駐 在 員 便 り - 日本産業機械工業会

駐在員便り
シカゴ
日本では連日の酷暑、東北地方の一部では冷夏というニュースを見かけますが、当地に赴任し早
くも 1 年が経過した小職は、日本の夏の厳しさをやや忘れかけております。ここイリノイ州シカゴ
では、例年に比べ雨量も多く気温も穏やかです。昨年の高温・少雨による干ばつの影響も少なくな
っているのではないかと、弊所の農業担当者に話を聞くと、実はコーンベルトと呼ばれる中西部各
州(アイオワ、ネブラスカ、ミネソタ等)では、未だに干ばつが続いているようです。また、地下
水位が低下したままだと、トウモロコシは春先に地表に降った雨で発芽はするものの、根っこから
水分補給がしにくい状態であるため、成育に影響が出てくる可能性があるそうです。生産高は穀物
価格に影響を及ぼし、アメリカのみならず世界中に関係してくるとなると、気候変動問題はグロー
バルにつながっている問題であると再認識させられます。
さて、7 月 4 日はアメリカの独立記念日です。1776 年にアメリカ独立宣言が公布されたことを記
念し、毎年 7 月 4 日に定められているアメリカ合衆国の祝日です。独立記念日には全米各地で様々
なイベントが開催され、大勢の参加者でどこもかしこも賑っているようです。また、今年は、7 月
4 日が木曜日であったため、翌日に休暇を取得し、四連休で家族旅行に出かける家庭も多かったよ
うです。
当地で初めて過ごす独立記念日ともあって、どのイベントに参加すべきか、事務所スタッフへの
聞き込み調査を行ったところ、子供がいる家族で過ごす王道は、パレード観戦と打ち上げ花火観覧
であるそうです。日本では、有名なイベントには人が大勢集まり過ぎて、子供連れでは危険な場合
もありますが、イリノイ州ではタウンシップ(町、村)単位で分散しており、そのような心配は無
いそうです。ウェブサイトで調べてみると、近所でも多くのイベントが開催されており、その中で
も規模が大きく人気がありそうなものを選び、午前中はバーリントンビレッジのパレードに、夕方
遅くにはアイタスカの花火大会に参加してみました。
パレードのルートはほぼ直進で、およそ半マイルの距離を様々な趣向を凝らした車やパフォーマ
ーがゆっくりと道を進んで行きます。退役軍人の方が乗ったリムジンを先頭に、楽器を演奏する学
生やチアガール、コスプレイヤー、企業の宣伝と、自由の国らしく何でも有りといった様相です。
某有名テーマパークのパレードとは比較になりませんが、それでも大盛り上がりです。また、パレ
ードの進行中、道の両側にいる観客目がけて、パフォーマーがおもむろにお菓子や景品を投げ与え
るため、子供たちはさらに大喜びです。我が子達も夢中になってキャンディやガムを拾い、紙袋に
集め入れておりました。敗戦後、進駐軍が子供たちにお菓子をばら撒くシーンを映画等で見ると「食
べ物を投げるなんて」と思ったこともありましたが、
「なるほど、これがアメリカの文化だな」と納
得する次第です。
一方、夜の花火大会は、小さな湖が近くにある公園で、夜の 9 時過ぎに開催されました。開始時
間が遅いのは、日が落ちる時間も遅くなっているためです。芝生の上にチェアーを置いたり、シー
トを敷いたりする家族連れやグループが多く、花火がいい方角で見ることができる場所は大勢の観
客で埋まっております。野外ライブとコラボレーションをしていたり、浴衣を着ている人がほぼい
ないことなどを除けば、ほぼ日本の花火大会と同様のスタイルです。日本に比べ、
「アメリカの花火
大会は若干もの足りない」という人もおりますが、私自身は決してそうは思えません。ところで、
花火大会が終わると、自宅の庭でも手持ち花火や打ち上げ花火をやりたくなるものですが、個人用
― 110 ―
の花火を売っているお店は見かけません。火災の原因になるのみならず、銃声と混同される治安上
の問題や、火薬を抽出されて爆弾製造の材料になる危険性があるといった理由から、いくつかの州
では規制されているそうです。そのような背景もあり、夏に日本に来るアメリカ人に、手持ち花火
を勧めると喜ばれるかもしれません。
パレードを待っている観客(左)、アイタスカ花火大会(右)
ジェトロ・シカゴ事務所
産業機械部
― 111 ―
川内 拓行