テンプレ転生者 兵藤一誠 (仮) ID:114458

Chaos Max DD
漆黒のポメラニアン
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︻あらすじ︼
旧名:テンプレ転生者 兵藤一誠からタイトルを変更、この名前で確定することにし
ました。
読んでくださった皆様には面倒をかけてしまい、すみませんでした。
これは転生を拒否ったオリ主が、女神に兵藤一誠︵銀髪オッドアイ完備+特典付き︶に
転生させられ、色々ごちゃ混ぜのカオスな世界で生きていこうとするだけの物語。
タグの一部は予定となっています。
目 次 転生編
女神との邂逅 ││││││││
魂埋蔵事件 │││││││││
宝具たちとの日常 ││││││
天の鎖 vs ドライグ │││
新しい家族と謎 │││││││
ジュエルシード編
捜索任務 ││││││││││
雰囲気は新婚さん ││││││
時の箱庭にて ││││││││
Fate ││││││││││
はやてとフェイト ││││││
1
10
15
19
25
29
33
40
45
51
動き出す事態 ││││││││
55
転生編
器が小さいとか、カルシュウムが足りてないのとか言われたら、それまでなんだけど
ね。
家に帰って休めると思っているときとかに話しかけられるとついイラっとくるんだよ
ど、その数分で本来乗る電車を逃して次の電車を待ったりしたくないし、仕事で疲れて
きとかされるとたまにイラっとするんだよね。たった数分で済むことではあるんだけ
いや、あの人たちも遊びでやってるんじゃないことはわかるよ。たださ、急いでると
じ対応しちまったよ。
たまにさ駅の周辺で署名をお願いします、とか声かけてくる人いるじゃん。あれと同
あ、やべ。ついいつもの癖で断っちまった。
﹃お断ります﹄
﹁あなたは死にました。なので、転生してもらいます﹂
女神との邂逅
1
さ。
そもそも転生って、最近二次小説によく出てくるあれのこと
ま、そんなわけでつい断ってしまったわけなんだけど大丈夫かね。
じゃあ話しかけてきたのってもしかして神様的な感じの存在
?
りする。というか転生系の話は好きです、大好物です。
?
で、読んでいるうちにあることに気が付いた。
だとしたらそうとうキツイ
俺はアニメとか好きで、二次小説とかも読んだりする。その中には転生ものもあった
めんどくさそうだからです﹄
﹃なぜ、と言われればまあ
唖然としていた。あらやだ可愛い。
﹃な・・・、なせですっ﹄
そんなわけで先ほどから静かにしている﹃彼女﹄に目をむけると。
かない。
色々とわからないことはあるが、今は反射的に断ってしまったあの人に聞いてみるし
?
﹃転生ってことは赤ん坊からスタートしていくんですよね
女神との邂逅
2
﹂
と思うんすよ。生まれてすぐの赤ん坊なんてろくに動けないし話せません。そんな状
態で数か月あるいは一年近くも過ごしたストレスで狂いそうな気がします﹄
﹁そ、それならある程度経ってから記憶を戻します。それなら問題ないでしょう
でしょう﹄
!
﹁そんな、・・・﹃ヤツら﹄とはいったいなんなのです
忘れもしない、いや忘れられるか
﹂
!
俺は絶対に忘れない
あの戦いを、あの日々をどれだけ経とうと忘れるものか
!
﹃彼女﹄はかたずをのんで俺から﹃ヤツら﹄を正体を聞こうとしている。
!
!
と戦ったものもいれば、戦いの中で心や体を壊した連中もいました﹄
﹃・・・俺は仲間たちと一緒に多くの﹃ヤツら﹄戦いました。中には百以上の﹃ヤツら﹄
﹁なっ、そんな存在がいるのですか
﹂
﹃﹃ヤツら﹄から逃げるのは難しい。少なくとも生きていくならいずれは戦うことになる
そう本当の問題は別にある。
﹃・・・いえ、問題はそれだけじゃないんです。むしろ問題なのは十数年後のことです﹄
?
3
﹄
﹄
・・・・・・はい
﹃﹃ヤツら﹄は・・・、﹃ヤツら﹄の正体は・・・
﹁ゴクッ・・・﹂
﹃ 入学試験 と 就職活動 です
Yetzirah
﹂
!
﹂
?
!
﹄
入学試験はある程度わかるし終わりが見えるが、就職活動
﹁入学試験と就職活動それが﹃ヤツら﹄の
﹃く、
﹃ヤツら﹄は恐ろしい
!
!!
はまるで終わりのない・・・って聞いてます
﹁・・・フフ﹂
?
!
﹁なにかと思って聞いていれば・・・フフ、ウフフフ・・・、
?
は
﹂
!
?
﹁Longinuslanze Testament
女神との邂逅
4
そう﹃彼女﹄が叫ぶと、あら不思議。どこからともなく、かの有名な獣殿の聖槍が出
てくるではありませんか。
・・・え。
こちらがまったく事態についていけていない中、﹃彼女﹄が聖槍を振り上げる。
﹁いい加減、起きなさい﹂
﹃はっ、なんだ夢か│││
?
﹄
?
﹃彼女﹄は心底呆れたように言った。
﹁今頃気づいたのあなた﹂
﹃あれ、体がない
そう言い即座に土下座をしようとして今の自分に気が付いた。
﹃すみません、勘弁してください﹄
﹁もう一度飲み込まれたいの
﹂
最後まで言うことなく、俺は光に飲み込まれた。
﹃なるほど、これが悟るというこ│││
5
﹃え、なんで
もしかしてさっきの一撃で
﹄
?
Why
は来れてないわ﹂
﹁あなたここに来たときから体なんてなかったわよ。というよりも体があったらここに
?
﹄
?
﹂
?
!
!?
聖槍の先をこちらに向け言ってくる。
てかなんで﹃それ﹄があんの
﹄
合がいいのよ。というか、女神に対してその話し方は無礼よ、焼かれたいの
﹂
﹁今までは人間が想う女神みたいな感じで相手をしてきたわ。そっちのほうが色々と都
﹃なんか最初と態度違くない
と毒を吐きながらきいてきた。
らない。このくらいは低能なあなたでもわかるわね
﹁私は女神で、ここは転生するための場所。ここに来るには魂だけの状態でなければな
そうして﹃彼女﹄は出荷される豚を見るような目を向けて、言い放った。
これからあなたに説明してあげるから、・・・黙って聞きなさい。いいわね﹂
﹁はぁ。本来ならここに来たときに説明するんだけど、あなたのせいでできなかったの。
?
