5.大分市の公共交通に関する課題

5.大分市の公共交通に関する課題
本市の公共交通の現状や特徴を踏まえ、「大分市にとって望ましい公共交通のすがた」の実現に向
けた課題は以下のとおりです。
1. 都市活動を支える持続可能な公共交通網の形成のあり方
(視点1)主たる移動需要となる「通勤」にも留意した公共交通サービスの提供
(視点2)路線バス運行の効率化および走行環境の整備
(視点3)広域的な公共交通ネットワークとの連携強化
2. まち(拠点)のにぎわいを創出する公共交通のあり方
(視点1)県都にふさわしい中心市街地の形成
(視点2)地区拠点の形成を支える循環型交通等の構築
(視点3)公共交通の乗り継ぎの円滑化
3. 日常生活の移動(おでかけ)を支える公共交通のあり方
(視点1)小規模な日常の移動需要に対応する交通手段の確保
(視点2)公共交通が不便な地域における移動手段の確保やサービスの拡充
(視点3)移動需要に柔軟に対応するタクシーの利用促進等
4. すべての人にやさしく利便性のある公共交通サービスのあり方
(視点1)バス車両や交通施設のバリアフリー化の促進
(視点2)バス停留所など待合施設の利用環境の改善
5. 来訪者や外国人旅行者に対する公共交通の受入環境のあり方
(視点1)観光基盤づくりとして来訪者等を意識した公共交通サービスの提供・拡充
(視点2)外国人旅行者等に対する情報発信強化・受け入れ環境の整備
59
5‐1 都市活動を支える持続可能な公共交通網の形成のあり方
【視点1
視点1】主たる移動需要
たる移動需要となる
移動需要となる「
となる「通勤」
通勤」にも留意
にも留意した
留意した公共交通
した公共交通サービスの
公共交通サービスの提供
サービスの提供
■ 平成 25 年大分都市圏パーソントリップ調査によると、主な外出目的の中で通勤目的の
トリップは市民で約 15 万トリップ、交流者で 1.6 万トリップあり、他の目的よりも圧
倒的に移動需要が多い状況にあります。
■ 本市の JR や路線バスなどの公共交通圏域は、全就業者の分布を 100%に近い範囲で
カバーしています。
■ 通勤の主たる移動需要になると考えられる第2次産業就業者と第3次産業就業者の合
計は全就業者数の 90%以上を占め、それら就業者の多くが市内へ通勤しています。
■ 一方で、本市の公共交通利用率は7%にとどまり、現在の公共交通サービスが通勤に
おける移動需要に見合っていない状況にあります。
■ 本市においては、通勤の移動需要に対応できるように公共交通サービスを見直し、利
用者増加を図ることが必要です。
図 第2
第2次及び
次及び第 3 次産業就業者の
次産業就業者の居住分布(500m
居住分布(500mメッシュ
(500mメッシュ単位
メッシュ単位)
単位)
資料:国勢調査(H22 年)
注)鉄道駅から1km圏域、バス停から 500m圏域を含むメッシュの人口をカバー人口として定義
第2次及び第3次就業者人口の約
98%をカバーしている路線バス
表 「通勤」
通勤」における公共交通利用状況
における公共交通利用状況
(トリップ)
97.6%(バス
97.6%(バス)
バス)
JR とバス
公共交通利用
属性
53.3%
JR のみ
0.5%
44.3%
図 バス・
バス・JR
JR 圏域の
圏域の第2次及び
次及び
第3
次就業者分布カバー
カバー率
第
3次就業者分布
カバー
率
鉄道
高速バス 路線バス
大分市民
11,151
3,874
交流者
2,458
2,262
25
-
7,046
196
タクシー
全体
206 153,218
0
16,724
H25 大分都市圏パーソントリップ調査結果より
出典:大分都市圏総合都市計画
バスのみ
53.8%(JR
53.8%(JR)
JR)
60
計
全体の約7%
H25 大分都市圏 PT 調査(付帯調査)
【視点2
視点2】路線バス
路線バス運行
バス運行の
運行の効率化および
効率化および走行環境
および走行環境の
