11(PDF:1767KB)

改
定
現
(1) 地下水等に関する対策
行
備
(1) 地下水等に関する対策
地下水、湧水への対策として、アンダードレーンを設置する。
地下水、湧水への対策として、アンダードレーンを設置する。
また、設置ピッチやドレーンパイプの径については、湧水量等により適宜検討の上、決定する。一般的
また、設置ピッチやドレーンパイプの径については、湧水量等により適宜検討の上、決定する。一般的
な例としては、設置ピッチ 10~40 m、パイプ径 φ50~300 mm、設置勾配 1/50~1/100 等が多く見られる。
な例としては、設置ピッチ 10~40 m、パイプ径 φ50~300 mm、設置勾配 1/50~1/100 等が多く見られる。
(2) エア、ガスに関する対策
(2) エア、ガスに関する対策
腐植土層からの発生ガス、あるいは、地下湧水により押し出される空気の排出には、有孔管パイプのエ
ア抜き装置を設置する。
腐植土層からの発生ガス、あるいは、地下湧水により押し出される空気の排出には、有孔管パイプのエ
ア抜き装置を設置する。
エア抜きパイプはドレーンに直結するが、池底面積が大きく、腐植土層がある場合は、底部にも配管す
エア抜きパイプはドレーンに直結するが、池底面積が大きく、腐植土層がある場合は、底部にも配管す
る。パイプはφ 25~50 mm、設置ピッチは 10~40 m とし、底部基盤の傾斜を必要とする。装置の施設に
る。パイプはφ 25~50 mm、設置ピッチは 10~40 m とし、底部基盤の傾斜を必要とする。装置の施設に
関しては、参図-4.2.4 による。
関しては、参図-4.2.4 による。
鋼管(露出部)
鋼管(露出部)
シート
シート
2~3m
2~3m
空気抜き管(φ25~50)
空気抜き管(φ25~50)
ドレーン管
ドレーン管
参図-4.2.4
エア、ガス対策の例
4.2.4 シート搬入及び運搬
参図-4.2.4
エア、ガス対策の例
4.2.4 シート搬入及び運搬
(1) 敷設割付図に基づきシートを所定位置まで運搬する。
(1) 敷設割付図に基づきシートを所定位置まで運搬する。
(2) 運搬に当たっては、シートに損傷を与えないために、シートを引きずらないようにする。
(2) 運搬に当たっては、シートに損傷を与えないために、シートを引きずらないようにする。
4.2.5 シートの敷設
4.2.5 シートの敷設
(1) シート展張前に必ず下地の状態確認を再度行い、転石等は除去する。
(1) シート展張前に必ず下地の状態確認を再度行い、転石等は除去する。
(2) シートの展張は、法面の上方から下方に向かって敷き拡げる。この際、必要以上の引張応力がシート
(2) シートの展張は、法面の上方から下方に向かって敷き拡げる。この際、必要以上の引張応力がシート
に作用しないようにする。
(3) 敷設済シートとの重ね代(シートの種類により異なるが、100~200 mm 程度)を確保しながら展張す
る。
に作用しないようにする。
(3) 敷設済シートとの重ね代(シートの種類により異なるが、100~200 mm 程度)を確保しながら展張す
る。
(4) シート展張敷設後、シートのずり下がりを防止するために、展張敷設後すぐにシート天端部に土のう
(4) シート展張敷設後、シートのずり下がりを防止するために、展張敷設後すぐにシート天端部に土のう
等で仮押さえをする。また、風が強い気象条件下での施工においては、シート接合部(重ね合わせ部)
等で仮押さえをする。また、風が強い気象条件下での施工においては、シート接合部(重ね合わせ部)
にも土のう等を仮置きし、シートのまくれ上がりを防止する。
にも土のう等を仮置きし、シートのまくれ上がりを防止する。
(5) 法面が急勾配(1 割 5 分以下)の場合、作業員のシート設置作業による踏み荒らし等を防止する観点
(5) 法面が急勾配(1 割 5 分以下)の場合、作業員のシート設置作業による踏み荒らし等を防止する観点
から、法面保護(養生)のための法面昇降用施設を設ける。また、シート溶着作業時においてもこれを