﹃ちょ、危ない
女神との邂逅
6
?
﹃彼女﹄││いや女神に持っていた聖槍のことを尋ねる。
﹄
以前転生させたやつが望んだ特典よ。言っておくけどこれ本来のものより
弱くなってるわよ﹂
﹁あぁこれ
﹃なんでその特典をあん│││女神さまがお持ちになっているんでしょうかっ
あんたと言おうとして睨まれたため、言葉を正す。
やっぱり忌々しかったのね。てか展開早くね、しかも決定事項ですか。
に入りましょう。まずは今すぐ転生してもらいます﹂
﹁この話はもう終わりにしましょう、思い出すのも忌々しいので。それにそろそろ本題
ここ魂しかないからイケメン関係ないか。
性にそんなこと言ったら大抵は怒るだろ、イケメンだったら別かもしれないけど。あ、
ああ、あの作品ね。というか、どーしよ。思ってたよりも重いんですけど。そりゃ女
ことか、私に俺の女にして喜べと言い放ったです﹂
か、可能と思い私を要求してきたのです。それだけで無礼極まりないというのにあろう
﹁主 人 公 が 女 神 を 特 典 と し た 物 語 が あ り ま す。そ の こ と を あ の ゴ ミ は 知 っ て い た か ら
忌々しいといわんばかりに女神は語る。
た。よってすべての特典を剥奪しました﹂
﹁・・・あのゴミは、こともあろうに、特典として私を要求するという、無礼を働きまし
!
?
7
﹃えーやだー働きたくなーい﹄
﹄
﹁あなた一人にこれ以上時間をかけるわけにはいかないの﹂
﹃・・・もしかして鬱陶しい
﹁結構ね﹂
地面に押し付けた。
グィ
﹁大丈夫よ、魂に中にはなにも入ってないから。それに﹂
!
そういい女神は片手で俺もとい、俺の魂を掴む。そして、
?
ストップストップ 出ちゃうから、これ以上押された出ちゃうから中
﹃ちょ、暴力反対
!
﹄
身的なナニかが
!
女神との邂逅
8
﹁ただ転生するだけだから﹂
﹃地面に埋めて転生なんて聞いたことないんですけど
﹄
﹁ウチは埋めるタイプだから﹂
﹃斬新すぎ
就職活動なんかしたくないぃーー
﹄
普通は落ちるんじゃないの
﹄
!
そんな楽しそうな悪魔の声を最後に俺は地面に埋まっていくのだった。
よくあるテンプレ的なのなんてどうかしら♪﹂
﹁・・・もうツッコまないわよ、疲れたから。特典は決まりだからあげる。そうね・・・、
!!!
﹃イヤだ・・・、俺は・・・、もう・・・、
そんなことを言っているうちに徐々に地面に埋まっていく。
!
!
9
ジャラララ
わってませんよ。あくまで例です。
り〇ンキーに名前が変わっていたぐらいにビックリでした。・・・あ、実際に名前は変
ビックリです。どのくらいビックリだったかというと、びっ〇りドンキーが、ばっく
うになりました。
どうかわかりませんが、思考が少し変わりました。具体的には自分を俺から私と言うよ
うな感じがし、気づけば赤ん坊になっていました。魂が肉体に引っ張られるというのか
転生されるための儀式的なものだったみたいです。あの後、すぐになにかに囚われるよ
さて、あの事件もとい、女神が私を地面に埋めようとした件ですが、あれはどうやら
ベビーベッドの中で鎖を使って遊んでいます。
!
私は今・・・、
あの魂埋蔵事件から一年が経ちました。
魂埋蔵事件
魂埋蔵事件
10
11
最初はなにが起きたのかわかりませんでしたが、転生してすぐに特典の情報が頭︵生
後直後の︶に入ってきてわかました。ええ、わかりましたとも、ものすごい頭痛がして
理解しました。
よく聞く神様転生って結構転生者に都合がいい状態にしてくれるはずなのに、私は頭
が爆発するんじゃかと思いましたよ。まぁそのおかげで、色々覚えられたのはよかった
んですけどね。
で転生特典ですが、まぁ酷い。なにが酷いかというと、チートです。
〇転生特典
・王の財宝︵空っぽ︶
・天の鎖︵使用中︶
・乖離剣エア︵引きこもり︶
この三つが私の特典で、現在使用可能なほうが﹃王の財宝﹄と﹃天の鎖﹄の二つです。
エアは生後一年の赤ん坊の体では持てませんし、
﹃王の財宝﹄から出すことさえ出来ませ
魂埋蔵事件
12
ん。﹃天の鎖﹄で引っ張っても無理でした。恐らく反抗期なんでしょう。無くてもたぶ
ん困らないし、あっても使い方難しいので数年は放置しようと思ってます。なんで今使
える宝具﹃天の鎖﹄で遊んでいます。もちろん親の目を盗んで。
特典をFate/シリーズでしたのは何かの伏線でしょうか ・・・やめましょう、フ
ラグな気がします。
というわけで、どうやらハイスクールD
Dの世界に転生したみたいです。
うにしか聞こえていなかったでしょうけど。
いやー、ふざけんなと叫びましたね。もちろん赤ん坊なんで周りからは泣いているよ
兵藤 一誠
た名前を聞いてこちらも理解しました。私の名は、
それと、この世界のことですがなんの世界かわかりました。この世界で私に与えられ
?
