AQMネットワークの輻輳制御器設計と実験的検証

論 文
À½ 制御による Ì È» ÉÅ ネットワークの輻輳制御器設計と
実験的検証
学生員
内藤 浩行£
正 員
東
剛人£
非会員
西村 昭彦£
非会員
藤田 政之£
ÜÔ Ö Ñ ÒØ Ð Î Ö ¬ Ø ÓÒ Ó À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö× ÓÖ Ì È» ÉÅ Æ ØÛÓÖ ×
Æ ØÓ À ÖÓÝÙ £¸ ËØÙ ÒØ Å Ñ Ö¸ ÞÙÑ Ì ØÓ£¸ Å Ñ Ö¸ Æ × ÑÙÖ
Ó£¸ ÆÓÒ¹Ñ Ñ Ö¸
Ù Ø Å × ÝÙ £ ¸ ÆÓÒ¹Ñ Ñ Ö
Ì ÔÙÖÔÓ× Ó Ø × Ô Ô Ö × ØÓ × Ò ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö ÓÖ Ì È» ÉÅ Ò ØÛÓÖ × × ÓÒ Ø À½
ÓÒØÖÓÐ Ø ÓÖݸ Ò Ú Ð Ø Ø « Ø Ú Ò ×× Ó Ø
× Ò À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö Ú Ø ×Ø Û
× Ø ×Ñ ÐÐ¹× Ð Ò ØÛÓÖ ÓÖ Ú Ö ¬ Ø ÓÒ Ó Ø
× Ò À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Öº Ö×ØÐݸ ÒÓÒÐ Ò Ö Ò
Ø Ð Ò Ö Þ ÑÓ Ð Ó Ì È» ÉÅ Ò ØÛÓÖ × Ö ÒØÖÓ Ù ¸ Ò ÓÒØÖÓÐ Ó Ø Ú × Ö × Ö º Ì À½
ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö × × Ò Ý ×ÓÐÚ Ò Ø Ñ Ü × Ò× Ø Ú ØÝ ÔÖÓ Ð Ñ ÓÖ Ø Ð Ò Ö Þ ÑÓ Ðº ÁÒ ÓÖ Ö
ØÓ Ú Ö Ý Ø
× Ò À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö¸ Û × ÓÛ × ÑÙÐ Ø ÓÒ Ö ×ÙÐØ× Ù× Ò ËÁÅÍÄÁÆÃ Ò Ò×¹¾
× ÑÙÐ ØÓÖ¸ Ò ÓÑÔ Ö Ø ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö Ú ÈÁ ÓÒØÖÓÐ Û Ø Ø
× Ò À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Öº
ÓÖ Ú Ö ¬ Ø ÓÒ Ó Ø « Ø Ú Ò ×× Ó Ø
× Ò À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö
Ò ÐÐݸ Û Ú ÐÓÔ Ø ×Ø
Û
× ÑÔÐ Ñ ÒØ ØÓ Ø Ø ×Ø
Ý ÑÔÖÓÚ Ò Ä ÒÙÜ ÖÒ Ð Ò ÖÖÝ ÓÙØ Ò ÜÔ Ö Ñ Òغ × ÜÔ Ö ¹
Ñ ÒØ Ð Ö ×ÙÐØ× Ù× Ò Ø
Ú ÐÓÔ Ø ×Ø ¸ Û × ÓÛ Ø ÕÙ Ù × Þ Ò Ø ÖÓÙØ Ö¸ Û Ö Ø
× Ò À½
ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö × ÑÔÐ Ñ ÒØ ¸ Ò ÓÒ¬ÖÑ Ø Ø Ø ÓÒØÖÓÐ Ó Ø Ú × Ö
Ú º
À½ 制御,Ì È, ÉÅ,Ì ×Ø
キーワード :輻輳制御,
à ÝÛÓÖ × ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓи À½ ÓÒØÖÓи ØÖ Ò×Ñ ×× ÓÒ ÓÒØÖÓÐ ÔÖÓØÓ Óи Ø Ú ÕÙ Ù Ñ Ò Ñ Òظ Ì ×Ø
ÉÅ´ Ø Ú ÉÙ Ù
Å Ò Ñ Òص 機構が有効であり,いくつかの ÉÅ 機構
½º は じ め に
間ノード がネットワーク管理を行う
近年,インターネットに代表されるコンピュータネット
が提案されている ´¿µ ´
は輻輳状態と呼ばれる)が大きな問題となっている
ンターネットにおいて用いられる通信規約
。
従来提案されている ÉÅ 機構の一つである Ê
´Ê Ò¹
ÓÑ ÖÐÝ Ø Ø ÓÒµ は,実験的アプローチに基づいてお
ワークでは,データ送受信時のネットワークの混雑(これ
´ µ
µ ´½¿µ
。イ
Ì È ´ÌÖ Ò×¹
り,シミュレーションによってその有効性の検証が行われ
Ê
Ñ ×× ÓÒ ÓÒØÖÓÐ ÈÖÓØÓ Óе は輻輳状態を解消するための
ている ´¿µ 。このように,
は理論的に裏付けされたも
輻輳制御機構を有し ,パケットロスに基づく重複受信確認
のではないため,実ネットワークにおける利用率や効率性
信号( 重複
を十分に補償するものではない。また,
ÒÓÛÐ
Ñ ÒØ
重複
Ê
à ),もし くは
´ µ ´ µ ´½¼µ ´½ µ
を用いる際に
。この制
はパラメータのチューニングを必要とするが,利用率や効
御法では,ネットワーク中にて一時的に輻輳状態が発生し
率性を考慮した適切なパラメータチューニングは困難であ
