早稲田大学 人間科学部 生物 講評 出題形式 マーク式 試験時間 60分 特徴・その他 昨年度並みであるが,今年度の大問構成は6題と昨年度の5題から1題増加した。昨 年大問数の減った本学の生物であるが,昨年に比してやや実験問題のウェートが少な くなり大問数が増加したことがうかがえる。また,第Ⅰ問の小問集合という表立った 形の問題は出題されなかった。全般的に教科書と傍用問題集レベルの内容ばかりでは あるが,細かな知識(例えば生物名・物質名など)まで教科書レベルの内容は必ず押さ えておきたい。 〔大問別講評〕 番号 Ⅰ 出題内容 タンパク質 酵素 コメント 難易度 《タンパク質と酵素についての基本問題》本問はなるべく誤ることな やや易 く完答したい。問1のグルカゴンは29個のアミノ酸からなるペプチ ドである。ほか,チロキシンやアドレナリンはホルモンではあるが, アミノ酸の誘導体であり,題意を満たさない。問5は酵素の阻害と 反応速度について,個別の事項を丸暗記しているだけでは正答でき ない。 Ⅱ 発生 《(1)ショウジョウバエの前後軸決定 (2)ニワトリ表皮・真皮相互 標準 作用》(1)も(2)も現行過程では拡充された発生における体軸形成・ 形態形成の頻出問題である。教科書にも掲載されていることの多い 本題材は,資料集でも必ず目を通しておきたい。(1)は基本的な語 句問題とグラフから遺伝子の相互作用を考える標準問題である。 (2)は問4の中間径フィラメントについて関連した物質名が出てこ なかった人も多かろうが,本講評の特徴・その他にある通り物質名も 頻出レベルではしっかり押さえておこう。問6は一度類題の経験が あれば易しいが, 「何が」「いつ」誘導するのかを考える必要がある ため勘違いしやすい。差のついた一問である。 Ⅲ 恒常性 《循環器》(1)は血管系と心臓の構造についての基本問題である。 標準 (2)の心臓の拍動周期については,実際の拍動のメカニズムはイメ ージできてもそれをグラフと結び付けるのは難しい。ポイントは (c)~(d)間でⅡ・Ⅲが圧力が同期してピークを迎えている中Ⅰが 下がっていることである。ここに注目して考えられたかがカギとな った。 Ⅳ 個体群 《群れ》最適な群れサイズを警戒行動と争い行動から考える資料集頻 出のグラフである。やはり資料集の主要な図は押さえておきたい。 そのうえで,問3で出題のあったようにグラフの「意味」まで抑え ておきたい。基本事項が理解できているかが問われる問題である。 1/2 やや易 番号 Ⅴ 出題内容 生態系 コメント 《物質生産 (1)生産構造図 (2)物質収支》植物群落の物質生産に 難易度 標準 ついて,(1)は標準的な問題であるが,草本と木本の違い,また具 体的な植物名についての知識が問われており差が出てしまうと思わ れる。(2)は生態系の物質収支について包括的かつ基本的な事項を 問うているが,問4では知識不足により具体的数値のイメージが立 たず得点できなかった受験生が続出すると思われる。 Ⅵ 植物 細胞と浸透圧 《植物と水》植物と水についての総合問題である。(1)問1は生体構 標準 成分子としての水の性質を説明できれば易しい。(2)は気孔につい ての基本問題だが,ミクロフィブリルという言葉は受験生にとって は見慣れないものである。気孔開閉のメカニズムは必ず押さえてお きたい。(3)の浸透圧の実験は,見慣れた圧力―体積グラフではな いので戸惑ったかもしれない。差のついた問題である。 〔総合コメント〕 本学の生物は特に教科書,基本問題集,頻出問題を演習することで十分に対応できる。その際に,教 科書および資料集に書かれている基本的事項を羅列的に丸暗記するのではなく,自分の力で説明でき るかを自ら確かめてみるべきである。それにより図の解釈や選択肢の吟味において自分の知識を強固 なよりどころとできるからである。また,生物名や物質名はつとめて覚えておくようにしなくてはな らない。 2/2
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