株式会社東海東京調査センター 「日本経済予測(2016

Press Release
6-2, NIHONBASHI 3-CHOME, CHUO-KU, TOKYO
103-0027
JAPAN
平成 28 年 12 月 8 日
各
位
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
東京都中央区日本橋三丁目 6 番 2 号
証券コード
8616
東証・名証第一部
株式会社東海東京調査センター
「日本経済予測(2016-18 年度)」に関するお知らせ
当社の子会社である株式会社東海東京調査センターが「日本経済予測(2016-18 年度)」を
発表いたしましたので、別紙のとおりお知らせいたします。
以
本件に関するお問い合わせは、広報・IR部
03-3517-8618 までお願いします。
上
2016 年 12 月 8 日
日本経済予測(2016-18 年度)
~7-9 月期の 2 次速報を踏まえて見通し修正~
【当社予想及び前提条件】
チーフエコノミスト
実質 GDP 成長率(前年度比)
16 年度+1.3%、17 年度+1.4%、18 年度+1.0%
武藤弘明
03-3517-8374
[email protected]
CPI コア上昇率(前年度比)
16 年度▲0.2%、17 年度+0.8%、18 年度+1.0%
日銀金融政策
現状維持を継続(追加緩和無し)
★実質 GDP 成長率の予測値は、16 年度が前年度比+1.3%(前回 9
月 8 日時点の予測は同+0.8%)
、17 年度が同+1.4%(前回予測は同
+1.1%)
、18 年度は同+1.0%とした。
16 年 7-9 月期の実質 GDP 成長率(2 次速報)は前期比年率+1.3%
と1次速報段階の同+2.2%から下方改定されたが、その前の 16 年
4-6 月期が同+1.8%と1次速報値の同+0.7%から逆に上方改定さ
れており、16 年度の GDP 成長率の発射台はむしろこれまでよりも
上昇している(具体的にいうと、仮に 16 年 10-12 月期、17 年 1-3
月期の成長率が従来の想定と同じであっても成長率は 0.2%ポイ
ント程度高い伸びになる)
。17 年度については米大統領選後の環境
変化、
すなわち円安と米国における財政支出の相応の拡大期待を織
り込んでのものである。18 年度については引き続き米国における
財政支出の拡大期待は残るものの、米金利の緩やかな上昇継続、ド
ル高の進展がラグをもってグローバル景気の調整要因になると想
定し、日本経済も 17 年度に比べて若干減速すると予測している(4
頁以降の「背景説明:グローバル経済の概観と日本経済へのフィー
ドバック」参照)
。
★CPI コアの前年度比伸び率の見通しは、16 年度が前年度比▲
0.2%(前回予測は同▲0.1%)
、17 年度が同+0.8%(前回予測は同
+0.6%)
、18 年度が同+1.0%とした。
16 年度の下方修正は足元調整、17 年度の予測数値の 0.2%ポイ
ントの上方修正は、米大統領選挙後の「円安」の動きを踏まえての
ものである。18 年度も潜在成長率を上回る成長が続くことから CPI
コアの前年度比上昇率は 17 年度を若干上回る。
需給ギャップの縮小(あるいはインフレギャップの拡大)に対す
る物価上昇の反応はこのところますます弱いものとなっており、成
長率そのものも 18 年度は前年度比で減速を見込んでいるため、CPI
コアの上昇率は日銀が 10 月の展望レポートで想定している数字
(17 年度が前年度比+1.7%、18 年度は同+1.9%)からは大幅に下
振れる。
1/9
このレポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図とするものではありません。投資の決定は、ご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
このレポートのご利用に関しては、末尾の開示事項の記載もご覧ください。
2016 年 12 月 8 日
★日銀は今後時間の経過とともに CPI コアの見通しを下方修正せ
ざるを得ないと思われるが、例えば 18 年度の予想物価上昇率につ
いては 9 人のうち 5 人もの審議委員がダウンサイドリスクの方が大
きいと見ている。日銀としても物価見通しの下方修正はもはや既定
路線であり、追加緩和のトリガーにはならないだろう。
1 月 29 日にマイナス金利政策の導入を決定して以来、日銀はた
だの一度もマイナス金利の深堀りに手をつけていない(1 月 29 日
の声明文では「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」と明
言されていたにもかかわらず)
。その後に発表された 9 月の「総括
検証」
、10 月の「展望レポート」
、11 月の「金融システムレポート」
ではいずれにおいても現行の日銀の金融政策が金融機関収益や金
融仲介機能に及ぼす「副作用」についてはっきりとした形で言及さ
れており、日銀としては「マイナス金利の深堀り」等で金融機関に
これ以上の「負荷」をかけることは回避したいようだ。更に今の環
境は日銀にとって「追い風」だ。長短金利操作(イールドカーブ・
コントロール)によって、日本では 10 年債利回りがゼロ%近傍に
固定されているため、米金利の上昇により日米金利差はその分まる
まる拡大する。
少なくとも日米金利差だけに着目すると為替レート
