6 □ 以下の問に答えよ。 (1)正の実数 x,y に対して ! " + ≧2 " ! が成り立つことを示し,等号が成立するための条件を求めよ。 (2)n を自然数とする。n 個の正の実数 a1,…,an に対して ' 𝑎' + ⋯ + 𝑎) *+ ' +⋯+ ≧ 𝑛. *, が成り立つことを示し,等号が成立するための条件を求めよ。 (神戸大) 解法パターン 設問(2)以降で行き詰まってしまったら,前問の結果をいかに利用するか!?を考えましょう!! (補足) (2)は(1)の結果を利用する問題です.言い換えれば(1)の結果をいかに利用するか!?が問われて いる問題とも言えます. <解説> ! " (1) > 0, > 0 であることと " ! ! " " と ! との積が ! " " ∙ = 1 と定数になることから ! 相加平均と相乗平均の大小関係の利用を試みます. ! " つまり 𝑥 > 0,𝑦 > 0 より > 0, > 0 ですから " ! 相加平均と相乗平均の大小関係より 等号が成立するのは ! " = " ! ! " " ! ! " + ≧2 " ∙ = 2 が成り立ちます. ! のとき,すなわち 𝑥 . = 𝑦 . のときであり,これと 𝑥 > 0,𝑦 > 0 であ ることから 𝑥 = 𝑦 のときです. あるいは 左辺 − 右辺 を考えて ! " " 7 8."!9! 7 " ! "! 左辺 − 右辺 = + − 2 = = "8! 7 "! とし 𝑥 > 0,𝑦 > 0 であることから 𝑥𝑦 > 0,また 𝑥 − 𝑦 "8! 7 "! ≧0 . ≧ 0 であることから ∴ 左辺 − 右辺 ≧ 0 ! " " ! ∴ + ≧2 等号成立は 𝑥 − 𝑦 = 0 すなわち 𝑥 = 𝑦 のとき としても構いません. (2)与えられた不等式の左辺を展開するとものすごく項数が多くなるので ' ' できれば 𝑎' + ⋯ + 𝑎) ≧ 𝑛 かつ + ⋯ + ≧ 𝑛 であることを導き出し *+ それらを利用して 𝑎' + ⋯ + 𝑎) ' *+ *, +⋯+ ' *, ≧ 𝑛. であることを証明したいところですが,それ はムリですよね!? で,与えられた不等式の左辺を展開するのですが,分子が共通する項をまとめてカッコでくくって 分かりやすく表記します. すなわち 𝑛 ≧ 2 のとき 1 1 𝑎' + ⋯ + 𝑎) +⋯+ = 𝑎' 𝑎) 𝑎' 𝑎' 𝑎' 𝑎' 𝑎. 𝑎. 𝑎. 𝑎. 𝑎< 𝑎< 𝑎< 𝑎< [ + + +⋯+ + + + +⋯+ + + + +⋯+ 𝑎' 𝑎. 𝑎< 𝑎) 𝑎' 𝑎. 𝑎< 𝑎) 𝑎' 𝑎. 𝑎< 𝑎) +⋯+ *,=+ *, + *, *+ + *, *7 + *, *> +⋯+ *, *,=+ + *, *, ]① *+ となりますが,この時点で *+ *7 , *7 *> , ,⋯, *> *, *, と 1 に等しい項が n 個あることは分かりますが それ以外の項の処理をどう進めて行けば良いのか!?は難しいですよね!? そこで今回の解法パターンにあるように(1)の結果の利用です. (1)のような教科書にも載ってそうな初歩的なことが大学の入試問題でわざわざ設問としてもう けられていることが不自然であるということがヒントと言っても良いでしょう. ! " そこで [ ]① の部分から先は(1)の + ≧ 2 であることを利用して処理を進めて行きます. そのために(1)の ! " " " + ! という式に着目します. ! ! " + " ! の式の特徴は左上(第 1 項の分子)と右 下(第 2 項の分母)とが同じであり,左下(第 1 項の分母)と右上(第 2 項の分子)とが同じであ るということです. * * * * ! " ですから [ ]① の中にある + と 7 の 2 つの項の和 + + 7 は + とカタチが同じである *7 *+ *7 *+ " ! と言えます. [ ]① において合計 18 個の項が明記されていますが,この明記された 18 個の項について *+ *7 + *7 ! のように *+ " + とカタチが同じになる項をまとめてカッコでくくり直せば [ ]① に " ! おいて明記された 18 個の項は,以下のように整理できます. 