【週】 先週のマーケットの動きを コンパクトに紹介!

週次レポート
平成 29年 3月 6日
ドルの上値重いも下値固めにらむ
ECB理事会、米雇用統計、日本期末要因など焦点
今週の為替相場はドルの上値の重さが意識されつつも、下値固めをにらんだ展開が想定されよう。週間予
想はドル/円が 113.
20-11
5.30円、ユーロ/円が 119.7
0-121.80円。米 F
RBによる 15日の利上げが織り込ま
れるなか、9日 ECB
(欧州中銀)理事会での追随的な緩和縮小論議や、米利上げの今後の利上げスケジュール
を左右する 10日の米雇用統計などが注目されやすい。一方で日本での株安・円高要因となっている日本企業
の 3月決算対策についても、対応持続とピークアウトが焦点となる。
米国賃金の先行指標、2月は小幅改善
「(米トランプ政権による 1兆ドルのインフラ投資計画では)連邦政府の資金を使うだけでなく、民間から
の資金調達も想定している。そのうえで日本は米国の同盟国である。金融機関が巨額の資金を保有しており、
日本は素晴らしい資本の供給源だ」――。
米議会で正式承認されたウィルバー・ロス米商務長官は 2月 28日、このような見解を示した(産経新聞)。
日本に関しては「日本政府の年金基金は巨大で、保有資産を分散しようとしている」、「2月の日米首脳会談
で安倍晋三首相がトランプ大統領に対し、資金援助の意思があると示唆した」といった発言を行ったという。
トランプ政権の為替政策では日本の対米貿易黒字の削減に向けて、政治的なドル安・円高圧力を強めると
いう警戒感が根強い。しかし、日本勢にドル安・円高警戒論が高まると、日本からの対米投資にはリスク忌
避姿勢が強まってしまう。その意味でトランプ政権が日本を「大事な資金供給源」と位置付けているのであ
れば、適度なドル高・円安の受忍とドルの先高余地醸成が重要になっていく。
もっとも現状では米 FRBによる 15日 FOMCでの利上げ観測が高まりながら、
ドルの上値は重くなっている。
背景には米 10年債金利が「2.5%の壁」を前に上げ渋っていることがあり(債券価格は下げ渋り)、その要因
としては、1)
すでに投機的な米 10年債ショート(売り持ち)ポジションが過去最高水準で高止まりしている、
2)3月利上げを含め、年 3回程度の利上げは織り込みが進みつつある、3)トランプ政権による財政出動規模
の不透明感や出動の遅延観測、4)米国株の高値警戒感や利上げ打撃懸念(先行き調整株安と米国債へのシフ
ト余地)――といった点が想定される。
その中で当座の米債金利の上放れを左右するのが、10日の米 2月雇用統計だ。
前回は平均賃金が伸び悩み、
米債金利の低下とドル安を促した。2月指標も不透明感が強いが、同じ 2月分の米コンファレンス・ボード
による消費者信頼感指数では、6カ月後の予想景況で「所得の増加予想」が 18
.3%となり、1月の 18.1%か
ら小幅に上昇した。前回 1月の同指標は雇用統計での賃金下振れに先行する形で、12月の 2
1.5%から 18.1
%
へと急低下していた実績がある。その意味で 2月の平均賃金は、小幅ながらも持ち直しが期待されやすい。
雇用統計の先行指標でも、6カ月後の予想景況では「雇用の増加予想」が 1月の 19.7
%から 2月の 20.4
%
へと改善した。昨年 10月の 14.4
%をボトムに急上昇が続いているが、過去には雇用統計や平均賃金の改善
に先行性を有している。2月には週間の新規失業保険申請件数も 44年ぶりの低水準に減少(失業動向は改善)
しており、10日の 2月雇用統計は底堅い内容が期待されよう。その他の注目ポイントは以下の通り。
<米国債入札、根強い需要と利上げ警戒焦点>
米国債市場では今週、7-9日にかけて入札が実施される。総額は 560億ドルであり、3年債のほか 10年債
と 3
0年債の銘柄統合入札(リ・オープン)が予定されている。1
5日の利上げ織り込みや米株の高値警戒感
などもあり、根強い需要が確認されると米債金利の低下(債券価格は上昇)とドル安が支援されやすい。