た後に輻輳制御機構を用いて制御が行われるため,通信の
る ´¾µ 。このため,利用率や効率性を考慮した適切なチュー
タイムアウトにより制御を行っている
ÉÅ 機構( 輻輳制御器)を設計する
´ µ では,Ì È ネットワーク
と ÉÅ 機構により構成される Ì È» ÉÅ ´ÌÖ Ò×Ñ ×¹
× ÓÒ ÓÒØÖÓÐ ÈÖÓØÓ Óл Ø Ú ÉÙ Ù Å Ò Ñ Òص ネッ
ニングが可能となる
効率性に欠ける。このため,より効率の良い輻輳制御によ
ことが必要である。参考文献
る通信を行うためには,ネットワーク機構の情報を持つ中
£ 金沢大学 大学院 自然科学研究科
¾¼¹
金沢市小立野 ¾¹ ¼¹¾¼
Ö Ù Ø Ë ÓÓÐ Ó Æ ØÙÖ Ð Ë Ò Ò Ì ÒÓÐÓ Ý,
Ã Ò Þ Û ÍÒ Ú Ö× ØÝ
¾¹ ¼¹¾¼ ÃÓ Ø×ÙÒÓ,Ã Ò Þ Û ØÝ Á× Û ¾¼¹ ,
Â È Æ
〒
電学論
,½¾ 巻
½¼ 号,平成 ½
年
トワークの非線形モデルを平衡点近傍で線形化し ,導出し
た線形モデルに対し
Ê
の解析やチューニングがなされ,
È 制御および ÈÁ 制御により輻輳制御器の設計が行われて
´½¿µ では, Ì È» ÉÅ ネットワー
いる。また,参考文献
½
クを
ÄÈÎ ´Ä Ò Ö È Ö Ñ Ø Ö Î ÖÝ Ò µ システムと捉えゲ
インスケジューリング手法 ´½½µ を用いて輻輳制御器の設計
が行われている。しかしながら,これらの研究 ´
µ ´½¿µ
Sender 1
では
ËÁÅÍÄÁÆà およびネットワークシミュレータ Ò×¹¾ ´Æ ع
ÛÓÖ Ë ÑÙÐ ØÓÖ Î Öº¾µ を用いたシミュレーションによ
Sender 2
´½µ
Receiver
Bottleneck
Router
りその有効性が検証されているだけであり,実機を用いた
実証は行われてない。
Ì È» ÉÅ ネットワークに対し À½ 制御に
よる輻輳制御器の設計を行い,Ì ×Ø
を用いてその有効
性の検証を行う。Ì È» ÉÅ ネットワークにおいては,ボ
Sender n
本稿では,
図 ½ ネットワークトポロジ。
º ½º Æ ØÛÓÖ ØÓÔÓÐÓ Ýº
トルネックルータにおいてパケット廃棄を行うことにより
Ì È が元来有している輻輳制御機構を働かせて,
ネットワーク内の輻輳を回避する。しかし ,送信側 Ì È
る場合に相当する。このネットワークでは,左からパケット
送信側の
を送信する送信側ノード 群(図
½ 中の Ë Ò Ö ½ßÒ ) とパ
½ 中の Ê Ú Ö ),そ
の輻輳制御機構を働かせるため,ボトルネックルータにお
ケットを受信する受信側ノード (図
けるキューサイズの応答は振動的になってしまい,その振
れらを接続するリンクとパケットを受信側ノード へと配信
動が大きい場合それは輻輳を引き起こす原因になる。そこ
する中間ノードとなるボトルネックルータ(図
で,このキューサイズの応答をその平均的な応答と振動的
ØÐ Ò
な振る舞い( 振動成分)の2つに切り離して考え,キュー
ド 群と受信側ノード では
½ 中の Óع
サイズの平均的な応答を出力として振動的な振る舞いを出
ÊÓÙØ Ö ) により構成される.そして,送信側ノー
Ì È によって通信が行われる。
送信側ノード 上の Ì È ウィンド ウサイズとボトルネッ
力端に加わる一つの外乱として捉え,その影響を小さくす
クルータのキューサイズの数式モデル( 非線形モデル )を
るために,外乱に対してロバストな制御器を設計すること
式
が可能な
À½ 制御を適用して,振動的な応答の振動幅の
抑制が期待できかつより良好な制御性能を発揮する輻輳制
Ì È» ÉÅ ネットワークの
御器の設計を目指す。まず,
非線形モデルを示し ,平衡点周りで線形化し ,線形モデル
を導出する ´ µ 。そして,導出された線形モデルに対し
À½
´½µ¸´¾µ に示す 。
Û״ص ʽ´Øµ Û×¾´Øµ ÛÊ×´´ØØ ÊÊ´´Øصµµµ Ô´Ø Ê´Øµµ´½µ
մص Æ ´Øµ ÛÊ×´´Øصµ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´¾µ
´ µ
Û
¼ Û
イズ, ¾
¼ ÕÑ Ü
Ì È
ただし , × ¾
×Ñ Ü は送信側ノード 群の平均
ウィンド ウサイズ, ×Ñ Ü は
の最大ウィンド ウサ
制御を適用し ,輻輳制御器の設計を行う。つぎに,設計し
Ì È» ÉÅ ネットワークの非線形モ
デルを用いて,ËÁÅÍÄÁÆÃ によりシミュレーションを行
Õ
た輻輳制御器および
Û
Ì È
Õ
Æ
は平均キューサイズ, Ñ Ü はボト
は
ルネックルータにおける最大キューサ イズ,
Ì È
行い,
Ô ¼ ½ はパケットマーク確率, は
Ê は情報伝達遅れをそれぞれ表す。また,平
衡点を ´Û×¼ Õ¼ Ô¼ µ としてその近傍にて線形化を行い,
ÆÕ Õ Õ¼ ¸ ÆÔ Ô Ô¼ とすると,線形モデル ´×µ( ÆÔ
から ÆÕ までの伝達関数)は以下のように表される。ここ
で,ʼ は平均情報伝達遅れである.