特典と同じぐらい問題なものがありました。それは、
終わりではないんです。
さて、特典と世界の話は終わったと思うでしょうが、ところがギッチョンです。まだ
×
﹃容姿﹄です。
私が知る兵藤一誠の容姿は茶髪の少年でした。なのに、どうしてか、この世界の兵藤
一誠は
ツッコんでも無駄でしょうけど。というのも容姿に関しては女神が疑問を覚えない
とツッコミたかったですね。
﹃いやねぇよ、突然変異で終わらせるなよ。なんで両親揃って納得してんだよ﹄
喋れたら
医師が両親に話しているのを聞きました。
ちなみに、両親の母の祖母が銀髪で、オッドアイは突然変異ではないかと産婦人科の
次があれば、﹃天の鎖﹄で締め上げましょう。
与えられた知識の中に容姿の内容があり、女神からのサービスだそうです。
﹃銀髪オッドアイ﹄の美☆少☆年でした。
13
魂埋蔵事件
14
ようにと、帳尻を女神パワーで無理やり合わせたらしいです。
よくあの状況で出来ましたね、最後の方は育児に疲れた母親みたいなオーラ出してた
のに。
宝具たちとの日常
あれからまた一年経ち、二歳になった。
相変わらず﹃乖離剣エア﹄は引きこもったままで、声をかけても返事もしてくれない。
いて喜ぶように自身を鳴らしてくれた。今の﹃天の鎖﹄は初めて会った時よりもテカテ
最初は御刀油でいいのかと考えた。だが、一度流し込んでみたところ﹃天の鎖﹄は泣
月に一度、バケツいっぱいの御刀油を﹃王の財宝﹄の中に流し込むくらいだ。
せいぜい俺ができるのは・・・、
だけど、俺にできることは少ない。
なんにせよ心配だ。このままでは︵錆びて︶動けなくなるかもしれない。
﹃乖離剣エア﹄の引きこもり力は一年前よりも上がっている。
﹃天の鎖﹄が毎日説得︵物理︶を行っているが、出てくる気配がない。
15
カと光っている。
きっと喜んでくれているのだろう、一年前よりも引っ張る力は強く、まるで叫んでい
るかのような音を響かせてくれる。
﹃王の財宝﹄も仲間が揃ってほしいのか、宝具を出すときの波紋は以前よりも大きく、深
︶を見て俺も嬉しくなり、宝具たちに話しかける。
みのある黄金の波紋へと変わった。
そんな宝具たち︵
それを聞いて喜んでくれたのか﹃王の財宝﹄は室内いっぱいまで波紋を広げる。
掛け合ってくるよ﹂
今まで油をいれるのは月一回だったけど、来月から二回に出来るように父さんたちに
﹁ありがとう﹃王の財宝﹄﹃天の鎖﹄。お前たちの頑張りを見て俺も決意したよ。
?
俺はそんな宝具たちが奏でる音を聞きながら、両親の部屋に向かう。
く。
﹃天の鎖﹄も負けじとありとあらゆる空間から鎖を﹃乖離剣エア﹄がいる空間に入れてい
宝具たちとの日常
16
17
俺の部屋からは﹃乖離剣エア﹄に早く出て来いという、魂の叫びが聞こえた気がした。
両親の説得はうまくいかなかった。俺自身無理だろうなとは思っていた。
御刀油は高い。バケツ一杯分の油となればかなりする。
俺は御刀油以外のものをほしがったりしないからか、両親も御刀油を買ってくれる
が、さすがにバケツ二杯分はキツイらしい。おまけに両親からは油以外のものも欲し
がってほしいと言われた。冷静に考えて油をほしがる二歳児は確かに嫌だ。
ハーレム王になるつもりはないが、油王にもなるつもりもない。
だからといって﹃乖離剣エア﹄を諦めるつもりは毛頭ない。
それに先ほど︵一応︶油の代わりになるだろうと先ほど母さんがくれたものもある。
そして、俺は宝具たちが待っている自室に向かった。
母さんがくれた、お酢を持って。
その後、
﹃王の財宝﹄と﹃天の鎖﹄は今まで以上に﹃乖離剣エア﹄を外に出すのを頑張っ
宝具たちとの日常
18
てくれるようになった。
天の鎖 vs ドライグ
Side ドライグ
俺の名はドライグ。
かつて神や魔王と戦ったドラゴンだ。
だが、あるとき聖書の神に封印され、今は﹃赤龍帝の籠手﹄の中にいる状態だ。
このときの俺は知らなかった。今回の宿主がどれだけ異常な存在であるのかを。
﹃さて、新たな宿主がどんなやつか見てみるか﹄
目覚めた方がいい。
ちというわけではないが、勝敗を分けるのは力を使いこなせるか否かだ。ならば、早く
新しい宿主がいつ目覚めるかによって勝敗は大きく違ってくる。早く目覚めれば勝
してくれよ﹄
﹃今回の宿主は男か。別にどちらでもいいが﹃ヤツ﹄に無様に負けるようことだけは勘弁
﹃赤龍帝の籠手﹄が新たな宿主を得たのがわかった。
﹃ん、新しい宿主か﹄
19
﹃そろそろか﹄
﹃赤龍帝の籠手﹄中に潜り、宿主の姿を見ようとする。
│ジャラッ
﹄
そして、ここには俺しかいない。
音などするわけが│││
│ジャララッ
どこからしている
!
・・・気のせいか。そもそもこの中には俺か歴代の宿主しかいない。
今何か音がしたような。
﹃ん
?
!
なんだこの音
!
天の鎖 vs ドライグ
20
│グサッ
﹃っ、なにっ
﹄
!
ない。
﹄
なんにせよこの鎖を抜かねばっ。そう思い鎖を抜くために鎖の先を見るが
﹃くっ
そして翼が鎖に貫かれているのか。
わけがわかなかった。なぜここに鎖があるのか。
鎖に突き破られた自分の翼があった。
そこには、
﹃・・・なんだこれはっ﹄
何かが突き破られるような音とともに痛みを感じ、そちらを見る。
!?
21
ないというよりも消えている。金色の波紋のようなものが二つあり、波紋と波紋の間
だがそれにしては小さすぎし金色の波紋など│││。
にある翼を繋ぐように鎖が出ていた。
これはグレートレッドの力か
﹃この、いい加減にしろ
﹄
反対側の翼を見ると同じく翼を鎖で貫かれていた。
反対の翼からの痛みによって中断した。
この未知の現象を考えようとしたのだが、
?
﹄
鎖を引きちぎろうと腕を伸ばすが、
!
│││アァアッ
!
今度は腕が貫かれる。
!