左辺 = *+ *+ + *7 *7 + *> *> +⋯+ *, *+ + *, *7 +⋯+ ここで *+ *+ + *7 *7 + 左辺 = [𝑛 + ⋯+ *,=+ *, + *, *,=+ *> *, +⋯+ *> *+ + *7 *7 *+ *, + *7 + *> *, *+ + *+ + *, *> *> + *> *+ +⋯+ *+ +⋯+ *,=+ *, + *, + *, *, *+ + *7 *> + *> *7 +⋯+ *7 *, + *, + *, *7 *,=+ = 𝑛 ですから,上式はさらに *+ *> + *> *+ *+ +⋯+ + *, *, *+ + *7 *> + *> *7 +⋯+ *7 *, + *, *7 +⋯+ *> *, *> + ]② と整理できます. そして,次にこの [ ]② におけるカッコの個数について考えます. *+ *7 *+ *> *+ *, *7 *> + + + + *,=+ *, *7 を 数字の 1 と 2 との組み合わせ *+ *> を 数字の 1 と 3 との組み合わせ *+ ⋮ *, *+ *> *7 + を 数字の 1 と n との組み合わせ を 数字の 2 と 3 との組み合わせ ⋮ *, *,=+ を 数字の n −1 と n との組み合わせ であると考えれば [ ]② におけるカッコの個数は 1,2,3, ⋯ ,𝑛 の異なる n 個の数字の中から異なる 2 つの数 字を選ぶ組み合わせの数に等しくなります. (補足) [ ]② では B *C *D + *D *C E において 𝑙 < 𝑚 となるようにカッコでくくりましたが, [ ]② におけるカッコの個数についてもう少し掘り下げて説明致します.実際の問題では n 個の正の実数 𝑎' , ⋯ ,𝑎) について扱いますが ここでは 3 個の正の実数 𝑎' ,𝑎. ,𝑎< を例に説明致します. ' ' ' * * * * * * * * * (𝑎' + 𝑎. + 𝑎< ) B + + E = B + + + + + E + B 7 + 7 + 7E + B > + > + >E *+ *7 *> = = ①は[ ]② と同じように B *C *D + *+ *7 *> *+ *7 *> *+ *+ *+ *7 *7 + + *+ *D *C *7 *7 *7 + + *> *> *> *+ +B + +B + *+ *7 *+ *+ *7 *7 E+B E+B *> *+ *> *> *+ + + *> *+ *+ *> *+ *7 *7 E+B + E+B + *> *> *7 *> *> *7 *7 *> E⋯① E⋯② E において 𝑙 < 𝑚 となるようにカッコでくくったモノですが ②は 𝑙 > 𝑚 となるようにカッコでくくったモノです.①,②の各項をチェックすれば分かるように ①と②はカッコ内における 前の項と後ろの項の順序を入れ換えただけで①と②が等式であることには変わりないですよね!? ですからこの場合カッコの個数については *+ B + B + B + *7 *+ *> *7 *C B *D + *> *D *C *7 *+ *> *+ *> *7 *7 E と B + E と B + E と B + *+ *> *+ *> *7 *+ *7 *+ *> *7 *> E を 数字の 1 と 2 との組み合わせ E を 数字の 1 と 3 との組み合わせ E を 数字の 2 と 3 との組み合わせ であると考えれば E において 𝑙 < 𝑚 となるようにカッコでくくっても 𝑙 > 𝑚 となるようにカッコでくくっ ても いずれの場合もカッコの個数は 1,2,3 の異なる 3 個の数字の中から異なる 2 つの数字を選ぶ組み 合わせの数 3C2=3 C1=3 と等しくなります.