´×µ ´È ´×µ¡´×µ Á µ ½ È ´×µ Ê ×
¾Æ
È ´×µ
¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´¿µ
¾
Æ
×· Ê
× · ʽ
¾
¡´×µ ʾƾ ׿ ´½ Ê × µ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´ µ
¼
本稿で設計する輻輳制御器( ÉÅ 機構)は ÆÕ をフィー
ド バックし ÆÔ を出力とするコントローラとして与えられ
輻輳制御器を実装し ,実験によりその有効性を検証する。
れる
う。さらに,Ò×¹¾ シミュレータを用いたシミュレーション
セッション数, ¾
により,設計した輻輳制御器の有効性を検証する。そして,
検証用小規模ネットワークである
Ì ×Ø
キュー容量,
を構築し,設計
した輻輳制御器をルータのカーネルにプログラムとして実
装し ,その有効性の検証を行う。これは,従来シミュレー
ションおよびシミュレータでのみ検証されていたルータ上
の
ÉÅ 機構( 輻輳制御器)の有効性を,Ì ×Ø
り実際に検証することになり,特に,制御理論(
理論)による
なる。
によ
À½ 制御
¼
ÉÅ 機構設計の有効性を実際に示すものと
¾
以下, 節では,問題設定を行い
¾
Ì È» ÉÅ ネットワー
¾
¼
クの非線形モデルおよび平衡点周りでの線形モデルを示し,
¿
¼
¾
本稿における制御目的を述べる。 節では, 節にて導出し
た線形モデルに対し
À½ 制御を用いて輻輳制御器の設計を
ËÁÅÍÄÁÆÃ および Ò×¹¾ を用いたシミュレーショ
ンを行う。 節では,Ì ×Ø
を構築し ,¿ 節で設計した
Ì È ネットワークと ÉÅ 機構から構成さ
Ì È» ÉÅ ネットワークの制御目的を以下のものと
る。そして,
する。
¾º ネット ワークモデルと問題設定
本稿で扱うネットワークは図
¼
½ ) キューサイズをオーバーフロー( またはゼロ)に
することなく一定値 ´ÕÑ Ü ¾µ に保つ。
( ¾ ) 外乱として,´ µ キューサイズの応答が有する振動
(
½ である。このようなトポ
ロジは,複数のクライアントマシンに対しサーバを運用す
¾
̺Á
Â Ô Ò¸ ÎÓк ½¾ ¹ ¸ ÆÓº½¼¸ ¾¼¼
À½ 制御による Ì È» ÉÅ ネットワークの輻輳制御器設計と実験的検証
qmax
2
w
-
1- e-R0 s
δp
+
図¾
WS(s)
∆(s)
-
WT(s)
δq
+
-P(s)
+
δp
È ´×µ と乗法的不確かさ。
図
N 2qmax
(
δp
2
R0C2
)( )
s+1
2.1R0s
1+R0s
Ò
+
+
-P(s)
図¿
δq
Ò
´ÕÑ Ü ¾µ に保つ。
御目的を満たすために線形モデル式
前節の制
´¿µ¸´ µ に対し À½ 制
ÜÏ Ë
ÝÏ Ë
¼
ÆÕ ÕÑ Ü
考慮すると,ÆÕ が ¡´×µ に与える影響を陽に取り扱い,む
ことができる。また
だ時間要素 ʼ × を乗法的不確かさとして表現すると図
ÏË ´×µ 相補感度関
ÏÌ ´×µ を合併し ,次
ÏË ´×µ まで含んだ拡大
系を作るという手順を踏む。
´¾ ½Ê¼ ×µ ´½ · ʼ ×µ
。したがって,図 ¾ は図 ¿ へと等価変換
ÏÌ
ÏÌ
することができる。これを覆うように相補感度関数に対す
´ µ であ
´
Ò´
Ò
¾
¾
· ½ Ò · ¼Á µ
Ò · ½Á µ Ò
¾
Ò
とすると,一般化プラントの状態方程式は
ÜÒ
ÜÏ Ë
るルータから受信機へのリンク容量を考慮し ,リンク容量
が激しく変動することはないと仮定し ,これをキューに入
´ µ におけるセッション数の
高いゲインを持つように周波数重みを定める。このように
À½ コントローラを考える 。
なお,ノミナルプラント ´ È ´×µµ の状態方程式は
ÜÒ ÒÜÒ · ÒÙ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´ µ
Ý ÒÜÒ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´ µ
ÝÏ Ë
ÝÏ Ì
´½ µ
Ò
¼
ÏË
ÏÌ
ÏË
¼
ÏË
Û·
ÏË
·
¿
ÏË
ÜÒ
ÜÏ Ë
¼
Ò
·
増減は定値外乱とみなせることから,感度関数を低周波で
年
ÏÌ ´×µ はイン
と相補感度関数に対する周波数重み
に,感度関数に対する周波数重み
とまとめる。ただし, ʼ ×
して,混合感度問題による
Ù
Ï Ë ÙÏ Ë
ÏË ÏË
プロパーであり状態空間表現できない。そこで,制御対象
¾ ½Ê¼ ×
½ · ʼ ×
る周波数重みを決定する。また,制御目的(2)の
Ü ·
Ï Ë ÜÏ Ë ·
ÏË ÏË
しかし ,相補感度関数に対する周波数重み
¾
が得られる。それら乗法的不確かさを
½¼ 号,平成 ½
ÏÌ ´×µ を
ÆÕ で
と次のようになる。
È ´×µ Ê × と捉える
¾¸ ÆÔ ½ であることを
むだ時間項の影響のみを考慮すると ,½¾ 巻
ÆÛ× ÆÕ Ì ¸ Ù ÆÔ¸ Ý
¾ 次であるので,相補感度関数に対する周波数重み
ÏÌ ´×µ の分子の次数を ¾ 次とした。拡大系を作るために,
感度関数に対する周波数重み ÏË ´×µ を状態空間表現する
御による制御器設計を行う。まず,線形モデルに対し入力
電学論
µ
次数が
À½ 制御による輻輳制御器の設計