てきた。
貫かれていない腕を鎖に伸ばすが、鎖が腕に巻きつき引っ張られ、鎖が腕を突き破っ
﹃ガァアッ
天の鎖 vs ドライグ
22
あれからどれほど経っただろうか。
足と尾を使って鎖をどうにかしようとしたが、そのたびに鎖が巻きつき貫てきた。
今の俺は体中を鎖で貫かれて吊るされいた。
だが、一つわからないことがある。
れていて、見ようによっては﹃赤龍帝の籠手﹄の意思といってもいい。
別に意思があること自体はおかしなことではない。俺自身﹃赤龍帝の籠手﹄に封印さ
自身の意思で俺を拘束しているということ。
この鎖には意思があり、
それは、
ことに気づいた。
最初はこの鎖を使っているやつを憎み、いつか殺してやると思っていたのだが、ある
俺は鎖に尋ねる。
﹃・・・俺はずっとこのままなのか﹄
23
﹃なぜお前は主に俺のことを教えない
﹄
つまり、ドライグ君がかってに勘違いをしているだけである。
く、答えられない。正確には﹃声﹄を出す器官もなければ構造もない。
ドライグは知らない。ドライグを拘束している鎖こと﹃天の鎖﹄は答えないのではな
﹃ふん、答えんか。たいした忠誠心だな﹄
だ。
そう、それだけがわからない。俺は拘束こそすれそれ以上のことをまったくしないの
?
その目は憂いを帯びており﹃天の鎖﹄は恐怖を感じた。
と言い、ドライグはどこか余裕の笑みを浮かべて﹃天の鎖﹄を見つめる。
らうとするさ﹄
﹃まあいい、いつかはお前の主を見ることになんだろう。その時にいろいろ聞かせても
天の鎖 vs ドライグ
24
新しい家族と謎
拝啓、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は今年で六歳をなり、明日﹃姉﹄ができることになりました。
うん、おかしい。姉ができるってなに。妹ならわかるけど、なぜ姉
ことは数日前に遡る。
なのはいいことなんだが、さすがにそろそろなにか起きないと不安になる。
転生して五年が経ったが、なにも起こらない。悲しいぐらいになにも起きない。平和
?
イヤだよ、今まで静かだったのはこれから起きるための準備期間だったのだ、的なの。
なんでそろそろなにか起きませんか
そんな思いが通じたのか、その日の夜、父が俺に言ってきた。
?
なんでもその子の家族は両親ともにこの世を去り、女の子一人だけが残され、誰が引
妹の間違いではと思い父に聞くと、親戚の女の子を引き取ることになったという。
﹁一誠、姉ができるぞ﹂
25
新しい家族と謎
26
き取るかという話になって父が引き取ることにしたらしい。
あれ、原作にこんなのあったけ
ドアを父さんが開け、母さんが入ってくる。
さて、どんな人物かな。
玄関の鍵を開ける音が聞こえる。帰ってきたのだろう。
宝具の能力に﹁酸臭を放つ﹂なんて加えられたら泣く。俺も﹃王様﹄も。
あ、酢はやめた。酸っぱい臭いがする宝具なんて、ダサすぎる。
るので週に一回はやるようにしている。
とはいえ、手入れすることは悪いことじゃないし、宝具たちも︵たぶん︶喜んでくれ
る可能性などないし、あの﹃王様﹄が錆びるような物を持つとは思えない。
今更だが、宝具が錆びるわけない。﹃王の財宝﹄の中は時間が存在しないのだから錆び
両親は迎えに行き、家に一人残った俺は﹃天の鎖﹄を磨いていた。
姉が来る日になった昼。
ことにした。だって気にしたってどうしよもないでしょ。イヤだなんて言えないし。
と思ったが、見た目から原作をぶっ壊してるお前が言うなという話なので気にしない
?
車イスに乗った少女を押して。
ここって﹃ハイスクールD
D﹄の世界じゃねえの
×
﹂
?
あの後昼食を食べ、昼寝してくるといって部屋に引きこもった。
?
﹁・・・いやねえよ。原作ブレイクどころか、別の世界の住人じゃん。え、なんでいんの
﹁ボク、兵藤一誠。五歳ダヨ、ヨロシクネオ姉チャン﹂
﹁八神はやてや。よろしゅーな、いっくん。姉ちゃんって呼んでな﹂
﹁紹介しよう。今日からお前の姉になる、八神はやてちゃんだ﹂
・・・。
﹁あ、はーい﹂
・・・。
﹁お、一誠。紹介しよう。はやてちゃん、ちょっとこっちに来てくれ﹂
27
﹁あれか、クロス的な世界か
もしそうだとしたら・・・﹂
やべえ。ちょー面倒なことになる。
?
Dの世界なのに、マッドドクターや愉快な脳ミソども
×
ドアの間からこちらを覗いている存在に気づくことなく。
そうして俺は瞳を閉じた。
・・・寝よう。頭痛くなってきた。寝ればなんか案が浮かぶだろう。
と。
で管理局に永久就職させられて、ブラック企業も真っ青な労働を課せられるんだ、きっ
極太ピンクの破壊光線を放つ魔王とか逢いたくない。O・HA・NA・SHI︵物理︶
とか加わったら、死ぬ︵胃が︶。
ただでさえ色々と敵の多いD
﹁はやてとか思いっきり地雷じゃん。やばいって﹂
新しい家族と謎
28
ジュエルシード編
ギル・グレアム。
グレアム提督﹂
﹁理由をお教えいただいてもよろしいでしょうか、
実際隣にいた息子、クロノが尋ねる。
その内容に疑問を持ったのは私だけではない。
一時間もしないうちに帰ってこいというのはいう。
つい数時間前に上層部から命令を受け、準備が完了し艦を出したというのに、たった
意味がわからなかった。
﹃捜索の必要はない。直ちに帰還してくれリンディ艦長。これは決定事項だ﹄
﹁は、今なんと﹂
Side リンディ・ハラオウン
捜索任務
29
私の亡き夫のクライドの上官であり、その後も私やクロノを支えてくれた人物だ。そ
んな彼から緊急で通信がきて、出てみれば帰還命令。
混乱する私たちに提督はさらなる爆弾を落とす。
﹂﹂﹂
﹃・・・これは﹃最高評議会﹄直々の命令だ﹄
﹁﹁﹁なっ・・・
ロストロギア。
﹂
今回の捜索任務は遺跡から発見されたロストロギア﹃ジュエルシー
ド﹄の回収と、それを発掘した少年の保護という極めて重要な任務なはずです
﹁待ってください
絶対にありえないことだ。
時空管理局のトップ、最高評議会。管理局を創設した者たちからの命令。本来ならば
この場にいる全員が驚愕する。
!