同様にこの(補足)の冒頭でも述べたように [ ]② で は B *C *D + *D *C E において 𝑙 < 𝑚 となるようにカッコでくくりましたが, [ ]① を 𝑙 < 𝑚 となる ようにカッコでくくっても 𝑙 > 𝑚 となるようにカッコでくくっても いずれの場合もカッコの個数は等しく,カッコの個数は 1,2,3, ⋯ ,𝑛 の異なる n 個の数字の中 から異なる 2 つの数字を選ぶ組み合わせの数に等しくなります. つまり, [ ]② におけるカッコの個数は 1,2,3, ⋯ ,𝑛 の異なる n 個の数字の中から異なる ) )8' 2 つの数字を選ぶ組み合わせの数に等しいので,その個数は 𝑛C. = ) )8' そして 𝑎' ,𝑎. , ⋯ ,𝑎) が正の実数であることから,その *+ ≧ 2 すなわち より *7 + *7 ≧ 2, *+ *+ *> + *> *+ ≧ 2, ⋯ , . *,=+ *, 個です. . 個のすべてのカッコについて(1) + *, ≧ 2 が成り立つので[ ] *,=+ ② の続きとして [ 左辺 ≧ 𝑛 + 2 + 2 + ⋯ + 2 + 2 + ⋯ + 2 + ⋯ + 2 + ⋯ + 2]③ =𝑛+2∙ *+ (補足)B *7 + *7 E+B *+ *+ *> + *> *+ ) )8' = 𝑛. . E+⋯+B *,=+ *, + すなわち 左辺 ≧ 𝑛. が成り立ちます. *, *,=+ E≧2∙ )()8') が成り立つことについてもう少し掘り . 下げて説明致します. 𝑥 ≧ 2,𝑦 ≧ 2 のとき 𝑥 + 𝑦 ≧ 2 + 2 = 4 すなわち 𝑥 + 𝑦 ≧ 4 ですよね!? さら に 𝑥 ≧ 2,𝑦 ≧ 2,𝑧 ≧ 2 の と き 𝑥 + 𝑦 + 𝑧 ≧ 2 + 2 + 2 = 6 す なわ ち 𝑥 + 𝑦 + 𝑧 ≧ 6 で す よ ね!? *+ ですから B *7 + *7 *+ *+ E ≧ 2, B *> + *> *+ *+ E ≧ 2 のとき B *7 *7 + *+ E+B *+ すなわち B *+ B *7 + *7 *+ *+ E ≧ 2, B *> + *> *+ E ≧ 2, B *+ *Q + *Q *+ E ≧ 2 のとき B *+ *7 *+ *> + *7 *7 + *+ *+ すなわち B *7 + *> *7 E+B *+ *+ *+ *+ E+B + E≧ 2+2 = 4 *7 *+ *> *> *> + E+B *+ *+ *> + *> *+ E ≧ 4 であり *+ E+B + *> *+ *Q + *Q *+ *+ E+B *Q E≧ 2+2+2 = 6 + *Q *+ E ≧ 6 です. 一方 𝑥' ~𝑥) までの n 個の数字についてそれぞれ 𝑥' ≧ 2,𝑥. ≧ 2,𝑥< ≧ 2, ⋯ ,𝑥) ≧ 2 が成り立つ とき n 個の数字の和 𝑥' + 𝑥. + 𝑥< + ⋯ + 𝑥) については 2 を n 回加えることにより 𝑥' + 𝑥. + 𝑥< + ⋯ + 𝑥) ≧ 2 + 2 + 2 + ⋯ + 2 = 2𝑛 となります. ですから )()8') . n 個の 2 すなわち 𝑥' + 𝑥. + 𝑥< + ⋯ + 𝑥) ≧ 2𝑛 が成り立ちますよね!? *+ 個のカッコについてそれぞれ B *7 + *7 *+ *+ E ≧ 2, B *> + *> *+ E ≧ 2, ⋯ , B *,=+ *, + *, *,=+ E≧2 が成り立つとき )()8') . *+ 個のカッコの和 B とにより *7 + *7 *+ E+B *+ *> + *> *+ *,=+ E+⋯+B *, + *, *,=+ E については 2 を )()8') . 