る低周波外乱と捉え,および
¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡´
とする。フルランク条件を満たすように,制御対象の相対
¿º 輻輳制御器の設計
を用いている
µ
ÏË ´×µ Ì Ã× Ë· ½ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´ µ
Ë
ÏÌ ´×µ ¾×¾ · ½ × · ¼ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´½¼µ
はキューサイズをオーバーフロー( またはゼロ)に
½
½
¡ ¡´
¼
Ò
ʽ¼
数に対する周波数重み
´ µ リンク容量の変動,´ µ セッショ
ン数 Æ の増減を考える.そして,´ µ に対しては振
動的な振る舞いを抑制し ,´ µ および ´ µ に対して
´½¾µ
¼
¾
ʾ¼Æ ¾
また,感度関数に対する周波数重み
的な振る舞い,
Æ ¾ ÕÑ Ü × · ½
ʼ¾ ¾
¼
となる。ただし , Ò
ある。
º ¿º È ´×µ Û Ø ÑÙÐØ ÔÐ Ø Ú ÙÒ ÖØ ÒØݺ
〈 ¿・½〉
¼
ʾ¾Æ
Æ
ʼ
Ò Ö Ð Þ ÔÐ Òغ
Ü
È ´×µ と乗法的不確かさ。
することなく一定値
一般化プラント。
º º
º ¾º È ´×µ Û Ø ÑÙÐØ ÔÐ Ø Ú ÙÒ ÖØ ÒØ ×º
yWS
δq
+
-P(s)
yWT
Ò
Ò
¼
ÏË
¼
Û·
¼
ÏÌ
Ù ¡ ¡ ¡ ¡ ´½½µ
ÜÒ
ÜÏ Ë
Ù ¡ ¡ ´½¾µ
100
Gain [dB]
150
Gain [dB]
100
Ws
50
Wt
50
0
-50
-100
-4
10
-3
10
10
-2
Phase [deg]
10
-3
10
10
1
10
2
10
3
10
4
-2
10
-1
10
0
10
1
10
2
10
3
10
0
-100
-150
-200
-250
-300
-4
10
4
-3
10
10
-2
Ý
ÜÒ
ÜÏ Ë · Û ¡ ¡ ´½¿µ
¼
Ò
µ。
となる 図
(図
それぞれ
Ì ×Ø
のパラメータは表
で与えられるので,キュー容量
は
であることを考慮すると
Ì
ウンドトリップタイム
ʼ ÌÈ · Õ¼
½
ÖÓÙØ Ö のバンド 幅が
½ Ô Ø×»×
Õ
Ì ×Ø
¼ Ô Ø× ¸ Õ¼
½ Ñ× となる。
¼¼¸ ÌË ½¼ ¼¸
では Ñ Ü
としていることから, ¼
また,周波数重みのパラメータを Ë
½
½ ¸
¾
Ê
Ã
¼ ¼½
したときの周波数特
ÏË ´×µ¸ ÏÌ ´×µ を図 に示す。以上の設定に基づき導
出された À½ コントローラ( 輻輳制御器)は
性
½¼½
Ý
2
10
3
10
4
À½ 制御器の周波数応答。
図
Ö ÕÙ Ò Ý Ö ×ÔÓÒ× Ó À½ ÓÒØÖÓÐÐ Öº
0
-50
½¼ ¾
½
¿
¾¿
¾
¿
¼
½¿
¼ Ü · ¼ Ù ´½ µ
¼
¼
¼
½½
¾ ½ ¼ ¾¾ ¼ ¼ Ü ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ¡ ´½ µ
ܴص ,ٴص ,ݴص をそれぞれコントロー
Ù ÆÕ¸ Ý ÆÔ で
10
-3
10
-2
10
-1
10
0
10
1
10
2
10
3
10
4
100
0
-100
-200
-4
10
10
-3
10
-2
10
-1
10
0
10
1
10
2
10
3
10
4
Frequency [rad/s]
図
開ループ伝達関数の周波数応答。
º º Ö ÕÙ Ò Ý Ö ×ÔÓÒ× Ó Ø ÓÔ Ò ÐÓÓÔ ØÖ Ò×¹
Ö ÙÒ Ø ÓÒº
ʼ は
と定義され ,
¾
10
200
½ の各リンクにおける遅延を考
Ä Ò ½¹Ä Ò ¿´ ÔÔÖÓ µ¹Ä Ò ¿´ µ¹
Ä Ò ½ と流れるµ と ÌÈ ¼ ¼½ × となり,これより平均ラ
¼ ¼¼¼½ ¸
1
Frequency[rad/s]
となる.伝播遅延 È は表
慮する(パケットが
Ø×
10
50
-200
-4
10
節で構築す
½¿ )であり,× Ò Ö½ および × Ò Ö¾ に
とする。また,
à Ô×
0
-150
つのセッションを持たせるため,セッション数
ÆはÆ
10
-100
今回対象とするネットワークトポロジは
Ì ×Ø
-1
100
Phase [deg]
´
Ø ÏË ¸ Ï Ì º
Ö ÕÙ Ò Ý Û
º º
Gain [dB]
º º
10
Frequency [rad/s]
ÏË ¸ ÏÌ の周波数重み。
図
Ü
0
-50
Frequency [rad/s]
¼
10
50
-100
-4
10
¼Ô
-1
0
-50
る
10
Frequency [rad/s]
〈 ¿・¾〉 シミュレーション
〈 ¿・¾・½〉 ËÁÅÍÄÁÆÃ
モデル式
ËÁÅÍÄÁÆÃ を用いた非線形
´½µ¸ ´¾µ に対するシミュレーション結果を図
に
示す。シミュレーションは,設計におけるパラメータ設定で
示したように図
¾µ から
ルータ
ノード
½¿ に基づき ¾ つの送信側ノード ´× Ò Ö½ß
つずつのデータフローが発生し ,ボトルネック
´ÖÓÙØ Öµ 上に蓄えられたのちに送信され,受信側
´Ö Ú Öµ にて受信される,という一連の流れを想
定する。そして,シミュレーション結果としてルータ上の