﹂
理局はその管理や回収を行っている。にもかかわらずなぜ。
ものによっては世界を滅ぼすような危険な物も存在する古代文明の遺産。私たち管
!
!
?
それならば確かにこの任務を行う必要はないだろうが、その可能性は低いだろう。
﹁・・・もしかして、すでに回収を終えているのですか
捜索任務
30
﹃・・・﹃ジュエルシード﹄のある場所はわかっているが、回収は・・・不可能だ﹄
﹂
まさか誰かに回収された。でも場所はわかってるみたいだし。もし
かして虚数空間でも落ちたのかしら
?
提督の故郷
・・・まさかっ
﹄
︶﹂
な、よりにもよってあの世界にあるだなんて
﹃・・・第1干渉禁止世界、通称﹃地球﹄・・・
?
?
!?
手を間違えたわね。
﹁な、君は知らないのか
﹂
﹃地球﹄のことをしらないであろうエイミィがクロノに小声で尋ねるが、エイミィ聞く相
﹁︵クロノ君クロノ君、干渉禁止世界ってなに
!
!
!
﹃・・・﹃ジュエルシード﹄があるのは、私の・・・故郷だ﹄
様々な可能性を考える私に提督は苦痛な顔で答える。
?
回収が不可能
﹁どういうことですか
?
31
案の定驚いて小声で聞いてきたエイミィの努力を壊す、我が息子クロノ。
﹂
?
・・・なんかエイミィのおかげで落ち着いたわ。
﹁知らない人もいるみたいだから、説明するわね。よろしいですか提督
時空管理局最悪の事件を。
私は語り始める。
﹃・・・ああ頼む﹄
捜索任務
32
雰囲気は新婚さん
﹁ほないこか、いっくん﹂
﹂
そういい、早く車イスを押せと訴えかけてくる。
﹁はいはい、でどこ行くの
﹁ん∼、どうせやからちょっと遠くのとこ行ってみよか
すことになった。
﹂
両親に渡したら﹁明日行ってくる﹂と言って出かけたため、今日は姉弟二人だけで過ご
昨日俺が商店街のミニ抽選会で﹃1泊2日 温泉ペア無料券︵明日まで有効﹄﹂当て、
ただ買い物に行くだけなのに、なんでこんなにテンション高いの、この人。
﹁さあ、早く早く。デート♪デート♪﹂
どちらかと言えば俺が守ることになると思うんだが。
﹁大丈夫や、お姉ちゃんが守ったる﹂
﹁・・・あんまり遠くに行くのは危ないと思うんだけど﹂
?
?
33
出かける日の朝に父が﹁弟と妹どっちがほしい﹂とほざいていったため、朝食が食え
なくなったのは余談だ。・・・フラグでないことを祈る。
﹁おじさんたち楽しんでるやろか﹂
﹁たぶん楽しんでると思うよ、喜んでたし﹂
﹁それにしても、まさか無料券が当たるなんてなー。やっぱいっくんは運強いな﹂
3000円の商品ではあるが、あれがあればまたなにか買えたのに。
﹁個人的には商品券のほうが欲しかったけどね﹂
お姉ちゃんに行ってみ、買ったるわ﹂
?
﹂
﹁いっくんなんかほしいもんあるん
﹂
﹁・・・そのいっくんてやめない
﹁なんで
?
なんでって、普通に恥ずかしいからなんですけど。
?
こわっ、ヤンデレかよ。
いっくんいっくんいっくんいっくんいっくん﹂
﹁むー、なにが嫌なん。かわいいやんか、いっくんいっくんいっくんいっくんいっくん
雰囲気は新婚さん
34
﹁︵ふふ、若いっていいわねー︶﹂
?
まあ、わかったわ。今日はお姉ちゃん特性カレーを食べさせたるかんな♡﹂
?
どこか本気で困っているような
・・・ああ、そういうことね。
たかが、風呂入るだけでなにを焦ってる│││。
と、せわしなく目を泳がせるはやて。
﹁あー、そのな、ほら、わたし・・・﹂
?
毎度の冗談だろうと思い断ったのだが、様子がおかしい。
﹁・・・申し訳ありません、お一人でお入りください﹂
﹁いっくん一緒にお風呂はーいろ♪﹂
帰宅後、はやてが作ったカレーを食べ終え、少し時間がたった後に事件が起きた。
﹁
﹁・・・なんでもない。それより早く買うもの買って帰ろう﹂
﹁どうしん、いっくん
﹂
﹁︵昔は私もあんな風にダンナと・・・︶﹂
35
﹂
﹁で、準備できてんの﹂
﹁え
﹂
はやてがぶんぶんと首が飛びそうな感じで首を振る。
﹁一緒に入るんでしょ。それともやめる
﹂
そう言ってお互いに入浴の準備を始めた。
﹁じゃ、準備ができたら呼んで﹂
﹁どしたん
待ったなしで豚箱コース。神は死んだ、慈悲はない。
少女とお風呂に入る。
﹁・・・よくよく考えたらアウトな状況だなと思ってな﹂
?
﹁どういうこと
﹂
?
﹂
?
?
?
﹁前々から思っとったんやけど、いっくんのその髪とか目ってなんなん
雰囲気は新婚さん
36
はやての質問の意味がわからない。
フォルト化してたー
﹁ど、どしたん﹂
﹁なんでもない﹂
﹁や、でも﹂
!
なんとか抜け出し、水を飲もうとしたに降りたのだが、
寝やがった。
就寝も一緒と言ってきた、もういいやと諦めてしたがったら人を抱き枕にしてすぐに
﹁・・・今日ほどはやてがウザイと思ったことはないな﹂
あれ、ToLOVEる的なことがなかったんですけど。
そんな感じで二人の入浴タイムは過ぎていった。
︵あ、いっくんが壊れた。仕方ない、今日は一緒に寝たろ︶
﹁大丈夫だ、問題ない﹂
!!
