8つのヒント アナログRF信号発生器による より優れた測定 - Keysight

Hints
8つのヒント
アナログRF信号発生器による
より優れた測定
ご注意
2002 年 6 月 13 日より、製品のオプション構
成が変更されています。
カタログの記載と異なりますので、ご発注の
前にご確認をお願いします。
信号源はさまざまなコンポーネント/システム・テスト・アプリケーションに、正確で安定度の高いテスト信号を供
給します。信号発生器は精密な変調機能を持ち、レシーバ性能テストでのシステム信号シミュレーションに使用で
きます。
本書は、RFアナログ信号源を使用した測定の確度向上のためのガイドです。次のヒントをテスト・セットアップで
ご活用されて、確度向上にお役立てください。
HINT
HINT
信号源の実効高調波歪みの改善
1
信号源の出力でローパス・フィルタを使
用して、高調波歪みを低減します。
HINT
HINT
パワー・レベル確度の向上
2
パワー・メータを使用して、被測定デバ
イスでの信号レベルの確度を向上します。
HINT
6
HINT
周波数確度の向上
3
適切な周波数基準を選択することにより、
絶対/相対周波数確度を向上します。
HINT
ソース・マッチの改善
4
5
7
HINT
固定アッテネータを使用して、整合エラ
ーを低減します。
8
TOI測定のための信号源出力の結合
信号源の分離、整合改善のために適切なセ
ットアップを使用します。
FM偏移確度の改善
ベッセル・ヌル方法を使用して、信号発生
器の周波数偏移を設定します。
振幅レンジの拡張
増幅器またはアッテネータを使用して、信
号源の振幅レンジを増大/低減させます。
最適な位相ノイズ・プロファイルの選択
適切な位相ノイズ・プロファイルを使用し
て、チャネル内/チャネル外測定のために
最適化します。
制御
N分周
位相
検波器
ALC
変調器
φ
出力
アッテネータ
バースト
変調器
信号源
出力
Σ
2
X
VCO
マルチプライヤ
ファンクション・
ジェネレータ
ALC
ディテクタ
d/dt
ALC
分周器
バースト
変調分周器
xによる ファンクション・
分周
ジェネレータ
外部AM
外部パルス
基準部から
ALC
ホールド
外部FM/PM入力
代表的な信号発生器のブロック図
2
HINT
信号源の実効高調波歪みの改善
高調波歪みの正確な測定には、スペク
トル的に純粋な信号源とスペクトラ
ム・アナライザが必要です。測定の品
質を制限するものとして、信号源の高
調波歪みとスペクトラム・アナライザ
のダイナミック・レンジが挙げられま
す。これに対して、基本波の下30dBの
オーダの高調波歪み性能を持った信号
源が測定の制限要素となることがあり
ます。図1は、代表的な高調波歪み測
定を示しています。信号の高調波歪み
はしばしば、最大高調波の振幅を基本
波と相対させたdBで表わします。
信号源の実効高調波歪みを改善するに
は、図2で示すようにローパス・フィ
ルタを使用します。ローパス・フィル
タのカットオフ周波数は、基本波周波
数がなるべくそのまま通過し、高調波
ができるだけ大きく減衰されるように
設定します。この信号源/フィルタ組み
合せのパフォーマンスを、スペクトラ
ム・アナライザによって直接に確認す
ることが可能です。
もし基本波周波数でのフィルタによる
損失が大きければ、信号源出力レベル
の設定でその損失を考慮する必要があ
ります。スペクトラム・アナライザを
使用してフィルタ出力における基本波
レベルを調べるか、またはより優れた
レベル確度のためにはヒント2をご参
照ください。
1
注記:ある高調波(m次高調波)の%歪み
は、次のようにして計算できます。
また全高調波歪みは、上記のようにし
て各高調波の歪みを得た後に、その平
方の和の根を求めます。
基本波
dB
相対高調波歪み
最大
高調波
周波数
図1.
