復興に向けた緊急要望書

緊
急
要
望
書
当町においては、平成 27 年6月に策定した富岡町災害復興計画
(第
二次)において、復興の第一歩となる帰還開始目標時期を「早けれ
ば平成 29 年4月」と設定し、町内における生活環境の整備をはじめ
とした復旧・復興に全力を挙げて取り組んできております。
帰還開始目標を直前に控えた今、町民の皆さまとの説明会などを
積み重ねる中で、古里の着実な再生が多くの町民の共通の願いであ
ることをあらためて実感するとともに、町内生活に対する不安や将
来への期待が想像できる明るい兆しなど、不安を着実に払しょくす
る安全・安心の確保の重要性を再認識したところです。
特に、早々に解決しなければいけない放射線量の低減や町民の生
活再建のほか、帰還後の行政サービスの充実など、帰還開始はもと
より、その後の復興・創生を見据えた課題解決に、国・県・町が共
に手を取って取り組む必要があるものと考えております。
つきましては、当町の実情を真に認識し、確実な復旧・復興施策
を講じ、
「ふるさと富岡」の本格復興と町民の生活再建を実現するた
め、次の事項を強く要望いたします。
記
第1 更なる放射線量の低減に向けた除染
第2 町内生活環境の充実
第3 町外生活支援の継続
第4 被害実態に即した責任ある賠償
第 5 復興・創生を支える確実な国の財政支援
第1 更なる放射線量の低減に向けた除染
(1)徹底した除染の実施と速やかな除染結果の周知
町内の放射線量は、本格除染をはじめフォローアップ除染により
比較的低減しているが、町民の不安払しょくまでには至っていない。
よって、町民の意向を十分に踏まえた更なる放射線量の低減に向
けた徹底した除染の継続と速やかな情報の周知を要望する。
(2)帰還困難区域内除染の早期着手
町民が安心して帰還するには、帰還困難区域の除染を速やかに実
施し、安全・安心の環境を確保ことが必要である。
よって、帰還困難区域内の除染、特に、居住制限区域に隣接する
当該地域の除染を迅速かつ徹底的に実施することを要望する。
(3)長期的な目標「追加被ばく線量年間1ミリシーベルト」の厳守
特別地域内除染実施計画(富岡町)では、除染の長期的目標「追
加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になること」が示されて
いる。
よって、国としての約束と責任を全うするため、その実現に向け
継続的に除染を実施することを要望する。
第2
町内生活環境の充実
(1)帰還者に対する安全・安心の提供
帰還を望む町民からは、窃盗等の排除や市街地に出没するイノ
シシなどに対する声が多く寄せられており、個人資産を守る治安
の向上や身体へ危害を及ぼす有害鳥獣駆除を求めている。
よって、本格的帰還に至るまで、更なる防犯力の向上及び広域
的・有機的な有害鳥獣対策の強化を要望する。
(2)「イノベーション・コースト構想」の実現と新産業の創出・集積
町内における安定した雇用の創出はふるさと復興に欠かせず、基
幹産業である農業の再生はもとより、地域に根付く企業の誘致など
の産業集積が必要である。
よって、町内に立地する「廃炉国際共同研究センター 国際共同
研究棟」の着実な運営とさらなる充実を図るとともに、これらに続
く「イノベーション・コースト構想」の早期具現化に取り組むよう
要望する。
(3)国出先機関の早期帰還
役場庁舎での本格的な業務再開は早期帰還を望む町民へ安心を
提供し、国出先機関の帰還はその安心を確固たるものとする。
よって、労働基準監督署やハローワーク、法務局などの国出先
機関の早期帰還、または、その時期を明らかにし、国の積極的に
関わる復興姿勢を示すことを要望する。
第3
町外生活支援の継続
(1)ふるさと往来の利便性の向上に資する交通網の整備
廃炉措置や復興事業による交通渋滞を解消し交通利便性を図る
ことこそがふるさと往来を容易とし、帰還意欲の高揚につながる。
よって、南北の基幹道路及び東西の連絡道路の充実を図るととも
にJR常磐線の全線開通に併せた特急運行の復活及び富岡駅停車につ
いてJR東日本への強い要請を要望する。
(2)高速道路の無料措置及び医療費等の免除の継続
個別の家庭環境や就業環境の変化に伴い、避難指示解除の有無に
かかわらず、避難先での生活を余儀なくされている町民にとっては、
今もなお、身体的、精神的に疲労困憊であり、苦しい状況が継続し
ている。
よって、原発避難者特例措置を継続するとともに、高速道路の無
料措置や医療費等の免除措置など、町民の生活をひっ迫することの
ない生活支援を継続・実施することを要望する。
(3)町と人とのつながりを保ち続ける支援の継続
帰還を待ち望む町民の糧となるためにも、町は永遠にふるさと
である存在であり、そのためには以前の賑わいを取り戻すととも
に、さらなる発展をしなければいけない。
よって、当町が掲げた富岡町災害復興計画(第二次)の基本理
念「町民一人ひとりの“心”の復興」と「“ふるさと富岡”の復
興」を達成するため、町内外に関わらず町とのつながりを保ち続
ける事業等への支援の継続を要望する。
第4
被害実態に即した責任のある賠償
区域再編により、実態に即さない賠償に対する不満が深刻化し、
培われてきた町民同士の絆をも分断された経緯がある。
よって、区域再編の背景を考慮し、町民に寄り添い実態に即した
より丁寧かつ柔軟な対応について、東電に対する強い指導を要望す
る。
第5
復興・創生を支える確実な国の財政支援
(1)町内生活環境の充実を図る復興予算の継続と柔軟な対応
震災後に設置した公設民営の大型複合商業施設をはじめとする
公共施設等では、従業員の確保や高騰する賃金支払い、施設維持運
営など、原発被災地特有の経営リスクと背中合わせで町の復興を後
押ししており、これらを改善しなければ町内生活環境整備の勢いが
途絶える。
よって、復興・創生期間で完結することなく、中長期的に取り組
む上で必要な復興予算を継続すること、加えて、事業復興型雇用創
出事業対象の拡充など、被災実態に合った柔軟な対応を要望する。
(2)長期的な町外避難支援体制を構築・維持する復興予算の確保
復旧・復興には、官民問わず、町に関わる全ての方々の理解と
協力、そして活力を創出する支援が欠かせない。
よって、復興を支える活動の源となる町外避難支援体制の構築や
活動を維持・継続する支援などの復興予算を長期的に確保すること
を要望する。
(3)税及び保険料の減免に対する減収補てん
原発事故による企業撤退や休業によって地方税収が低迷し一般財
源の確保が厳しい状況下においても、町内生活環境整備や町外避難
者への行政サービスの提供を継続的に進めなければならず、一部の
地域を避難指示解除してもなお、町財政運営は厳しさを増す。
よって、住民税、固定資産税、国民健康保険税、介護保険料等に
対する減収補てんなどの継続を要望する。