・・・・・・すっかり忘れてたー 生まれて以降特にツッコまれてなかったから、デ
﹁や、おじさんたちの髪も目もいっくんと全然違うからなんでやろうなと思って﹂
37
なにか物音がする。
場所は、台所か。
はやては部屋にいる。両親はいない。
なんだ、もしかしてこのタイミングで敵出現か
んだ。
ナニされても、文句ネェヨナァ、オイ。
本が残ったカレーを食べていた。
なんにせよ、人の家に黙って入って
そして、足音を立てないようにして台所を覗くと、
?
それと自分の本がカレー臭いのだが、なにか知らないかと聞かれたので、シラナイと
翌朝残っていたカレーが無くなっていたことを聞かれたので、食べたと答えた。
・・・もう疲れた。寝る。
﹃ウマウマ♪﹄
雰囲気は新婚さん
38
答えておいた。
﹃♪﹄
39
時の箱庭にて
Side プレシア・テスタロッサ
うまくいった。後は回収すればいい。
そう思った。なのに、
﹁まさか、干渉禁止世界に落ちるなんて・・・
﹃ジュエルシード﹄は落ちた。
管理局が恐れる﹃干渉禁止世界﹄に。
﹂
﹂
完全に想定外だった。よりによって管理局でさえ手が出せない・・・
いや、むしろこれは逆にいい結果になったのではないか
そうとわかれば、早くあの人形に回収を命じなければ。
なぜなら、魔導体系がまったく違うのだから。
かる可能性は管理局よりも低いだろ。
ああ、これは間違いなく行幸だ。確かに﹃あれら﹄がいるあの世界は危険だが、見つ
!
?
!
ロストロギア﹃ジュエルシード﹄が見つかり、それを奪おうとして次元攻撃を放ち、
!
﹁管理局が干渉できないなら、邪魔が入ることはない。なら・・・
時の箱庭にて
40
してもらいわ﹂
?
ああこれでようやく願いが叶う。待っていてね、﹃アリシア﹄
はい、とフェイトが返事をして部屋を出ていく。
﹁そう呼ばれているだけよ、気にしなくていいわ。それより戻って準備をしなさい﹂
も﹃処刑﹄といったほうがいいか。
かつて自分たちが戦争を挑み、圧倒的な敗北をしたなど。いやあれは戦争というより
けにもいかないだろう。
いけないというわけではない。管理局としても隠す必要はないが、表立って公表するわ
チッ、まああの世界は一部の者しかしらないというわけではないが、知っていないと
と命じるがしらないらしく首を傾げる。
﹁干渉禁止世界
﹂
﹁フェイト、これからあなたには﹃干渉禁止世界﹄に行って、
﹃ジュエルシード﹄を回収
41
プレシアは知らなかった。魔導体系の違いなどなんの意味もないことを。
あの世界はプレシアが想像もつかないような程の﹃神秘に満ちた世界﹄であることを。
プレシアの願いを叶えられるほどの力を持っていたことを。
Side サーゼクス
﹁サーゼクス様、監視をしていた者たちから例の世界から侵入があったと報告がありま
した﹂
グレイフィアがかの世界から侵略者たちが来たことを教えてくれる。
まだ百年も経ってないと思うんだけど﹂
理される必要がある﹂だったかな。彼が言っていたのは﹂
﹁﹁時空管理局は全ての世界を管理している。よっておまえたちも我らに管理される管
と思ったのだが。
信じられなかった﹃あれだけのこと﹄があったのだからもう少しおとなしくしている
﹁彼らが
?
﹁あまりにも呆れるような内容だったので﹂
﹁・・・珍しいね。君が覚えてないなんて﹂
﹁ええ、あまり覚えていませんが恐らくそんな感じだったと思います﹂
時の箱庭にて
42
確かにあの発言は酷かった。
﹁サーゼクスちゃん、あの人たちが来たってほんとー
﹂
﹁・・・どちらに行かれるのですか﹂
﹁・・・グレイフィア、ドアと天井の修理を頼んでおいてくれ﹂
!?
あんな偽物の﹃魔法少女﹄は本物の﹃魔法少女﹄の私がやっつ
セラフォルーがドアぶち破ってきた。
と答えると
﹁ああそうみたいだよ﹂
けてやるんだからー
﹁なら私イってくるよー
!
そういって今度は天井を突き破っていった。
!
﹂
グレイフィアに言われ、どう対処するか考えていると
﹁それでいかがいたしましょう﹂
まあそうなればすぐに﹃あの神﹄が出てくるだろうが。
﹁あの言い分が通るなら今頃人間はどこかの勢力に支配されていただろうね﹂
43
あの﹃魔法少女﹄を止めなくね、と言って私はセラフォルーを追いかけた。
﹁色々行かなきゃいけないところはあるけど、まずは﹂
時の箱庭にて
44
Fate
金の少女は知らない、己が何者であるのかを。
本の主人は知らない、その身が貪られているのを。
天の龍帝は知らない、自分が求められていることを。
これは﹃運命﹄に翻弄された者たちの戦いの記録。
原作がついに始まったと理解できたのは、はやての発言のおかげだった。
もしもー
?
女神の発言を信じるなら、俺以外の転生者がいることになる。
公たちが頑張っているのか、あるいは、転生者たちか。
はやてが夢を見たと言ってから、だいぶ経ったが特になにか起きていない。原作主人
ところどころ雑な感じになっているがそれは無視しよう。
し﹄
子がいう夢。あれなんなんやろなーいっくん。・・・あれいっくん聞いとる
﹃なんかへんな夢を見たんよー。男の子とお化けみたいなのが出てな、助けてーて男の
45
﹁いたら、面倒なことになるだろうな﹂
あげればかなりツッコミどころが多いだろう。
正直かかわりたくないが、この世界の情報はほしい。知らない可能性もあるが、もし
なにか知っているなら聞きたい。そうしないと俺の身が危ない、気がする。
そんなわけで今現在主人公と﹃ジュエルシード﹄を探している。
転 生 者 は い ち い ち 探 し 回 る よ り も 主 人 公 を 見 つ け て お け ば 勝 手 に 出 て く る だ ろ う。
そもそも見たって転生者なんてわからん。俺みたいのなら別だろうが。
│グイッ
突然腕が引っ張られる。
﹂
引っ張られた腕を見てみると﹃天の鎖﹄が巻きついていた
?