から、法面保護(養生)のための法面昇降用施設を設ける。また、シート溶着作業時においてもこれを
使用する。
使用する。
179
考
改
定
現
敷設済みシート
梱包シート
備
敷設済みシート
梱包シート
展張中のシート
行
展張中のシート
縄ばしご
縄ばしご
シート重ね代
参図-4.2.5
シート重ね代
遮水シート敷設概略図
参図-4.2.5
4.2.6 端部の処理(天端固定)
遮水シート敷設概略図
4.2.6 端部の処理(天端固定)
法肩から 500~1500 mm 離れた位置に、300×300~500 mm の溝を造り、シートを敷込み、コンクリート、
法肩から 500~1500 mm 離れた位置に、300×300~500 mm の溝を造り、シートを敷込み、コンクリート又
又は土で埋戻す。また、U 字溝を使用する場合もある。法肩がコンクリートの場合は緩衝材を敷くことが必要 は土で埋戻す。また、U 字溝を使用する場合もある。法肩がコンクリートの場合は緩衝材を敷くことが必要で
。
である(参図-4.2.6~参図-4.2.8)
。
ある(参図-4.2.6~参図-4.2.8)
U 字溝
300
シート
シート
シート
単位:(mm)
500~1500 300~500
シート
単位:(mm)
500~1500 300~500
参図-4.2.6 天端処理の例
参図-4.2.6 天端処理の例
シート
シート
接合部
接合部
シート
シート
U 字溝
コンクリートまたは土
300
コンクリートまたは土
シート
シート
緩衝材
コンクリートまたは土
参図-4.2.7
小段部処理の例
緩衝材
コンクリートまたは土
参図-4.2.8
緩衝材を使用する場合の例
参図-4.2.7
小段部処理の例
4.2.7 シートの現場接合の事例
4.2.7 シートの現場接合の事例
(1) 合成ゴム系シートの場合
(1) 合成ゴム系シートの場合
参図-4.2.8
緩衝材を使用する場合の例
土木用遮水シートとして広幅加工されたシートを現場所定位置に敷設後、現場でのジョイント作業を行
土木用遮水シートとして広幅加工されたシートを現場所定位置に敷設後、現場でのジョイント作業を行
う。現場でのジョイントは、シートとシートのラップ(重ね代)を取り、シートジョイント用の接着剤を
う。現場でのジョイントは、シートとシートのラップ(重ね代)を取り、シートジョイント用の接着剤を
塗布し、オープンタイム(30 分前後)を取り、指触乾燥(接着剤が指に付着しなくなる状態)確認後にジ
塗布し、オープンタイム(30 分前後)を取り、指触乾燥(接着剤が指に付着しなくなる状態)確認後にジ
ョイント部を張合せ、ハンドローラで転圧を行う。ラップ部接着後、ジョイント端部小口のめくれ防止と
ョイント部を張合せ、ハンドローラで転圧を行う。ラップ部接着後、ジョイント端部小口のめくれ防止と
して補強テープ( 70~100 mm 幅)を張合せ、ハンドローラで転圧を行う。なお、接着剤には接着テープ
して補強テープ( 70~100 mm 幅)を張合せ、ハンドローラで転圧を行う。なお、接着剤には接着テープ
タイプのものもある。
タイプのものもある。
180
考
改
定
現
シートの現場ジョイント施工例を、参図-4.2.9 に示す。
行
備
シートの現場ジョイント施工例を、参図-4.2.9 に示す。
70
70
補強テープ
シート用接着剤
補強テープ
シート用接着剤
200
200
100
100
シート用接着剤
シート用接着剤
補強テープ
50
200
補強テープ
50
シーリングテープ
200
単位:(mm)
参図-4.2.9 現場ジョイント施工例(合成ゴム系シート)
シーリングテープ
単位:(mm)
参図-4.2.9 現場ジョイント施工例(合成ゴム系シート)
シートの現場ジョイント施工の留意点を、次に示す。
シートの現場ジョイント施工の留意点を、次に示す。
① 低温時(約 5℃ 以下)及び降雨時の施工は避ける。
① 低温時(約 5℃ 以下)及び降雨時の施工は避ける。
② 接着表面は乾燥させ、泥、ほこり、油脂分等を除去清掃する。
② 接着表面は乾燥させ、泥、ほこり、油脂分等を除去清掃する。
③ 接着剤の乾燥程度は、指触乾燥(接着剤が指に付着しなくなる状態)とする。