走行環境の整備
■ 本市の路線バスにおいては、中心市街地での自家用車等の集中や、バス専用および優
先レーンの未整備などにより、朝夕の時間帯において慢性的な遅延が発生しています。
■ 路線バスの「定時運行の徹底」に向けたサービス改善を必要とする一方で、交通事業
者は、運転手不足や営業収益減少、車両の老朽化などの深刻な問題に直面しています。
■ 限られた資源(人や車両)を効率よく活用し、路線バス運行の効率化やバス専用レー
ン等の設置、交通信号制御による渋滞緩和など、公共交通を円滑に運行させることが必
要です。
■ 今後も進展する人口減少に伴い、生産年齢人口の減少による労働者不足を見据え、自
動運転技術などの最新技術を活用した新たな交通システムの導入について、調査・検討
を行うことが必要です。
バス専用レーンがなく
通勤・通学時間帯の半数
以上が遅延
100%
92.4%
5分以上遅延発生率
86.8%
90%
80%
20分以上
75.5%
15分以上20分未満
69.4% 69.2%
70%
10分以上15分未満
60%
60.0%
5分以上10分未満
50%
全体の 30%
42.8%
41.9%
38.9%
40%
35.0%
30%
25.5%
20%
10%
0%
運輸支局前
バス優先レーンがある
バス専用レーンがある
主要渋滞区間内のバス停
主要渋滞区間内のバス停
高江ハイツ入口
南太平寺
府内大橋
明磧
鶴崎橋
舞鶴町
末広町
加納
元町
錦町三丁目
バス優先レーンがなく
バス専用レーンがなく
主要渋滞区間内のバス停
主要渋滞区間内のバス停
図 バス利用者
バス利用者の
利用者の改善指摘
それ以外
図 特定
特定バス
バス停
バス停における通勤
における通勤・
通勤・通学時間帯の
通学時間帯の
5分以上のバス
分以上のバス遅延発生率
のバス遅延発生率
出典:大分都市圏総合都市計画 H25 大分都市圏 PT 調査(付帯調査)
表 大分バス・
大分バス・大分交通
バス・大分交通の
大分交通の近年の
近年の雇用状況など
雇用状況など
新規就職者数
平均年齢
定年後
退職者数
(再雇用を除く)
収支率が 90%に届かない
地方の乗合バス事業
再雇用者数
H25 年
48.6 歳
11 人
22 人
30 人
H26 年
48.0 歳
12 人
20 人
33 人
H27 年
47.9 歳
16 人
20 人
41 人
資料:大分バス、大分交通(新規就職者数、退職者数など)
図 乗合バス
乗合バス事業
バス事業の
事業の収支率の
収支率の推移(
推移(大都市部・その
大都市部・その他地域
・その他地域)
他地域)
定 年 後 の再 雇 用で 要
員を確保している
出典:国土交通省総合政策局資料
61
【視点3
視点3】広域的な
広域的な公共交通ネットワークとの
公共交通ネットワークとの連携強化
ネットワークとの連携強化
■ 主要拠点の1つである大分空港と県都大分市を結ぶ公共交通は大分駅からのバスに限
定されています。
■ 年間約 30 万人が利用する「佐賀関港」、約 20 万人が利用する「大分港」はそれぞれ
の港の近くに路線バスの停留所がありますが、フェリーからの乗り継ぎはほとんどあり
ません。
■ 大分港に乗り入れている「フェリーさんふらわあ」(1日1往復)が結ぶ神戸港(六
甲アイランド)には4~6便の連絡バスがある一方で、佐賀関港に乗り入れている「国
道九四フェリー」(1日 16 往復)が結ぶ三崎港には 5 便の連絡バスしかない状況にあ
ります。
■ 佐賀関地区のフェリーターミナル等における交通結節機能の強化、さらには関係機関
と連携し、三崎港の連絡バスの便数確保検討も必要です。
津久見港 佐伯港
59,606 38,684
2.3%
3.5%
臼杵港
161,993
別府港
9.6%
405,557
24.0%
大分港
204,447
平成26年
12.1%
1,693,027人
国東港
262,071
15.5%
姫島港
262,071
