巻頭言 森 正樹 大阪大学消化器外科同窓会誌第 1 号に巻頭言を認めて

巻頭言
森
正樹
大阪大学消化器外科同窓会誌第 1 号に巻頭言を認めてから 4 ヶ月しか経っていませんが、
第 2 号の巻頭言を書かせていただき ます。第 1 回消化器外科同窓会は平成 21 年 12 月に開
催されましたが、第 2 回同窓会からは 4 月開催が決まりまし た。そのため、同窓会に合わせて
発刊される同窓会誌は、今回は約 4 ヶ月という短い間隔での発刊となりました。
さて、大学は変革期にありますが、その根底にある理念には揺るぎがありません。大学に
は臨床・教育・研究のそれぞれの場において最高レベルが求められています。しかしながら最
高レベルは、人によって想定している程度や範囲が異なります。ある人にとっては最高レベル
であっても、ある人にとっては中程度、あるいは低いレベルに相当するかもしれません。大阪
大学は国の基幹大学であり、大げさに言えば日本の医学、医療の将来に関わることが求められ
ています。従って大阪大学に求められている臨床・教育・研究のレベルは、真に最高のもので
なければなりません。日本の将来がかかっているのですから。
真に最高レベルの目標を達成するには弛まぬ努力が必要です。この新しい消化器外科同窓
会の会員は大変優秀な外科医の集まりです。それぞれが弛まぬ努力を続ければ、臨床・教育・
研究のいずれにおいても最高レベルを達成できますし、自ずと道が開けます。しかし残念です
が、今まではその能力が十分に発揮されてはいなかったように思います。大学の外科教室の力
量を客観的に観る方法の一つに全国の大学で教授として活躍できる人材をどれくらい育ててい
るか、ということが挙げられます。現時点では阪大出身で他大学の消化器外科教授に就任した
方が少ない現状があります。これは基本的には客観的に評価されうる業績が出ていないためで
す。第 1 号の巻頭言にも書きましたが、評価は他人がするものです。いくら自分でがんばって
いると思っても、客観的にそれを示せるものがないと、他人は評価してくれません。誰からで
も正しく評価されるためには、弛まぬ努力の上に立って、客観的評価に耐えうる業績を示すこ
とが肝要です。この点において、これからは是非貪欲に頑張って欲しいと思います。そのため
に大事なことは、まず短期・中期・長期の具体的計画をしっかりと立てることです。1 年後の
自分はどれくらい進歩していると思いますか?5 年後は?そして 10 年後は?その頃の自分を漠
然とではなく具体的に想像することが大切です。そしてその目標(イメージ)の達成のために
なすべき事を具体的に考え、そして行動に移すことです。目標達成に最大限の努力をしてくだ
さい。
大阪大学消化器外科関連の先輩にお願いです。この同窓会は近いうちに関連する病院の先
生にも旧 1 外科、旧 2 外科の枠を越えて入っていただき、後輩を指導していただけるような体
制にしたいと思います。大学の消化器外科の発展は、関連病院の発展と一心同体で進めるべき
ものです。土岐先生とは関連病院の基盤整備の重要性を常に一緒に考えています。大学との交
流を今まで以上に活発にするために人的交流をより活発にする必要があります。今後はこれま
で以上に大学を利用していただき、連携をとりながらともに発展していっていただければと願
っています。
関連病院の先輩のご支援をいただきながら、若い教室員を厳しく、時には優しく指導し、
大阪大学消化器外科教室が大きく発展するようにがんばっていきたいと思います。関連病院の
先輩には引き続きご支援・ご鞭撻をお願い申し上げます。