③ 接着剤の乾燥程度は、指触乾燥(接着剤が指に付着しなくなる状態)とする。
④ シート張合せ後、ハンドローラでの転圧を必ず行う。
④ シート張合せ後、ハンドローラでの転圧を必ず行う。
(2) 合成樹脂系シートの場合
(2) 合成樹脂系シートの場合
現場における溶着接合作業方式としては、下記の 2 種類がある。
現場における溶着接合作業方式としては、下記の 2 種類がある。
a. 携帯式熱風溶着機による接合方法
a. 携帯式熱風溶着機による接合方法
ヒータにより加熱されたエアをシート接合部に送風し、シート面を溶かすことにより溶着(溶融圧着)
させる方法(参図-4.2.10)である。
ヒータにより加熱されたエアをシート接合部に送風し、シート面を溶かすことにより溶着(溶融圧着)
させる方法(参図-4.2.10)である。
押圧(ハンドローラ等)
押圧(ハンドローラ等)
熱風
熱風
防水シート
防水シート
参図-4.2.10 携帯式熱風溶着機の場合 (概念図) (合成樹脂系シート)
携帯式熱風溶着機は、直線部、異形部、コーナー部、パイプ等の接合部において、補修個所等の溶着
接合作業が可能である。
携帯式熱風溶着機の場合、シート溶着作業部の下面に下地板(ベニヤ板 300×600 mm 程度の大きさ)
参図-4.2.10 携帯式熱風溶着機の場合 (概念図) (合成樹脂系シート)
携帯式熱風溶着機は、直線部、異形部、コーナー部、パイプ等の接合部において、補修個所等の溶着
接合作業が可能である。
携帯式熱風溶着機の場合、シート溶着作業部の下面に下地板(ベニヤ板 300×600 mm 程度の大きさ)
を敷き、溶着作業の移動に伴い下地板も移動させながら行うことを、下地板挿入不可能な個所を除き標
を敷き、溶着作業の移動に伴い下地板も移動させながら行うことを、下地板挿入不可能な個所を除き標
準とする。
準とする。
181
考
改
定
現
b. 自走式溶着機による接合方法
行
備
b. 自走式溶着機による接合方法
基本的な原理は、携帯式熱風溶着機によるシート接合方法と同じであるが、作業方式が異なり溶着機
自体が自走し、シートを接合させる方法である。
基本的な原理は、携帯式熱風溶着機によるシート接合方法と同じであるが、作業方式が異なり溶着機
自体が自走し、シートを接合させる方法である。
自走式溶着機は携帯式熱風溶着機によるシート接合方法のような溶着接合作業ではなく、乾燥した平
滑面(例えば、コンクリート基盤上)での使用が可能である。
自走式溶着機は携帯式熱風溶着機によるシート接合方法のような溶着接合作業ではなく、乾燥した平
滑面(例えば、コンクリート基盤上)での使用が可能である。
4.2.8 シートのコンクリート構造物への接合事例
4.2.8 シートのコンクリート構造物への接合事例
遮水シート工法では、水密性確保の点で、コンクリート構造物への取付けについて、特に配慮しなければ
遮水シート工法では、水密性確保の点で、コンクリート構造物への取付けについて、特に配慮しなければ
ならない。構造物周辺は締固めを十分に行うが、貯水後の構造物周辺部での多少の沈下は避け難いため、十 ならない。構造物周辺は締固めを十分に行うが、貯水後の構造物周辺部での多少の沈下は避け難いため、十
分な接着幅の確保が重要といえる。
分な接着幅の確保が重要といえる。
コンクリート構造物とシートとの境界面からの漏水を防止するためには、この部分を遮水構造にする必要
がある。
コンクリート構造物とシートとの境界面からの漏水を防止するためには、この部分を遮水構造にする必要
がある。
a
コンクリートピンまたは
ホールインアンカー
b
a
コーキング材
接着
シート
コンクリートピンまたは
ホールインアンカー
b
コーキング材
接着
押え材板
シート
シート
参図-4.2.11 既設コンクリート構造物へのシート取付方法例
押え材板
シート
参図-4.2.11 既設コンクリート構造物へのシート取付方法例
参図-4.2.11 は、主に既設のコンクリート構造物へシートを接合する場合の工法である。
参図-4.2.11 は、主に既設のコンクリート構造物へシートを接合する場合の工法である。
