英国ビジネス事始め

そろそろ「自分の 仕事」してみませんか? 英国ビジネス事始め
第8回:どうして色々なコンサルタントがいるの?
これまで、会計士やバンクマネジャー
など、頼りになる助っ人達を紹介しました。
その中で、会計士、ファイナンシャルアド
バイザー、弁護士などは一般的にプロフ
ェッショナルサービスと言われ、専門知
識とリソースを基に、皆さんが自分ではや
りきれない仕事をサービスとして提供して
います。ところで「コンサルタント」と称
する人たちがやたらと多いことに気づき
ませんか? 通常、身体ひとつで開業で
きるので、専門知識を持っているビジネス
マンが独立して初めて作る名刺のタイトル
は、ほとんどコンサルタントになっている
のではないでしょうか。かくいう私もその
一人で、2 年前に会社を辞めた翌日に「ま
あこれでいいか」とコンサルタントという
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UK JACK Vol.104 / 16 MAY 2007
肩書きで 250 枚ほど注文した次第です。
確かに、ビジネスの世界では、あまりに
もコンサルタントが多くなりすぎて、最近
はちょっと食傷気味ですが、本業以外を
専門家にアウトソースする傾向が強い現在
では、ますますニーズが高まっているのも
事実です。したがって、コンサルタントの
範囲も非常に幅広くITを代表とする技術
系、商業不動産やエネルギーといった特
定産業のスペシャリスト、あるいはもう少
し突っ込んで財務、マーケティング、PR、
人事、営業といった特定のスキルに関する
ものなど非常に多様化してます。
反面、自分でビジネスをしていくのに
コンサルタントに頼るなんて本末転倒だ、
と考える人もいるでしょう。確かに自分の
ビジネスの根幹に関わる部分は、もとも
と自信があるわけですから存分にやるこ
とです。ただし、
自分ではちょっと力不足、
あるいは手も足も出ない部分においては
上手にコンサルタントを使うことでかな
りのお金と時間を節約できます。本来な
ら本業に使って利益を出すことのできる
時間を無駄にしてしまうことは賢明では
ありません。これを「機会損失」と呼び
ますが、大企業でも中小企業(英語では
SME=Small and Medium Enterprise
とよびます)でも、状況は同じかと思い
ます。ただし、スモールビジネスの場合、
大企業のような潤沢な資金はないので具
体的なアイテムにコンサルタントを活用す
るのがベストでしょう。将来大きく成長し
た暁には、有名な戦略的なマネージメント
・
コンサルティングのお世話になることを夢
見る、なんていうのもいいですね。
コンサルタントは会計士と同じく、基
本は時間当たりのフィーがベースになって
きます。ただし、リテーナーといって月当
たりいくらといった固定フィーも可能です。
また、コンティンジェンシーと呼ばれる成
功報酬型もあります。人材派遣は典型的
なケースですが、私がやっている企業のコ
スト削減という仕事では、実際に削減し
たコストをある期間クライアントと折半す
ることにしています。また第三者からコミ
ッションの形で報酬が払われることもあ
ります。いずれにしろ、サービスとは必ず
有償であり、それを支払うことで得られる
利益を天秤にかけて判断する必要があり
ます。コンサルタントからすると自分の能
力、経験、コネ、最後は人柄を買っても
らうわけですから、実はけっこう厳しい
稼業なんですよ。
PROFILE
西川千春
Charles Nishikawa
日欧起業家フォー
ラム代表。ビジネ
スドライブ・コンサ
ルティング・リミテ
ッド社長。在英日
本商工会議所会員。
日本精工 (NSK) の
駐在員として 90 年
に渡英しそのまま
定住。その後日系、
外資系企業にて自動車部品、
テクノロジー、
E コマース関連の法人営業、事業企画遂
行を手がける。05 年にビジネスデベロッ
プメント、コスト削減管理を中心とするコ
ンサルタントとして起業、独立。アメリカ
での 7 年も含め海外生活が人生の半分を
突破。ゴルフ、スポーツカーとアルコール
をこよなく愛する不良オヤジという側面も
アリ。www.kigyokaforum.org