中 島 宗 昭 - 福岡県畜産協会

自然循環型農業による地域農業・農村の活性化
(夫婦で築く、みどりゆたかでおしゃれな農村づくり)
ナカシマムネハル
自然循環型農業
中島農産
中 島 宗 昭
福岡県三潴郡大木町
1
畜産を核とした地域振興活動の概要
畜産を核とした地域振興活動の概要
(活動の体制や内容、成果等)を簡潔に記述。
中 島 宗 昭 氏 は 専 業 農 家 で 、 養 豚 は 父 が 昭 和 35 年 頃 米 麦 の 屑 を 主 体 と し た 自 家 配
で 繁 殖 豚 3 頭 を 飼 育 し た の が 始 ま り で あ り 、そ の 後 施 設 整 備 と 共 に 規 模 拡 大 を 図 り 、
母 豚 60 頭 の 繁 殖 肥 育 一 貫 経 営 を 経 て 、 現 在 の 経 営 形 態 に 至 っ て い る 。 現 在 は 夫 婦
と 雇 用 1.0 人 の 労 力 で 全 農 よ り 委 託 を 受 け た SPF 豚 2,150 頭 の 肥 育 を 主 体 に 、 あ い
が も 米 1.2ha 、 堆 肥 を 使 っ た 減 農 薬 米 3.0ha 、 有 機 無 農 薬 麦 1.2ha 、 堆 肥 だ け の 無 化 学
肥 料 麦 4.0ha 、 グ リ ー ン ア ス パ ラ 18a 、 さ ら に 遊 休 農 地 の 借 用 田 に ふ れ あ い 農 園 15a
を 設 け 、す べ て の 農 地 で 堆 肥 を 活 用 し 環 境 に や さ し い 食 品 づ く り を 実 践 さ れ て い る 。
中島氏が住む当地域の農家では、豊富なクリークの水と肥沃な土地を生かした水
稲+麦・い草の農業経営が営まれていたが、水稲の生産調整を期に農業所得の維持
向上を図るため、イチゴやえのき等の菌茸栽培など新規作物の導入がなされ、経営
の多角化、複合化が進められている。当地域は重粘土質の肥沃な水田地帯のため、
水稲は過繁茂になりやすいが収量は多い。また、農業従事者の高齢化や農地の基盤
整備に伴う有機質の不足を契機に、耕地やクリークの維持管理も含めた環境の保全
が地域の課題となっていた。
一 方 、畜 産 経 営 に お い て は 、家 畜 ふ ん 尿 の 有 効 利 用 と 畜 産 経 営 の 安 定 を 図 る た め 、
堆肥舎等の処理施設も多頭化とともに逐次整備・改善されていたが、家庭の雑排水
によるクリークの汚染とともに畜舎排水や尿処理水によるクリーク水の窒素過多の
問題等、新たな地域的な課題も派生していた。
このような状況の中で、中島氏は、地域環境改善を主体とした地球環境にやさし
い農業の定着と地域資源を活用した資源循環型農業の実践にいち早く取り組まれ、
堆肥を活用した減農薬米やあいがも米等の定着を地域住民や消費者と一緒になって
-1-
展開され、地域住民や地域環境と共生できる養豚経営を確立するとともに、中島氏
の 農 業 経 営 ス タ イ ル や 農 業 に 取 り 組 む 姿 勢 は 、 大 木 町 の 21 世 紀 の 将 来 を 見 据 え た
農 村 づ く り の モ デ ル と し て 生 か さ れ 、大 木 町 農 業 農 村 振 興 計 画 ( 平 成 11 年 度 策 定 )
「みどりゆたかでおしゃれな農村づくり」の地域振興活動の具体的事例として、地
域 に 元 気 を 取 り 戻 し 、 大 木 町 の 農 業 粗 生 産 額 は 、 平 成 10 年 2,250 百 万 円 が 平 成 12
年 に は 2,580 百 万 円 ま で 回 復 す る ま で に 至 っ て お り 、 そ の 意 義 は 大 き い 。
2
地域の概要
当該活動が行われた地域(管内)の状況(立地条件、土地面積、農業・畜産の状況・地位な
