2016 年度 応用生物学部 卒業論文概要 論文題目 塩素系カビ臭物質のオゾン分解における共存物質の影響 氏名 指導教員 榎本 歩 浦瀬 太郎、筒井 裕文 キーワード:2,4,6-トリクロロアニソール、オゾン、GC/MS、共存物質 1. はじめに 近年、下水処理における脱色などの高度処理用途でオゾン処理へ の関心が高まっている。そして下水処理水中に存在する共存物質のなかには オゾン処理において反応性の分子を生成し、促進酸化と呼ばれるメカニズム により、脱臭、脱色がより効率よく進む場合がある。 2. 目的 本研究ではオゾンを下水処理水に吹き込むことで臭気原因物質の一つ である 2,4,6-トリクロロアニソール(2,4,6-TCA)の低減を試み、さらに、オゾン 濃度、吹き込み時間、共存物質の有無が反応におよぼすに影響を調査した。 3. 実験方法 水道水 または下水処理水に初期濃度 100 ng/L で 2,4,6-TCA を添加 したサンプルにオゾンを吹き込み(80 ppm, 3 L/min.)、その処理水に含まれる 2,4,6-TCA を、ヘッドスペース固相抽出法で抽出し、GC/MS で定量した。 4. 結果と考察 反応当初は水道水試料に添加した場合よりも下水処理水試料で 2,4,6-TCA が速やかに減少した。その後次第に水道水中での反応速度が大きく なった。この際、水道水試料においては時間経過につれてガス状のオゾンが 溶け込み、溶存オゾン濃度が上昇したが、下水処理水試料では水中の共存物 質にオゾンが消費されオゾン濃度は低いままであった。 120 0.025 TCA濃度(ng/L) 100 0.02 80 下水処理水溶存オゾ ン 濃度 0.015 60 下水処理水TCA濃度 0.01 40 0.005 20 0 0 0 5 10 15 20 25 30 時間(分) 図、 各サン プ ルのオゾ ン処理におけるTCAの濃度変化と 溶存オゾ ン 濃度の関係 35 溶存オゾ ン 濃度(mg-O₃/L) 水道水溶存オゾ ン 濃度 水道水TCA濃度
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