スペクトラム・
アナライザ
8563A
ローパス・
フィルタ
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
RF MOD
ON ON
SPECTRUM ANALYZER
9 kHz - 26.5 GHz
被測定
デバイス
DUT
図2. 信号源の出力にローパス・フィルタを置くことにより、信号源の高調波歪みを
改善
3
HINT
2
パワー・レベル確度の向上
テスト・セットアップの中で、信号源
とDUTの間にケーブル、フィルタ、ス
イッチなどの受動デバイスを使うこと
がよくあります。これに対してDUTに
おける信号レベルの確度は、このよう
なコンポーネントによって影響を受け
ます。例えばレシーバの感度測定など
のアプリケーションでは、入力信号レ
ベルの確度は重大です。必要とするだ
けのパワーをDUTに印加するために、
測定を行う前に次のテストを行いま
す。テスト・セットアップは図3で示
すように信号発生器、パワー・メータ
とパワー・センサ、および測定で使用
するケーブルやスイッチにより構成し
ます。
正確なパワー測定のために、パワー・
メータをパワー・センサに対して校正
します。ここでは、お客様がパワー・
メータの校正やゼロイングに対して十
分な知識をお持ちのことを前提として
います。
注記: パワー・メータ測定の確度は、
センサの校正係数によりことなりま
す。校正の前に、パワー・メータに必
ず校正係数を入力してください。
パワー・メータの校正が終了後、パワ
ー・メータの測定周波数を信号周波数
に設定します。図3で示すようにDUT
の代りにセンサを接続し、パワー・レ
ベルを測定します。パワー・メータの
表示値と信号源の示すレベルとの間に
相違があれば、信号源の振幅オフセッ
ト機能を使用して必要な調整を行いま
す。−信号源の表示パワー・レベルと、
パワー・メータの表示値とを一致させ
ます。ある周波数における振幅の調整
を行えば、後は信号源は自動的にその
周波数での様々な振幅の値を正確に表
示します。パワー・メータの確度は非
常に高いために(不確かさはdBレンジ
の数十分の一)、そのパワー・レベル
の正確さは信頼できます。
パワー・メータ
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
RF MOD
ON ON
テスト・ポート
パワー・センサ
ケーブル、
スイッチなど
DUT
図3.信号のレベル確度向上のためのセットアップ
4
HINT
周波数確度の向上
測定によっては信号の絶対周波数が重
要なこともあり、また複数信号間の相
対的な周波数間隔が重要なこともあり
ます。例えば既知の周波数のマルチト
ーン入力を発生するために、複数台の
信号発生器を使用することがありま
す。この場合に各信号源の周波数確度
は、その内部周波数標準に依存してい
ます。これらの周波数標準がずれてい
るために、測定で相対的周波数エラー
を引き起すこともよくあります。
例えば1kHzの間隔を持った、200 MHz
を中心とした2信号を必要としている場
合、信号源のエージング・レートは±
1×10-6/年で、この場合に信号源の周波
数エラーは200MHz×1× 10-6 = ±200Hz
となります。これにより間隔は、図4で
示すように600Hz∼1400Hzの範囲とな
ります。このような場合に2信号源のタ
イムベースを接続すれば、確度を向上
させることができます。一方の信号源
の基準信号出力(通常はリアパネルに用
意されている)を、もう一方の信号源の
基準信号入力と接続します。これで間
隔の不確かさは1kHz×10 -6 、つまり
0.001Hzとなります。
3
信号の絶対周波数が重要な場合には、
最も信頼できる外部周波数基準を見つ
けることにより周波数確度を向上でき
ます。セットアップ中で最も正確なタ
イムベースを持った測定器を選び、他
の機器をすべてこの基準に接続します。
オーブン制御型基準発振器を提供して
いるメーカもあります。これらの周波