キューサイズを示す。また,外乱としてセッション数
変動する場合を考え,本実験では
ションが
½ つ増加し,½½ ×
× Ò Ö¾ で ¼ ×
Æが
にセッ
に増加したセッションが閉じ
Æ の変動を外乱とす
¼ Ô Ø× ´ÕÑ Ü ¾µ に
られるという,一連のセッション数
となる。ただし,
る。図
ラにおける状態,入力,出力であり,
収束していることおよび外乱の影響をすみやかに抑制して
ある。また,コントローラと遅延を含む系のプラントより
いることがわかり,制御目的が達成されていることがわか
なるフィード バック制御系の開ループのボード 線図をそれ
る。また,平均
ぞれ図
¾
¸
に示す。ゲイン余裕は
½½
となり系は安定化されている。
,位相余裕は
および図
においては初期値応答が
Ì È ウィンドウサイズを図 に示す。図
からは Ì È ウィンド ウサイズが変化すること
でキューサイズが一定に保たれていることがわかる。
̺Á
Â Ô Ò¸ ÎÓк ½¾ ¹ ¸ ÆÓº½¼¸ ¾¼¼
À½ 制御による Ì È» ÉÅ ネットワークの輻輳制御器設計と実験的検証
Queue Size [packets]
80
Queue Size [packets]
80
60
60
40
40
20
20
0
0
図
40
80
120
Time [s]
ルータ上のキューサイズ
160
0
0
200
´ËÁÅÍÄÁÆõ。
40
80
120
Time [s]
160
´
200
µ
図 ½¼ ルータ上のキューサイズ Ò×¹¾ 。
º º ÉÙ Ù × Þ Ó ÖÓÙØ Ö ´ËÁÅÍÄÁÆõº
º ½¼º ÉÙ Ù × Þ Ó ÖÓÙØ Ö ´Ò×¹¾µº
16
TCP Window Size [packets]
TCP Window Size [packets]
8
6
4
2
0
0
40
図
80
120
Time [s]
160
8
4
0
0
200
Ì È ウィンド ウサイズ
´ËÁÅÍÄÁÆõ。
送信側上の平均
º º ÚÖ
´ËÁÅÍÄÁÆõº
12
図 ½½
40
80
120
Time [s]
160
200
× Ò Ö½ の Ì È ウィンド ウサイズ
´Ò×¹¾µ。
º ½½º Ì È Û Ò ÓÛ × Þ Ó × Ò Ö½ ´Ò×¹¾µº
Ì È Û Ò ÓÛ × Þ Ó × Ò Ö
〈 ¿・¾・¾〉 Ò×¹¾
Ò×¹¾ によるシミュレーション結
½¼ に示す。シミュレ ーションの状況は ,前述の
ËÁÅÍÄÁÆÃ の場合と同様である。図 ½¼ においてはキュー
Ø× ´ÕÑ Ü ¾µ を中心に振動的な振る舞い
サイズが ¼ Ô
をしていることがわかる。これは ÖÓÙØ Ö 上に構築した輻
輳制御器( ÉÅ 機構)がパケットマーク確率 Ô に従って
パケットを廃棄するため,× Ò Ö½ß¾ が元来有している輻
輳制御機構
が働き Ì È ウィンド ウサイズが変
化する( 図 ½½ 参照)ことに起因している。すなわち,ネッ
果を図
Queue Size [packets]
80
60
40
20
´ µ ´ µ ´½¼µ ´½ µ
0
0
トワーク上に輻輳状態が生じる前に,送信側の輻輳制御機
構が働き,キューサイズの制御が行われる。従って,その
平均的な挙動に注目してみると,ルータ上のキューサイズ
がほぼ
¼Ô
Ø× ´ÕÑ Ü ¾µ に保たれており,制御目的が
達成されていることがわかる。
〔注釈 ½ 〕 このシミュレーションにおける通信のスループッ
トは
づく
¾Ô
Ø×»×
である。なお,参考文献
´ µ に基
ÈÁ 制御により輻輳制御機構( ÉÅ 機構)を設計
し Ò×¹¾ にてシミュレーションを行ったところキューサ
電学論
,½¾ 巻
½¼ 号,平成 ½
年
図 ½¾
40
80
120
Time [s]
160
200
ÈÁ 制御によるルータ上のキューサイズ
´Ò×¹¾µ。
º ½¾º ÉÙ Ù × Þ Ó ÖÓÙØ Ö Ù× Ò ÈÁ ÓÒØÖÓÐ
´Ò×¹¾µº
½¾ のようになる。この時の È 補償のゲ イン
を ÃÈ
¼ ¼¼¼ ¸ Á 補償のゲインを ÃÁ ¼ ¼¼ として
いる。スループットは
¿ Ô Ø×»× であり,スルー
イズは図
80
sender 1
Queue Size [packets]
Link1
Link3
Link2
receiver
router
sender 2
Ì ×Ø
図 ½¿
トポロジ。
º ½¿º Ì ×Ø
表½
Ä Ò ¿´ ÔÔÖÓ
½¼¼ Å Ô×
¼º Ñ×
à Ô×
½¾º Ñ×
0
0
µ Ä Ò ¿´
50
½¼¼ Å Ô×
¼º Ñ×
150
200
ÉÅ 機構を組み込まないルータ上の
µ。
キューサイズ ´Ì ×Ø
図½
µ
100
Time [s]
º ½ º ÉÙ Ù × Þ Ó Ø
´Ì ×Ø µº
ÖÓÙØ Ö Û Ø ÒÓ ÉÅ
計算機のパラメータ。
Ì Ð ¾º È Ö Ñ Ø Ö× Ó Ñ
× Ò Ö ½ß¾
ÇË
×ØÖ ÙØ ÓÒ
Ä Æ ËØ Ò Ö
Ì È Ù« Ö Ë Þ
ÊÒ
Ù« Ö Ë Þ
20
リンクパラメータ。
Ä Ò ½ß¾
表¾
40
ØÓÔÓÐÓ Ýº
Ì Ð ½º È Ö Ñ Ø Ö× Ó Ð Ò ×º
Ò Û Ø
Ð Ý
60
¾ Å ÝØ
ÖÓÙØ Ö
Ä ÒÙÜ ¾º º½
Ê
Ø
½¼¼ × ¹Ì
à ÝØ
à ÝØ
Ò ×º
Ö
を持たせている。
¯×
Ú Ö の Ì È Ù« Ö Ë Þ を標