はより「円安」になりやすくなっていると考えられる。本音ベース
では「円安」を志向する黒田日銀にとって、今は何もしなくとも心
地よい状況であり、マクロ環境に大きな変化がない限り、日銀が突
然サプライズ的な政策変更に打ってでる可能性は低いと思われる。
金融政策については、このまま「現状維持」が続けられ、黒田総裁
の退任までに
「追加緩和」
が実施される可能性は低いと考えられる。
2/9
このレポートは、投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図とするものではありません。投資の決定は、ご自身の判断と責任でなされますようお願い申し上げます。
このレポートのご利用に関しては、末尾の開示事項の記載もご覧ください。
日本経済予測一覧表
予測
<年度予測>
FY13
項目
実質GDP
FY14
実績
FY15
FY16
FY17
FY18
FY16
今回予測
FY17
前回9月8日予測
2.6%
-0.4%
1.3%
1.3%
1.4%
1.0%
0.8%
1.1%
2.7%
-2.7%
0.5%
0.7%
0.8%
0.7%
0.7%
0.8%
8.3%
-9.9%
2.7%
6.8%
1.8%
0.6%
5.9%
1.3%
民間企業設備投資
7.0%
2.5%
0.6%
1.4%
2.1%
1.9%
0.6%
1.8%
在庫投資(寄与度)
-0.5%
0.5%
0.4%
-0.2%
-0.1%
0.0%
-0.1%
0.0%
民間最終消費支出
民間住宅投資
公的固定資本形成
8.6%
-2.1%
-2.0%
0.2%
5.2%
-1.6%
1.8%
4.8%
-0.5%
0.6%
0.2%
0.4%
0.1%
0.2%
-0.1%
-0.1%
財サ輸出
4.4%
8.7%
0.8%
1.1%
3.5%
2.6%
-0.3%
2.8%
財サ輸入
7.1%
4.1%
-0.2%
-1.5%
2.4%
1.4%
0.5%
3.6%
3.1%
-0.5%
-1.3%
0.9%
3.4%
2.2%
0.5%
2.6%
完全失業率(末値)
3.6%
3.4%
3.2%
3.0%
2.9%
2.8%
3.0%
2.9%
消費者物価指数(コア)
0.8%
2.8%
-3.1%
-0.2%
0.8%
1.0%
-0.1%
0.6%
0.0%
2.5%
1.4%
0.1%
0.4%
0.6%
0.5%
0.4%
純輸出
鉱工業生産指数
GDPデフレータ
<四半期予測>
2016
項目
実質GDP(年率)
民間最終消費支出
民間住宅投資
2017
2018
1-3月
4-6月
7-9月
10-12月
1-3月
4-6月
7-9月
10-12月
1-3月
2.8%
1.8%
1.3%
1.0%
1.5%
1.6%
1.5%
1.0%
1.2%
0.4%
0.2%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
1.3%
3.5%
2.6%
0.6%
0.5%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
民間企業設備投資
-0.3%
1.4%
-0.4%
0.2%
0.4%
0.7%
0.7%
0.7%
0.8%
在庫投資(寄与度)
-0.1%
0.2%
-0.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
公的固定資本形成
-0.7%
1.6%
0.1%
0.1%
2.3%
2.4%
1.8%
-0.5%
-0.5%
0.3%
-0.1%
0.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
財サ輸出
0.8%
-1.3%
1.6%
0.5%
0.7%
0.8%
0.9%
1.0%
1.1%
財サ輸入
-1.2%
-0.9%
-0.4%
0.4%
0.6%
0.7%
0.7%
0.8%
0.8%
鉱工業生産指数
-1.0%
0.2%
1.3%
1.1%
0.7%
0.8%
0.7%
0.8%
0.8%
完全失業率(末値)
3.2%
3.1%
3.1%
3.0%
3.0%
3.0%
2.9%
2.9%
2.9%
-0.1%
-0.4%
-0.5%
-0.2%
0.4%
0.8%
0.7%
1.0%
0.8%
0.9%
0.4%
-0.2%
0.1%
-0.1%
0.3%
0.4%
0.4%
0.4%
純輸出
消費者物価指数(コア)
GDPデフレータ
(注)今回の基準改定により、実績数値についても新基準ベースのものに改定。
(注)鉱工業生産指数の年度値は季節調整値をもとにしたもの。
(注)実質GDP成長率以外の需要項目は単純前期比(在庫投資と純輸出は寄与度)、GDPデフレータは前年比
(出所) 内閣府、総務省、経済産業省、予測は東海東京調査センター
3/9
背景説明:グローバル経済の概観と日本経済へのフィードバック
<米国経済>
トランプ大統領誕生の影響は、少なくとも短期的には財政政策を通じた米国経済の押し上げ要因になると考えられる。米国の
16 年 7-9 月期の実質 GDP 成長率の改定値は前期比年率+3.2%と速報値の同+2.9%から上方修正された。雇用統計や小売統
計を見る限り、10 月以降も景気は堅調に推移しているものと見込まれ、10-12 月期も 2%台半ば程度の成長が見込まれている。
当初懸念された”トランプショック”は国際金融市場の混乱要因にはなっていない。財政による景気押し上げ効果も加味し、17 年