15.5%
乗降人員が
県下2位の
佐賀関港
佐賀関港
298,598
17.6%
図 県内の
県内の港湾別船舶乗降人員(
港湾別船舶乗降人員(H26 年度)
年度)
資料:国土交通省「港湾統計年報」
図 大分市と
大分市と大分空港の
大分空港の位置関係
佐賀関港では、バス停はあ
るものの、アクセスの大半
が自家用車
16 便/日のフェリーに対し
て、連絡バスの発着はわず
か5便
図 空港・フェリーターミナルからの
空港・フェリーターミナルからの交通手段
・フェリーターミナルからの交通手段
出典:大分都市圏総合都市交通計画
表 国道九四フェリー
国道九四フェリー及
フェリー及び三崎港連絡バス
三崎港連絡バス発着時刻表
バス発着時刻表
佐賀関発
三崎着
◎ 6:00
三崎港口
バス発車時刻
三崎港口
バス到着時刻
三崎発
佐賀関着
7:10
◎ 6:30
7:40
7:00
8:10
7:30
8:40
8:00
9:10
8:30
9:40
9:00
10:10
9:30
10:40
10:00
11:10
10:30
11:40
11:00
12:10
11:30
12:40
13:00
14:10
12:30
13:40
14:00
15:10
14:30
15:40
15:00
16:10
15:30
16:40
16:00
17:10
16:30
17:40
17:00
18:10
17:30
18:40
18:00
19:10
18:30
19:40
19:00
20:10
19:30
20:40
20:00
21:10
20:30
21:40
21:00
22:10
22:00
△ 23:00
62
13:00
11:54
16:00
14:34
20:34
21:30
22:40
23:10
22:30
23:40
0:10
△ 23:30
0:40
※さんふらわあの神戸港
さんふらわあの神戸港フェリー
神戸港フェリー連絡
フェリー連絡バス
連絡バス時刻表
バス時刻表
【日曜日 木曜日】
阪神御影 → 阪急御影 → JR住吉
16:33
16:55
17:23
17:55
16:40
17:02
17:30
18:02
16:48
17:10
17:38
18:10
【⾦曜⽇・⼟曜⽇】
阪神御影 → 阪急御影 → JR住吉
16:33
16:55
17:23
17:55
18:25
18:45
16:40
17:02
17:30
18:02
18:32
18:52
→
16:48
17:10
17:38
18:10
18:40
19:00
※◎は 3/16~11/15 運航
△は 11/16~3/15 運航
六甲ライナー
アイランド北
→
六甲ライナー
アイランド北
→
17:03
17:25
17:53
18:25
→
17:03
17:25
17:53
18:25
18:55
19:15
フェリーさんふらわあ 出港時刻
のりば
17:08
17:30
17:58
18:30
19:00
フェリーさんふらわあ 出港時刻
のりば
17:08
17:30
17:58
18:30
19:00
19:20
19:50
1便/日のフェリーに対し
て、連絡バスは 4~6 便
5‐2 まち(拠点)のにぎわいを創出する公共交通のあり方
【視点1
視点1】県都にふさわしい
県都にふさわしい中心市街地
にふさわしい中心市街地の
中心市街地の形成
■ 本市の中心市街地では、「大分駅周辺総合整備事業」による、「庄の原佐野線」、「大分
いこいの道」、「上野の森口駅前広場」、「府内中央口駅前広場」などが供用開始され、鉄
道で分断されていた南北市街地が一体化しました。
■ 平成25年7月の「ホルトホール大分」開館や、平成 27 年 4 月の「JR おおいたシテ
ィ」と「大分県立美術館」の開業、さらには大分城址公園整備・活用の検討や「リボー
ン 197」
(国道 197 号再整備:舞鶴橋西交差点~中春日交差点)の検討などが開始され、
中心市街地の構造が大きく変化しています。