るのだろうか。
以上確保している。どんどん便利になっていく﹃天の鎖﹄。いったいなにを目指してい
先日﹃天の鎖﹄が﹃ジュエルシード﹄の探索と封印を覚えた。おかげですでに10個
指した方向にまっすぐ行ってみると青い石﹃ジュエルシード﹄があった。
尋ねると、巻きついていた腕から離れ縦に二回振れた後どこかを指した。
﹁ん、見つけたの
Fate
46
毎回のように﹃天の鎖﹄に封印してもらい、
﹃王の財宝﹄に入れようとしたところで声
がかかる。
﹁ねぇ、ちょっといいかな﹂
こ、このnana様ボイスはっ
?
﹁ね、それ渡してくれないかな﹂
そんな彼女はこちらに話しかけてくる。
そう思ったのは決しておかしくはないだろう。彼女の姿は明らかに異常だった。
なんだこれ。
金色の髪はバサバサとしており目には隈ができ、全体的にやせ細っていた。
確かに振り返ったら予想通りの美少女がいたが、彼女の姿は予想外すぎた。
驚き、つい声が漏れる。
﹁は
﹂
にやけるそうになる表情を引き締め振り返ると、そこには金髪の美少女が
!
47
渡せ、渡さないなら奪う。そうハイライトさんが退社した目で訴えかけていた。
はっきり言ってかなりこわい。
彼女は手を出し催促してくる。仕方なく彼女に持っていた﹃ジュエルシード﹄を渡す
︵ビビってない︶と、ありがとうと言って去っていった。
・・・帰ろう。俺にはこの件は重い、彼女は主人公たちに任せよう。
無理やり自分を納得させ帰宅した。
うんまあこうなるんじゃないかなと思ってたよ。
翌日、学習機能がないのか懲りもせず﹃ジュエルシード﹄を探し出し発見したところ
で昨日と同じように彼女に出会ってしまった一誠。
﹁はい、どうぞ﹂
﹂
流石にこの後の展開は予想できたのか自分から進んで渡し逃げようとするが、残念彼
女からは逃げられない。
彼女は一誠の肩に手を置き尋ねる。
﹁待って﹂
﹁キミ、昨日私より早く見つけてたよね。どうして
?
Fate
48
﹁・・・ちゃうねん﹂
そういいなんとか逃げようとするが彼女は許さず一誠は捕まった。
あの後、なぜか彼女の住んでいるマンションに連れ込まれ、事情聴取を行われた。正
直に答える必要もないので、なぜかある場所がわかると言うと手伝ってほしい頼まれ
た。
﹂
﹁わたしにはあれが必要なの。けど私一人じゃもう限界で・・・。だからお願い手伝って
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・・・断る と言いたいところだが、万が一﹃ジュエルシード﹄が暴走などしたらこ
!
ら。
チラリと彼女を見る。昨日も思ったが明らかに今の彼女の体は危険な状態だったか
︵ぶっちゃけ、このままだと彼女死ぬかもしれないからね︶
手伝うことにした。色々と理由はあるが、
﹁いいよ、手伝おう﹂
の世界がますいし、転生者に会える可能性が高まるため、一誠は迷うが、
!
詳しい話はまた明日というになり、今日会った場所まで彼女に送ってもらった。
じゃあまた明日と言って去ろうとする彼女に待ったと声をかける。
彼女はなにを言っていると一誠を見るが、自分がまだ名乗っていないことを思い出し
﹁あんたの名前まだ聞いてないんだけど﹂
答える。
彼女、フェイト・テスタロッサはほんの少しだけ照れながら名乗った。
﹁フェイト。フェイト・テスタロッサ。それがわたしの名前﹂
Fate
50
はやてとフェイト
﹂
もしかしてイジ
一誠とはやては今フェイト・テスタロッサが住むマンションにいた。
まあ、とはやてに答える。
﹁ここにいっくんの友達がいるんか
なんか様子おかしいで﹂
ああ、と今度は答える。
﹁にしても、結構いいところに住んどるな﹂
﹁どしたん、いっくん
﹁なんでイジメられてんのに姉を呼ぶんだよ﹂
メられとるんか﹂
﹁それにしてもいっくんがわたしを友達のうちに呼ぶなんてどしたん
はやてはそんな一誠の様子に首を傾げる。
うん、と目をそらして答える。
?
﹁5歳児の友達をなんだと思ってんだよ・・・﹂
前の姉ちゃんにたっぷり相手してもらうからよ﹄的な感じになって
﹂
﹁そりゃあもちろん﹃これ以上イジメらたくなかったら、お前の姉ちゃん呼んで来い。お
?
?
51
?
心底呆れたように言う一誠。
﹁せやかて、いっくんがわたしを呼ぶなんてそのくらいしか思いつかん﹂
だけだよ﹂
﹁逆になんで思いつくのがそれなのか聞きたいんだけど。・・・ただ料理を作ってほしい
はやてはわからなかった。一誠も料理を作れるのになぜ自分が呼ばれるのかと。は
やてが疑問に思っている内に目的の場所についたのか車イスを押していた一誠が止ま
る。
﹁お姉ちゃん、これから見る物についてなにも聞かない、のは無理だろうからせめて普通
に接してあげてほしい﹂
一誠が二人だけで過ごした日から言わなくなった呼び方で呼び、真剣な目で頼む。そ
﹂
んな目で頼まれれば一誠大好きなはやてが断ることなどない。
!
﹁お姉ちゃん紹介するよ。こちら俺の友達のフェイト・テスタロッサた﹂
部屋の主を呼び、やってくる。
そんなはやての言葉を信じ、ドアを開け部屋の中に入っていく。部屋に入ると一誠が
﹁お姉ちゃんに任せときぃー
はやてとフェイト
52
﹂
と、やってきた金髪のミイラを紹介した。
﹁ぎゃあぁああぁぁーーー
﹂
!
!
﹂
!
