スイスの発行体格付AAA[安定的]を新規公表

NEWS RELEASE
2016年12月22日
【新規格付】
スイス連邦
外貨建発行体格付: AAA [格付の方向性:安定的]
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
製造業およびサービス業の幅広い分野で国際競争力のある産業が集積する。強固な経済基盤と成熟し
た社会制度を有し、1人当たり国内総生産(GDP)は約8万米ドルと高水準だ。経常収支は恒常的に黒字で
純債権国でもある。経済はおおむね安定した成長を続けている。政府は財政規律を保つための制度に
則った財政運営を行っており、健全な財政状況が保たれている。金融システムは安定性を維持し、経済
や財政の重荷となる懸念も乏しい。隣接する欧州主要国の政治・経済には先行き不透明感が漂うもの
の、スイスの信用力を支える構造が変化する可能性は小さいとの判断も踏まえ、外貨建発行体格付AAAを
付与した。格付の方向性は安定的。
2011年から2014年まで、実質GDP成長率は平均1.7%で推移してきた。2015年1月に、スイス国立銀行
(SNB)がスイスフランの対ユーロ為替レートの上限を撤廃し急激なスイスフラン高が進んだ。その影響
などで、経済は伸び悩み、同年の実質GDP成長率は0.8%にとどまった。2016年にはこうした影響が一服
し、経済は再び1%を超える成長を続けている。連邦経済省経済事務局(SECO)とSNBは、共に2016年の
実質GDP成長率を1.5%程度と見込む。2017年以降の経済の先行きについては、英国の欧州連合(EU)離
脱問題の影響や、欧州の経済・金融市場の動向、国内の住宅市場動向、2014年に承認された移民に関す
る憲法の新条項の実施、といったリスク要因があるものの、おおむねこれまでの基調で推移するとみら
れる。R&Iでは、今後数年間、1%台半ばから後半の成長を見込んでいる。
経常収支は大幅な黒字で推移している。2015年はGDP比11.4%を記録した。大幅な黒字は、多国籍企業
や国際的な金融サービスの拠点という特殊要因も影響しているという点には留意が必要だが、少なくと
も対外面での安定感が損なわれる懸念は乏しい。対外債務はGDP比200%を超える規模になっている。資
産運用を目的とした資金流入が少なくないことを考えると資産面と両建てでみる必要があり、国際投資
ポジションの対外資産は同負債を大きく上回る。
憲法で規定される債務ブレーキ(debt break)制度が、連邦政府の財政運営の要だ。同制度は、好況
期は財政収支を黒字とし、景気後退期には赤字を容認するよう設計され、2003年の導入以降、連邦政府
の財政収支(GFSM基準)はおおむね黒字を保っている。州政府の多くも独自に財政規律を保つ制度を設
定しており、連邦政府、州政府、および社会保障基金を合わせた一般政府でみても財政状況は健全だ。
政府によると、2015年の一般政府財政収支はGDP比0.1%の黒字で、2016年も小幅の黒字が見込まれてい
る。安定した経済状況やこれまでの健全な財政運営を踏まえると、財政収支の基調が崩れることはない
だろう。一般政府債務は、2015年末時点でGDP比46.4%にとどまっており、今後もおおむね横ばいで推移
するとみられる。
SNBは2015年からマイナス金利政策を導入している。スイスフラン高圧力が続き物価はマイナスで推移
するといった環境を考えれば、SNBのこれまでの金融政策スタンスは適切なものとR&Iでは判断してい
る。マイナス金利を導入した後も通貨高圧力やデフレは十分に解消できておらず、当面は、極めて緩和
的な政策スタンスが続く見込みだ。低金利環境が長期化すれば、住宅不動産市場の過熱などを通じて金
融システムの安定性を損なう可能性があるため注意が必要だ。SNBもこうしたリスクに対応するために、
各種のマクロプルーデンス措置を導入しており、住宅価格や住宅ローンの伸びは鈍化している。今後の
金融政策運営とマクロ経済および金融システムの安定性が注目される。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-6273-7471 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-6273-7273
株式
会社
格付投資情報センター
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町三丁目22番地テラススクエア http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:スイス連邦
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
AAA(新規)
安定的
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
原 一樹
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2016年12月15日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
スイス連邦
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
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き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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