微分積分学および演習Ⅱ 演習問題 9 2016 年度後期 工学部・未来科学部 1 年 担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教) 演習課題 Exercises in class ※ ∗ 印の付いた問題は少し計算が大変な問題、∗∗ 印の付いた問題はチャレンジ問題です。 問題 9-1. (重積分の計算) 以下の 2 重積分について、 (a) 積分領域 D を xy 平面内に図示し、(b) 2 重積分の値を求めなさい。 ※ 余力があるならば 二通りの反復積分 で計算してみて、値が一致することを確認しよう。 (1) ∫ (2xy + x − 3y) dxdy, D = { (x, y) ∣ 1 ≤ x ≤ 3, 0 ≤ y ≤ 2 } D D = { (x.y) ∣ − (2) ∫ cos(x+y) dxdy, D D = { (x, y) ∣ 0 ≤ y ≤ −x2 + 1, x ≥ 0} (3) ∫ 2xy dxdy, D (4) ∫ D π π ≤ x ≤ 0, 0 ≤ y ≤ } 2 2 y dxdy, (1 + y 2 )2 D = { (x, y) ∣ x ≤ y ≤ √ x} D = { (x, y) ∣ x2 + y 2 ≤ 4, y ≥ 0} (5) ∫ x2 y dxdy, D (6) ∫ (x − 1) dxdy, D = { (x, y) ∣ y ≥ x, (x − 1)2 + y 2 ≤ 1 } D (7)∗ ∫ ex+y dxdy, D = { (x, y) ∣ −2 ≤ x + y ≤ 2, −2 ≤ x − y ≤ 2 } D (8)∗ ∫ ye2x−y dxdy, D = {(x, y) ∣ −2 ≤ 2x − y ≤ 0, 0 ≤ y ≤ 2 } D 問題 9-2. (反復積分の順序交換) 以下の反復積分の (a) 積分領域 D を xy 平面内に図示し、(b) 積分領域の図を見ながら積分の順 序を交換しなさい。さらに積分値を求めなさい。 x=3 (1) ∫ x=0 ∫ y=1 x=2 (2) ∫ xy dydx x=0 y=0 y=e (4) ∫ y= 31 x x=log y ∫ y=4 ∫ y=2x (5) ∫ x dxdy x=0 x=1 (2x − 3y) dydx √ y= x−1 x=4 y=3 ∫ √ y=− x−1 (3) ∫ x= √ ∫ y=−3 x=0 x=1 x dydx 1 + y2 (6) ∫ x=0 y=1 ∫ √ y= x 9−y 2√ 9 − x2 dxdy √ y y 4 + 4 dydx 問題 9-3. (反復積分の順序交換が成り立たない例)∗∗ 2 変数関数 x−y ⎧ ⎪ ⎪ ⎪ (x + y)3 f (x, y) = ⎨ ⎪ ⎪ ⎪ ⎩0 を考える。反復積分 ∫ y=1 y=0 x=1 ∫ x=0 (x, y) ≠ (0, 0) のとき, (x, y) = (0, 0) のとき f (x, y) dxdy および ∫ 一致しない ことを確認しなさい。 x=1 x=0 y=1 ∫ y=0 f (x, y) dydx を計算し、その値が ※ f (x, y) は (0, 0) で 連続でない ことに注意しよう。 【解答】 問題 9-2. x=3 (1) 反復積分 ∫ ∫ x=0 y= 13 x y xy dydx は、右図の領域 D 上の重 y=0 積分 ∫ xy dxdy を 最初に y 軸方向(青色の線)上積分 し D 1 y てから x で積分したものである。したがって 最初に x 軸 方向(赤色の線)上積分する と y= 31 x x=3 ∫ x=0 ∫ xy dydx = ∫ y=1 =∫ y=0 D x x = 3y O x=3 ∫ y=0 y=0 = y=1 x=3 1 y= x 3 3 x xy dxdy x=3y x=3 y=1 9 9 1 dy = ∫ ( y − y 3 ) dy [ x2 y] 2 2 2 y=0 x=3y 9 1 2 1 4 y=1 9 [ y − y ] = 2 2 4 8 y=0 となる。 (2) 反復積分 ∫ x=2 y=4 ∫ x=0 y=2x y (2x − 3y) dydx は、右図の領域 D 上の重積分 4 ∫ (2x − 3y) dxdy を 最初に y 軸方向(青色の線)上積分 してから D x で積分したものである。したがって 最初に x 軸方向(赤色の線) ∫ x=0 y=4 ∫ (2x − 3y) dydx = ∫ y=2x y=4 =∫ x= 21 y y=4 y=0 x= 1 y ∫ x=0 y=4 [x2 − 3xy]x=02 dy = ∫ y=0 y=0 D (2x − 3y) dxdy 1 3 ( y 2 − y 2 ) dy 4 2 O y=4 80 5 1 = − = − [ y3 ] 4 3 3 y=0 となる。 (3) 反復積分 ∫ y = 2x y 上積分する と x=2 y=4 y=3 y=−3 x= √ 9−y 2 ∫ x=0 領域 D 上の重積分 ∫ √ D √ 方向(赤色の線)上積分 してから y で積分したもの y= √ 3 9 − x2 y である。したがって 最初に y 軸方向(青色の線)上 x= 積分する と y=3 ∫ x= √ 9−y 2 ∫ y=−3 x=0 √ √ y= 9−x2 =∫ ∫ √ 2 y=− 9−x x=0 x=3 =∫ x=3 x=0 x=3 =∫ x=0 となる。 