ポルトガルの発行体格付BB+[安定的]を維持

NEWS RELEASE
2017年02月20日
【格付維持】
ポルトガル共和国
外貨建発行体格付: BB+ [格付の方向性:安定的]
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
欧州連合(EU)主導の経済・財政調整プログラムを経て、経済は緩やかに成長し、経常収支は黒字を
維持している。2016年の財政赤字は国内総生産(GDP)比2.3%以下と推計され、マーストリヒト条約で
定める3%以内にようやく収まりそうだ。R&Iではこうしたフロー面の改善を評価している。引き続き経
済動向には注意が必要だが、財政状況が大きく見通しから外れるリスクは後退しているとみている。一
方、公的債務・対外債務ともに高く、依然として金融市場のセンチメントの動揺に脆弱さを抱える。銀
行システムは、国内最大手国営銀行への資本注入を含めいまだ多くの課題を抱える。これらを勘案し、
外貨建発行体格付BB+を維持し、格付の方向性は引き続き安定的とした。今後も財政健全化や成長力強化
のための構造改革への取り組みに注目していく。
EUと国際通貨基金(IMF)による支援プログラムが終了した2014年以降は内需と輸出の伸びが支える形
でプラス成長が続いている。失業率が順調に低下しており、労働市場の状況の改善は民間消費の支えと
なる。投資はEU基金の着実な活用が後押しとなる。当面、危機前の平均成長率を上回り、1.5%近傍での
安定推移ができるかが課題となろう。
民間部門でも重い債務負担が経済成長の足かせとなっている。また、現政権が進める最低賃金の引き
上げや公務員の一時的給料カットの巻き戻しなどの施策は、民間消費にはプラスの一方、企業にとって
は労働コストの上昇となる。事業見通しが悪化すれば投資などのブレーキとなりかねない。中長期的な
競争力維持といった観点からも、バランスのとれた政策対応が望まれる。
貿易赤字の縮小やビジネスサービス輸出の伸張などを背景に経常収支は2013年来、黒字を維持する。
国内の資金循環には余裕が出ている。経済の調整が続く間は、国内資金環境の安定感を高めるうえで重
要だ。ただ依然として国際投資ポジション(IIP)の赤字額はGDPを上回る水準で、対外金融市場のセン
チメント変化に対して脆弱性を抱える。
緩やかになってきたとはいえ、銀行部門では融資残高と合わせて総資産の減少が続く。長引く低金利
と経済・金融市場の不透明性の高さで、銀行にとって厳しい収益環境が続こう。金融システムの不安定
化懸念は後退しているが、高止まりする不良債権比率は重荷だ。またR&Iは、年内に決着が予定される、
公的基金保有のNovo Bancoの売却の進展にも注目している。
ここまでの財政健全化努力は評価できる。2016年の財政赤字はユーロ圏に入って以来、初めてGDP比
3%未満となったもようで、2017年予算での見通しを踏まえれば、2009年から継続する過剰財政赤字是正
手続(EDP)は早晩、解除される運びとなろう。ただ、国内最大手国営銀行Caixa Geral de Depositos
(CGD)への資本注入が統計上どう取り扱われるかによって、2017年の財政赤字が見通しよりも拡大する
可能性には留意が必要だ。
基礎的財政収支(PB)は2015年に黒字化し、2017年予算ではGDP比2.8%まで拡大する見通しを立て
る。景気循環の影響を調整した構造的PBで潜在GDP比0.6%ポイント分の改善を見込んでおり、明確に引
き締め型の予算だ。政府債務残高はほぼ横ばい。今後、左派政権という政策運営環境、及び予断を許さ
ない経済見通しの中、財政赤字削減に向けた政策努力が継続されるか注目している。
当面、市場での資金調達に関して大きな問題が出るとはみていないが、対外環境の変化や投資家セン
チメントの悪化に対して敏感だ。引き続き高止まりする見通しの公的債務残高、民間部門を含めた対外
債務や銀行部門など、構造的な弱さに関する認識が背景にあろう。
与党・社会党(PS)は、左派パートナーとの議会合意に縛られながらも、EUの制度的フレームワーク
へのコミットメントを繰り返し表明、ここまでは予想以上に上手くやっている。実行ペースは遅々とし
たものになるかもしれないが、財政健全化と経済成長力の強化という政策の方向性はおおむね保たれる
とみている。ただ、公共交通機関の民営化や教育制度改革など、長期的な経済の効率性確保に資すると
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-6273-7471 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-6273-7273
株式
会社
格付投資情報センター
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
目される施策の停滞は懸念だ。次回総選挙は2019年に予定されている。
【格付対象】
発行者:ポルトガル共和国
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
BB+(維持)
安定的
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
関口 健爾
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2017年02月13日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
ポルトガル共和国
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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