その反面、今週の米国指標や欧州・中国などでのリスク要因低下次第では、FRBによる 3月以降の利上げ
ペース加速が警戒される可能性も残されている。その場合は入札が予想外の低調となり、米債金利が上昇。
思わぬドル高を促す波乱余地も想定される。
<ECB理事会と独債金利の上昇>
欧州市場では 9日、ECB(欧州中銀)理事会が開催される。1日にはドイツの 2月 CPI
(消費者物価指数)
が前年比+2.2
%の上昇となり、2
012年 8月以来の高い伸び率を記録した。ECBが物価安定の目標とする 2
%
弱の水準を上抜けており、今後の EC
B理事会では先行き緩和縮小の議論が注目され始めた。9日にかけては
ユーロの買い戻し地合いが意識されやすい。
しかし、実際の金融政策に関しては、欧州で 3月 1
5日にオランダ議会選、5月にフランス大統領選、9月
にドイツ総選挙が控えており、政治混乱リスクへの配慮などから緩和継続姿勢が示されると見られている。
さらに欧州ではギリシャの債務返済問題、欧州金融機関の潜在的な不良債権問題などを抱えており、短期的
な物価指標だけで緩和縮小には移行できない脆弱性がある。その中で 9日の ECB理事会で緩和継続スタンス
が示されると、短期的なユーロ安の波乱余地をはらむ。
一方でドイツでは物価の上昇もあり、ジワリと 10年債金利が切り上がってきた。足元では 52週移動平均
線の方向性が上向き化しつつあり、2014年 5月以来の上昇トレンド転換に直面している。その中で欧州では
オランダ、フランスの選挙で、極右候補の支持率に陰りが見られ始めた。緩やかな物価上昇と当座の政治リ
スク後退の中で、9日に ECBが緩和継続姿勢を示すと先行きインフレ上昇の思惑を喚起。ドイツ 10年債金利
の上昇トレンドが明確化され、とくにユーロ/円では日銀による低金利抑制策との対比でユーロの下限切り上
がりが支援される可能性がある。
<金相場の上げ渋り、ドル/円でドル下支えも>
前週末 3日に NY金先物相場は続落した。米 FRBによる 3月利上げ観測の高まりを受けて、前週には-2.5%
の下落となり、1カ月ぶりの大幅下落となっている。金相場はドルと裏表の関係にあるほか、安全逃避資産
として円とは連動性があるため、金相場の上げ渋りはドル/円でのドルの下支え(円高抑制)要因として注目
されやすい。
金相場は年初以降、米トランプ政権の政治・政策不透明感や FRBの利上げ遅延思惑、欧州政治リスクなど
で反発してきたが、月足テクニカルでは一目均衡表の転換線 1
248ドル(3日終値は 1オンス=12
26ドル)、
雲の下限 1326ドルといった強力な上値抵抗線で上値を抑えられている。
ここに来て週足テクニカルでは、52週線 1257ドル前後の方向性が 2016年 2月以降の上向き化を経て、再
び下向きに回帰し始めた。201
6年 2月からは金上昇と連動してドル安・円高圧力が強まってきた経緯があり、
金相場の頭打ちは円高余地の減退とドルの下値固めを支援する。
<日本企業の 3月決算期末対策>
日本市場では日本企業による 3月決算期末が迫るなか、決算対策としての日本株処分や外債処分、輸出企
業によるドル売り・円転手当てなどが株安・円高(ドル安)要因となっている。日本企業は輸出が伸び悩ん
でいるものの、海外移転の定着や海外企業の買収拡大などにより、海外での売上高が増加。3月決算に向け
て、海外からの本国送金需要が円高圧力となりやすい。
もっとも例年の 3月決算対策は、3月 15日から 20日にかけてピークアウトしていく。2016年のドル/円は
決算要因だけが材料ではないものの、3月 17日の 110
.66円前後で同月のドル安値をつけて、3月 29日には
113.81円方向までドルが反発する場面が見られた。現在と同じようなレンジ相場の例でいえば、2014年 3月
時にドル/円は 14日の 101
.21円前後が月中安値となり、4月 4日の 104.14円前後までドルが反発ラリーに
転じた実績を有している。
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