未だ怒り続けているはやてにいいわけになっていない、いいわけを言う一誠とフェイ
﹁一度言ったし、流石にそこまでバカじゃないかなって思って﹂
﹁食べてる時間が惜しかった﹂
﹁だったらなんであんなことになっとたんや
﹁ンクンク・・・、ぷはっ、うん彼は言っってたよ﹂
﹁いや、俺はちゃんと食えよって言った﹂
作った料理を食べていた。
絶 賛 ぶ ち 切 れ の は や て の 声 を B G M に 金 色 の ミ イ ラ こ と フ ェ イ ト は 現 在 は や て の
るまでほっといたんやぁ
﹁ビタミン剤と水だけを飲んでたって、自分アホかぁー てか、いっくんもなんでこうな
マンション内にはやての絶叫が響き渡った。
!!
53
ト。そんな二人の発言についに怒りの限界点を超えたはやては、
﹂
!
いつも持ち歩いている十字架がついた本﹃闇の書﹄で二人の頭を叩いた。
﹁こん、ドアホどもがぁー
はやてとフェイト
54
動き出す事態
はやてによって本は時に凶器にもなることを身をもって教えられた二人は正座で説
教を受けていた。
﹂
フェイトは正座をしたことがないのか時折もぞもぞとしていたが。
﹂
?
﹁アルフ
お姉さんの名前か
﹂
?
フェイトがあっさりとアルフの正体を吐いてしまう。
﹁アルフは私の使い魔だよ﹂
それに対して嫌な予感を感じた一誠がフェイトの代わりにしゃべろうとするが。
はやてが新たに出た名前の人物のことを尋ねる。
?
﹁母さんは忙しいから。それにアルフは今母さんのところで休んでる﹂
か
﹁・・・探し物って。限度を知らんのか自分。というか親からはなにも言われんかったん
﹁探し物をしていて、それに時間をかけてたから﹂
呆れたような、いや呆れた目でフェイトを見て問いかけるはやて。
﹁で、自分いったいなんであないなことになっとたんや
?
55
それを聞き、なにやってんだよ・・・と頭を抱えたくなる一誠。
﹂
どうにか誤魔化せないかと一誠が思考を回らせるが無為に終わる。
なぜならば、
ということは自分もしかして魔法使いか
よくわからんけど魔法使いとはなにが違うんや﹂
?
﹁使い魔
﹁魔導士
﹁ううん、私は魔導士だよ﹂
はやての発言が予想外なものであったから。
?
?
なのに、はやては魔法使いかどうか尋ねた。
はなにかや、ゲームの話かなにかなど思うはずだ。
いくら子供でも使い魔と聞いて魔法使いかどうかなど尋ねたりはしない。使い魔と
なぜ、はやては使い魔と聞いて魔法使いと思ったのか。
く二人のほうを向いて考えていただけだった。
それを一誠はただ見ていることしかできなかった。いや、正確には見ているのではな
魔導士のことで話し出す二人。
﹁魔導士っていうのはね│││﹂
動き出す事態
56
﹂
まるで﹃魔法使いがいる﹄ということを知っているかのように。
﹁│││聞いとるんいっくん
﹂
?
味を考えていたからだ。
車イスを押す一誠はあの発言以降まったく喋っていない。ずっとはやての言葉の意
指していた。
夕暮れの中二人の姉弟、車イスに乗ったはやてを一誠が押しながら家への帰り道を目
明日フェイトちゃんの家に行くよ、と。
突然話しかけられ戸惑いながら尋ねる一誠にはやてはため息を吐き答える。
﹁あ、なに、どうしたの
によって引き上げられる。
はやての発言によって思考の海に沈んでいた一誠であったが、その原因であるはやて
?
57
﹁いっくーん、聞いとるかー﹂
﹁んあっ、・・・ごめん聞いてなかった﹂
考えることに夢中で間抜けな声で答えてしまい一誠は顔を羞恥に染める。
そんな一誠を心配そうな顔ではやては見つめる。
﹂
マンション出るときもフェイトちゃんに挨拶せずに帰ったろ。具合が悪い
んなら明日は私とフェイトちゃんだけで行くけど﹂
﹁大丈夫か
﹁うん、大丈夫だけど。なんで明日フェイトの家に行くことになったの
言っていないといいんだが。それに、今なにかおかしくなかったか
る。
﹂
はやての更なる発言に驚き立ち止まり尋ねるが、はやては答えず笑って一誠を見つめ
﹁・・・それどういう意味
?
?
?
︶﹂
﹁フェイトの話を信じたの ︵フェイトのやつどこまで話したんだ。﹃天の鎖﹄のことは
いをしてることがビックリや﹂
﹁魔法使い﹃は﹄見たことがなかったからなー。それにしてもいっくんが魔法使いの手伝
それに対してなんでもないことのようにはやては言う。
本来ならもっと前に聞いておかなければならないことを今になって尋ねる。
?
?
﹁まあ魔法使いぐらいいたっておかしくはないやろ、この世界﹂
動き出す事態
58
﹂
﹂
そのはやての笑みに何故か恐怖を感じ後ろに下がろうとする一誠の手をはやてが掴
む。
﹁大丈夫や、なにも怖がらんでええ、私が守ったるから﹂
今度こそ、絶対に、と呟き、狂気を宿した瞳で一誠を見て告白する。
私には﹃紫炎祭主による磔台﹄があるんだから、と。
Side 悪魔
今回の任務は愚かにも再び侵入してきた異世界の人間の抹殺である
冥界のとある場所に数十体の悪魔が列をなして、ある悪魔の話を聞いていた。
﹁諸君
指揮官と思しき悪魔が並んでいる悪魔たちに言う。
くれぐれも無様な姿だけはさらしてくれるなよ
任務に﹃選ばれた﹄者たちというべきだろう。
その発言に並んでいた悪魔たちがざわめきだすが、すぐにそれも静まる。流石はこの
!
!
﹁さらに、今回魔王様が来られる
!
!
59
﹄
﹁これより侵入者のところへ転移を行う。準備はいいな
﹃ハッ
﹂
﹂
!
事態は最悪の方向に動き始めていた。
む。
集まっていた悪魔たちを囲むほどの巨大な転移の魔法陣が現れ、悪魔たちを飲み込
!
!
﹁よし、・・・では、転移開始
動き出す事態
60