数/時間標準は極めて正確ですが、価格
も高価です。
振幅
(dB)
またハウス・スタンダードを使用すれ
ば、常に周波数確度の向上が可能です。
ハウス・スタンダードは、ユーザの施
設内に供給されている高確度の周波数
基準です。この基準に対して、信号源
やその他すべての機器を接続します。
適切レベルの維持やインピーダンス整
合のためには、分配増幅器を必要とす
る場合もあります。
1400 Hz
600 Hz
1 KHz
公称
周波数
(Hz)
図4. 影で示す部分が相対周波数エラーの範囲
5
HINT
ソース・マッチの改善
4
テスト・デバイスは整合の良くないも
のが多いため、ソース・マッチが重要
となります。信号源と負荷インピーダ
ンス間の不整合によって、被測定デバ
イスへの実効信号入力レベルが変りま
す。またテスト・デバイスを直接に信
号源に接続することは少ないため、問
題はより複雑です。信号源と負荷との
間には、アダプタやフィルタなど他の
様々なコンポーネントが介在する場合
が多くあります。テスト・デバイスの
コネクタ・タイプへの適合のためアダ
プタを使用したり、信号源高調波の除
去のためフィルタを使用する場合、そ
のようなコンポーネントがテスト・デ
バイスから見たソース・マッチを劣化
させないか注意する必要があります。
このような場合の不整合を改善する方
法は、いくつかあります。最も簡単な
のは、良い整合を持った固定アッテネ
ータをテスト・デバイスの入力に挿入
することです。これにより、アッテネ
ータの2倍のdBだけ実効ソース・マッ
チを改善できます。
は信号の位相によって、負荷に加算も
しくは減算されます。測定の観点から
は、インピーダンス不整合が原因で起
こる最大および最小エラーとしての、
最大/最小パワー伝送を最重要視しま
す。
次の図は、アッテネータの挿入によっ
て、測定にどのような影響があるかを
示しています。
負荷の整合が良くない場合には負荷か
らの反射が発生し、それが信号源にま
で戻ります。そのうち信号源で十分に
吸収されなかった分が、再び負荷に向
かって再反射されます。この再反射波
例
条件:
信号源 = 1.9
被測定デバイスのSWR = 1.5
測定値: 不整合エラー
・アッテネータの挿入前
SWR-1 = 1.9 -1 = 0.9 =
ρS = SWR+1
1.9+1 2.9 0.31
1
DUT
ρD =
0.5 =
2.5 0.2
不整合エラー
最大不整合エラー ± 0.52 dB
= 20 log [1+ρSρD]
= 20 log [1+(0.31)(0.2)]
0.52 dB
・ρ = 0.32、10dBアッテネータを挿入後
不整合エラー
アッテネータ
最大不整合エラー
DUT
= 20 log [1+ρS ρD(アッテネータ)2]
= 20 log [1+(0.31)(0.2)(0.32)2] 0.055 dB
± 0.055 dB
6
HINT
TOI測定のための信号源出力の結合
3次インターセプト(TOI)測定のために
2つの信号源を結合する場合、それら
の信号源の適切な終端と互いの分離が
重要となります。分離が不完全だと信
号源は相互変調し合って、被測定デバ
イスの入力に相互変調成分をもたらす
恐れがあります(図5)。このため、デバ
イスの本当の相互変調パフォーマンス
が隠れてしまう場合があります。
RL 0 dBm
ATTEN 10 dB
CENTER 20.00000 MHz
RB 30 Hz
VB 30 Hz
それぞれの信号源が、最良の50Ω終端
を必要とします。抵抗コンバイナを使
用する場合は、2抵抗タイプでなく必ず
3抵抗タイプのものを使用します(図6)。
2抵抗コンバイナ/スプリッタはレベリ
ング・アプリケーションに使用し、ス
プリッタの一方をパワー・メータに接
続して正確なレベル制御を行うための
ものです。TOIアプリケーションのた
めには、2抵抗コンバイナではどのポー
トにも50Ω整合をもたらしません。こ
れに対して3抵抗スプリッタは3つのポ
ートすべてで適切な終端を与えるだけ