b の取付方法では特にシート施工後、シートが引っ張られることが予想されるため、強度的にも安全性が要
b の取付方法では特にシート施工後、シートが引っ張られることが予想されるため、強度的にも安全性が要
求される。
合成ゴム系シートの場合、コンクリート構造物への接着接合においては、接着幅を 30 cm 以上確保する。既
求される。
合成ゴム系シートの場合、コンクリート構造物への接着接合においては、接着幅を 30 cm 以上確保する。既
設構造物において接着幅の確保が難しい場合には、エプロンコンクリート(帯コンクリート)を周囲に設ける。 設構造物において接着幅の確保が難しい場合には、エプロンコンクリート(帯コンクリート)を周囲に設ける。
なお、できる限り水平方向の取付けとし、立ち上がり方向への取付けは避けることが望ましい。接着接合
のシート端部は、小口のめくれ防止として、金具固定とシーリングを行う。
シートのコンクリート構造物への接着接合の施工例を、参図-4.2.12、参図-4.2.13 に示す。
なお、できる限り水平方向の取付けとし、立ち上がり方向への取付けは避けることが望ましい。接着接合
のシート端部は、小口のめくれ防止として、金具固定とシーリングを行う。
シートのコンクリート構造物への接着接合の施工例を、参図-4.2.12、参図-4.2.13 に示す。
182
考
改
定
現
固定金具ピン止め
行
備
固定金具ピン止め
シート用接着剤
シート用接着剤
シーリング材
シーリング材
300
既設構造物
既設構造物
300
エプロンコンクリート
挿筋
エプロンコンクリート
挿筋
単位:(mm)
単位:(mm)
参図-4.2.12 コンクリート構造物(独立構造物)への接着接合の施工例(合成ゴム系シートの例)
参図-4.2.12 コンクリート構造物(独立構造物)への接着接合の施工例(合成ゴム系シートの例)
シート/シート用接着剤
シート/シート用接着剤
シート/コンクリート用接着剤
エプロンコンクリート
シート/コンクリート用接着剤
本体シート
補強シート
参図-4.2.13 コンクリート構造物(パイプ周り)への接着接合の施工例(合成ゴム系シートの例)
4.2.9 シートの施工状態の確認と補修及び補強
エプロンコンクリート
参図-4.2.13 コンクリート構造物(パイプ周り)への接着接合の施工例(合成ゴム系シートの例)
4.2.9 シートの施工状態の確認と補修及び補強
必要に応じて補強シートの増張り、シーリング等の処置を行う。
必要に応じて補強シートの増張り、シーリング等の処置を行う。
シート敷設施工の点検は、端末処理等を行った後、
シート敷設施工の点検は、端末処理等を行った後、
① シートの現場接合が確実になされているか
① シートの現場接合が確実になされているか
② コンクリート構造物との接合が確実になされているか
② コンクリート構造物との接合が確実になされているか
③ パイプ周りの処理が確実になされているか
③ パイプ周りの処理が確実になされているか
④ シートに損傷個所はないか
④ シートに損傷個所はないか
⑤ シート天端部の埋込み等の処理が確実になされているか
⑤ シート天端部の埋込み等の処理が確実になされているか
等について、目視、又は現場接合部をドライバー等の先端部による剥離チェック(ドライバーチェック)
等の方法により入念に行う。点検の結果、発見された不良個所は必ず補修、又は手直しを行う。
本体シート
補強シート
等について、目視又は現場接合部をドライバー等の先端部による剥離チェック(ドライバーチェック)等
の方法により入念に行う。点検の結果、発見された不良個所は必ず補修又は手直しを行う。
183
考
改
定
参考資料
現
行
参考資料
5. 池内堆積泥土の固化処理
5.1. 池内堆積泥土の固化処理
ため池内には、長い年月の経過により泥土が堆積している場合が多く、そのまま放置すれば、水質の悪化
5. 池内堆積泥土の固化処理
5.1. 池内堆積泥土の固化処理
ため池内には、長い年月の経過により泥土が堆積している場合が多く、そのまま放置すれば、水質の悪化