ど ) を 記 述 。( 統 計 資 料 等 を 添 付 す る こ と 。)
大 木 町 は 、 福 岡 県 の 南 西 部 、 筑 後 平 野 の ほ ぼ 中 央 に 位 置 し 、 面 積 18.43k ㎡ 、 人
口 14,000 人 の 農 業 主 体 の 町 で 、 町 面 積 の 16 % を ク リ ー ク が 占 め て い る 水 田 平 坦 ク
リーク地帯であり、山林や畑はゼロに近い日本有数の穀倉地帯である。農地面積
は 1,100ha う ち 経 営 耕 地 面 積 は 974ha で 、 そ の ほ と ん ど は 田 で あ り 、 昭 和 45 年 、 町
全体が農業振興地域の指定を受けている。
農林水産統計年報
主な作目別・農家戸数
項目別数値
主要 作目別透導方向
百万円
農 家 戸 数
1,036
戸
基 幹 的 農 家
170
戸
麦
246
270
販 売 農 家
863
戸
大豆
150
50
イチゴ
122
1,169
2 . 「し めじ」は 今から伸 ばして ゆく 。
米
850
戸
販売金額
普及センター調べ
780
1 .「し いたけ 」「グ リーン アスパラ 」
につい ては 新し く産地 化を図っ て
ゆく。
百万円
農業粗生産額
2,580
農業世帯員数
5,038
人
えのき
25
1,038
「え の き 」に つ い て は 技 術 革 新 を 行
ha
しめじ
35
1,536
い現状 の維持に 努める 。
ha
たまねぎ
22
3
3.「いちご」は前年比価格 8 割 、数 量 12
ha
ナバナ
18
4
割という中で価格の保持に 努める。
450
ha
イチジク
29
15
4.ナバナ・イチジク・花等は今か ら
面 積 別 戸 数
473
戸
い草
21
17
1 ∼ 2ha
335
戸
アスパラ
28
100
5.米については、差別化を 図り、価
78
戸
花卉
5
30
値を高めてゆく。麦 については流通
150
戸
なす
5
50
を模索する。
畜産
3
110
マンゴー
2
5
農 地 面 積
(農地整備済面積)
うち
大 莞 地 区
(
〃
)
木佐木地区
(
〃
)
大 溝 地 区
2ha ∼
自 給 農 家
1,100
( 203 )
250
( 289 )
400
( 302 )
伸ばしていく。
6.養豚については地域環境 と調和
した振興を図る
農 業 粗 生 産 額 は 2,580 百 万 円 、 畜 産 の 粗 生 産 額 は 110 百 万 で 、 町 全 体 の 約 4.3 %
-2-
であり養豚農家 3 戸のみであるが、グリーンアスパラ等の新規作物導入の産地化
を図る上で、地力の維持や安定に重要な役割を担っている。
ま た 、町 の ほ ぼ 中 央 を 南 北 に 西 日 本 鉄 道 大 牟 田 線 が 通 っ て お り 、福 岡 の 中 心「 天
神 」 か ら 40 分 と い う 利 便 性 か ら 混 住 化 も 進 展 し て い る 地 域 で あ る 。
3
地域振興活動の内容
これ以降は、活動内容の詳細を記述。
(1)活動開始の目的と背景
活動開始の背景、目的、動機等を記述。
①
水稲の生産調整の強化と米価等農産物価格の低迷により、経営の多角化・複
合化および高付加価値化や消費者ニーズに沿った「顔のみえる農産物の生産」
が経営の安定と発展を図る上で重要となり、消費者の求める「安全・安心」な
農畜産物生産に経営をシフトさせなければならない時代となった。
②
生活環境基準の強化やクリーク地帯特有の水がよどむ河川で、かつ混住化が
進展している地域で養豚経営を持続する上から、環境基準以上の対策をとり、
地域住民と共生できる環境の維持と理解が必要であった。
③
農地の基盤整備の進展による地力の低下や新規作物が産地間競争に勝つため