でなく、2信号源間に6dBのアイソレー
ションも提供します。
10 dB / DIV
SPAN 10.00 kHz
ST 20 sec
図5. 相互変調し合う2信号源が発生する相互変調成分の例
8563A
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
9 kHz - 26.5 GHz
2信号源を結合するための最良の方法
としては、方向性スプリッタまたは方
向性結合器を使用します。これにより、
最適なポート整合と優れたアイソレー
ションが得られます。
またどのタイプのコンバイナを使用し
ていても、各信号源の出力に(信号の
前で)アッテネータを加えることによ
って、2信号源間のアイソレーション
が向上します。このための減衰を補償
するためには、信号源出力レベルをア
ップします。各信号源の出力に10dBの
アッテネータを付加すれば、アイソレ
ーションは20dB増大します。アイソレ
ーション増大のためには、各信号源の
後に増幅器を置く方法もあります。こ
の増幅器による逆アイソレーションに
よって、一般に2信号源間のアイソレ
ーションが大きく向上します。
信号源によっては、出力自動レベル制
御(ALC)をオフすることにより相互変
調成分が減る場合があります。オフに
よって、2信号源間のパワー・レベル
制御の衝突が防がれるからです。しか
しAMがオフの場合にほとんどのALC
帯域幅は非常に低いため、これは周波
数オフセットが広い(一般に100kHz以
上)場合にはあまり問題とはなりませ
ん。以下に、既知の偏移をセットアッ
プする手順の例を示します。
RF MOD
ON ON
DUT
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
SPECTRUM ANALYZER
5
RF MOD
ON ON
図6. 信号源出力のアイソレーションのために3抵抗コンバイナを使用
7
HINT
6
FM偏移確度の改善
信号源の偏移をもっと正確に設定した
いと思われたことはありませんか?信
号源の周波数偏移を正確に設定するの
には、キャリア・ヌル方法が最適です。
スペクトラム・アナライザと周波数カ
ウンタの助けを借りて、信号発生器を
正確な周波数偏移に調整できます。キ
ャリア・ゼロの1つを使用して、適切
な変調周波数を選択します。
変調率:
β=
ピーク周波数偏移
変調周波数
(公式A)
周波数変調ではβの値が変わると、スペ
クトル成分(搬送波成分も含む)の振幅
も変わります。図7ではベッセル関数曲
線が、変調波の搬送波振幅と側波帯振
幅との関係を変調率βの関数として示し
ています。特定のβの値では、搬送波J0
と様々な側波帯J nがゼロ振幅となって
いることに注意してください。
例えば図8では、偏移は最初のキャリ
ア・ヌルに合わせています。変調周波
数は10kHz、βは2.4(最初のキャリア・
ヌル)です。したがって公式Aに代入す
ると、ちょうど24kHzの搬送波ピーク
周波数偏移が得られます。表1は、各
オーダのキャリア・ヌルに対する一般
的偏移の値に対する変調周波数を示し
ています。
図8. 偏移を最初のキャリア・ヌルに合
わせた50MHz FM信号のスペク
トル
図7. ベッセル関数曲線が、変調波の搬送波振幅と側波帯振幅
との関係を変調率βの関数として示す
8
FMピーク偏移の一般的な値
キャリア・
ゼロの
変調率
オーダ
7.5
10
15
25
30
50
100
150
250
300
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
kHz
1
2.40
3.12
4.16
6.25
10.42
12.50
20.83
41.67
62.50
104.17
125.00
2
5.52
1.36
1.18
2.72
4.53
5.43
9.06
18.12
27.17
45.29
54.35
3
8.65
.87
1.16
1.73
2.89
3.47
5.78
11.56
17.34
