第11回 5.静磁場 定常電流のつくる磁場について学ぶ。 ○ 高校の物理から(簡単な復習) 磁石と磁気力 磁極(N極,S極),磁気に関するクーロンの法則,磁場と磁力線,磁石の分割 電流のつくる磁場 ・ 直線電流のつくる磁場 エルステッドの実験, B = km I r ・ 平行電流間に働く力 アンペールの法則: F = I 2 Bl = km I1 I 2 r l l の部分に働く力を F としている。) (ここでは,電流 I1 がつくる磁場を B とし,そこに流れる電流 I 2 の長さ ・ 電磁気の単位 間隔 1m の平行導線に 1A の電流を流したときに,導線間に働く力が 1m あたり 2 × 10 −7 N とな るように電流の単位:アンペア( A )を定義 → km = 2 × 10 −7 N/A 2 km = B= µ0 2π すなわち µ 0 = 4π × 10 −7 N/A 2 (真空の透磁率) を用いて表すと µ0 I 2π r 単位: T (テスラ), F = I 2 Bl = µ 0 I1 I 2 2π r l 国際単位系(SI 単位系) MKSA ・ 円形電流のつくる磁場 半径 r [ m] の円形電流 I [ A] がつくる磁場の,中心における磁束密度は B = µ0 I 2r [ T] ・ ソレノイドのつくる磁場 ソレノイドの内部に生じる磁場は,ソレノイドの軸に平行で,強さはどこでも B = µ 0 n I ・ 電流は閉じた磁力線をつくる 直線電流,円形電流,ソレノイドのいずれも,電流のつくる磁場の磁力線は,始点も終点もな い閉じた曲線 5.1 エルステッドの発見とアンペールの法則 近接作用のアンペールの法則 アンペールの法則: F = µ 0 I1 I 2 2π R → F = I1 B , B= µ0 I 2 2π R (ここでは電流 I 2 がつくる磁場を B とし,そこに流れる電流 I1 に働く長さ 1m あたりの力を F としている。) 5.2 静磁場の基本法則 ○ 静磁場を決定する基本法則 ・ガウスの法則 定常電流の電流線は閉曲線 で, ∫ in dS = 0 (4.4) が成立した S0 磁束線も閉曲線なので, ∫ Bn dS = 0 S0 (5.7) が成り立つ。 ガウスの定理を使って (5.7) 式を微分形にすると, divB = 0 (5.8) 定常電流がつくる静磁場 ・ アンペールの法則 積分形のアンペールの法則 直線電流 I のつくる磁束密度: B = µ0 I 2π R 半径 R の円形閉曲線に沿った積分: ∫ B(R) ⋅ dr = 2π R B(R) = µ0 I C0 これを任意の閉曲線に一般化すると ∫ C0 B ⋅ dr = µ 0 I (5.12) ストークスの定理を使って(図2.7の微小長方形) 左辺: ∫ C0 x B ⋅ dr → {rot B} x ΔSx ,右辺: I x → {i(x)}x ΔSx 微分形のアンペールの法則: rot B(x) = µ0 i(x) → (5.19) (5.19) → rot H = i 磁束密度の線積分 (5.22) ( ∵ B = µ0 H ) ○ベクトルポテンシャル: A(x) 磁場に関するガウスの法則: divB = 0 (5.8) → B(x) = rot A(x) (5.20) ∵ div ( rot A) = 0 5.3 ビオ-サバールの法則 ○ビオ-サバールの法則 ΔB = µ 0 I Δs × r 4π r3 (5.25) ・任意の形の導線内を流れる定常電流がつくる静磁場を求めるのに利用 ・ビオ-サバールの法則をガウスの法則とアンペールの法則から導く ・ビオ-サバールの法則を使って磁束密度の大きさを求める 円形電流のつくる静磁場 図5.10, ソレノイド内部の磁場 章末の演習問題(4) 【 演 習 】一辺 a の正六角形の導線回路に流れる電流 I が,正六角形の中心につくる磁場(磁束密度)の 大きさを求めなさい。
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