第7号 平成 28 年 10 月 日 川崎市立小学校 国語教育研究会 再発見しよう、子母口小の魅力 国語教育研究会授業研究会報告 話す・聞く 第五学年 鈴木 俊祐先生 子母口小学校の魅力を、インタビューや資料等から収集した情報と関係づけて自分の考えを発信している。 ア 考えたことや伝えたいことなどから話題を決め、収集した知識や情報を関連づけること。 全校児童に伝えたい内容を選ぶためにインタビュー活動を行う。 国語教育研究会副会長 川崎市立梶ヶ谷小学校校長 ○「話す・聞く」の力は各学年でどれくらい高めなければならないのか?系統性を教えてほしい。 ○指導講評 やりとりができること。 第二学年 町探検でお世話になった人に、自分の思いを伝える手紙を書く。 イ 自分の考えが明確になるように、事柄の順序に沿って簡単な構成を考えること。 町探検でお世話になった地域の人に自分の思いが伝わるように、簡単な構成を考えて手紙を書く。 ~自分の思いがつたわるように、くみ立てを考えて手紙を書こう~ 御幸小学校 大すきはっけん、みゆきの町のきらりさん インタビューという学習活動では、人間関係をひらく言葉の力を育てることができる。 書く 単元目標 指導事項 言語活動 永原 好美先生 るようになること。五年では、話す内容に対して臨機応変に質問を変えたり加えたりすること、収集した情報を関連付けるような創造的な しい。話す・聞く力の系統性は、三年では、話の中心を聞くこと、前の人の発言を受けて話すこと。四年では、話を聞きながらメモをとれ 設ける。今日のようなゲストティーチャーを招いた授業はなかなかできないと思わず、実の場を設けて子どもの言葉の力を育てていってほ る。予想される答えも考えておく。そこまで準備してもうまくいかないこともある。だからこそ繰り返し経験し、一人一人が話をする場を 大事。一枚の付箋に一つの質問を書き、並び替えながら順番を考えるとよい。インタビューで得られる情報に深まりが出るような順番にす ることが難しいのがインタビューである。だからこそ、三年・四年・五年と場を設定し、経験させていかなければならない。質問の順番は 事前の準備が鍵となる。今日の学習は、質問を通じて相手の話の内容を聞き取り、相手の思いに気づくことが大切だった。具体的に指導す 子母口小学校の落成式典を学習材とし、インタビューという言語活動を結び付けて単元作りをしたのがとてもよかった。インタビューは 井上 恵子先生 ○本時のインタビュー活動の相手が先生方で良かった。質問の意図をくみ取りながら対応してくれているのがよく分かった。 【研究協議より】 ○子母口小学校の魅力を聞き出したかったのか。その人のことを掘り下げその人の魅力を聞き出したかったのか? 子 →どもたちには、子母口小学校の魅力に迫ってほしかった。 ○ゲストティーチャーは、どのように選んだのか。 子 →どもたちから挙がってきた人もいたが、基本的には教師が紹介をした。子母口小学校の魅力を知っている人を子どもたちが選ぶ のはなかなか難しかった。 【実践概要】 「新校舎一期生として、子母口小学校の魅力を全校児童に発信しよう」という学習課題を設定することにより、子どもたちがより 主体的に学習に取り組めるようにした。総合的な学習の時間と関連させながら、子母口小学校をよく知る方をゲストティーチャー として招き、インタビューをしながら知りたい情報を集めるという学習を行った。本時では、事前に収集した調査メモを効果的に 使い対話をする姿が見られた。 単元目標 指導事項 言語活動 子母口小学校 空は高く澄み渡り、さわやかな季節となりました。秋の夜長、虫の音が心地よく響いてきます。 さて、九月二十一日(水)に平成二十八年度国語教育研究会授業研究会が子母口小学校、御幸小学校、中野島小学校の三校にて 行われました。熱心な授業協議会が行なわれました。 研究会報 【実践概要】 「生活科の町探検でお世話になったみゆきの町のきらりさんに手紙を書こう」と投げかけ、感謝の気持ちや体験して心に響いたことを手 紙に書く。本時では、生活科でのワークシートを活用して書いたふきだしメモから、伝えたいことをしぼって短冊メモに詳しく書いてい く。授業では手紙文のモデルを提示することによって、 「はじめ」にはありがとうの気持ち、 「中」には伝えたいこと、 「おわり」には応援 のメッセージを書くことを確認して構成を意識できるようにした。また、 「はじめ」 「中」 「おわり」の短冊カードの色を変えることによっ て構成を意識できるような手立てをとっていた。一人一人が、インタビューしたときの驚きや感動、きらりさんへの感謝の気持ちが伝わ るような文章を短冊カードに書くことができていた。 【研究協議より】 ○先生と子どもたちとの関わりが丁寧だった。子どもたちがきらりさんへのあふれる思いをたっぷりと表現していた。今日は「はじめ」 「中」 「おわり」の「中」の構成を考えれば良かったのか。それとも全体の「はじめ」 「中」 「おわり」にすれば良かったのか。 