は前年比+2.4%の GDP 成長を予想する。11 月の失業率は 4.6%と FOMC(米連邦公開市場委員会)の参加メンバーが中長期
の失業率として想定している値(4.8%)を下回っており、通常であればこれ以上の景気刺激策はインフレの加速や金利の急上昇
をもたらすことも懸念される。しかし労働参加率は依然として低水準で推移しており(図表 1)、実質的にはまだ労働市場にかなり
のスラック(バッファー)があると考えられる。ここまで失業率が低下しているのにもかかわらず、賃金上昇が非常に緩やかなペー
スで推移していることもそのことを裏付けている。12 月の FOMC では 25bp の利上げが実施されることがほぼ市場では織り込ま
れているが、17 年については年 2 回程度のゆったりとしたペースで利上げが実施されると予想する(イメージとしては 6 月と 12
月に 1 回ずつ)。インフレ圧力は限定的であり、FRB(米連邦準備制度理事会)が後追い的に連続的な利上げに追い込まれて景
気をオーバーキルしてしまうような展開は回避されよう。ただしそれは景気に対して全くマイナスの負荷がかからないことを意味し
ない。18 年に関しては金利上昇による累積的なマイナス効果がドル高や新興国経済の減速を通じて米国経済にもある程度フィ
ードバックされてくると想定され、成長率は前年比で+2.2%程度に減速すると予想する。
図表1 米国の労働参加率の推移
(%)
68.0
67.0
66.0
65.0
64.0
63.0
62.0
61.0
60.0
1 8 3 10 5 12 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5 12 7 2 9 4 11 6 1 8 3 10 5
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(出所)データストリームより東海東京調査センタ-作成
(年・月)
<欧州経済>
懸念されていた英国の EU 離脱の影響については今のところマクロ経済指標に殆ど影響を与えていない。震源地である英国の
16 年 7-9 月期の GDP 成長率は前期比+0.5%と高い伸びを示している。民間調査会社のマークイット社が発表している英国の
PMI 総合指数の動きをみると EU 離脱が決定された直後の 7 月の数字こそ 47.4 と前月の 52.5 から急落しているが、8 月は 53.5
と急回復しており、その後 11 月まで 3 ヵ月連続で上昇している(図表 2:11 月は 55.2 と離脱決定前の水準を優に上回る)。現時
点ではまだ実際に離脱していないということもあるが、企業センチメントに及ぼす影響も当初は相当懸念されていた。現時点で少
4/9
なくともセンチメントや金融市場への影響は最小限に留まっている。ユーロ圏の GDP 成長率も 16 年 7-9 月期は前期比+0.3%と
前期と同水準で横這い推移となっており、基本的に堅調だ。またユーロ圏の PMI 総合指数も 9 月には 52.6 と英国の離脱決定前
のレベルに比べてやや弱含んでいたが、その後 2 ヵ月連続で改善し 11 月は 53.9 と離脱決定前の水準(16 年 6 月は 53.0)をむ
しろ上回っている。成長率見通しについては、英国はインフレ率が上昇するもとで 17 年はさすがに景気の減速が予想される。そ
の影響はユーロ圏経済にもある程度及ぶと考えられるが、景気の基調自体は大きく崩れていないことから、17 年のユーロ圏の
GDP 成長率は前年比+1.4%と 16 年の同+1.6%からは減速幅は限定的なものとなろう(英国の成長率は 16 年が同+2.0%に対
し、17 年は同+1.0%にまで減速すると予想)。18 年に関しては米国景気の減速に加えて、既定路線ではあるが中国経済(後述)
の減速も続くと予想されるため、ユーロ圏の成長率は同+1.3%、英国の成長率も同+1.0%と低成長が続くと予想する。
なおイタリアの国民投票での憲法改正案否決やレンツィ首相の辞任、17 年もオランダ総選挙(3 月)、フランス大統領選挙(4~5
月)、ドイツ連邦議会選挙(9 月)と政治的には不安定な状況になりやすいが、それが政治面の混乱に留まっている限り、基本的に
実態経済には大きな負の影響は及ばないと見ている。金融機関の不良債権処理問題がこじれる等、金融不安の再燃により国際
金融市場が再び混乱するような展開となればグローバル経済も下押しされるが、かつてに比べて欧州金融機関の自己資本は厚
みを増しており、現段階ではあくまでもリスクシナリオだ。
図表2 英国のPMI総合指数の推移
62.0
60.0
58.0
56.0
54.0
52.0
50.0
48.0
46.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
14
15
(出所)データストリームより東海東京調査センター作成
16
(年・月)
<中国経済>
短期的にみると、政府による金融緩和とインフラ投資による景気のてこ入れ策が功を奏しており、足元の月次経済指標は良
好に推移している。例えば 10 月の鉱工業生産指数は前年同月比+6.1%と前月から横這い、4 月以降は基本的に 6%を下回るこ
となく安定的な動きをみせている。固定資産投資も 10 月は年初来累計で前年比+8.3%と 9 月までの累計(同+8.2%)から上昇、
7 月以降は減速が止まった形となっている。PMI 製造業指数をみてみると、9 月までは政府発表値も民間発表値(財新/マークイッ