■ 本市の中心市街地において、回遊性向上を担う公共交通網の構築、さらにはまちづく
りに関連する様々な事業に対応し、県都にふさわしい中心市街地の形成を支える交通体
系が必要です。
宗麟大橋
図 中心市街地の
中心市街地の主要事業経過
参考:
「大分市都市計画マスタープラン(大分地区地区別構想見直し版)
」より
※完成イメージCG
多様な事業展開に対応し
多彩なソフト事業が展開
され、賑やかさが増す
中心市街地
図 中心市街地で
中心市街地で行われる彩
われる彩り豊かなイベント・行事
かなイベント・行事
63
【視点2
視点2】地区拠点の
地区拠点の形成を
形成を支える循環型交通等
える循環型交通等の
循環型交通等の構築
■ 本市では、多くの地区拠点において、商業や医療などの主要施設が集積したエリア内
で、公共交通によらない人の移動が多く見られ、公共交通が支えることのできる潜在的
な移動需要が一定程度あると考えられます。
■ 今後、人口減少が進む中、大在地区や坂ノ市地区、明野地区では人口増加を見込まれ
ており、これらの地区拠点の形成を支え、地区内の移動需要に対応した循環型交通など
の公共交通サービスを構築する必要があります。
地区拠点で、
主要施設や駅な
ど中心に人の移動が活発
□ 市街化区域
□ 中心市街地
〇
地区拠点
■4%以上
■3~4%未満
■2~3%未満
□2%未満
図 中心市街地以外でゾーン
中心市街地以外でゾーン内
でゾーン内の移動が
移動が比較的顕著にみられるゾーンと
比較的顕著にみられるゾーンと市街化区域
にみられるゾーンと市街化区域・
市街化区域・主要施設の
主要施設の関連性
注)市内のゾーン内を移動するトリップの総数に占める割合を図化。ただし、中心市街地以外を作図対象とした。
大在地区
坂ノ市地区
明野地区
□ 市内のゾーン内を移動
するトリップの総数に
占める割合が3%以上
図 人口増減率(500m
人口増減率(500mメッシュ
(500mメッシュ単位
メッシュ単位)
単位)
注)総人口が 20 人未満のメッシュについては、人口増減率の対象外とした。
資料:国勢調査(H22 年/H17 年)
64
【視点3
視点3】公共交通の
公共交通の乗り継ぎの円滑化
ぎの円滑化
■ JR大分駅府内中央口(北口)のバス乗り場は事業者
ごとに計7か所に分散しており、市内で初めてバスを利
用する方にとっては分かりにくい上、JR大分駅での路
線バス同士の乗り継ぎがしにくい状況になっています。
■ 大分市内を発着・経由する高速バス路線は8路線あり
ますが、JR大分駅前のバス乗り場には乗り入れておら
ず、徒歩2分の「要町」までさらに歩く必要があります。
■ また、「要町」から利用できる高速バスは4路線に限
られている上、無人のためチケット購入や乗車予約等は
駅から徒歩約5分の「大分トキハ前」までの移動しなけ
ればならない状況にあります。
■ JR大分駅における路線バスと高速バス、さらには大
分空港アクセスバスやタクシー等も含めたの乗り場の一
元化が必要です。
■ また、JR大分駅のみならず、各地区拠点等でも公共
交通全体の乗り継ぎの円滑化が必要です。
徒歩5分
徒歩2分
図 高速バス
高速バス乗
バス乗り場の位置
JR大分駅前のバ
ス乗り場は7か所
に分散
図 JR大分駅府内中央口
JR大分駅府内中央口(
大分駅府内中央口(北口)
北口)のバス乗
のバス乗り場
65
5‐3 日常生活の移動(おでかけ)を支える公共交通のあり方
【視点1
視点1】小規模な
小規模な日常の
日常の移動需要に
移動需要に対応する
対応する交通手段
する交通手段の
交通手段の確保
■ 過疎地域の野津原地区や佐賀関地区など人口減少が進む地区では、路線バスの利用者
が 20 人未満/日と少数ですが、小規模ながらもバス需要はみられます。
■これらの小規模な移動需要にも対応した交通手段の確保が必要です。
過疎地などでは
人口減少が顕著
図 人口増減率(500m
(H22/17)