に も 、「 土 づ く り 」 の 重 要 性 が 求 め ら れ て き た 。
④
農業労働力の高齢化や兼業化に伴い、地域全体の農村・農業の発展を図るた
めには、各農業部門を越えた地縁的生産集団による経営のシステム化と合理化
(農地保有合理化)も急務であった。
以上のような背景や目的から、養豚を主体とした農業経営を安定的に発展させ
るためには、消費者の「安全・安心」と「地域住民と共生できる養豚経営」をキ
ーワードに堆肥等の有機物活用やあいがもを活用した稲作等に努力されていたが、
さらに尿処理が不要で、悪臭の発生も少ない養豚施設構造(発酵床豚舎)に改良
した。
-3-
(2)活動の位置づけ
畜産を核とした当該活動が地域振興上、どのような意義なり役割を果たしているのか。
①
新規作物の主産地化支援
新規作物が普及定着するためには、栽培された農作物が安定的に生産される
肥培管理技術とその平準化が重要である。養豚を主体とした水稲等の複合経営
であるが、新規作物の導入等も積極的に取り組まれ、堆肥を活用した新規作物
(グリーンアスパラ)等の試作展示を農協と一体となって実施し、新規作物の普
及 や 経 営 の 多 角 化 ・ 複 合 化 に 向 け た 取 り 組 み は 、新 産 地 の 育 成 と 地 域 活 性 化 に つ
ながっている。
②
消費者との交流
消費者との交流を通して、他農作物や大木町の良さ紹介等は、地域農業の活
性 化 と 大 木 町 農 業 の 情 報 発 信 源 と し て の 役 割 を 担 っ て い る 。( あ い が も 観 察 交
流会ファーマーズマーケットでの豚肉の直売、あいがもだより等)
③
環境にやさしい豚舎の普及定着
尿処理が不要で悪臭の発生が少ない豚舎構造に改築したことで、町内及び近
隣の市町村の養豚経営のあり方や展開方法の見本となり、他の養豚農家の経営
改 善 及 び 環 境 改 善 に も 貢 献 し た 役 割 は 大 き い 。( 発 酵 床 豚 舎 の 普 及 )
④
農家や地域住民との共存・連帯活動
水田平坦クリーク地帯で高齢化・混住化が進展する中、相互扶助精神を醸成
するため、農業機械利用組合の組織化やクリークの泥土清掃とふれあい農園の
設置など企画立案し取り組んだことで、地域との協調・協力が出来た。
(荒牟田機械利用組合の設立、保育園児収穫祭、荒牟田ん堀ば考ゆう会)
⑤
地域資源循環型農業の実践
地域資源循環型農業を1つのスタイルとして確立したことにより、未利用資
源の有効活用と地域資源の地産地消による地域全体の低コスト化、経営の合理
化、さらには産業間の連帯感や魅力あふれる農村基盤づくり(ゆとりとうるお
い)のきっかけとなっている。
( 菌 床 オ ガ ク ズ ・ モ ミ ガ ラ ・ 家 畜 ふ ん 尿 ・ 家 庭 生 ゴ ミ の 再 利 用 、あ い が も 農 法 )
-4-
(3)活動の実施体制
活動主体と組織体制、関係機関・団体との連携のほか、制度・事業等の活用状況等を記述。
町 ・ JA ・ 普 及 セ ン タ ー
荒牟田ん堀ば考ゆう会
JA 全 農
(有 )エ ス ピ ー エ フ 豚 育 成 セ ン タ ー
福岡県あいがも水稲会
子豚委託
6,600 頭 / 年
支援
勉強会
企画・立案
(事務局
菌茸栽培農家
自然循環型農業
町 内 60 戸
中 島 農 産 ( 労 力 3.0 人 )
菌床オガクズ
4.5m 3 / 日
あ い が も 米 、 有 機 無 農 薬 麦 = SPF 豚 肥 育
アスパラ・ふれあい農園等
常 時 2,150 頭
堆肥自家利用
堆 肥 240 t / 年
堆肥
10a 当 り
JA カ ン ト リ ー
950 t / 年
モミガラ 4m3 / 日
出 荷 6,500 頭 / 年
水稲 2 ∼ 3 t
小麦 3 ∼ 4 t
アスパラ 5 t
野 菜 1.0 ∼ 1.5t