準のバッファサイズ ´ Ã ÝØ µ より十分に大きくし
Ú Ö
Ò Ö½ß¾ および Ö
ている。
Å ÝØ
〔注釈 ¾ 〕 表
¾ における Ì È Ù« Ö Ë Þ
とはデータ送
Ì È
Ì È
受信のためのバッファサイズを表している。また,
のデータ送受信における各種データ( 送受信時間,
プットに関しては大きな改善は現れていない.しかし,応
ウィンド ウサイズ,キューサイズなど )をログとして取
答波形( 図
り出すために,
½¼ および図 ½¾ )を見ると,À½ 制御を用い
た場合の方が ÈÁ 制御を用いた場合よりも速応性が高く,
¼ Ô Ø× 付近の振動的な波形の振動幅も小さくなって
いる。 ÉÅ 機構で適切にパケット廃棄が行われること
により,送信側の Ì È ウィンドウサイズが適切な大きさ
きさが
ÊÒ
Ê Ò Ù« Ö を用い,そのバッファの大
Ù« Ö Ë Þ である。標準では ½ Ã ÝØ
だが計測可能なデータ量を増やすため領域サイズを大き
くしている。
〔注釈 ¿ 〕 なお,この環境下において ,本稿で設計し た
の波形の振動幅を捉えた場合,設計された輻輳制御器は
ÉÅ 機構を実装せずにデータ送受信(全送受信データ量
は ¾ Å ÝØ )を行うと(ルータにはデータを中継する
機能だけを持たせる), ¼¼ Ã ÝØ 程度の少量のデータ
振動幅を抑制する性質を持つと考えられる.そこで,波
を送受信しただけで輻輳状態が生じてしまい,円滑なデー
形の振動幅を制御性能の優劣を表す一つの指標として考
タの送受信が困難となる。図
慮すると,本節で設計した
においてルータに
に制御されることになり,波形の振動幅は小さくなると
考えられる.また,混合感度問題における外乱としてこ
が
À½ 制御による輻輳制御器
ÈÁ 制御による輻輳制御器よりも優れた制御性能を有
していることがわかる。
º
Ì ×Ø
による実験的検証
Ì ×Ø
構築した Ì ×Ø
を図 ½¿ に示す。
Ì ×Ø は 字型のトポロジを持ち,× Ò Ö ½ß¾ と Ö ¹
Ú Ö,それらを繋ぐリンクとパケットを中継する ÖÓÙØ Ö に
より構成される。パケットの流れは × Ò Ö½ß¾ から ÖÓÙØ Ö
を経て Ö
Ú Ö に到るとする。個々のリンク ´Ä Ò ½ß¿µ の
スペックは表 ½ で与えられる。また,個々の計算機のスペッ
クは表 ¾ で与えられる。構築した Ì ×Ø
においては輻
〈 ・½〉
輳状態が通常よりも生じやすい環境に設定するため,以下
の修正を行っている.
¯Ä Ò
¿ の往路および復路におけるバンド 幅に大きな差
½
は,構築した
Ì ×Ø
ÉÅ 機構を組み込まずにデータ送受
信実験を行った結果であり,頻繁に輻輳状態が引き起こっ
ていることがわかる.
〈 ・¾〉
輳制御器(
ÉÅ の実装
ここでは,前節にて求めた輻
À½ コントローラ )式 ´½ µ¸ ´½ µ を Ì ×Ø
ÖÓÙØ Ö 上に実装し 有効性の検証を行う。なお,注釈 ¿
Ì ×Ø は輻輳状態が生じやすい設
定になっており,また,全送受信データ量は約 ¾ Å ÝØ
である。図 ½ は,Ì ×Ø
の × Ò Ö ¹ ÖÓÙØ Ö ¹ Ö
ÚÖ
での各プロトコル層におけるパケット ´È
ص,および受
信確認信号 ´
õ の流れを表している。設計した輻輳制
御器は ÖÓÙØ Ö 上の ÁÈ ´ÁÒØ ÖÒ Ø ÈÖÓØÓ Óе 層に組み込ま
れる。具体的には図 ½ 中の ÊÇÈ 内に輻輳制御器を実
の
で述べたようにこの
装することでキューサイズ
Õ から パケットマーク確率 Ô
Ô に基づいてパケット
を導出し ,そのパケットマーク確率
̺Á
Â Ô Ò¸ ÎÓк ½¾ ¹ ¸ ÆÓº½¼¸ ¾¼¼
À½ 制御による Ì È» ÉÅ ネットワークの輻輳制御器設計と実験的検証
Sender
Router
Receiver
Application layer
Application layer
16
Application layer
TCP layer
TCP layer
TCP Window Size [packets]
sock application Data
sock application Data
TCP layer
TCP Buffer Size
TCP Buffer Size
sent data
unreceived waited
data empty
ACK
received
Data
empty
IP layer
IP layer
IP layer
ip_forward.c
ip_forward()
DROP
Packet
ACK
Ì ×Ø
図½
Packet
Packet Drop
8
4
ACK
0
0
Ì È»ÁÈ 参照モデルと輻輳制
御器。
ÁÒ Ø Ð Þ ×ØÖÙ Ø ×Ó ØÒ Ø Ø .
Ê Ô Ø ´ ÓÖ
ÓÖÛ Ö Ò Ô
ص
¯ ËÓÖØ Ô
Ø× Ý Ø
×Ø Ò Ø ÓÒ.
¯ ÓÙÒØ Ô
Ø× ÖÓÑ Ø ÖÒ Ø Ú ×.
¯
Ð ÙÐ Ø Ø
ÙÖÖ ÒØ Ø Ñ .
¯
Ð ÙÐ Ø Ø Ô
Ø Ñ Ö ÔÖÓ
Ð ØÝ Ô.
¯ ÖÓÔ Ô
Ø× Ý Ø
ÖÚ Ô
Ø
Ñ Ö ÔÖÓ
40
80
120
Time [s]
送信側の
(
× Ò Ö½ß¾ の
振動は,
µº
時点の大きな振幅の
½つ
Ì È ウィン
つあるセッション(この内の
ド ウサイズの大きさが重なったため生じたものであると考
Ð ØÝ Ô.