人口増減率(500mメッシュ
(500mメッシュ単位
メッシュ単位)
単位)
1日 20 人前後の利用者は存在
凡例
●
●
●
●
●
●
●
・・・500人以上
・・・300人以上500人未満
・・・100人以上300人未満
・・・ 50人以上100人未満
・・・ 20人以上 50人未満
・・・ 1人以上 20人未満
・・・ 0人
図 バス停別乗降客数
バス停別乗降客数(
停別乗降客数(1日、2社合算)
社合算)
66
【視点2
視点2】公共交通が
公共交通が不便な
不便な地域における
地域における移動手段
における移動手段の
移動手段の確保やサービスの
確保やサービスの拡充
やサービスの拡充
■ 本市では、公共交通が不便な地域において、居住者の移動手段の確保と外出機会の向
上を目的に、「ふれあい交通」を運行しています。利用者は年々減少しているため、現行
のサービス水準を見直し、地域の実情と利用者のニーズに沿ったサービスの提供につい
て検討する必要があります。
■ 平成 25 年大分都市圏パーソントリップ調査によると、前期高齢者(65~74 歳)の
公共交通利用率は約5%ですが、後期高齢者となると約9%と4ポイント上がっていま
す。
■ 今後、公共交通が不便な地域において高齢者が免許返納しても利用することができる
移動手段の確保や需要に合ったサービスの拡充検討が必要です。
14,000
一般(大人)
12,000
11,643
10,991
11,988
11,381
10,923
10,471
9,427
10,000
8,562
8,458
7,658
8,000
6,000
4,000
2,000
提供するサービス
水準の見直しが必要
2,861
1,645
0
H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度
図 ふれあい交通
ふれあい交通の
交通の延べ利用者数(
利用者数(一般大人)
一般大人)の推移
十分である
0%
10%
十分でない
20%
30%
40%
分からない
50%
60%
無回答
70%
80%
90%
100%
全体(N=1,261)
26.7%
42.8%
21.5%
9.0%
自治会長(N=580)
26.6%
43.8%
20.9%
8.8%
民生委員(N=680)
26.9%
41.9%
22.1%
「公共交通が十分でない」
(全体の4割)
9.1%
図 公共交通の
公共交通の評価
(自治委員、
自治委員、民生委員・
民生委員・児童委員アンケートより
児童委員アンケートより)
アンケートより)
鉄道
0%
高速バス
20%
15~19歳
20歳代
40歳代
5.0%
75歳以上
計
60%
タクシー
80%
計
100%
18.9%
4.2%
65~74歳
40%
8.9%
30歳代
50~64歳
路線バス
前期高齢者から後期高齢者になると
公共交通(主に路線バスとタクシー)
の利用率が4ポイント上昇
6.0%
4.5%
8.8%
6.8%
図 大分市民の
大分市民の年齢層別の
年齢層別の公共交通利用率
資料:大分都市圏総合都市交通計画 H25 大分都市圏 PT 調査結果より
注)大分市民とは調査において現住所が「大分市」の回答者
67
【視点3
視点3】移動需要に
移動需要に柔軟に
柔軟に対応するタクシーの
対応するタクシーの利用促進等
するタクシーの利用促進等
■ 様々な移動需要への柔軟な対応が可能な「タクシー」は利用者数の減少が顕著である
中でも、利用者の利便性を高めるべく、積極的にUDタクシー(ユニバーサルデザイン
タクシー)の導入を行っています。
■ UDタクシーの導入事業者の声としては「UDタクシーの運賃が一般のタクシーと同
じであることを知らない」
、
「介護タクシーと誤解して利用を遠慮するお客様がいる」、
「大
きな荷物を後部スペースに載せることができるため、旅行客には大変便利なのだが、認
知度が不足している」などがあります。