や貯水容量の低下等ため池の機能を阻害することにもなるため、状況に応じてその除去が望まれる。また、 や貯水容量の低下等ため池の機能を阻害することにもなるため、状況に応じてその除去が望まれる。また、
そのようなため池の改修工事に当たっては、施工機械のトラフィカビリティ確保や堤体安定性の向上等のた そのようなため池の改修工事に当たっては、施工機械のトラフィカビリティ確保や堤体安定性の向上等のた
め、泥土を固化処理(あるいは、固化処理+池外搬出)する必要がある。
め、泥土を固化処理(あるいは、固化処理+池外搬出)する必要がある。
池内堆積泥土等の軟弱地盤の固化処理目的別の主な用途は、次に示す 4 項目に分類することができる。
池内堆積泥土等の軟弱地盤の固化処理目的別の主な用途は、次に示す 4 項目に分類することができる。
① 仮設工事用
① 仮設工事用
② 本設構造物の支持
② 本設構造物の支持
③ 液状化防止
③ 液状化防止
④ 環境保全のための表層改良
④ 環境保全のための表層改良
上記①は、一時的な土構造物としての機能、例えば建設資材、機械の搬入を可能にする仮設道路の機能、
上記①は、一時的な土構造物としての機能、例えば建設資材、機械の搬入を可能にする仮設道路の機能、
及び重機走行並びに重機作業足場としての支持地盤等、仮設土構造物としての機能を果たすために行う改良 及び重機走行並びに重機作業足場としての支持地盤等、仮設土構造物としての機能を果たすために行う改良
である。
②は、本設の土構造物として、種々の外力に対して安全を図るために行う改良である。種々の作用する外
である。
②は、本設の土構造物として、種々の外力に対して安全を図るために行う改良である。種々の作用する外
力には、重機荷重、構造物荷重等の上載荷重、土圧、水圧、地震力等がある。本設土構造物では、支持力、 力には、重機荷重、構造物荷重等の上載荷重、土圧、水圧、地震力等がある。本設土構造物では、支持力、
すべりに対する安定、及び沈下量の検討を併せて行う。また、未改良土に比較して改良土の強さが著しく大 すべりに対する安定、及び沈下量の検討を併せて行う。また、未改良土に比較して改良土の強さが著しく大
きくなる場合は、剛な構造物として内部応力が許容応力を超えないように設計する。
③は、飽和砂地盤等における液状化対策として行う改良であり、④は、乾燥した土砂の飛散防止並びに悪
臭発生防止等の環境保全の見地から行う、当該地表層の改良である。
池内堆積泥土の固化処理については、対象土質、現場の条件、処理の目的、工期及び経済性等を十分に把
握検討し、適切な設計をする必要がある。
きくなる場合は、剛な構造物として内部応力が許容応力を超えないように設計する。
③は、飽和砂地盤等における液状化対策として行う改良であり、④は、乾燥した土砂の飛散防止並びに悪
臭発生防止等の環境保全の見地から行う、当該地表層の改良である。
池内堆積泥土の固化処理については、対象土質、現場の条件、処理の目的、工期及び経済性等を十分に把
握検討し、適切な設計をする必要がある。
なお、設計の基本的な手順を示すと、参図-5.1.1 のとおりである。
なお、設計の基本的な手順を示すと、参図-5.1.1 のとおりである。
改良地盤の強さと改良範囲を求める手順は、まず、改良地盤にかかる応力に耐えうるだけの強さを決め、
改良地盤の強さと改良範囲を求める手順は、まず、改良地盤にかかる応力に耐えうるだけの強さを決め、
次に内部応力に対する安全性のチェックを行って強さを確認し、さらに原地盤の支持力、沈下量あるいは複 次に内部応力に対する安全性のチェックを行って強さを確認し、さらに原地盤の支持力、沈下量あるいは複
合地盤としてのせん断抵抗力の検討により改良範囲を決定する方法が基本である。
合地盤としてのせん断抵抗力の検討により改良範囲を決定する方法が基本である。
184
備
考
改
定
企
現
画
行
企
画
・他の工法との比較
経済性
施工性
現
地
調
・他の工法との比較
経済性
施工性
査
現
地
調
・試料採取
・現位置試験
室
内
試
備
査
・試料採取
・現位置試験
験
室
内
試
験
施工方法の決定
施工方法の決定
配
配
合
設
計
諸基準決定