( 荒 牟 田 機 械 利 用 組 合 : 参 加 農 家 20 戸
(生産物)
水 稲 17ha 、 麦 10ha )
(農協注文販売)
他への堆肥販売
(生 産 物 )
260 t
イチゴ・アスパラ
堆 肥 販 売 、 JA 福 岡 大 城 大 木 支 所
花卉・果樹等
450 t / 年
(イチゴ・水稲・アスパラ・イチジク等)
契約有機無農薬麦
特別栽培米の産直
直売所
(が ん ば ら ん 館 )
JA 共 販
保育園児
収 穫 祭
・
ふれあい体験
ジャガイモ他
ニュー博多もち豚
福 岡 市 内 の フ ァ ー マ ー
ズ マ ー ケ ッ ト
SPF 豚
給食食材
ア ン テ ナ シ ョ ッ プ 販売
あいがも観察交流会
毎 週 第 2・ 第 4 火 曜 日
-5-
(商
標)
( 4) 具 体 的 な 活 動 の 内 容 と 成 果
活動内容の詳細、また取り組みの中でどのような障害があり、それをどのように乗り越え
たか。成果は何か。成果をあげたポイントは何か等を記述。
①
未利用資源の有効活用と新規作物の導入による新たな産地化
養豚経営の安定的発展を図る上でネックになる畜産環境に係る家畜ふん尿を、地
球環境にやさしい有機資材である堆肥として再生し地域資源として活用するには、
水分調整材としての副資材の安定的確保がポイントだった。えのき菌床オガクズ等
未利用の地域資源を豚舎の敷料や糞尿の水分調整材として有効活用することで、良
質堆肥の生産に取り組んだ。堆肥の施肥効果の実証、堆肥の流通拡大と利用促進と
併せて地球環境にやさしい地域資源の循環システムを関係機関と一体となって確立
した。
* 近年の具体的事例
・ 新 規 作 物 グリーンアスパラの 有 機 堆 肥
家庭生ゴミ
食料
堆肥
使 っ た モデル実 証 ( 18 a )
作物
残渣
家畜ふん尿
・ ほ 場 整 備 田 の 堆 肥 を 使 っ た 地 力 回 復 (3 ヵ 所 )
モミガラ
えのき菌床等
・ 有 機 無 農 薬 麦 の 栽 培 普 及 ( 1.2ha )
発酵
・堆肥を使った共同経営調和型の組織化等
有機肥料に
利用
敷料
・発酵床豚舎に改造と良質堆肥生産技術の確立
こ の 結 果 、 当 町 の グ リ ー ン ア ス パ ラ の 作 付 面 積 は 5 年 間 で 7.0ha に 拡 大 し 、 新 た
な 産 地 が 形 成 さ れ る と 共 に 豚 の 飼 養 頭 数 や 町 の 農 業 粗 生 産 額 も 伸 び 、元 気 を 取 り 戻
してきている。
農業粗生産額は年々の減少傾向が続く市町村が多い中で、当町は県下第5位の伸
び を 示 し て い る ( 平 成 12 年 / 10 年 )。
( 単 位 : 頭 、 ha )
・豚の飼養頭数及びグリーンアスパラ作付面積の推移
年
平 成 10 年
11 年
12 年
13 年
14 年
県計
76,272
73,442
71,839
78,476
78,120
大木町
1,429
1,908
1,706
3,156
3,265
グリーン
県計
14.0
25.0
25.0
30.0
35.0
アスパラ
大木町
5.3
6.3
6.8
7.0
豚頭数
注)県畜産課、普及センター調
・農業粗生産額の推移
(単位:億円、%)
年
平 成 10 年
11 年
12 年
伸 び 率 12 / 10 年 比
県計
2,529
2,373
2,388
94
大木町
22.5
23.7
-6-
25.8
115
②
消費者と生産者の心の交流
あいがも農法を実践し、消費者や生産者との交流会を通して顧客を捉える産
地直送型の販売網を築きあげた。このことから環境保全型農業としてのあいが
も農法が注目され、消費者や地域住民等と一緒になった農業のあり方や進め方
のモデルとなり、地域振興活動の原動力となっている。
