農学部 T SUJITA 応用生物科学科 生物資源開発学講座 Y U K I 辻田 有紀 准教授 「世界最大の菌従属栄養植物タカツルランの菌根菌相解明」 「ランの自生地播種法の開発と発芽時の共生菌相解明」 「シカに食い尽くされる前に照葉樹林のランを守れ」 [キーワード] ラン科,菌根菌,菌従属栄養植物,自生地播種,絶滅危惧種の保全 多 化 様 し た ラ ン の 不 思 議 に 迫 る ! 研究紹介 ◆研究概要 本研究室では,主としてラン科 植物にスポットをあて,植物をと りまく様々な不思議や絶滅危惧植 物の保全をテーマに研究を行って います.ラン科植物は 25,000 種を含むといわれ,地球上でいま 最も多様化を遂げている植物群の 1つで, 植物の不思議な進化や生 態を解明するのにぴったりの研究 材料です. 本研究室では,光合成をやめてしま った不思議なランの菌根菌を調べ, その進化の謎を解明しています. 里山を彩るキンラン ◆共生菌の不思議 すべてのラン科植物は,カビや キノコの仲間と共生しなければ生 活環を完結することができませ ん.共生菌(菌根菌)はランを理 解する上で欠かせない存在です が,その多くは未だ菌の種類すら 根の細胞内にある菌根菌 わかっていません. の菌糸 本研究室では,DNA を分析する 手法を用いて,日本に自生する野生ランと共生菌の関係 を調査しています. ◆種子の不思議 ランの種子はとても小さく,多く は長さ 1mm 程度しかありません. このように 小さな 種子が 野 外でい つ,どこで,どのように発芽している のか?ほとんどの種類で解明されて いません.本研究室では,特別な方法 で野外に種子をまき,発芽生態を解 明しています. マヤラン(進化の過程で 光合成をやめ,葉がなく なってしまった) ◆ランが危ない 日本には 300 種類以上のランが生育し ていますが,そのうち 200 種類あまりが 絶滅の危機に瀕しています.花が美しく高 い商品価値があるために採集されてしま うこと,また,開発に伴う生育地の環境破 壊などがその原因です. 本研究室では全国各地で様々な野生ラ ンの保全活動を行っています. ◆光合成をやめた不思議な植物の進化 植物は光合成によって二酸化炭素と水から糖を合成 し,栄養としています.しかし,植物の中には葉がなく なり,光合成をやめて菌根菌に糖の供給を頼るようにな った種類があります.このような植物は菌従属栄養植物 とよばれています. ランの種子 屋久島では増えすぎたシカ の食害によってランが激減 しているため,防除柵を設 置してランを守る活動をし ています. 掲載情報 2016 年 12 月現在 中高生の皆さんへ 一言アピール 自然や植物が好きな人,フィールドワークが好きな人,とにかく面白い研究 がやりたい人,一緒に研究をしてみませんか? 産学・地域連携機構より 美しく花を咲かせるラン科の植物が,私たちの肉眼では見ることもできない微生物と共存しな くては,生育できないことをご存じでしょうか?ラン科の植物と共生菌の科学的解明はこれか らです.植物に興味があり,積極的な活動を好む皆さんをお待ちしています. 佐賀大学研究室訪問記 2016 佐賀大学 産学・地域連携機構 (佐賀県佐賀市本庄町1番地) (お問い合せ先) 国立大学法人 TEL:0952-28-8416 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課 E-mail:[email protected]
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