03 1. ス チ レ ン -2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン 2 元 ブ ロ ッ ク 共 重 合 体 溶 液 の 粘 弾 性 横山・高橋研究室(指導教員:高橋良彰准教授)石田邦彦 緒言 ポ リ ス チ レ ン -2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン の よ う な 、 2 種 類 の 異 種 高 分 子 同 士 が 結 合 し た 2 元ブロック共重合体は、それぞれのブロック成分の体積分率が等しい場合、ラメラ構 造と呼ばれるミクロな相分離構造を形成することが知られている。また、ラメラ構造 の 溶 液 中 に お け る 粘 弾 性 は 、2 成 分 の 粘 弾 性 挙 動 が 同 じ な ら 、秩 序・無 秩 序 構 造 と 関 係 なく、ホモポリマーの粘弾性の挙動と変わらないことがわかっている。一方で、バル ク状態中の2元ブロック共重合体ラメラ構造は、ブロック鎖の一端が、壁に固定され たような粘弾性緩和の挙動をとることが当研究室の研究により明らかになってきた。 従 っ て 、溶 液 濃 度 を 変 え る と 、上 記 2 つ の 挙 動 間 で の 遷 移 が お き る と 考 え ら れ る が 、 溶 液 の 濃 度 変 化 に 伴 う ラ メ ラ 構 造 の 粘 弾 性 変 化 に つ い て は 研 究 さ れ て お ら ず 、 溶 液 -バ ルク間の領域には、測定値のギャップが存在している。 そ こ で 本 研 究 で は 、 重 合 度 が 正 確 で 、 左 右 対 称 な ポ リ ス チ レ ン -2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン を 試 料 と し て 用 い 、 2 元 ブ ロ ッ ク 共 重 合 体 ラ メ ラ の 溶 液 -バ ル ク 領 域 に お け る 粘 弾 性 緩 和 に関するデータの集積及び、粘弾性緩和に対する溶媒濃度依存性について検討するこ とを目的とする。 2. 実験方法 2.1 試 料 試 料 と し て 、ポ リ ス チ レ ン と ポ リ( 2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン )と の 2 元 ブ ロ ッ ク 共 重 合 体 で あ る ポ リ ス チ レ ン -2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン を 用 い た 。 こ の ポ リ マ ー は ア ニ オ ン 重 合 法 に よ っ て 合 成 さ れ て お り 、 Mw=73.9×10 4 , φ s=0.51 の ほ ぼ 左 右 対 称なポリマーである。 2.2 溶 液 調 整 ポ リ ス チ レ ン -2-ビ ニ ル ピ リ ジ ン を 、 沈 殿 生 成 法 及 び 凍 結 乾 燥 法 に よ り 精 製 を 行 っ た 後 、 空 気 中 の 酸 素 に 注 意 し な が ら 、 2, 4, 6, 8wt%の 溶 液 を 作 成 し た ( 50℃ -1week)。溶 媒 に は 、両 成 分 に 対 し て 良 溶 媒 で あ る α -ク ロ ロ ナ フ タ レ ン を用いた。 2.3 測 定 簡 易 型 の 流 動 複 屈 折 装 置 に よ り 、ラ メ ラ 構 造 を 確 認 し た 後 、レ オ メ ー タ に よ り 粘 弾 性 緩 和 の 測 定 を 行 っ た 。 ま た 、 溶 媒 に よ る 粘 性 を 考 慮 す る た め 、 α -ク ロロナフタレンの粘度も測定した。 3. 今 後 の 展 望 ラメラ構造は、分子量によって形成条件が異なるので、今後は様々 な分子量のラメ ラ構造に対する溶媒依存性についても検討を行う。さらに、使用する溶媒の粘度や含 水率等の基礎的な物性を測定し直すことにより、実験結果の信頼性の向上 を目指す。
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