28.90
34.68
4
11.79
.66
.85
1.27
2.12
2.54
4.24
8.48
12.72
21.20
25.45
5
14.93
.50
.67
1.00
1.67
2.01
3.35
6.70
10.05
16.74
20.09
6
18.07
.42
.55
.83
1.88
1.66
2.77
5.53
8.30
13.84
16.60
表1. 各オーダのキャリア・ヌルの一般的偏移に対する変調周波数
以下に、既知の偏移をセットアップす
る手順の例を示します。
1) 必要とする偏移のカラム、例えば
250kHzを選択します。
2) 表から、使用する通常の変調帯域
幅に相当するキャリア・ヌルを選
択します。例えば音声変調回路の
テストに250kHzを選択した場合、
ジェネレータの音声通過帯域内の
変調周波数を得るには5つ目のキャ
リア・ヌルを選ぶ必要があるでし
ょう(ここでは16.74kHz)。
3) 周波数カウンタを使用して変調周
波数を16.74kHzに設定し、ジェネ
レータの出力スペクトルをスペク
トラム・アナライザによりモニタ
します。搬送波振幅が4つのゼロを
過ぎるまで搬送波の偏移を増加さ
せ、5番目の最小値でストップしま
す。変調周波数16.74kHzと5番目の
ゼロにおけるスペクトルにより、
このセットアップは正確な250kHz
偏移を提供しています。
周波数カウンタを使用して変調周波数
を正確に設定でき、また変調率も正確
に分かっているため、発生された周波
数偏移も同様に正確と言えます。
9
HINT
7
振幅レンジの拡張
どのような信号発生器にとっても、重
要な仕様の1つに出力パワー・レンジ
があります。この範囲外で使用する場
合、出力パワーを増大させるには増幅
器が、減少させるにはアッテネータが
必要になります。これらのデバイスを
使用して信号源の出力振幅レンジを拡
張する場合に、注意しなければならな
いいくつかの点があります。
まず増幅器のゲイン不確実さが、出力
信号レベルに直接に影響します。この
場合に増幅器の1dB圧縮ポイントに留
意します。この圧縮ポイントに非常に
近寄ってデバイスをドライブしなけれ
ばならない場合は、出力でローパス・
フィルタを使用し、付加する高調波歪
みを除去します(図9)。
増幅器の場合と同様に、アッテネータ
を使用する場合にもそのフラットネス
や確度など注意すべき点があります。
最も正確に測定を行うには、ネットワ
ーク・アナライザを使用してアッテネ
ータを特性評価した上で、その誤差を
補償するために信号源パワーを補正し
ます。
ローパス・
フィルタ
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
DUTへの
RF MOD
ON ON
出力
図9. 振幅レンジを増大させる場合、ローパス・フィルタを使用して、付加する高調
波歪みを除去
干渉信号は特に非常に低い振幅レベル
の場合に、エラーの大きな原因となり
ます。このような信号として例えば近
隣の無線局から来る外部放射や、また
は信号源自身からの漏洩も考えられま
す。信号源からの漏洩はDUTへのレベ
ル入力に影響し、外部ノイズは測定デ
ータに影響を与えます。このような不
確実さから守るには、DUTを例えば金
属ボックス(図10)やシールド・ルーム
などの遮蔽環境に置くと良いでしょ
う。またTEMセルにも同様の効果があ
ります。これは外部放射や、またセル
外部にあるアッテネータや信号源から
の信号漏洩の効果を防ぐ働きを持って
います。
FREQUENCY
WCDMA
T
ON
Waveform:
Sample Clk:
Recon Filter: 2.5 MHz
Arb Ref: Int
RF MOD
ON ON
DUT
アッテネータ
ロング・
ケーブル
図10. 振幅レンジを減少させる場合、DUTを遮蔽環境に置く
10
HINT
最適な位相ノイズ・プロファイルの
選択
信号源内のランダム・ノイズは、周波
数の狭い範囲でパワーが拡散する原因