ト社)も 50 近傍で推移していたものが、10 月以降は突然水準が切り上がっており、ハードデータだけでなくソフトデータの改善も
目立っている(図表 3)。
16 年 7-9 月の GDP 成長率は前年比+6.7%と 3 四半期連続で同水準の伸びを続けており、当初想定していたよりも成長率の
減速ペースは緩やかなものになっている印象だ。今後の成長率見通しについては、16 年が前年比+6.6%、17 年を同+6.2%、18
年を同+5.8%と年間で 0.4%ポイントずつ減速していくと予想する。
5/9
ただし政府は高騰を続ける住宅不動産価格の抑制に手を焼いており、将来的なバブルの生成、崩壊の芽が徐々に蓄積されて
いくリスクについては注意が必要だろう。またそれを避けるべく性急な引き締め策が景気の急減速につながれば、新興国全体の
景気減速や資金流出懸念に飛び火して 15 年 8 月や 16 年初にみられたような国際金融市場の混乱、グローバル景気の減速に
つながるリスクには注意すべきだろう。中国経済については過剰資本ストック、過剰債務の問題が依然として重くのしかかってお
り、構造調整圧力の強さから基本的には GDP 成長率の減速が続くと予想される。民間債務の対 GDP 比をみると 16 年 3 月時
点で 210%にまで拡大しており調整はまだ緒にさえもついていない段階だ。基本的に中国経済については、「短期、楽観」、「中長
期、慎重」との見方を維持している。
図表3 中国製造業PMIの推移
52
51
50
49
48
政府発表
47
財新/MARKIT社
46
1
3
5
7
9
11
1
14
3
5
7
9
11
15
1
3
5
7
9
11
16
(出所)データストリームより東海東京調査センター作成
(年・月)
<世界経済全体、日本経済へのフィードバック>
世界経済の成長率は 16 年が前年比+2.8%と 15 年の同+3.1%から減速するが 17 年は同+3.2%と伸びが上昇すると予想する
(図表 4)。財政政策の発動を主因として米国の成長率が前年比対比で加速することがドライバーとなろう。また日本経済に関して
も、日銀が 9 月から導入しているイールドカーブ・コントロール(長期金利をゼロ%近傍に固定)と米国の金利上昇を背景に、想定
以上の「円安」効果を享受すると考えられ 17 年暦年ベースの成長率は前年比+1.4%と 16 年の同+1.0%から伸び率は加速する。
欧州と中国の成長率は減速するが減速ペースはマイルドであり、日米経済の成長率押し上げの効果がこれらを上回る形となる。
一方、18 年に関しては緩やかとはいえ米国の利上げサイクルが進展することで、ドル高も進みやすくなる。新興国経済に関し
ても米金利上昇によるマイナス効果がある程度蓄積されると考えられ、世界経済にはそれなりの下押し圧力が加わってくると想
定している(成長率は前年比+3.0%に減速)。グローバル景気が下押し圧力を受けるときは、FRB による更なる利上げペースが
鈍化(あるいは停止、極端な場合は利下げ見通しも発生)するのではないかといった思惑も高まりやすく、“リスク・オフ”的な流れ
から「円高」にもなりやすくなる。日本経済に関しては、数量ベースの景気動向よりも、しばしばそれとは独立的に動く為替レート
(円ドルレート)によって名目ベースの企業収益が変化し、これが春闘におけるベースアップや賞与の見通し、設備投資へと影響
しやすい構造となっている。仮に 16 年度の平均為替レートがマイナス金利政策導入決定前のレベル(120 円/ドル)で推移してい
たとすれば、16 年度は増収・増益となった可能性もある(図表 5:為替レートと企業収益のシミュレーション)。
もともと 17 年度は日本においても経済対策により公共投資が上乗せされると見込まれており(17 年度の実質公的固定資本形
成は前年度比+5.2%、18 年度は同▲1.6%)、これにトランプ氏の財政政策による新たな世界景気の「波」が加わる。 その意味
で 17 年(年度)の日本経済は上振れしやすく、逆に 18 年(年度)は下振れしやすい状況になるだろう。
6/9
図表4 世界経済の見通し
(前年比 %)
東海東京調査センター予測
(参考)IMF予測 16年10月時点
2016年
2017年
2018年
2016年
2017年
2018年
予測
予測
予測
予測
予測
予測
2.8
3.2
3.0
3.1
3.4
3.6
米国
1.6
2.4
2.2
1.6
2.2
2.1
ユーロ圏
1.6
1.4
1.3
1.7
1.5
1.6
日本
1.0
1.4
1.1
0.5
0.6
0.5
中国
6.6
6.2
5.8
6.6
6.2
6.0
世界経済
(出所)IMF、東海東京調査センター
図表5 為替レートと企業収益のシミュレーション
(前年比 %)
(注)16年度について
10.0
5.0
0.0
-5.0
-10.0
経常利益
-15.0
輸出
-20.0
売上高
-25.0
-30.0
95.0
100.0
105.0
110.0
115.0
(出所)日本銀行「短観」より東海東京調査センター試算
7/9
120.0
(円/ドル)
【 レーティングの定義 】
Outperform
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上上回るとアナリストが予想
Neutral
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して±15%未満とアナリストが予想