えられる。また,Ò×¹¾ におけるシミュレーションと同じ
× Ò Ö½ の つあるセッションの内の ½ つのセッショ
ンにおける Ì È ウィンド ウサイズを図 ½ に示す。図 ½
より,ÖÓÙØ Ö 上の輻輳制御器によりパケットが廃棄される
ことで × Ò Ö½ の Ì È ウィンド ウサイズが変動している
ことがわかる。以上より,設計した輻輳制御器( ÉÅ 機
く
輻輳制御器アルゴ リズム。
Queue Size [packets]
構)を実装することにより,輻輳状態を引き起こすことな
60
く,制御目的を達成していることがわかる。
〔注釈 〕 図
40
½
のキューサイズは一定値に収束せず,平
¿¾
衡点を中心とした振動を続けている。これは,〈 ・ 〉節
の Ò×¹¾ に よるシ ミュレ ーションで 説明し たよ うに ,
× Ò Ö½ß¾ における Ì È ウィンド ウフロー制御の輻輳
20
制御機構によるものである ´
図½
40
80
120
Time [s]
ルータ上のキューサイズ(
160
Ì ×Ø
º ½ º ÉÙ Ù × Þ Ó ÖÓÙØ Ö´Ì ×Ø
µº
を廃棄している。なお,実装した輻輳制御器式
はパケットマーク確率
。そのため,実機
Ì È ウィンド ウサイズも図 ½
½ に
おけるキューサイズの振動が,図 ½ の Ì È ウィンド
200
のように振動的な振る舞いをしている。また,図
)
。
ウサイズの振動よりも,高い周波数を持っていることが
´½ µ¸ ´½ µ
Ô を導出する際にはオイラー法を用
いて計算を行っている。また,輻輳制御器アルゴ リズムを
に示す。
Ì ×Ø による実
験結果を図 ½ に示す。実験の状況は〈¿・¾〉節のシミュレー
ションと同様である。図 ½ より,制御目的であるキュー
サイズを平衡点である ¼ Ô
Ø× 付近に保っていること
がわかる。また, ¼ × におけるセッション数の増加に対し
ても発散することがなく,½½ × の時点でのセッション数
の減少に対してもキューサイズを ¼ Ô
Ø× 付近に漸近
〈 ・¿〉
µ ´ µ ´½¼µ ´½ µ
上の輻輳制御機構により
0
0
電学論
¼×
は外乱として増加したものである)における
80
½
200
º ½ º Ì È Û Ò ÓÛ × Þ Ó × Ò Ö½ ´Ì ×Ø
させていることがわかる。なお,
º ½ º À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Ö Ð ÓÖ Ø Ñº
図
160
Ì È ウィンド ウサイズ
Ì ×Ø )。
図½
º ½ º Ì ×Ø
Ì È»ÁÈ Ö Ö Ò ÑÓ Ð Û Ø
Ø À½ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐÐ Öº
図½
12
Ì ×Ø
,½¾ 巻
による実験結果
½¼ 号,平成 ½
年
わかる。これは
× Ò Ö½ß¾ の
が入っているときは
つのセッション( 外乱
つ)のセッションが全て同期して
いるのではなく, つ全て独立に
Ì È ウィンド ウサイ
ズの増減が行われるためである。
º おわりに
Ì È» ÉÅ ネットワークに対し À½ 制御理
論を適用し輻輳制御器( ÉÅ 機構)を設計した。そして,
ËÁÅÍÄÁÆÃ および Ò×¹¾ シミュレータを用いてシミュレー
本稿では,
À
ションを行うことにより, ½ 制御により設計した輻輳制
御器の有効性を検証した。Ò×¹¾ シミュレータによるシミュ
ÈÁ 制御
レーションでは,
´ µ
で設計した輻輳制御器との比
較を行い,本稿で設計した輻輳制御器の有効性を示した。
さらに,その輻輳制御器を実装した
Ì ×Ø
を構築し,設
内
藤
浩 行 ( 学生員) ¾¼¼¼ 年北陸先端科学技術大学院大学
計した輻輳制御器により制御目的であるルータ上のキュー
知識科学研究科博士前期課程修了。同年金沢大学
サイズを外乱などに影響されずに一定値に保たれることを
大学院博士後期課程入学,現在に至る。計測自動
実験を行うことにより示し, ½ 制御による輻輳制御器の
有効性を検証した。この
を用いた実験により,従
制御学会,電気学会などの学生員。
À
Ì ×Ø
来シミュレータで示されていた制御理論に基づき設計され
たボトルネックルータ上の
ÉÅ 機構( 輻輳制御器)の有
用性が検証された。
( 平成
½
年
月
日受付,同
½
年
月
½¼ 日再受付)
剛 人 ( 正員) ½
東
文
献
Ðи Ò Ãº Î Ö
Ò Ì Ò× Å Ò٠и Ì ÎÁÆÌ ÈÖÓ Ø
´¾¼¼½µ
( ¾ ) Ϻ Ò ¸
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( ¿ ) ˺ ÐÓÝ ¸ Ò Îº Â Ó ×ÓÒ
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Ø ¹
Û Ý× ÓÖ ÓÒ ×Ø ÓÒ ÚÓ Ò
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»
Å ÌÖ Ò× Ø ÓÒ
ÓÒ Æ ØÛÓÖ Ò ¸ ÎÓк ½¸ ÒÓº ¸ ÔÔº ¿ ß ½¿ ´½ ¿ß µ
( ) º κ ÀÓÐÐÓظ κ Å ×Ö ¸ º ÌÓÛ×Рݸ Ò Ïº ÓÒ
Ò ÐÝ× ×
Ò
× Ò Ó ÓÒØÖÓÐÐ Ö× ÓÖ ÉÅ ÊÓÙØ Ö× ËÙÔÔÓÖØ Ò Ì È
ÐÓÛ× ¸ Á
ÌÖ Ò× Ø ÓÒ× ÓÒ ÙØÓÑ Ø
ÓÒØÖÓи ÎÓк
¸
ÆÓº ¸ ÔÔº
ß
´¾¼¼¾ß µ
( ) κ Â Ó ×ÓÒ¸
ÓÒ ×Ø ÓÒ ÚÓ Ò
Ò ÓÒØÖÓÐ ¸ ÁÒ ÔÖÓ º
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Ò
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Ø ÓÒ Ö Ú Û¸
ÎÓк ½ ¸ ÆÓº ¸ ÔÔº ¿½ ß¿¾ ¸ ´½
ß µ
( ) ˺ ÄÓÛ¸ º È
Ò Ò Ò Âº ÓÝÐ
ÁÒØ ÖÒ Ø ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒ¹
ØÖÓÐ
Ò Ò ÐÝØ Ð È Ö×Ô Ø Ú ¸ Á
ÓÒØÖÓÐ ËÝ×Ø Ñ×
Å
Þ Ò ¸ ÎÓк ¾¾¸ ÆÓº ½¸ ÔÔº ¾ ¹ ¿ ´¾¼¼¾µ
( ) κ Å ×Ö ¸ Ϻ ÓÒ
Ò
º ÌÓÛ×Ð Ý
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Ò Ð¹
Ý× × Ó
Æ ØÛÓÖ Ó ÉÅ ÊÓÙØ Ö× ËÙÔÔÓÖØ Ò Ì È ÐÓÛ×
ÛØ
ÔÔÐ Ø ÓÒ ØÓ Ê
¸ ÈÖÓ º ËÁ ÇÅÅ´¾¼¼½µ
( ) ʺ ËØ Ú Ò׸ Ì È»ÁÈ ÁÐÐÙ×ØÖ Ø ¸ ÎÓÐÙÑ ½ Ì
ÈÖÓØÓ ÓÐ׸
×ÓÒ¹Ï ×Ð Ý ´½
µ
( ) ĺ ÌÓÖÚ Ð ×¸ Ä ÒÙÜ Ã ÖÒ Ð Î Ö× ÓÒ ¾º½ º½
( ½¼ ) ̺ ÞÙÑ ¸ Ò Åº Ù Ø
ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐ Ò Óѹ
ÔÙØ Ö Æ ØÛÓÖ × ¸ ÂÓÙÖÒ Ð Ó Ì ËÓ ØÝ Ó ÁÒ×ØÖÙÑ ÒØ Ò
ÓÒØÖÓÐ Ò Ò Ö׸ ÎÓк ½¸ ÆÓº ¸ ÔÔº
ß ¼½ ´¾¼¼¾ß µ ´ Ò
Â Ô Ò × µ
東 剛人・藤田政之:
「コンピュータネットワークにおける輻輳制御」,
計測と制御, ½, ,ÔÔ.
