湖北広域行政事務センター運営形態等のあり方について 概 要 平成26年 版 2月 湖北広域行政事務センター 目 次 1.はじめに 1 2.施設運営方式の考え方 1 3.センター運営形態の考え方 4 4.自治振興報償費の考え方 6 1.はじめに 湖北広域行政事務センター(以下「センター」という。 )では、次期焼却施設の整備に係 る基本方針を定めるにあたり、施設整備の基本理念として、 「一般廃棄物の適正処理に基づ く生活環境の保全と公衆衛生の向上を前提に、焼却施設の回収熱エネルギーの効率的な利 用と設備・維持管理の合理化により、循環型社会の形成に貢献する」ことを定めた。 今回、施設整備方針の策定に伴い、次期施設をどういった方式で運営していくのか、ま た一部事務組合として設立以降、平成の大合併を経て構成 2 市となった現在も同様の形態 をとっているセンターの運営を今後どうしていくべきなのかについても、施設整備の基本 理念に基づき今後検討していく必要があることから、施設の運営方式や一部事務組合の運 営形態について、センターの現状と全国的な事例や動向とを比較したうえで将来的な運営 の考え方を示し、併せて、現在センターで運営する各施設の関係地元自治会に対して毎年 度支出をしている自治振興報償費についても、県内他自治体の支出事例を比較したうえで、 現状および今後の支出の考え方を示すものである。 2.施設運営方式の考え方 (1)センター施設運営の現状と課題 センター各業務は、直営または委託にて行っており、クリスタルプラザ、クリーンプ ラントおよび第 1 プラントでは、搬入物の計量や監視、埋立作業等の施設内業務は直営 にて行っているが、プラント設備の運転については、第 1 プラントを除く施設は全面委 託しており、下記のような課題が考えられる。 なお、人員について、センターの管理に携わっている行政職員は約 7 割が構成市から の出向、約 3 割がセンターのプロパー職員で構成され、またセンター業務に従事する技 能労務職員は 50 歳以上が約 6 割を占めている状況である。 施設管理 総務課 事 務 業務課(クリスタルプラザ) 局 施設整備課 クリスタルプラザ クリーンプラント 施 設 第1プラント 伊香クリーンプラザ こもれび苑 行政職員 技能労務職員 主な業務内容 6名 - 議会・監査・財務会計・人事等 9名 - 廃棄物処理・収集運搬等 6名 - 施設整備長期計画等 直営 業務課に含む 6名 搬入物の計量・監視、資源選別 直営 5名 4名 搬入物の計量・監視、埋立作業 直営 4名 4名(運転と兼務) 搬入物の受入、汚泥残渣の搬出 委託 3名 7名(運転と兼務) 搬入物監視、資源選別(計量は直営) 委託(指定管理) 業務課に含む 4名(運転と兼務) 火葬業務、霊柩車運行業務 1 稼働時間 施設運転 勤務形態 運転人員 クリスタルプラザ 24時間運転 委託 日勤、夜勤 日勤:10名(整備、運転) 夜勤:4名(運転) クリーンプラント 日中のみ 委託 日勤 6名 第1プラント 24時間運転 直営(夜間委託) 直営:日勤、委託:夜勤 直営4名、委託1名 伊香クリーンプラザ 日中のみ 委託 日勤 7名 こもれび苑 日中のみ 委託(指定管理) 日勤 4名 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳 60歳~ 合計 行政職員(臨時職員除く) 構成市から出向 プロパー職員 人数 割合 人数 割合 0 0% 4 40% 8 38% 2 20% 13 62% 4 40% 0 0% 0 0% 21 100% 10 100% 技能労務職員(臨時職員除く) 構成市から出向 プロパー職員 人数 割合 人数 割合 2 40% 0 0% 1 20% 3 33% 2 40% 6 67% 0 0% 0 0% 5 100% 9 100% 【現状の運営について考えられる課題】 ・機械設備の高度化と複雑化により専門的な技術知識を習得しにくい。 ・現行の維持管理は単年度契約であり、長期契約を基本とする公設民営方式や民設民営方 式と比べると、メーカーの専門性を活かした維持管理・修繕の将来計画の平準化が図り にくい。 ・現焼却施設は設計施工のみ競争入札を行い、稼働後の維持管理は単年度の別契約である。 このため設計施工と維持管理を併せた公設民営方式と比較して維持管理に対する競争原 理が働きにくく、総額経費が高くなる傾向がある。 (2)全国的な事業方式の動向と今後の運営方式の考え方 これまで、一般廃棄物処理施設については事業者である地方公共団体が計画から建設、 委託を含めての運営を行ってきたが、近年の地方公共団体の財政の逼迫から、より効率 的な財政運営に取り組むことが求められている。 こうした中で、平成 11 年にPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の 促進に関する法律)が制定されるなど、一般廃棄物処理施設の整備・運営事業において も、良質で低廉な公共サービスを提供するという観点から、民間活力を導入した事業方 式を採用する地方公共団体が増加している。 今後施設整備を行うにあたっては、一般廃棄物の安定的な処理を前提とした経費削減 や効率的な施設運営を図るため、各運営方式の特性や留意点、また現在のセンター運営 体制や職員の構成状況と将来的な動向を勘案したうえで、施設運営方式を選定していく ものとする。 2 事業方式 特 公設公営 徴 留 意 点 自治体は自らの資金調達(交付金、起債、一般財源)に 単年度ごとに維持管理・委託業務を より施設整備を性能発注するため、自治体側の方針を反 発注するため、事業運営コストが割高 映した施設の運営が可能であり、しかも事業責任が明確 になりやすい。 で住民合意を得やすい。 DBO 方式 施設整備(性能発注)は自治体が資金調達(交付金、 運営段階でのトラブルを避けるため 起債、一般財源)して行うが、民間が運営管理を行うこと 自治体と事業者のリスク分担を細かく を前提に設計・施工・運営管理を一括して委託するため、 決めておく必要がある。 民間ノウハウや創意工夫を発揮しやすく、しかも、トータ ルコストを縮減できる。 公 一方、民間企業は運転管理・物品調達等・点検補修を 設 包括的に長期契約して業務委託を受けることができる。 民 営 DB+O 方式 自治体は自ら資金調達(交付金、起債、一般財源)し 管理運営を視野に入れた設計がで て施設の設計・施工を性能発注するが、民間と複数年契 きないため、民間ノウハウの活用には 約で運営管理業務を一括発注することができるので、薬 制限が生まれるため、イニシャルコスト 剤などの物品・用役調達や補修方法などで民間の経営ノ とランニングコストを併せたトータルコ ウハウを活用して維持管理費を縮減することが期待でき ストの低減が見込みにくい。 る。 自治体には資金調達の必要がなく、長期にわたり民間 うため金利負担が生じ、起債などの低 事業者にリスクを移転することができる。 民設民営 (PFI) 民間が資金調達して施設整備を行 また、民間の自由度が高いため、DBO よりコストを削 減する可能性があるとされる。なお、当初懸念されていた 固定資産税、都市計画税、不動産取得税などについて 利な融資を利用できる自治体に比べ 割高になる傾向がある。 民間のリスクが大きすぎると、民間 企業が PFI 事業に参画する意欲を損 は優遇措置が設けられている。 なう恐れがある。 【ごみ焼却施設の事業方式別採用実績】 発注年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 合 計 公設公営 47 19 9 11 12 7 10 8 3 2 8 4 15 155 公設民営 DBO 1 民設民営(PFI方式) BTO BOO BOT 1 1 (BTO+BOO) 1 1 1 2 1 3 6 6 4 11 35 1 1 1 4 2 3 1 3.センター運営形態の考え方 (1)センター運営形態の法的な位置付け センターは昭和 40 年 4 月、地方自治法第 284 条第 1 項の規定に基づき、下記を共同処 理事務とする一部事務組合として設立した。 設立当初、1 市 6 町 2 村により構成されたが、平成 17 年度以降市町合併が進み、平成 11 年 2 月に 1 市 9 町だった構成市町は、平成 22 年 1 月の長浜市合併により構成市は長 浜市と米原市の 2 市となっている。 (2)現状の運営形態における利点と検討事項の整理 現状センターで一元的に一般廃棄物を処理することで挙げられる利点および検討事項 は次のとおりである。 ・処理施設が両市で集約できる。建設経費の削減。 ・収集運搬許可業務の一元化(長浜市、米原市双方から許可を得る必要がない。) ⇒許可業者側のメリット ・2市をまたぐ収集をしている許可業者が仮に処理不適物の持込をした場合、センター 利 点 が一括して指導可能である。(構成市毎に許可を行う場合、長浜市が指導を行うものか 米原市が指導を行うものか監督責任の所在が不明確となる。) ・同一委託業者が長浜市、米原市双方で収集をする場合、収集運搬を構成市で所管する と委託契約を構成市毎に締結する必要がある。その場合、契約に伴う原価計算を構成 市毎に行う必要があるが、現状であれば原価計算が統一される。(センターのみ) ⇒委託業者側のメリット ・センターと各市の責任分担が不明確であり、市民からの問い合わせに対する調整に時間 を要することがある。 (集積所に排出後収集されるまでの対応は構成市、収集後の対応はセンターであるが、 検 討 事 項 収集不適物の確認や収集業者との調整を含めて応対に時間を要することがある。) ・事業を行ううえで、2市において施策の違いがあり、決定までの過程に支障が生じるこ とがある。 ・組合としてのごみ行政と各市の施策がリンクしにくい場合がある。 (環境施策とその他施策が関連する際、各市独自の施策が展開しにくい場合がある。) ・新施設の建設地決定までの地元対応が困難な場合がある。 (他市のごみを受け入れることの抵抗感。補償費の増大。) (3)全国的な一部事務組合の動向 一般廃棄物の共同処理を行っている「衛生関係組合」の数は平成 14 年 3 月時点で 874 組合に対し、平成 21 年 3 月時点で 575 組合であり、平成 14 年 3 月比で約 66%となって いる。これについては、全国的に市町村合併が進んだことで、単独市として処理をする ことになったと考えられる。 構成 2 自治体で構成される一部事務組合が全体の約 40%(578 組合中 227 組合)を占 めており、一般廃棄物の共同処理による全体的な経費の削減等の運営メリットにより、 構成市町村数に関係なく組合としての運営の必要性が全国的に認識されているものと考 えられる。 なお、一部事務組合にも様々な運営形態があり、施設の運営のみを共同処理事務とし ている事例や、センターのように運営に加えて施設の設置業務や一般廃棄物の収集運搬 業務等を共同処理事務としている事例もある。全国的には施設運営(設置を含む)を共 同処理事務としている事例が多い。 (578 組合中 416 組合) 4 (4)今後のセンター運営形態の考え方 センターが行う業務は、平成の大合併を経て構成自治体が 1 市 9 町から 2 市となった 現在においても、ごみの収集運搬をはじめとする調査統計・一般廃棄物処理計画の策定 などごみ行政の根幹となる部分を実施しており、これらは 2 市のごみ行政に大きく関わ ってきている。これらの部分は、原則的に市町村で行うものであるが、一部事務組合が 行うことも可能であり、両市が実施するその他の一般施策と関連づけて進めていく必要 があると考えられる。 これまでの経過において、合併以前に加えて合併後 2 市となって生じている新たな調 整事項も挙げられるが、一方では、処理施設の共同設置等組合を構成することのメリッ トもあり、全国的にセンターと同様の運営形態をとり 2 自治体で構成される一部事務組 合も存在する。 今後センターでは、施設整備に関する基本方針を具現化していく中で、一般廃棄物の 安定的な処理を前提に運営方法の効率化や見直しを行い、経費削減・運営のスリム化お よび 3.(2)に記述した検討事項の解消を図るとともに、センター業務に関連する住民 の利便性の向上や対応の一元化、またそのための仕組みづくりを構成市と共同で検討し ていくことが必要と考えられる。 5 4.自治振興報償費の考え方 (1)センターの自治振興報償費の現状 項目 クリスタルプラザ クリーンプラント 施設種類 焼却処理 資源化 関係地元自治 会 破砕処理 最終処分場 施設の設置自 治会 支出対象 自治会 第1プラント こもれび苑 伊香クリーンプラザ し尿処理 斎場 破砕処理 施設の設置自 治会 施設の関係地元自 治会 - ○予算科目:報償費 ○根拠法令:廃棄物処理法第 9 条の 4(周辺地域への配慮)※抜粋 一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村は、当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の 生活環境の保全及び増進に配慮するものとする。 (2)県内他自治体の自治振興報償費の動向 施設種類 支出をしている市・組合/施設を保有している市・組合 割合 ごみ焼却施設 7 市 1 組合/8 市 3 組合 約 73% 再資源化処理施設 2 市 1 組合/5 市 1 組合 50% し尿処理施設 1 市 2 組合/4 市 4 組合 約 38% 最終処分場 6 市 2 組合/8 市 3 組合 約 73% 斎場 1 市/5 市 4 組合 約 11% 施設種類 市 ・組 合 名 支 出 の 有 無 予 算 科 目 施設種類 要綱等の有無 要綱等の有無 ご み 焼 却 施 設 A市 ○ 負 ・補 ・交 × A市 ○ 負 ・補 ・交 × B市 × ― ― C市 ○ 負 ・補 ・交 ○ C市 ○ 負 ・補 ・交 ○ E市 ○ 負 ・補 ・交 ○ D市 ○ 負 ・補 ・交 ○ F市 ○ 負 ・補 ・交 ○ E市 ○ 負 ・補 ・交 ○ G市 ○ 負 ・補 ・交 × 施設種類 再資源化処理施設 施設種類 し尿処理施設 最終処分場 市 ・組 合 名 支 出 の 有 無 予 算 科 目 F市 ○ 負 ・補 ・交 ○ H市 ○ 負 ・補 ・交 ○ G市 ○ 負 ・補 ・交 × I市 × ― ― H市 ○ 負 ・補 ・交 ○ K市 × ― ― L組 合 ○ 負 ・補 ・交 × L組 合 ○ 負 ・補 ・交 × M組合 × ― ― O組合 ○ 報償費 × N組 合 × ― ― P組 合 × ― ― 市 ・組 合 名 支 出 の 有 無 予 算 科 目 施設種類 要綱等の有無 B市 × ― ― C市 ○ 負 ・補 ・交 D市 ○ I市 × J市 L組 合 市 ・組 合 名 支 出 の 有 無 予 算 科 目 要綱等の有無 A市 × ― ― ○ C市 ○ 負 ・補 ・交 ○ 負 ・補 ・交 ○ D市 × ― ― ― ― I市 × ― ― × ― ― J市 × ― ― ○ 負 ・補 ・交 × O組合 × ― ― P組 合 × ― ― 市 ・組 合 名 支 出 の 有 無 予 算 科 目 斎場 要綱等の有無 S組合 × ― ― A市 × ― ― T組 合 × ― ― B市 × ― ― C市 ○ 負 ・補 ・交 ○ G市 × ― ― ※ 「負 ・補 ・交 」:「負 担 金 、補 助 金 及 び 交 付 金 」 M組合 × ― ― 「補 償 ・賠 償 」:「補 償 、補 填 及 び 賠 償 金 」 N組 合 × ― ― Q組 合 ○ 補 償 ・賠 償 × R組合 ○ 負 ・補 ・交 ○ 6 (3)今後の自治振興報償費の考え方 自治振興報償費の支出を含めた考え方については、廃棄物処理法第 9 条の 4、 「周辺地 域への配慮」の規定を根拠にそれぞれの自治体で判断されている。しかし、各自治体で は、この条文に対する統一的な基準がないことから、交渉過程において双方が妥協に至 った金額が基準となっている。このことは、各施設の設置目的、周辺に与える影響およ び地元住民の受け入れ方が異なることから、それぞれの施設固有の変遷を経て今日に至 っているためと考えられる。 今後の自治振興報償費については、現状「負担金、補助金及び交付金」として支出し ている自治体が県内にあるものの、検討委員会において、 『「負担金、補助金及び交付金」 として支出する場合に明確な算出根拠が必要となることや、支出に関する訴訟事例にお いて、実際に損害があるのか、それについて自治体がフォローや検討をしているかとい ったことが細かく議論され、それが今後さらに発展する可能性があること等から、これ までの経緯や他自治体の事例を参考にして精密な議論をすべき』との指摘があった。 これらを踏まえ、既存施設は引き続き地元自治会と見直しに係る協議を継続していく ものとし、また、今後の施設整備の考え方として、施設に起因する環境負荷の低減や施 設の集約に基づいた運営のスリム化を図ること等を定め、センターとして新しい視点で の施設整備を目指すことから、支出の考え方や、支出の方法、支出の根拠、またそれら の妥当性や支出そのものの必要性について、慎重に検討を行うものとする。 なお、用地選定の段階から、情報を広く開示することにより、自治振興報償費の考え 方について、市民の理解を求めていく必要があると考えられる。 7
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