Underperform
今後 6 カ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上下回るとアナリストが予想
Suspended
一時的に投資判断、目標株価を停止
NR
レーティング、目標株価を付与せず
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このレポートは、東海東京調査センターが作成し、東海東京証券株式会社が許諾を受けて提供いたしております。投資判断の
最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます。
東海東京証券の概要
商号等
:東海東京証券株式会社 金融商品取引業者 東海財務局長(金商)第 140 号
加入協会 :日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【 リスクについて 】
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買等にあたっては、株式相場、金利水準等の
変動や、投資信託、投資証券、受益証券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、商品
等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等が変動することによって損失が生じるおそれがあ
ります。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付け資産の発行者等の業務や財産の状況
等に変化が生じた場合、上場有価証券等の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利を行使できる期間に制限がありますので
ご留意ください。
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◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変化することにより、為替相場が円高になる
過程では外国証券を円貨換算した価値は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇することに
なります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じる恐れがあります。
※裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券等である場合には、その最終的な裏付け資
産を含みます。
※新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様のリスクがあります。
【 手数料等諸費用について 】
Ⅰ.国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手数料等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く)
委託手数料の上限は、約定代金の 1.242%(税込)になります。
(2)国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の 1.08%(税込)になります。
※上記金額が 2,700 円(税込)に満たない場合には、2,700 円(税込)になります。
Ⅱ.外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます)の取引には、国内の取引所金融商品市場における外国株券等の売
買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引の 2 通りの方法があります。
(1)外国金融商品市場等における委託取引
①国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の 1.404%(税込)になります。
②外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公課その他の諸費用が発生します。
当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載するこ
とはできません。
(2)国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法
で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差がそれぞれ原則として 2.75%(手数料相当額)となるように
設定したものです。当該参考価格には手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動向をふまえて弊社が決定した為
替レートによるものといたします。
Ⅲ.その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払い頂きます。また、お客様との合意に基づき、別途手数料をいただく
ことがあります。
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