■ きめ細かなサービスを提供する交通手段として、高齢者や妊産婦、子ども連れ、車い
す利用の方などの利用に対応した UD タクシーの導入を促進すること、さらには利用し
やすい環境の整備や利用促進などについて、関係機関と連携し、行政が主体的に対応す
ることが必要です。
(千人)
6,000
5,775
5,609
5,563
5,306
5,316
平成26年度
平成27年度
5,000
4,000
3,000
平成23年度
平成24年度
平成25年度
図 市内のタクシー
市内のタクシー利用者数
のタクシー利用者数
資料:九州管内営業区域別タクシー輸送実績集計表(平成 25-27 年度)
、九州管内都市別タクシー輸送実績集計表(平成 23-24 年度)より
表 UD タクシーの登録数
タクシーの登録数(
登録数(平成 27 年度末)
年度末)
全国
九州
大分県
大分市
導入
事業者数
424 社
48 社
11 社
3社
導入
車両数
829 台
98 社
37 台
18 台
期末車両数
(※)
241,062 台
28,408 台
2,315 台
920 台
注)大分市のデータは大分県タクシー協会へのヒアリング結果より。
それ以外は全国ハイヤー・タクシー連合会資料(H26 年度末データ)より
68
期末車両数に占める
UD タクシーの導入割合
0.34%
0.34%
1.60%
1.96%
5‐4 すべての人にやさしく利便性のある公共交通サービスのあり方
【視点1
視点1】バス車両
バス車両や
車両や交通施設の
交通施設のバリアフリー化
バリアフリー化の促進
■ 本市の子ども連れの公共交通利用率は約5%となっており、大分市民の公共交通利用
率(約7%)に対して低い状況にあります。
■ 大分市内を運行する路線バスのバリアフリー法適合車両導入割合は4割にとどまって
おり、全国的な平均値(約6割)よりも低い状況にあります。
■研究論文※によると、乳幼児連れの人々の中には、「公共交通における乳幼児連れ優先席
の利用や車内でのベビーカー使用について申し訳ない」、「車内で子供がぐずることを
申し訳ない」、「混雑時の電車やバスでベビーカーをたたまなれればならない」などの
意識を持っている割合が半数以上いることが分かっています。
■ 高齢者や障がい者、妊婦、子育て世代等を含む全ての人が使いやすい公共交通となる
よう、車両のバリアフリー化を推進することが必要です。
■ 1日の乗降客数が 3,000 人を超える駅(大在駅・鶴崎駅・高城駅)などにおいては関
係機関と連携しつつ、バリアフリー化を行うことが必要です。
※辰巳 浩・堤 香代子・藤林 航・吉城 秀治:地方都市における公共交通等での乳幼児連れ利用者の行動に
関する意識,交通工学論文集(特集号),第1巻,2号,2015
表 5~12歳
12歳の子どもを同伴
どもを同伴する
同伴する人
する人の
買い物・私用目的の
私用目的の交通手段選択割合
買い物+私用
(2,404 トリップ)
66.8%
1.0%
4.4%
自動車(同乗)
鉄道
路線バス
それ以外
186台
53.0%
BF法適合車両
142台
40.5%
N=351
バリアフリー適合
車両の導入は全体
の4割にとどまる
(全国平均 58.9%)
BF法非適合の
ノンステップ車両・
ワンステップ車両
23台
6.6%
大分市民の公共交通利用率
(約7%)に対し、子ども連れ
は約5%と少ない
図 本市内を
本市内を運行する
運行する路線
する路線バスの
路線バスの
バリアフリー法適合車両導入割合
バリアフリー
法適合車両導入割合
(人/日)
40,000
34,911
35,000
20,000
国の基本方針として、1日あたり 3,000 人以上
の利用者がある鉄軌道駅は平成 32 年度までに
原則として全てについて段差解消等の移動等
円滑化を実施
15,000
注)既に大分駅は対策済み
30,000
25,000
10,000
91
972 1,007 875
662
豊後国分駅