*近年の具体事例
③
・あいがも観察交流会(年2回開催)
・ あ い が も 米 1.2ha
養豚経営の安定化への取り組み
豚舎からの悪臭や尿等の発生を極力低下させるために発酵床豚舎に改造し、
尿等は敷料に吸着させ豚舎外に出ることのないように努めている。豚舎の糞尿
混 合 物 は 、 敷 料 と 共 に 通 気 発 酵 槽 で 発 酵 堆 肥 化 し て い る 。 堆 肥 の 多 く は 、 JA 福
岡大城農協を通してイチゴ、グリーンアスパラ、イチジク栽培農家等に販売さ
れ、地力の維持に貢献している。肥育豚のほとんどは、全農ふくれんを通して
「ニュー博多もち豚」の銘柄で販売されているが、一部は福岡市内のファーマー
ズマーケット(ぶどう畑)でアンテナショップ販売し好評を得ている。
④
保育園児等のふれあい体験学習と教育的支援
食の大切さや自然環境、命の大切さなどを収穫作業の経験や動物に接するこ
と で 養 う た め 、 ふ れ あ い 農 園 を 地 元 の 保 育 園 児 等 に 開 放 し 、「 農 」 の 喜 び を 体
験させ、豊かな感性と逞しさを育てる支援をしている。
*近年の具体事例
⑤
・保育園児のジャガイモ収穫祭やあいがも等との交流会
地産地消の推進
大 木 町 の 農 産 物 の PR と 地 場 消 費 を 促 進 す る た め 、 他 の 農 家 と 連 携 し な が ら
当町の直売所「がんばらん館」にあいがも米他多くのものを出品すると共に、
保育園等への給食食材の提供と併せて地元の食材を生かした郷土料理実演試食
会を催している。
⑥
地域住民と一緒に村づくり
養豚経営の安定には、人間の生命と健康の基盤である生産物の安全・安心・
新 鮮 な も の を 供 給 す る こ と が で き 、憩 い と 潤 い の あ る 生 活 環 境 が あ っ て 初 め て
成立するという信念から、畜舎環境と併せて地域全体の居住環境の整備にも積
極的に参画し、地域住民と一緒になって地域振興や村づくりでも活躍されてい
る。
*近年の具体事例
・ 集 落 全 員 参 加 の ク リ ー ク 清 掃 ・「 お お き デ ザ イ ン 会 議 」 等 へ の 参 画
・「 荒 牟 田 ん 堀 ば 考 ゆ う 会 の 事 務 局
-7-
⑦
地域農業の合理化を促進
地域農業の安定的発展を図るため、当地域の基幹作物である水稲・麦の農業機械
利用組合を設立し、生産コストの低減と農作業の合理化を図り、農地の高度利用
を皆と話し合い促進されている。
*近年の具体事例
⑧
・荒牟田機械利用組合の設立
町農業・農村振興計画のモデル
大 木 町 の 21 世 紀 に お け る 農 業 ・ 農 村 を 見 据 え た 農 業 ・ 農 村 振 興 計 画 で は 、 中
島 宗 昭 氏 の 農 業 経 営 ス タ イ ル が モ デ ル と な り 、「 み ど り ゆ た か で 、 お し ゃ れ な 農
村づくり」として、町全体の農業振興の核となり地域振興計画が策定された。そ
の計画に沿って、町全体の農業が昔の村の良さを残しながら変革してきている。
-8-
( 4) 活 動 の 年 次 別 推 移
当該活動の開始から今日に至るまでの主な転機や取り組み事項、成果等を時系列で整理し
簡略に記述。
年次
昭 和 35 年
58 年
活動内容等
成果・問題点等
・父、自家配による養豚業開始
・ほ場整備後の地力増進対策として農協堆肥
堆肥の域内流通販売体制が整備された。
舎 ( 旧 大 莞 ) 完 成 、土 づ く り の 組 織 的 取 り 組
み開始
59 年
・ 繁 殖 母 豚 60 頭 肥 育 一 貫 経 営 : 肥 育 1,100 頭
出 荷 ( スノコ豚 舎 ) に 施 設 整 備
平成 3 年
農協堆肥舎に生糞供給・堆肥舎管理を委