子 「はじめ」 「中」 「おわり」の構成を学んだ。今日はたくさんのメモの中から、 「中」の部分の伝えたいこ →どもたちはこの単元で初めて、 とを選ぶことが構成であり、一番大事な活動であった。 ○とてもよく書けていた。生活科の発見カードや国語科「かんさつ名人になろう」等の既習が生きていた。情報量が多い中で、子どもたち は吹き出しメモから短冊カードに書くことを選択して、書きたいことをしっかり選ぶことができていた。 四時間目のメモの交流の時の手立てはどうだったのか。 国語教育研究会顧問 川崎市立宮内小学校校長 丸山 衛先生 同 →じきらりさんを選んだ友達同士で交流した。ピンクの付箋を一人二枚ずつ渡して、新しい発見、自分にはない情報等、友達の良いとこ ろを書いて吹き出しメモに貼る活動をした。子どもたちは、自分の伝えたい中心をまとめそれをふくらませていった。 ○指導講評 単元の導入で、和菓子屋さんに飾られていた昨年度の二年生が書いた手紙を紹介したのが良かった。また、先生が自作のモデル文(子ど もたちに一番届けたい話材)を提示することによって教師自身が、書く量や学習のねらいを捉えることができる。 書く素材となる生活科の体験が豊かだった。書く素材を探すのに国語の時間を使うのは厳しい。年間を見通して横断的に他教科からもっ てくるよい。書くことの中心を何にするのか、短冊カードの中から何を選ぶのか、といった書くことを選ぶところから構成は始まっている。 「中」の構成については個人差があった。先生が一人一人の「このことを伝えたい」という思いを尊重していた。 手紙は、文章の中でも一番、相手のことを思って書く文章。特定の「あなた」に向けて書くものである。コミュニケーションツールの一 つとして、発信ツールの一つとして、手紙を書ける子を育てたい。今日は、地域の人に焦点を当てたよい取り組みだった。子どもたちは、 自叙伝を読み、その人に迫ろう 第六学年 野呂 公人先生 自叙伝を読み、捉えた書き手の人柄について交流することを通して、書き手に対する考えを広げたり深めた りすること。 オ 本や文章を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりすること。 自叙伝を読み、自分が見つけた人柄について交流する。 中野島小学校 六年間地域の方々と様々な場面で関わる。地域の方々と子ども時代にどのように関わらせてあげるかを意識して活動するとよい。 読む 単元目標 指導事項 言語活動 【実践概要】 人を知るということを大切しながら自叙伝を読んでいく学習である。子どもたちに「人を知る」という方法の中にその人の書いた文章 を読むという視点はなかった。それをきっかけに自叙伝を読むという活動をつくった。本時では、子どもちが自叙伝から捉えた篠原さん の人柄を自由に語り、考えを広げたり深めたりしていた。最後に教師が、 「なぜ『規格外』か。 」というタイトルについて子どもに考えさ せた。 【研究協議より】 ○ 篠原さんを選んだ理由は何だったのか? 志 →村けんさんの自叙伝と比較して悩んだが、志村けんさんはストイックな姿勢が前面に出ている。しかし、篠原さんは多面的な様子が読 みとることができた。子どもたちのなかでも話題性があるということを理由に選んだ。 ○ 広げたり深めたりを子どもたちはどうとらえていたのか。子どもたちがどうとらえているかで学び方が変わってくる。自分の変化に気づ くことも大切であるのではないかと思う。 を目標とさせていた。 「自分とはちがう」を大切にした。 国語教育研究会副会長 川崎市立西有馬小学校校長 八幡 博子先生 今日の授業の目的は友だちの考えを聞いて「なるほど」と思えたらよいということを伝えていた。自分にない考えを取り入れていること → ○指導講評 教科書教材ではない自叙伝という学習材を扱った提案性がある内容だった。ただし、自叙伝は学習材として取り上げるのに非常に難し い部分がある。自叙伝は、伝記の一つと考えられるが、文章・内容が価値あるものなのかどうか十分な吟味が必要であり、その人の生き 方や考え方が今後を含めどう評価されていくかも考え、扱いは特に慎重にするべきである。野呂先生は児童の実態や学級の実態に合わせ て、多面的に人を知るということに重きを置き、学習展開を考えられた。参加された先生方が自分の学級でどのように伝記を扱った単元 学習を実践できるか考えてほしい。伝記を読むときのポイントとして自分を不在にして読んではいけないと考える。自分に引き寄せて読 むことに意味がある。指導事項オについて、今回の単元で何ができたら達成なのかについて考えてみると、最後に自分の考えを書かせて 文責(三觜) みてはどうだろうか。 同じエピソードでも子どもによって違う捉え方があった。 子どものつぶやきの中に学習を深められるものがあった。 つぶやきをどう生かすか考えていきたい。深い学びの成立に向け一層学びあっていきたいものである。
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