設
計
諸基準決定
・固化材添加量
・基準密度
・基準強度
・六価クロム溶出試験
施
合
・固化材添加量
・基準密度
・基準強度
・六価クロム溶出試験
工
施
参図-5.1.1 設計の手順
工
参図-5.1.1 設計の手順
(1) 現地調査及び室内試験
(1) 現地調査及び室内試験
適切な調査位置あるいは試料採取位置は、一般的には目視で判断して決定することが難しい場合が多い
適切な調査位置あるいは試料採取位置は、一般的には目視で判断して決定することが難しい場合が多い
ので、調査地域をまず一定区分に分割(規模、固化処理の目的等で異なるが、おおむね 200~500 m 程度)
ので、調査地域をまず一定区分に分割(規模、固化処理の目的等で異なるが、おおむね 200~500 m2 程度)
し、調査するとよい。また、室内試験の項目は、安定処理の目的によって異なるが、次のような項目を行
し、調査するとよい。また、室内試験の項目は、安定処理の目的によって異なるが、次のような項目を行
う。
う。
2
① 含水比
① 含水比
② 密度
② 密度
③ 土粒子の比重
③ 土粒子の比重
④ pH
④ pH
⑤ 75μm (試験用ふるい)通過質量百分率
⑤ 75μm (試験用ふるい)通過質量百分率
⑥ 有機物含有量
⑥ 有機物含有量
⑦ 液性限界
⑦ 液性限界
⑧ 塑性限界
⑧ 塑性限界
185
考
改
定
現
(2) 固化材の選定と配合設計
行
備
(2) 固化材の選定と配合設計
現地調査及び室内試験の結果から、利用目的に合った固化材の選定と、目標強度に合った配合試験を行
う。
現地調査及び室内試験の結果から、利用目的に合った固化材の選定と、目標強度に合った配合試験を行
う。
石灰系とセメント系の固化材の選定は、対象土、処理条件、期待する処理効果、目的、施工機械 (混合
機)、及び経済性等により行う。
石灰系とセメント系の固化材の選定は、対象土、処理条件、期待する処理効果、目的、施工機械 (混合
機)、及び経済性等により行う。
なお、配合設計における試料は、固化処理予定深さからなるべく均一に採取する。
なお、配合設計における試料は、固化処理予定深さからなるべく均一に採取する。
参表-5.1.1 石灰・セメント系固化材の概要分類
石 灰 系
①
生石灰、消石灰
②
石灰を主材として、石膏やフライアッシュ、スラグ粉末、酸化鉄等を
参表-5.1.1 石灰・セメント系固化材の概要分類
石 灰 系
①
生石灰、消石灰
②
石灰を主材として、石膏やフライアッシュ、スラグ粉末、酸化鉄等を
補助材として加えて製品化したもの。
セメント系
①
普通ポルトランドセメント
②
セメントを主材として、石膏や種々のソーダ類、還元材等を補助材と
補助材として加えて製品化したもの。
セメント系
①
普通ポルトランドセメント
②
セメントを主材として、石膏や種々のソーダ類、還元材等を補助材と
して加え、又はそれらを組合わせて製品化したもの。
土質分類
砂 質
シルト質
して加え、又はそれらを組合わせて製品化したもの。
土質分類
粘土質 有機質土
固化材
石 灰 系
石 灰 系
セメント系
セメント系
(3) 添加量の決定
砂 質
シルト質
粘土質 有機質土
固化材
(3) 添加量の決定
固化材の添加量は、配合試験により決定する。配合試験の方法は、固化材により異なり、セメント系は
固化材の添加量は、配合試験により決定する。配合試験の方法は、固化材により異なり、セメント系は
一般に一軸圧縮強度試験法(JIS A 1216)に準じ、石灰系は一軸圧縮強度試験法とCBR 試験法(JIS A 1211)
一般に一軸圧縮強度試験法(JIS A 1216)に準じ、石灰系は一軸圧縮強度試験法とCBR 試験法(JIS A 1211)
に準じて実施する。
に準じて実施する。
添加量は、土の乾燥単位体積重量に対して固化材の重量を添加百分率で表す場合と、土の自然含水比そ
添加量は、土の乾燥単位体積重量に対して固化材の重量を添加百分率で表す場合と、土の自然含水比そ
のままの状態での単位体積重量に対しての割合で表す場合とがあるが、いずれにせよ、採取した土に適当
