1=2の解説

1=2の解説
この問題は証明 1 と証明 2 について考えていただくのが趣旨となります。
証明 3 と証明 4 については見るからに間違いで、洒落・パロディーの類ですから一休さんのと
んちのようなものとお考えください。
【証明  】
文字式を利用した証明(中  内容)
とする…①
この両辺に を足すと
両辺から
…②
を引くと
…③
…④
両辺を
でわると
…⑤
両辺を入れ替えると
(証明終わり)
【解説 】
この証明では、③~⑤の間に誤りがあります。
最初に①で
と定義しているので、 と は同じ値です。
ということは③の左辺を見ると、 から同じ値を引いていることになるため、結果は となります。
右辺も同様に から同じ値を引いているので です。
つまり、③と④は両辺ともに という状態で、
となります。
この時点で
とはならないため証明は誤りと言うことができるのですが、なぜここから
になるのか
を説明するためもう少し進めてみます。
④の式のカッコ内だけ計算すると、 と は同じ値ですからカッコ内は引き算した結果 となるので、
と表すことができます。
問題はその次で、「両辺を
でわると」とあります。
これは両辺 を でわろうとしており、この場合代数学的には「解なし」あるいは「定義していない」
「存在しない」 が答えとなるのですが、それを
という間違った値を出してしまっているためおか
しな結果が出るわけです。
この誤りを式に表すと、
の両辺を  でわると
となり
としているので、無茶苦茶であることがわかります。
方程式のルールでは、
の両辺を でわると
で合っています。 を でわると  になります。
しかし を でわった場合、  とはならないんですね。
詳しくは高校の数学Ⅲ極限のところで学習します。
【証明  】
文字式を利用した証明(中  内容)
とする…①
この両辺に をかけると
…②
両辺から を引くと
…③
因数分解すると
…④
両辺を
①より
でわると
…⑤
であるから、 に を代入すると
…⑥
両辺を でわると
…⑦
両辺を入れ替えると
(証明終わり)
【解説 】
この場合も証明  と同様、 を でわって としていることが誤りとなり、間違いである理由は証明 1
と同じになります。
謝りの箇所は④~⑤にかけての部分です。
【証明  】
ことわざを利用した証明
五十歩百歩ということわざがある。
五十歩も百歩も大差はないということから、
「どっちも一緒や」という意味で使われる。
これを式に表すと
五十歩=百歩
両辺を五十歩でわると
(証明終わり)
【解説 】
この証明では、ことわざの意味を過大解釈しているところに誤りがあります。
五十歩も百歩も大差はないというのはいいのですが、だからと言って大差がないことと等しいことは違い
ます。
よって 五十歩=百歩 が誤りとなります。
【証明  】
映画『君の名は。』を利用した証明
この映画に口噛み酒というお酒が出てくる。
作中ではこの口噛み酒が
「三葉(みつは、主人公)の一等大事なもの。
三葉の半分」とされている。
口噛み酒は三葉の半分であるから
口噛み酒=三葉  
=
(にぶんのみつは)
三葉は口噛み酒を量産できるから、  つ用意すると
三葉=

三葉=六葉
両辺を三葉でわると
(証明終わり)
【解説 】
この証明は「口噛み酒は三つ葉の一等大事なもの。三葉の半分」を、
口噛み酒は三葉の半分であるから
口噛み酒=三葉  
としているところに無理があります。
日本語を式に直訳すればそう解釈できないこともないですが、あくまで比喩ですから、そのまま式にして
いいものではありません。
また量産できるからといって口噛み酒を  つ用意したら六葉になるのはおかしな話で、酒が人になるのか
という疑問が生じます。
のみならず、六葉という人物は作中に出てきません。
誰だそれ。
よってこの証明は誤りと言えます。