2,054 1,408 1,004 654 2,661 2,130 1,932 640
賀来駅
3,670 3,684 3,201
5,000
0
古国府駅
豊肥本線
南大分駅
竹中駅
滝尾駅
中判田駅
敷戸駅
大分大学前駅
幸崎駅
西大分駅
牧駅
坂ノ市駅
高城駅
大在駅
鶴崎駅
大分駅
日豊本線
久大本線
図 市内の
市内の駅別 1 日平均利用者数(
日平均利用者数(平成 26 年)
年)
資料:大分県統計年鑑より
69
【視点2
視点2】バス停留所
バス停留所など
停留所など待合施設
など待合施設の
待合施設の利用環境の
利用環境の改善
■ バス停留所などの待合施設においては、上屋やベンチ、風よけ等などの利用者目線に
立った利用環境の改善が必要です。
図 バス利用環境
バス利用環境の
利用環境の改善イメージ
改善イメージ
5‐5 来訪者や外国人旅行者に対する公共交通の受入環境のあり方
【視点1
視点1】観光基盤づくりとして
観光基盤づくりとして来訪者等
づくりとして来訪者等を
来訪者等を意識した
意識した公共交通
した公共交通サービスの
公共交通サービスの提供
サービスの提供・
提供・拡充
■ 本市には、高崎山自然動物園、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」などの観光
資源があり、毎年 350 万人以上の観光客が来訪しています。
■ 平成 27 年の日本人宿泊観光客の内訳をみると、福岡県が全体の3割を占め、関東から
も2割の来訪者が本市に訪れています。
■ 本市は、魅力ある観光振興に向けて、おもてなしのまちづくり等を基本方針に据えて
おり、全ての観光客を満足させ、「誰かに薦めたい」「また来たい」と思わせるため、
ストレスなく快適に過ごしてもらう観光基盤づくりの一環としての公共交通サービスの
提供や拡充が必要です。
■ 例えば、北海道の十勝バスや青森県の八戸市などでは、施設利用券とバス往復乗車券
がセットになった「日帰り路線バスパック」を商品化し、公共交通による地域住民との
ふれあいを意識したツーリズムなどを積極的に行っています。
■ 本市においても、長期滞在観光や、大分駅を起点にした徒歩や公共交通の利用による
日帰り観光などの「旅行商品」を支える公共交通サービスが必要です。
東北・北海道
中国
10
27 四国
中部
1%
3% 16
28
2%
3%
大分県内
近畿
195
64
23%
8%
関東
161
19%
H27年度
849千人
その他九州・沖縄
120
14%
福岡県
228
27%
図 本市の
本市の発地別宿泊客数
資料:大分県観光統計調査(H27)より
70
図 日帰り
日帰り路線バスパックの
路線バスパックの事例
バスパックの事例(
事例(左:十勝バス
十勝バス、
バス、右:八戸市)
戸市)
【視点2
視点2】外国人旅行者等に
外国人旅行者等に対する情報発信強化
する情報発信強化・
情報発信強化・受入環境の
受入環境の整備
■ 本市では、外国人宿泊客数は増加傾向にあります。
■ そのような中、「ラグビーワールドカップ 2019」や「第 32 回オリンピック競技大
会(2020/東京)」、「東京 2020 パラリンピック競技大会」などの国際的なイベン
トの開催も控えています。
■ 外国人旅行者が公共交通機関を使って迷うことなく移動できるように、交通施設にお
ける案内標識やバス停表示の多言語化、案内所等における Wi-Fi 整備など、受入環境の
整備が必要です。
(人)
25,000
20,000
20,894
15,000
14,594
10,000
11,714
9,841
9,608
9,844
H22年
H23年
H24年
5,000
0
H25年
H26年
H27年
図 外国人観光
外国人観光宿泊客数
観光宿泊客数の
宿泊客数の推移
資料:大分市観光課より
韓国語
日本語
ピクトグラム
簡体字
図 案内標識の
標識の多言語化例
多言語化例
繁体字
英語
71