回加えるこ Y 𝑎' 𝑎. 𝑎' 𝑎< 𝑎)8' 𝑎) 𝑛 (𝑛 − 1) Z ≧ 2 + 2 + ⋯+ 2 = 2 ∙ + Z+Y + Z+⋯+Y + 𝑎. 𝑎' 𝑎< 𝑎' 𝑎) 𝑎)8' 2 )()8') *+ すなわち B *7 + *7 *+ E+B *+ *> + *> *+ *,=+ E+⋯+B *, + . *, *,=+ 個の 2 E≧ 2∙ 次に等号が成立するための条件について考えます. ! " (1)の + ≧ 2 において等号が成立する,すなわち " ! ! " )()8') が成り立ちます. . " + = 2 となるのは 𝑥 = 𝑦 のときですから ! これを参考にして考えます.[ ]③ において等号が成立する すなわち 左辺 = 𝑛 + 2 + 2 + ⋯ + 2 + 2 + ⋯ + 2 + ⋯ + 2 + ⋯ + 2 となるのは * * * * * * * * + + 7 = 2かつ + + > = 2かつ 7 + > = 2かつ ⋯ かつ ,=+ + , = 2 のときです. *7 *+ ! *+ *7 *> " *+ *> *7 *, *,=+ + = 2 となるのは 𝑥 = 𝑦 のときですから (1)より + " *7 ! = 2かつ *+ *+ *> + *> *+ = 2かつ *7 *> + *> *7 = 2かつ ⋯ かつ *,=+ *, + *, *,=+ =2 となるのは 𝑎' = 𝑎. かつ𝑎' = 𝑎< かつ𝑎. = 𝑎< かつ ⋯ かつ𝑎)8' = 𝑎) のときです. これらをまとめると 𝑎' = 𝑎. = 𝑎< = ⋯ = 𝑎) のときです. つまり等号が成立するための条件は 𝑎' = 𝑎. = 𝑎< = ⋯ = 𝑎) であることです. ' 一方 𝑛 = 1 のとき 左辺 = 𝑎' ∙ = 1, 右辺 = 1. = 1 ですから等号がつねに成立します. *+ ここまでの流れを簡潔にまとめると以下のようになります. ' 𝑎' + ⋯ + 𝑎) *+ +⋯+ ' *, ≧ 𝑛. …(※) 𝑛 ≧ 2 のとき,(※)の左辺を展開すると ' 𝑎' + ⋯ + 𝑎) = *+ *+ + =𝑛+ *+ *7 *+ *7 +⋯+ + *7 *+ *+ *+ *, *+ + ' +⋯+ *> + + *, *7 * + 7 *+ *7 *> +⋯+ +⋯+ *+ *7 *, *T *S + *T *S *, +⋯+ +⋯+ + *, *+ *7 *,=+ *, + +⋯+ *, *, *, *,=+ ここで, 𝑖,𝑗 の組は,1 から n までの自然数から異なる 2 数を選ぶ組合せになるので 𝑛C. = ) )8' . (組) このすべての 𝑖,𝑗 の組について,(1)から *S *T + *T *S ≧2 等号が成立するための条件は 𝑎W = 𝑎X よって,(※)の左辺について 𝑎' + ⋯ + 𝑎) ' *+ +⋯+ ' *, ≧ 𝑛 +2+2+⋯+2 = 𝑛 +2∙ ) )8' . が成立し,等号が成立するための条件は 𝑎' = 𝑎. = ⋯ = 𝑎) (答) ' 𝑛 = 1 のとき 左辺 = 𝑎' ∙ = 1, 右辺 = 1. = 1 *+ より等号はつねに成立する.(答) = 𝑛.
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