2008 年度 世 界 史 ■ 大学・学部(日程):名古屋大学 文学部/情報文化学部社会システム情報学科(前期) ■ 出題構成(時間/配点):90 分/文学部 200 点、情報文化学部社会システム情報学科 400 点 大問 No. 問題Ⅰ 問題Ⅱ 問題Ⅲ 問題Ⅳ 形式 単答・論述/引用文 単答・論述 単答・年代整序・論述/史料 論述 350 字 分野・内容、等 古代インド史 唐の諸制度 19 世紀のアメリカ合衆国 工業化・都市化に伴う諸問題を克服す る努力 難易度 やや易 標準 標準 やや難 ■ 出題傾向: ・例年、大問数は例年4題であり、問題Ⅰ∼Ⅲはリード文(史料や年表を含む)の下線部に関する 問題、問題Ⅳは 350 字の論述問題という構成である。問題Ⅰ∼Ⅲでは単答問題のほか小論述(字 数指定なし、解答欄は罫線のみ)も何問か出題される。 ・史料やグラフ・表などを用いた出題がしばしば出題される。2007 年度は唐詩、2008 年度は 19 世 紀の合衆国に関する史料が提示された。また、リード文として近年に書かれた著作からの引用文 が提示されることも多い。 ・時代・地域とも偏りなく出題される。古代から元代までの中国史は頻出であり、例年、大問1∼ 2題で取り上げられている。また、近・現代史に関する大問も1∼2題出題され、産業革命期以 降の欧米諸国に関する論述問題も目立つ。 ■ 近年の出題傾向の変化の有無・方向: ・全体の構成に大きな変化はないが、難易度・総論述字数は年度によってかなり差がある。 ■ 2008 年度入試の特記事項: ・基礎∼標準レベルのオーソドックスな出題が大部分を占め、昨年度に見られたような出題意図の 不明な難問は姿を消した。小論述の数も減少し、全体として易化したといえる。 ・問題Ⅱ−問4の小論述は、唐代と宋代の科挙について、“官僚登用制度中における位置付けの違 い”という視点から述べさせるもので、やや難度が高かった。 ・問題Ⅲでは、近年見られなかった選択式の問題が出題された。思考力を要するが、史料文中にヒ ントが含まれており、教科書レベルの知識で対応できる。問2の選択肢も大きなヒントになる。 ・問題Ⅳの 350 字論述は、労働問題や都市問題の解決をはかる動きについて説明させる問題であっ た。5つの指定語句が提示されているので、それを糸口として盛り込むべき内容を絞り込みたい。 ■ 求められる力とその養成: ・年度によっては教科書の内容を逸脱した内容が問われることもあるが、まずは教科書の全範 囲をきちんと学習し、基礎・標準レベルの問題で取りこぼしをしないことが肝要である。出 題者の創意工夫が随所に見られ、通り一遍の世界史学習だけでは太刀打ちできない。過去問 の傾向を踏まえて応用力を身につけるよう努めたい。 ・様々な字数の論述問題が出題される。きちんとポイントを押さえてまとめられるように、早 い時期から論述対策に取り組んでおきたい。とくに 350 字の大論述では、時代や地域の異な る様々な事象を一定のテーマに沿ってまとめ上げたり、異なる地域もしくは時代の社会の在 り方や統治体制を比較したりする力が求められるので、東大など他の国公立大学の入試問題 も参照しつつ、歴史を様々な角度から見る姿勢を身につけておくこと。 ・論述問題では、「考えさせる」タイプの出題が多い。用語を覚えなければならないのはもち ろんであるが、ある歴史事象にはどのような背景があったのか、世界史における意義は何か、 といったことも併せて理解しておく必要がある。
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