東京大学(前期)【物理】解答例 第1問 Ⅰ⑴ ばねの自然長からつり合いの位置までの伸びを A1 として kA1 = M g Mg k ∴ A1 = 積木はつり合いの位置を振動中心とする単振動をし,その振幅は A1 に一致するので最大の伸びは 2A1 = 2M g k :::: ⑵ この単振動の角振動数は √ ω1 = k M であるから,振動中心が x = A1 であることに注意すると a = −ω12 (x − A1 ) k Mg =− x− M k :::: ::: ア イ Ⅱ⑴ ひもの張力を S として,2 つの積木の運動方程式は 積木 1: M a = S − f 積木 2: M a = M g sin θ − S 2 式の和をとると 2M a = M g sin θ − f g µ′ g sin θ − x 2 6L 3L sin θ µ′ g x− =− 6L µ′ :::: ∴ a= ウ :::::: エ ⑵ ⑴より,2 つの積木は静止するまで単振動をすることがわかり,その角振動数は加速度の式から √ ω2 = µ′ g 6L 積木が動き始めてから静止するまで,即ち,求める時間は単振動の半周期に一致するので √ 1 2π · =π 2 ω2 6L µ′ g :::::: ⑶ ⑴より,この単振動の振幅は A2 = 3L sin θ µ′ であることがわかり,2A2 = 3L となればよいので 2· 3L sin θ = 3L µ′ ∴ µ′ = 2::::: sin θ Ⅲ⑴ 引っ張られた積木 1 本の上面,下面から受ける垂直抗力の大きさは 2M g ,3M g である。求める 力は上面,下面から受ける最大摩擦力の和につり合うので,µ2 = µ1 のとき µ1 · 2M g + µ2 · 3M g = 5µ1 M g :::::: ⑵ 動かない積木に着目するとその底面が受ける垂直抗力の 和は 6M g である。引っ張られる 2 本の積木の上面が受け る垂直抗力の大きさは M g であり,この面で生じる摩擦に より残る積木が動き出さなければよいので µ2 · 6M g > µ1 · M g ∴ µ2 > µ1 6 :: µ1 M g 3µ2 M g オ 3µ2 M g [別解] 2 本の積木の上面,下面が受ける垂直抗力の大きさは M g ,3M g であるから,2 本の積木が一 体となって動き始めるときに引っ張る力の大きさは F2 = µ1 · M g + µ2 · 3M g 下の 1 本の積木だけ動き始めてしまうときを考えると,積木の上面が受ける垂直抗力の大きさは 2M g であるから,このとき引っ張る力の大きさは F1 = µ1 · 2M g + µ2 · 3M g F2 < F1 であるから下の 2 本の積木が一体となって動き始める前に,下の 1 本だけが動き始める ことはない。積木の底面全体が受ける垂直抗力の大きさの和は 9M g であり,F2 の力を加えたとき に 9 本の積木が一体となって動いてはならないので F2 < µ2 · 9M g µ1 · M g + µ2 · 3M g < µ2 · 9M g ∴ µ2 > µ1 6 第2問 Ⅰ⑴ 導体棒に生じる誘導起電力の大きさは vBL であるから vBL R ::::: I1 = ⑵ ジュール熱の合計 Q は導体棒の力学的エネルギーの減少量に等しいから Q = M gl (1 − cos α) ::::::::::::: ⑶ ア(抵抗で発生する単位時間あたりのジュール熱が小さくなるから) Ⅱ⑴ 導体棒にはたらく力は右図のようになる。よって I2 BL = M g ∴ I2 = Mg BL I2 BL :::: √ ⑵ この単振動は見かけの重力加速度が 2g のもとでの単振動と考えられ π 4 Mg るので √ P = 2π l √ 2g ::::::::: ⑶ イ(設問Ⅰにおいて,重力が見かけの重力に変わった場合と同様に考えられるから) Ⅲ⑴ 導体棒の速さ v は v=l dθ 2πβl = cos dt T ( 2πt T ) であり,水平方向と見なしてよいから V = vBL = 2πβlBL cos T ( 2πt T ) :::::::::::::::::: ⑵ 誘導起電力を Vi とすると V + Vi = 0 より Vi = − 2πβlBL cos T ( 2πt T ) よって,振幅 A は A= 2πβlBL T :::::::: ⑶ 十分に時間が経つと,導体棒には電流が流れなくなる。この状況は設問⑵と同じであるから β′ = β : 第3問 I ⑴ ピストンにはたらく力のつり合いより 1 P1 S = P0 S + kL 2 ∴ P1 = P0 + kL 2S ::::::: ボイル・シャルル則より 3 P1 LS P0 LS 2 = T0 T1 3 P1 3 T0 = 2 P0 2 ∴ T1 = ( 1+ kL 2P0 S ) T0 ::::::::::::::: ⑵ 気体の内部エネルギーの変化を ∆U として ) ( 3 P1 · LS − P0 LS 2 ∆U = 3 2 = 3 9 P0 SL + kL2 4::::::::::::: 8 ⑶ 熱力学第1法則より,右図の面積 W を考えて Q0 = ∆U + W = 3 9 1 P0 SL + kL2 + (P0 + P1 ) 4 8 2 = 5 5 P0 SL + kL2 4::::::::::::: 4 P P1 ( ) 3 L−L S 2 P0 0 3 V SL SL 2 [別解] エネルギーの関係により,気体の内部エネルギーとばねの弾性エネルギーは,ヒーター 1 から 与えられた熱 Q0 と,大気圧による仕事で変化するから { ∆U + 1 k 2 ∴ Q0 = = } ( )2 ( ) L 1 3 2 − k·0 = Q0 + (−P0 S) L−L 2 2 2 3 9 1 1 P0 SL + kL2 + kL2 + P0 SL 4 8 8 2 5 5 P0 SL + kL2 4 4 Ⅱ 断熱自由膨張より,T2 = T1 。ボイルの法則より :: 3 P1 · LS = P2 · 2 ∴ P2 = ( 3 LS + LS 2 ) 3 P1 5::: Ⅲ この過程は定積変化より,熱力学第1法則より,ピストン 1 がストッパーから離れたことから 圧力は P1 になっているから Q1 = = 3 2 ( ) 5 5 P1 · LS − P2 · LS 2 2 3 P1 SL 2 :::::: Ⅳ⑴ ピストン 1,ピストン 2 にはたらく力のつり合いを考えると,ピストン 1 がストッパーから 離れたことから A 内,B 内の圧力は P1 になる。 3 ∆UA + ∆UB = 2 ( ) { ( ) } 3 3 5 L − LA S − P2 LS P1 LA S − P2 LS + P1 2 2 2 3 5 · (P1 − P2 ) · LS 2 2 ( ) 3 3 = P1 SL ∵ P2 = P1 2 5 :::::: = ⑵ 熱力学第1法則より Q2 = ∆UA + ∆UB ∴ Q1 = Q2 :::::::
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