
地表付近
地質調査結果を踏まえた上で,南断層北側の地表付近に設定
面積
55.7km 2
アスペリティ総面積を2:1に配分
平均すべり量
350.1cm
Da2=(γ2/Σγi3)×Da
地震モーメント
6.69E+18N・m
北・南断層の重なり合う部分の面積を控除(ΔS)
断層上端深さ
地震モーメント
項目
設定方法
北緯42.508°,東経140.381°
北緯42.193°,東経140.235°
実効応力
2
Da1=(γ1/Σγi3)×Da
22.3MPa
A=2.46×10 17×M01/3
地震調査委員会(2009)に基づき設定
背
景 面積
領 平均すべり量
域
実効応力
8.00E+19N・m
1210.6km
192.6cm
4.1MPa
M0a1=μSa1Da1
M0a2=μSa2Da2
ςa2=Δςa
地震調査委員会(2009)に基づき設定
地震モーメント
アスペリティ総面積を2:1に配分
2
M0b=M0-M0a
Sb=S-Sa
Db=M0b/(μSb)
0.5
3
ςb=(Db/Wb)/(π /Da)×r×∑γi ςa
28
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
28
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断層モデルを用いた手法による地震動評価
震源モデル図
敷地前面海域の連動断層
走向
N353°E
傾斜角 45°
断層下端深さ 18.0 km
長さ
98 km
断層上端深さ 2.2 km
幅
22.3 km
○ハイブリッド合成法
・短周期領域は統計的グリーン関数法
・長周期領域は理論的手法
○破壊開始点は破壊の進行方向が敷地へ向かうように
複数設定
○地下構造モデル
・「1.2 敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震
動評価」にて用いた地下構造モデルを用いる
泊発電所
黒松内低地帯-八雲断層
[北断層]
走向
N345°E
傾斜角 45°
長さ
30.3 km
幅
22.3 km
[南断層]
走向
N19°E
傾斜角 45°
長さ
36.3 km
幅
22.3 km
断層下端深さ 18.0 km
断層上端深さ 2.2 km
☆:破壊開始点
○断層間の破壊の伝播
・一方の断層に設定した破壊開始点から破壊が進行
し,破壊が断層の端部に達した時点から,断層間の離
隔距離と伝播速度を考慮した時間差を不えて,もう一
方の断層の破壊が開始するとして地震動を評価
29
29
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
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地震動評価結果[断層モデルを用いた手法]
NS方向
EW方向
1000
100
100
100
10
1
速 度(cm/s)
1000
速 度(cm/s)
1000
度(cm/s)
速
UD方向
10
1
1
Ss-H
Ss-H
同時活動(NS方向)
0.1
0.01
0.1
1
周
期 (s)
10
Ss-V
同時活動(EW方向)
10
0.1
0.01
0.1
1
周
期 (s)
応答スペクトル図
同時活動(UD方向)
10
0.1
0.01
0.1
1
周
期 (s)
●接続周期1.0秒にて接続し,
ハイブリッド合成
※地震動評価において,プラントノースに対応し
たNS方向及びEW方向としている。
10
30
30
1.3 念のための同時活動を考慮した地震動評価
無断複製・転載等禁止
地震動評価結果[断層モデルを用いた手法]
水平方向
鉛直方向
2000
2000
Ss-H
Ss-V
同時活動(水平方向)
同時活動(鉛直方向)
1500
加速度(cm/s2)
加速度(cm/s2)
1500
1000
500
1000
500
0
0.01
0.1
1
周期(s)
10
0
0.01
0.1
1
周期(s)
応答スペクトル図
10
31
31
1.4 まとめ
無断複製・転載等禁止
○敷地前面海域の断層の連動を考慮した地震動評価の結果,基準地震動Ssの応答スペクトルを
概ね下回っているものの,周期2~3秒程度以上の一部の周期帯で上回っている
○同様に,念のための同時活動を考慮した地震動評価の結果についても,基準地震動Ssの応答
スペクトルを概ね下回っているものの,周期2~3秒程度以上の一部の周期帯で上回っている
○安全上重要な機能を有する主要な設備が影響を受ける周期1秒程度以下の周期帯では,基準地
震動Ssの応答スペクトルを下回っていることから,泊発電所の耐震安全性は確保されている
○泊発電所1号機及び2号機の安全性に関する総合評価(いわゆるストレステスト)においても,評
価対象設備が影響を受ける周期は,主要な設備と同様に1秒程度以下(クリフエッジとなっている
パワーセンタ(分電盤)は,0.033秒以下)であることから,ストレステスト評価結果は変わらない
32
32
無断複製・転載等禁止
2.追加調査の進捗状況について
33
33
2.追加調査の進捗状況について
無断複製・転載等禁止
<陸域の調査>
①段丘ボーリング調査
・3月下旬から実施中
②地表地質踏査
・沿岸部
・4月上旬から実施中
③反射法地震探査
・寿都湾湾奥部及び白炭断層
・4月下旬から実施中
<海域の調査>
①海上音波探査
・沖合部:マルチチャンネル音波
探査(音源:エアガン)
・沿岸部:ショートマルチチャンネ
ル音波探査(音源:
ウォーターガンまたは
ブーマー)
・沖合部の調査を4月中旬より
実施中
沿岸部の調査については,沖
合部の調査終了後,順次開始
予定
泊発電所
30km
<凡例>
:地表地質踏査,段丘ボーリング調査実施範囲
:反射法地震探査測線
:海上音波探査実施範囲
34
参考文献
34
無断複製・転載等禁止
・ S.Noda , K.Yashiro , K.Takahashi , M.Takemura , S.Ohno , M.Tohdo and T.Watanabe(2002):RESPONSE SPECTRA FOR DESIGN PURPOSE OF STIFF STRUCTURES ON ROCK
SITES,OECD Workshop on the Relations Between Seismological DATA and Seismic Engineering,Oct.16-18,Istanbul,399-408
・ 大久保泰邦(1984):全国のキュリー点解析結果,地質ニュース,362-10,12-17
・ 気象庁:地震年報(1923~2006)
・ 地震調査委員会(2009):全国地震動予測地図技術報告書,地震調査研究推進本部
・ 入倉孝次郎・三宅弘恵(2001):シナリオ地震の強震動予測,地学雑誌,110,849-875
・ 壇一男・渡辺基史・佐藤俊明・石井透(2001):断層の非一様すべり破壊モデルから算出される短周期レベルと半経験的波形合成法による強震動予測のための震源断層のモデル化,日本
建築学会構造系論文集,545 ,51-62
・ 松田時彦(1975):活断層から発生する地震の規模と周期について,地震 第2輯,第28巻,269-283
・ 物理探査学会(1999):物理探査ハンドブック
・ 太田外気晴・丹羽正徳・高橋克也・八幡夏恵子(1985):物理探査と室内試験から評価されるVp,Vs及びポアソン比の関係,日本地震学会講演予稿集,1985年度春季大会,B12-108
・ 独立行政法人 防災科学技術研究所(2005):石狩低地東縁断層帯の地震を想定した地震動予測地図作成手法の検討,防災科学技術研究所研究資料 第283号
・杉山雄一・内田康人・村上文敏・津久井朗太(2011):黒松内低地断層帯南方延長部(内浦湾)の地質構造と活動性,活断層・古地震研究報告,No.11,p21-53
・地震調査委員会(2005):黒松内低地断層帯の長期評価について
・活断層研究会編(1991):[新編]日本の活断層 分布図と資料,東京大学出版会