テーマ① 「アメリカで何をつかみとりたいか」 立命館慶祥高等学校 普通科 2 年 池田 未歩 私がアメリカでつかみたいもの、その一つは「世界に通用する自衛官として、より良 い未来を実現するため、自分は何をすべきか」という問いの答えです。 私の夢は、防衛大学校へ進学し幹部自衛官として世界の海で働くことです。元々医 師や警察官など人のためになる職業に魅力を感じていました。その中でも特に「自衛 官」を目指すようになったきっかけは、元海上自衛官である親戚に話を聞いたことです。 「外交官より外交官らしい仕事をしている」 戦争、いえ、それより前の段階である国と国との諍いを未然に防ぐために多くの国へ 行き、様々な人と話すことも仕事のうちだ、とその方は言いました。自分とは違う文化の 中で生きてきた人と話をすることは、常に新しい発見があります。そのように私も自分の 視野を広げながら、未来をより良く変えるために生きていきたい。そう思い、この進路を 明確に目指すようになりました。 しかし実際に日本の先頭に立って、他国間との友好関係を築くために、そうできる 人材になるために、今自分にできること、やるべきことが未だによくわかっていません。 私が考えるより良い世界とは‘‘自衛隊のいらない世界’’だと考えています。この考え が私の将来の夢と相反することは重々承知していますが、災害派遣ではなく、「防衛」 の役割を持つ自衛隊が必要のない世の中になればいいと考えています。2015 年、日 本は約 5 兆円ものお金を防衛費へとつぎ込みました。他の列強もまた然りです。この 数字はこれからも増えていくことが予想されます。いつか戦争が、いつかあの国が。そ の数字は心配の表れのように見えます。地図上でしか見えない「国境」という隔たりが あるだけで、こんなにも周りの国を信頼できなくなっているこの現実は、本当に悲しいこ とだと思います。その点、アメリカという国は私の理想です。様々な人種・民族がおり、 たくさんの言語・文化が存在し、それがいがみ合うことなく混ざり合っています。その調 和の良さは、サラダボウルと称されるほどです。私にはアメリカが国境のない世界の縮 図のように見えます。もし、私がロサンゼルスに行くことができたなら、現地の人に自分 とは違う文化・民族に対してどんなことを思うか、どのように捉えているかを聞いてみた いです。きっと日本人の回答とは大きな差があるでしょう。その相違には、各々の文化 を持った国同士が認め合い、互いに尊重して生きていくためのヒントを得たいです。そ れは私が世界に通用する自衛官を目指す上での指針にもなるはずです。 ロサンゼルスがあるカルフォルニア州には、多くの米海兵隊基地やロングビーチ造 船所という名の古い軍艦製造工場があり、また「アイオワ」という名の大型戦艦が展示さ れています。戦艦アイオワはちょうど終戦の一か月前、北海道室蘭市を砲撃し約 500 人の死者を生みました。戦争と関連深いこの地で無残な過去を見つめなおし、あらた めて悲惨な戦争を起こしてはならないという確固たる意志を持つことは、平和を重んじ る自衛官を目指す者としてどうしても必要です。これがこのプログラムで私が掴みたい と考えることの一つです。 日中間の尖閣諸島問題、北朝鮮との核ミサイル問題、日露間の北方領土問題。思 いつくだけでも日本は外国とたくさんの問題を抱えています。また、安全保障関連法 の可決により自衛隊のなす意味合いもどんどん揺らいできています。そのような時でも、 そのような時だからこそ、自分が自衛隊の核となり、日本を守りたい、世界をよりよく帰 るために尽力したい。そのために、アメリカという地で自分がすべきことを学び、つかみ とりたいです。
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