となります。この拡散を位相ノイズと
いい、ランダム位相変調として数学的
にモデル化することもしばしばありま
す。位相ノイズの計測単位はdBc/Hzで、
これは1Hz当り搬送波から何dB降下す
るかを意味しています。また位相ノイ
ズは、信号源出力からの周波数オフセ
ットにおいて仕様されます。例えば、
ある信号源の位相ノイズは、-97dBc/
Hz@100 kHzオフセット(信号周波数
20GHzからの)などとして仕様されます。
信号発生器内部シンセサイザの位相ロ
ック・ループ帯域幅を広げると、チャ
ネル内測定に最適な低オフセット(例
えば<10kHz)における最小位相ノイズ
が得られます。しかしこれによって、
高オフセットでは位相ノイズが増大し
ています。逆に狭い位相ロック・ルー
プ帯域幅を使用した場合には、高オフ
セット(例えば>10kHz)でチャネル外測
定に最適な最小位相ノイズが得られま
す。同じくこの場合にも、低オフセッ
トで位相ノイズが増大しています。
8
一般に位相ノイズは、対数-対数軸を
使用して表示します。これにより、密
接な位相ノイズ(オフセット<1kHz)も
離れた位相ノイズ(オフセット>10kHz)
も1つのプロットで同時に表示可能で
す(図11)。
最近の信号発生器の中には、2つの位
相ノイズ・モデルを選択できるものも
あります。このため、チャネル内測定
またはチャネル外測定のために性能を
最適化できます。
モード1
モード2
1GHzでの代表的なSSB位相ノイズ
ESGシリーズ
図11.
11
Agilent Technologies RF信号発生器ガイド
ESGシリーズ
Agilent E4400B/E4420B/E4421B/E4422B
優れたレベル確度、±0.5(±0.9>2GHz)
拡張可能なアーキテクチャ
内蔵ファンクション・ジェネレータ
電子アッテネータ
費用効率の高い価格でステップ掃引
●
●
●
250kHz∼1/2/3/4GHz
+7、+10、+13∼-136dBm
AM、FM、φM、パルス変調
ディジタルRF
Agilent E4430B/E4431B/E4432B/E4433B
CDMA、GSM、NADC、PDC、PHS、DECT、TETRA
アプリケーションのための内蔵変調フォーマット
優れたレベル確度、I/Q入力
●
●
●
●
●
250kHz∼1/2/3/4GHz
+7、+10、+13∼-136dBm
AM、FM、φM、ディジタル変調、パルス変調
内部任意波形発生器
柔軟な変調発生
高性能RF
Agilent 8643A/8644B/8645A
RFデザインおよび製造のための高性能信号発生器
●
●
●
●
●
250kHz∼1.03GHz(オプションにより2.06GHz)
+13、+16∼-137dBm
AM、FM、パルス変調
1GHzでの残留FM:<2/<1
スプリアス(dBc):<-100(オプションにより<-94)
12
低価格RF
Agilent 8647A
低価格シンセサイズド信号源、電子アッテネータ搭載
●
●
●
250kHz∼1GHz
+10∼-136dBm
AM、FM、φM
Agilent 8648A/B/C/D
低価格シンセサイズド信号源シリーズ、製造および
サービス・アプリケーション向け
●
●
●
9/100kHz∼4GHz
+10、+13∼-136dBm(オプションにより最大+20)
AM、FM、φM、およびオプションのパルス変調
Agilent 8657A
低価格で高信号純度と電子アッテネータ
●
●
●
●
●
●
100kHz∼1.04GHz
+12∼-143.5dBm
AMおよびFM
低位相ノイズ
ATEのための電子アッテネータ
チャネル内/チャネル外性能
Agilent 8657B
低価格で高信号純度と最大2GHzパルス
●
●
●
●
●
●
100kHz∼2.06GHz
+13∼-143.5dBm
AM、FM、パルス変調(オプション)
低位相ノイズ
1Hz周波数分解能
チャネル内/チャネル外性能
13
5967-5661J
040002302-L/H