O 9 − x2 dxdy √ x √ y= [ 9 − x2 y] √ 9−x2 √ y=− 9−x2 2(9 − x2 ) dx = 36 dx √ y = − 9 − x2 −3 √ 9 − y2 3 D 9 − x2 dxdy x y 9 − x2 dxdy は、右図の 9 − x2 dxdy を 最初に x 軸 x 1 2 x= y 2 x y=e x=log y (4) 反 復 積 分 ∫y=1 ∫x=0 y x = log y x dxdy は 、右 図 の 領 域 D 上 の 重 積 分 e ∫ x dxdy を 最初に x 軸方向(赤色の線)上積分 してから y で積 D 分したものである。したがって 最初に y 軸方向(青色の線)上積 y y = ex 分する と y=e ∫ x=log y ∫ y=1 x=0 x=1 =∫ x=0 x dxdy = ∫ x=1 y=e ∫ x=0 y=e [xy]y=ex dx = ∫ x dxdy y=ex x=1 x=0 x=1 1 = [ ex2 − (xex − ex )] 2 x=0 となる。 O x ( 部分積分 ) = ∫ √ て 最初に x 軸方向(赤色の線)上積分する と √ y= x−1 x=4 ∫ x=1 ∫ √ y=− x−1 √ y= 3 =∫ √ y=− 3 [ √ x 1 e−1 2 x dydx は、右図の領域 D y=− x−1 1 + y 2 x=1 x 上の重積分 ∫ dxdy を 最初に y 軸方向(青色の D 1 + y2 線)上積分 してから x で積分したものである。したがっ (5) 反復積分 ∫ 1 (ex − xex ) dx √ y= x−1 x=4 y=e D √ y= 3 x=4 x x dydx = dxdy √ ∫ ∫ 2 2 1+y y=− 3 x=y +1 1 + y 2 √ y 3 y= y 1 O √ − 3 √ x − 1x = 4 D x x=y +1 √ y =− x−1 4 2 x x=4 1 x2 ] dy 2 1 + y 2 x=y2 +1 √ y= 3 √ 1 y= 3 1 1 3 16 16 2 = ∫ √ ( − (y + 1)) dy = [16Arctan y − y − y] π−2 3 √ = 2 2 y=− 3 1 + y 2 3 3 y=− 3 となる。 x=1 y=1 √ (6) 反復積分 ∫ ∫ √ y y 4 + 4 dydx は、右図の領域 D 上の重積 √ x=0 y= x 分 ∫ y y 4 + 1 dxdy を 最初に y 軸方向(青色の線)上積分 して D から x で積分したものである。したがって 最初に x 軸方向(赤色 の線)上積分する と x=1 ∫ x=0 y=1 ∫ √ y= x =∫ √ y y 4 + 4 dydx = ∫ y=1 y=0 t=2 x=y 2 y=1 y=0 ∫ x=0 √ x=y dy = ∫ [xy y 4 + 1] 2 x=0 y=1 y=0 y 1 y D x = y2 O x 1 √ y y 4 + 4 dxdy √ y 3 y 4 + 1 dy √ dy =∫ y 3 t 3 (t = y 4 + 1 で置換積分 ) t=1 4y t=2 1 2 3 1 √ = [ t 2 ] = (2 2 − 1) 4 3 6 t=1 となる。 反復積分がどんな積分領域での重積分を表しているかを正しく読みとろう!! √ y= x y=1 x 問題 9-3. 最初の方の反復積分を計算してみると、 y=1 ∫ y=0 x=1 ∫ x=0 f (x, y) dxdy = ∫ =∫ =∫ =∫ =∫ =[ y=1 x=1 ∫ y=0 x=0 y=1 y=0 y=1 y=0 y=1 y=0 y=1 y=0 x=1 ∫ x=0 (x + y) − 2y dxdy (x + y)3 { 2y 1 − } dxdy 2 (x + y) (x + y)3 x=1 1 y [− + ] dy x + y (x + y)2 x=0 (− 1 y 1 y + + − 2 ) dy 2 y + 1 (y + 1) y y (− y=1 1 (y + 1) − 1 1 + ) dy = (− ) dy ∫ 2 y+1 (y + 1) (y + 1)2 y=0 1 y=1 1 ] = − y + 1 y=0 2 となる。もう一方の反復積分を計算すると、 x=1 ∫ x=0 y=1 ∫ y=0 f (x, y) dydx = ∫ y=1 y=0 =∫ x=1 x=0 =∫ x=1 x=0 =∫ x=1 x=0 = [− x=0 x=1 x=0 =∫ x=1 ∫ y=1 ∫ y=0 −(x + y) + 2x dydx (x + y)3 {− 2x 1 + } dydx (x + y)2 (x + y)3 y=1 [ 1 x − ] dx x + y (x + y)2 y=0 ( x 1 x 1 − − + 2 ) dx 2 x + 1 (x + 1) x x ( x=1 1 (x + 1) − 1 1 − ) dx = dx ∫ 2 x+1 (x + 1) x=0 (x + 1)2 1 x=1 1 ] = x + 1 x=0 2 となる。特に f (x, y) に関しては 反復積分の順序を交換すると値が異なる ことが分かる。 x−y のグラフ。原点 (赤色の点) で発散し、y ≤ x では正の値を、y ≥ x では負の値をとる様子が観察出 (x + y)3 来る。特にこの関数は、積分領域 D = {(x, y) ∣ 0 ≤ x ≤ 1, 0 ≤ y ≤ 1} において原点で連続ではない。 関数 f (x, y) =
© Copyright 2024 ExpyDoc