認知症を引き起こす代表的な病気 アルツハイマー病 認知症を引き起こす代表的な病気として、もっとも多いのはアルツハイマー病です。脳の細胞が ゆっくりと死滅して脳全体が委縮していきます。右の図のように元々の脳が縮んだ状態を示して います。脳全体の委縮は、長年にわたり徐々に進行していきます。40歳以降は、10年で5% の脳細胞が死滅していると言われています。しかし、脳全体の委縮が即認知症につながるわけ ではありません。死滅した脳を補う働きがあれば、認知症にはなりません。 脳血管性認知症 次は、最近、増えている脳血管性認知症です。脳梗塞が多発して、脳の血管が詰まって一部 の細胞が死滅するために起こる認知症です。右下の図の右側が少し黒ずんでいますが、脳の 一部に血液が通わなくなって細胞が死滅した状態を表しています。実際には、これほど大きくは ありませんが、このような状態が複数に及ぶ状態を、多発性脳梗塞と言われています。 先ほど説明したように、アルツハイマー病になったら、必ず認知症になると思われがちですが、決し てそうではありません。90歳を過ぎても認知症の症状が全くない老人もいます。脳が委縮してい ても、残っている脳細胞が死滅した脳の代わりを果たすことができていると認知症にならないよう です。多発性の脳梗塞があっても、その後のリハビリテーションの効果によって、認知症の発症を 回避することができます。 従って、アルツハイマー病や脳血管性の病気になったら皆、認知症になるという誤解がないように しましょう。 0 アルツハイマー型認知症 次に認知症の種類を詳しく説明します。 最初に、アルツハイマー型認知症ですが、前のページの図でもわかるように、アルツハイマー 病になった方が認知症を発症した場合にアルツハイマー型認知症と言います。 アルツハイマー型認知症とは、認知症になる原因疾患の中で一番多い疾患です。 その原 因は不明ですが、脳内でさまざまな変化がおこり、脳の神経細胞が急激に減ってしまい、 脳全体が小さくなって高度の知能低下や人格の崩壊がおこる認知症です。 初期症状は徐々に始まり、ゆっくり進行するもの忘れ、が特徴です。物忘れが頻繁になる 以前から、本人はその症状に気付いていますので、周囲が異変を感じる頃は、少し症状が 進んでいることがあります。 昔のことや若い時のことなど、古い記憶はよく保たれますが、最近の出来事を覚えることがで きません。そのため同じことを何度も何度も聞きかえしたり、置き忘れや仕舞い忘れなどが 多くなります。たとえば、昨日お礼の電話をしたことを忘れて今日また同じ相手に電話をか けるなどということがよくあります。 また、抑うつや妄想ではじまることもあります。運動麻痺や歩行障害、失禁などの症状は初 期にはありません。CTやMRIなどの画像検査も正常か、やや脳の萎縮が強いという程度で す。そのため、認知症になりそうな状態か、認知症の初期症状かを判別する専門医でも 認知症の診断は難しいと言われています。 1 ノロウイルス 次に、ノロウイルスについて、説明します。 ①流行時期は、11月から3月で冬期に多く見られます。 ②感染経路は、食品媒介感染、接触感染、飛沫感染が主となります。 ③症状は、吐気、おう吐、下痢、腹痛、発熱などが挙げられます。 ④診断方法は、症状やノロウイルスの検出によります。 ⑤経過 感染後、24時間から48時間で、吐気、おう吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が見られま すが、通常は3日以内に回復します。 ノロウイルスは、口から入って小腸粘膜で増加し、少量のウイルスで感染します。 2 ノロウイルス感染経路 ノロウイルスの感染経路は、大きく3つあります。 1つは、ノロウイルス感染者の排泄物が排出された後に、川から海へ流れ出し、そのウイル スが魚介類に蓄積します。これを加熱不十分のまま食べると感染し発病します。 2つ目の経路は、感染者が調理した食品にウィルスが付着し、これを食べて感染し発病し ます。 3つ目は、感染者のふん便、おう吐物の処理が不十分で、残ったふん便やおう吐物が乾燥 して飛沫します。これを口から取り込んで感染し、発病します。 3 ノロウイルスの消毒 他の微生物などと比べると熱に強く、85℃で1分以上の加熱が必要であります。 逆性石鹸、アルコールの消毒効果は十分ではありません。塩素系漂白剤の次亜塩素酸 ナトリウムが効果があります。 居宅内で感染が広がる要素 ノロウイルスを例とすると、感染源は、介護職員が触れた食品、食材などが考えられます。 感染経路は、やはり介護職員の手から感染することが多いといわれています。 利用者のおう吐物処理からも感染します。 予防策 利用者の居宅に入ったら、まず入念な手洗いを行います。また、調理をする前にも、念のた めに再度手洗いをしましょう。 4
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