ß ¼½ ´¾¼¼¾ß µ
̺Á
Â Ô Ò¸
Â Ô Ò × µ
ÒË
ÙÐ
ÓÒØÖÓÐ Ò Ê Ð Ø ÌÓÔ × ¸
ÎÓк ½¾¿¹ ¸ ÆÓº ¸ ÔÔº ½¼ ¼ß½¼ ´¾¼¼¿ß µ ´ Ò
内田健康:
「ゲインスケジューリング制御とその周辺」,電学論
½¾¿, ,ÔÔ.½¼ ¼ß½¼ ´¾¼¼¿ß µ
( ½¾ ) ̺ ËÙ
年早
稲田大学理工学部助手。¾¼¼¼ 年より金沢大学工
学部助手。システムバイオロジー,コンピュータ
( ½ ) ú
( ½½ ) ú Í
年,早稲田大学大学院修士課程修
了。¾¼¼¼ 年,同大学院博士課程修了。½
,
ネットワークの輻輳制御,むだ時間システムの制
御およびゲインスケジューリングに関する研究に
従事。博士( 工学)。計測自動制御学会,システ
ム制御情報学会,Á
西
村
などの会員。
昭 彦 (非会員) ¾¼¼½ 年金沢大学工学部電気・情報工学
科卒業。同年金沢大学大学院博士前期課程入学。
¾¼¼¿ 年,同大学院博士前期課程修了。同年光洋
精工株式会社入社,現在に至る。 計測自動制御
学会会員。
藤
田
政 之 ( 非会員) ½
早稲田大学大学院理工学研究科
博士前期課程修了( 電気工学専攻)
。
年同博士
後期課程中退。同年金沢大学工学部電気・情報工
学科助手。同講師,助教授を経て, ¾ 年北陸先
端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授。
年金沢大学工学部教授。ロバスト制御とその応用
に関する研究に従事。工学博士。計測自動制御学
会,システム制御情報学会,Á
などの会員。
ÁÒØÖÓ Ù Ø ÓÒ ØÓ
ÓÒ¹
Óº¸ ÄØ º¸ ´½
µ´ÒÂ Ô Ò × µ
杉江俊治・藤田政之:フィード バック制御入門,コロナ書店 ´½
µ
( ½¿ ) Àº Æ ØÓ¸ ̺ ÞÙÑ ¸ Ò Åº Ù Ø
Ë
ÙÐ
ÓÒØÖÓÐÐ Ö
× Ò Ó ÓÒ ×Ø ÓÒ ÓÒØÖÓÐ ÓÒ× Ö Ò Æ ØÛÓÖ Ê ×ÓÙÖ
ÓÒ×ØÖ ÒØ× ¸ ̺Á
Â Ô Ò¸ ÎÓк ½¾¿¹ ¸ ÆÓº ¸ ÔÔº ½¼ ¿ß
½¼ ´¾¼¼¿ß µ ´ Ò Â Ô Ò × µ
ØÖÓÐ ¸
¸ Ò Åº Ù Ø
ÓÖÓÒ ÈÙ Ð × Ò
内藤浩行・東 剛人・藤田政之:
「ネットワーク資源拘束を考慮した輻
輳制御のためのスケジューリング制御器の設計」,電学論 ,½¾¿,
,ÔÔ.½¼ ¿ß½¼
´¾¼¼¿ß µ
½
( ½ ) ˺ ÀÓ×Ó ¸ Ò Åº
Ö
ÓÒØÖÓÐ ËÝ×Ø Ñ × Ò ßÀ
ÓÒ¹
ØÖÓÐ Ò
Ò ÔÔÐ Ø ÓÒ ß ¸ × ÙÖ ÈÙ Ð × Ò
Óº¸ ÄØ º¸
´½ µ ´ Ò Â Ô Ò × µ
細江繁幸・荒木光彦:制御系設計ßÀ 制御とその応用ß,朝倉書店
´½ µ
( ½ ) Àº Å Ý
Ö ¸ ºÇ
ÓÑÔÙØ Ö Æ ØÛÓÖ ¸ ÃÝÓÙÖ Ø×Ù ÈÙ ¹
Ð× Ò
Óº¸ ÄØ º¸ ´½ µ ´ Ò Â Ô Ò × µ
宮原秀夫・尾家祐二:コンピュータネットワーク,共立出版 ´½
µ
½
̺Á
Â Ô Ò¸ ÎÓк ½¾ ¹ ¸ ÆÓº½¼¸ ¾¼¼