託 さ れ た 。( 堆 肥 生 産 量 300 t / 年 )
・あいがもを利用した水稲栽培開始
海外農産物の残留農薬の問題化により、
消費者との対話交流と地産地消の推進。
・福岡県農村女性アドバイザー認定(妻)
農村女性の地位向上に活躍。
・消費者とのあいがも観察交流会開始
・ 遊 休 田 に ふ れ あ い 農 場 設 置 ( 15a )
保育園児のふれあい体験に活用している。
7年
・「 あ い が も だ よ り 」 開 始
消費者への産地情報発信。
8年
・荒牟田機械利用組合設立
地 域 の 農 家 20 戸 で 構 成 、 組 合 長 歴 任 現 在
に至る。
9年
・「 お お き デ ザ イ ン 会 議 」 任 意 の 町 づ く り 団 体
農村の今日的あり方を検討。
として発足
10 年
・「 荒 牟 田 ん 堀 ば 考 ゆ う 会 」 発 足
クリーク(堀)の役割や機能を考えるた
めの任意集団。
11 年
・ グリーンアスパラ試 作 ( モデル栽 培 ) 開 始
新規作物の導入。
・ 有 機 無 農 薬 麦 1.2ha 栽 培 開 始
製粉メーカーと契約栽培。
・おおきデザイン会議会長に就任し、現在に
町の将来やグランドワークの検討。
至る
・「 荒 牟 田 ん 堀 ば 考 ゆ う 会 」 事 務 局
クリーク水質保全を地域住民と一緒に検
討し、クリーク清掃実施。
・豚肉等アンテナショップ販売開始
福岡市内のファーマーズマーケット(ぶ
どう畑)や地元の「がんばらん館」で直
売。
12 年
・ 発 酵 床 豚 舎 に 改 造 SPF 豚 肥 育 2,150 頭 に 拡 大
14 年
・町内他養豚農家発酵床豚舎に改築
-9-
堆 肥 生 産 量 は 950 t / 年 に 増 大 。
4
地域振興活動の波及効果の可能性
他 地 域 で 多 様 な 取 り 組 み を 行 う 場 合 、活 動 内 容 の 波 及 拡 大 の 可 能 性 、 そ の た め の 留 意 点 等 を
記述。
地域資源の有効利用と環境にやさしい農業の普及定着について実施している1農
家の取り組み内容が、大木町全体の農業。農村振興計画のモデルになり、町全体の
地域おこしの手本となっている。
地域や消費者の視点にたって生産や資源の合理化を図り、地域資源の循環システ
ムや地域住民等と一緒になった生産活動は、多くの人々に共感を呼び、農家の安全
・ 安 心 な 農 畜 産 物 と い う 物 質 面 だ け で な く 、地 域 の 生 き 方 や 過 ご し 方 、生 活 の 仕 方 に
至る精神面での心の豊かさややさしさも含めた「みどりゆたかで、おしゃれな農村
づくり」へと姿を変え、発展浸透してきている。このことは、地域振興活動の基本
で あ り 原 点 で あ る こ と か ら 、 発 展 昇 華 拡 大 す る 活 動 の 手 段 と し て 、町 内 は も と よ り
近隣市町村にも波及している。
5
今後の活動の方向・課題等
当該活動における今後の方向や課題、関係者・機関・団体等からの要望等を記述。
中 島 宗 昭 氏 の 取 り 組 み は 、1 農 家 の 農 業 生 産 活 動 の 動 き で あ る が 、大 木 町 全 体 の 農
業のあり方、農業に取り組む姿勢を大きく変革しようとしている。農業は経済的豊
か さ だ け で な く 、景 観 や 環 境 、さ ら に は 人 間 関 係 や 暮 ら し の 楽 し さ を 作 り 出 す「 農 」
として発展することが重要である。
このためには、1農家の生産活動から仲間や地域的な広がりの中で、相互に連携
・連帯しながら「みどりゆたかで、おしゃれな農村づくり」の展開をグループ活動
として強化されることを期待したい。
今、大木町では任意の町づくり団体である「おおきデザイン会議」が一歩踏みだ