のままの状態での単位体積重量に対しての割合で表す場合とがあるが、いずれにせよ、採取した土に適当
と予想される添加量を中心に、3 ~ 5 水準の添加量を設定して試験を行い、その結果を添加量と強度(一
と予想される添加量を中心に、3 ~ 5 水準の添加量を設定して試験を行い、その結果を添加量と強度(一
軸圧縮強さ)のグラフにし、目標とする強度に対する添加量を求める。
軸圧縮強さ)のグラフにし、目標とする強度に対する添加量を求める。
一軸圧縮強さ qu は、ポータブルコーン貫入試験によるコーン貫入抵抗 qc との相関を示す次式から推定す
る。
ポータブルコーン貫入試験によるコーン貫入抵抗 qc との相関を示す次式から推定す
一軸圧縮強さ qu は、
る。
qu≒
1
q
5 c
(単管式コーン)
qu≒
1
q
5 c
(単管式コーン)
しかし、この添加量はあくまでも室内試験の結果であり、この添加量で施工した場合、土質状態、機械
しかし、この添加量はあくまでも室内試験の結果であり、この添加量で施工した場合、土質状態、機械
の混合精度、養生状況等の影響から、室内試験強度を満たすことができない。よって、現場添加量は室内
の混合精度、養生状況等の影響から、室内試験強度を満たすことができない。よって、現場添加量は室内
試験で得られた値を割増す必要がある。
試験で得られた値を割増す必要がある。
現場添加量は、室内試験の結果得られたグラフを用いて、参図-5.1.2 のように設計強度を(現場/室内)
強度比で除した値に対応する量として求めることができる。
現場添加量は、室内試験の結果得られたグラフを用いて、参図-5.1.2 のように設計強度を(現場/室内)
強度比で除した値に対応する量として求めることができる。
186
考
改
定
現
参表-5.1.3 泥土の物理的性質(参考)
210
湿潤密度(g/cm3)
2.49
14
シルト分(75~ 5μm)
45
粘土分(5μm 以下)
41
粒 度 %
粒 度 %
砂分(2.0 mm~ 75μm)
設計強度
添加量(%, kg/m )
参図-5.1.2 現場添加量の決め方
)
(
3
コロイド分(1μm 以下)
20
有機物 ig.loss(%)
14.6
土粒子比重
2.49
砂分(2.0 mm~ 75μm)
14
シルト分(75~ 5μm)
45
粘土分(5μm 以下)
41
コロイド分(1μm 以下)
20
参表-5.1.4 建設機械の走行に必要なコーン貫入抵抗
ポータブルコーン貫入試験による
コーン貫入抵抗 qc (kN/m2)
建設機械の種類
1.257
現場添加量
土粒子比重
設計強度÷
(現場/室内)強度比
210
湿潤密度(g/cm3)
現場添加量
14.6
一軸圧縮強さ qu(kN/m2)
1.257
有機物 ig.loss(%)
含水比 (%)
設計強度÷
(現場/室内)強度比
)
(
含水比 (%)
備
一軸圧縮強さ qu(kN/m2)
参表-5.1.3 泥土の物理的性質(参考)
行
設計強度
添加量(%, kg/m3)
参図-5.1.2 現場添加量の決め方
参表-5.1.4 建設機械の走行に必要なコーン貫入抵抗
建設機械の接地圧
(kN/m2)
ポータブルコーン貫入試験による
コーン貫入抵抗 qc (kN/m2)
建設機械の種類
建設機械の接地圧
(kN/m2)
超湿地ブルドーザ
200 以上
15 ~ 23
超湿地ブルドーザ
200 以上
15 ~ 23
湿地ブルドーザ
300 〃
22 ~ 43
湿地ブルドーザ
300 〃
22 ~ 43
普通ブルドーザ(15 t 級程度)
500 〃
50 ~ 60
普通ブルドーザ(15 t 級程度)
500 〃
50 ~ 60
普通ブルドーザ(21 t 級程度)
700 〃
60 ~ 100
普通ブルドーザ(21 t 級程度)
700 〃
60 ~ 100
スクレープドーザ
600 〃(超湿地型は 400 以上)
41 ~ 56 (27)
スクレープドーザ
600 〃(超湿地型は 400 以上)
41 ~ 56 (27)
被けん引式スクレーパ(小型)
700 〃
130 ~ 140
被けん引式スクレーパ(小型)
700 〃
130 ~ 140
