イタリアの発行体格付をAからA-[ネガティブ]に変更

NEWS RELEASE
2017年02月20日
【格付変更】
イタリア共和国
外貨建発行体格付: A → A- [格付の方向性:ネガティブ]
自国通貨建発行体格付: A → A- [格付の方向性:ネガティブ]
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
R&Iは、重い政府債務を抱えるイタリアにとって、構造改革の断行による経済成長力の底上げ努力と財
政健全化に対する政府のコミットメントは、信用力を支える重要な柱と考えてきた。昨年12月に発足し
たジェンティローニ政権は、レンツィ前政権下で進められてきた改革や財政政策を継続する意向を示し
ている。しかし、不安定な政局を背景に、同政権の政策的課題への取り組みに関する不確実性が高まっ
ている。また、経済は力強さに欠け、財政赤字の削減ペースも当初計画から遅れる見通しだ。銀行部門
は不良債権が重荷となっており、経営が悪化している複数の金融機関の資本増強計画がいつ実行に移さ
れるかも定まっていない。資金仲介機能が十分に回復するには時間がかかろう。以上を踏まえ、外貨建
および自国通貨建発行体格付をA-に格下げした。
総選挙が前倒しで実施されるとの観測があり、政局が足かせとなって経済の回復や財政健全化が一段
と遅れる懸念があることから、格付の方向性はネガティブとした。政治の動向、政権の経済成長力の底
上げや財政健全化に対する取り組み、および経済と銀行部門の動向に注目していく。
経済は2014年から回復基調にある。2016年の実質国内総生産(GDP)成長率は、民間消費や投資が牽引
し1%弱となった模様だ。2017年もこうした基調を続けるとみられ、イタリア中央銀行は実質GDP成長率
見通しを0.9%としている。当面は1%程度かそれを下回る弱い成長が続く見通しだ。政府債務や銀行の
不良債権問題などが重荷となり、経済は外部環境の変調に対して脆弱な状況が続こう。
不良債権比率は2016年6月末時点で17.7%。前年末と比べて僅かながら減少したが、その比率は依然と
して高い。銀行部門は低金利や低成長が収益を圧迫する上に、不良債権の処理コストがのしかかり、厳
しい経営環境が続くことが予想される。与信機能が十分に回復するには時間がかかろう。大手金融機関
の一つMonte dei Paschi di Sienaは2016年末に自力での増資を断念し、政府は同行に予防的支援として
公的資金を注入する方針を発表した。同資本増強案によると財政への影響は軽微にとどまる。ただ、そ
の実行には欧州委員会(EC)の承認が必要で、最終的な資本不足額や政府負担は確定しないままだ。
2016年の一般政府財政収支の赤字幅は、ECによるとGDP比2.3%と前年から小幅の改善が見込まれてい
る。基礎的財政収支は黒字で、1.7%となった模様。政府予算によると、2017年は赤字幅をGDP比2.3%と
する計画だ。財政赤字幅は前年比で横ばいだが、昨年の安定計画で示されていた水準(1.8%)には達し
ない。2017年に予定していた付加価値税の税率引き上げが延期される一方、投資促進や所得支援等の支
出が拡大する。景気循環と一時的要因を除いた構造的財政収支の赤字幅は前年から約0.4%ポイント悪化
する見込みで、ECはイタリア政府に対し追加の赤字削減措置の導入を求めている。
R&Iは、マイナスのGDPギャップが続くなか、財政収支の改善を妨げない程度に一時的に財政運営スタ
ンスを緩めることは、財政規律の評価を引き下げることにはならないと考えていた。しかし、安定計画
で示されていた2017年の財政赤字目標は増税策とともに先送りされ、構造的財政赤字は悪化傾向にあ
る。政治環境が流動的となっていることも踏まえると、債務を削減基調に導くような財政健全化が早期
に、かつ継続的に実施される公算は低下していると判断せざるを得ない。政府債務残高は2016年にはGDP
比132.8%となった模様で、2017年もほぼ横ばいで推移する見込みだ。政府はECが求める追加的措置を4
月までに導入、また2018年以降は財政赤字の削減を加速する意思を示している。こうしたコミットメン
トを実行に移すことができるか、また経済の構造問題に迅速に取り組んでいくための政治環境を醸成で
きるかが注目される。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-6273-7471 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-6273-7273
株式
会社
格付投資情報センター
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:イタリア共和国
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
A → A-
ネガティブ
自国通貨建発行体格付
A → A-
ネガティブ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
原 一樹
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2017年02月14日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
イタリア共和国
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-6273-7471 E-mail [email protected]
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
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き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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