し「大木町グランドワーク準備会」として行政、集落代表、各種グループの長等が
集まり、住民参加型のマスタープラン実践組織が形成され、新たな地域振興活動の
取り組みに発展しようとしている。
- 10 -
6
活動の評価
当該活動について、関係者以外の客観的な評価を記述。
評価者
(
南筑後地域農業改良普及センター所長
命婦
勝則
)
中島宗昭氏は、畜産経営の健全な発展及び畜産物の安定的供給の観点から、環境
と安全に配慮した畜産経営に勤められるとともに、地域資源の有効利用と環境にや
さしい有機減農薬米・麦等、安全性の高い食品作りで付加価値を高め、経営の安定
を図っている地域の先進的なモデル専業農家で、地域の農業振興や町づくり等にも
積極的に関わり、地域共生型の経営スタイルは高く評価される。
なお、氏は地域振興のため、町や地域のリーダーとして活躍され、妻は福岡県農
村女性アドバイザーの1期生で、南筑後地域の農村女性の地位向上や農家生活の改
善にも支援指導いただき、働く農村女性の中核となって農村の近代化にも尽力され
ている。
評価者
(
大木町長
石川
隆文
)
本 町 に お い て 、養 豚 に よ る ク リ ー ク の 水 質 悪 化 が 問 題 視 さ れ る 状 況 で 、昭 和 58 年
JA 大 木 町 が 土 づ く り に 取 り 組 む た め に 設 置 し た 堆 肥 舎 を 積 極 的 に 活 用 し 、ふ ん 尿
の堆肥化に取り組まれた。平成12年には、他の養豚農家に先駆けて発酵床豚舎
に改築し、悪臭の低減、地域資源の有効利用、良質堆肥の生産に取り組まれた。
同時に豚舎周辺の緑化、花の植栽等を実施し周辺環境の美化を図られた。
また、地域住民・保育園児とともに豚舎横にあるふれあい農園において収穫祭
の 実 施 、 地 域 農 業 を 支 え る 機 械 利 用 組 合 の 組 合 長 、国 際 交 流 に お け る 外 国 人 の ホ
ームステイの受け入れ等、その活動は多岐に渡っている。
氏 の 率 先 し た 取 り 組 み 、地 域 住 民 の 養 豚 に 対 す る 理 解 を 深 め る 活 動 、 地 域 農 業 ・
町への貢献は、高く評価されている。
- 11 -
7
添付資料
(省略)
当該活動の内容や成果等を示す資料を添付。
1.農業経営紹介記事と温もりがあると評判の「あいがもだより」
2.あいがも観察交流会(第14回収穫祭)の記事
3.みどりゆたかで、おしゃれな農村づくり
Ⅰ
大木町農業・農村の振興方策
基本計画書
P47抜粋
4.関係写真等
(1) 発酵床豚舎での飼養状況
(2) 堆肥舎(強制通気発酵槽)
(3) 豚舎周辺(豚舎・クリ−ク・住居が共存)
(4) 堆肥施用床土改良実証試験(グリ−ンアスパラ)
(5) 保育園児のふれあい体験(あいがも放餌)
(6) ジャガイモ収穫祭(豚舎前のふれあい農園)
(7) 大木町広報誌「園児との交流、給食食材」報道
(8) ファ−マ−ズマ−ケット(ぶどう畑)直売風景
(9) クリ−クを皆で検討
( 10 ) 「 荒 牟 田 ん 堀 を 考 ゆ う 会 で 考 え た 」
堀の想像図………本にまとめ町に提案
( 11 ) 消 費 者 と の 交 流 会 の 感 想
「新聞:読者のお便り欄」より抜粋
(補
足)
コンクール等への出品経験
過去5年以内にコンクール等への出品がある場合については必須記入。
名
称
第 4 回 ハイポー豚 枝 肉 共 進 会
開催年月
昭 和 59 年
9月
主催者
受賞実績
日本ハイポー株式会社
最優秀賞
優秀賞
毎日農業記録賞
昭 和 63 年 11 月
毎日新聞社
福岡県筑後地区
平 成 12 年
福岡県南筑後地域農業改良普及センター
堆肥共励会
10 月
社団法人
- 12 -
福岡県畜産会
最優秀賞