自走式スクレーパ(小型)
1000 〃
400 ~ 450
自走式スクレーパ(小型)
1000 〃
400 ~ 450
ダンプトラック
1200 〃
350 ~ 550
ダンプトラック
1200 〃
350 ~ 550
参表-5.1.5 (現場/室内)強度比の一例
固化材の添加形態
改良の対象
軟弱土※
粉
施工機械
参表-5.1.5 (現場/室内)強度比の一例
(現場/室内)
強度比
スタビライザ
0.5~0.8
バックホウ
0.3~0.7
固化材の添加形態
軟弱土※
体
粉
ヘドロ
クラムシェル
高含水有機質土
バックホウ
軟弱土※
スラリー
ヘドロ
高含水有機質土
※締固めを伴う場合も含む。
0.5~0.8
バックホウ
0.4~0.7
処理船
0.5~0.8
泥上作業車
0.3~0.7
クラムシェル・バックホウ
0.3~0.6
(現場/室内)
強度比
スタビライザ
0.5~0.8
バックホウ
0.3~0.7
ヘドロ
クラムシェル
高含水有機質土
バックホウ
軟弱土※
スラリー
ヘドロ
高含水有機質土
※締固めを伴う場合も含む。
187
施工機械
体
0.2~0.5
スタビライザ
改良の対象
0.2~0.5
スタビライザ
0.5~0.8
バックホウ
0.4~0.7
処理船
0.5~0.8
泥上作業車
0.3~0.7
クラムシェル・バックホウ
0.3~0.6
考
改
定
現
(4) 施工方法
行
備
(4) 施工方法
泥土処理の基本的な施工方法についての手順を、参図-5.1.3 に示す。
準備工
固化材搬入
散布機積込
泥土処理の基本的な施工方法についての手順を、参図-5.1.3 に示す。
運搬
散布
機械
準備工
固化材搬入
散布機積込
運搬
散布
人力
養 生
2 次混合
混
合
表層土質
安定処理機
本養生
人力
養 生
2 次混合
仕上げ
機械
仮整正
初期養生
混
合
表層土質
安定処理機
仮 転 圧
仕上げ
本養生
参図-5.1.3 施工の手順
① 固化材の散布
室内で決定した固化材を混入原単位に従って処理対象土上に均等に散布することになるが、固化材の
仮整正
初期養生
仮 転 圧
参図-5.1.3 施工の手順
① 固化材の散布
室内で決定した固化材を混入原単位に従って処理対象土上に均等に散布することになるが、固化材の
運搬と散布は、現場条件、土質条件、工事規模等によって、人力、又は機械、若しくはその併用にて行
運搬と散布は、現場条件、土質条件、工事規模等によって、人力又は機械、若しくはその併用にて行う。
う。
② 混合機及び混合作業
② 混合機及び混合作業
施工機械は種々の機種があるが、大別するとベースマシンが車輪式と履帯式があり、その履帯式も一
般のクローラタイプのものと泥上履帯式にわかれる。これらは、攪拌用アタッチメントを装備した特殊
バックホウ、又はスタビライザ等の混合機によって、固化材と対象土とを混合するものである。
一般的に一層の混合深さは、対象土の性状、施工機械の種類及び性能によって、20~150cm程度の深
施工機械は種々の機種があるが、大別するとベースマシンが車輪式と履帯式があり、その履帯式も一
般のクローラタイプのものと泥上履帯式にわかれる。これらは、攪拌用アタッチメントを装備した特殊
バックホウ、またはスタビライザ等の混合機によって、固化材と対象土とを混合するものである。
一般的に一層の混合深さは、対象土の性状、施工機械の種類及び性能によって、20~150cm程度の深
さまで混合することが可能である。また、特殊なトレンチャー式混合装置を装着した専用機械もあり、
さまで混合することが可能である。また、特殊なトレンチャー式混合装置を装着した専用機械もあり、
その機械を使用すれば 150 cm 以深でも混合が可能である。
その機械を使用すれば 150 cm 以深でも混合が可能である。
③ 品質管理
③ 品質管理
品質管理について統一的なものは確立されていないが、現在行われているものについて標準的と思わ
品質管理について統一的なものは確立されていないが、現在行われているものについて標準的と思わ
れるものを、参表-5.1.6 に示す。
れるものを、参表-5.1.6 に示す。
188
考