カナダのインフラ投資について

2016年12月1日
カナダのインフラ投資について
No.11
カナダの新首相(ジャスティン・トルドー)が就任してから約1年が経過します。
新政府はインフラ投資などを強化し雇用を創出する方針を打ち出していました
が、インフラ投資の動向について教えて。
カナダは2016年3月に「ミドルクラス(中間層)の成長に向けて」と題された予算案を新政府の元で発表し、
その取組の半期報告が今年11月初めに行われました。
政府は3月の予算案発表時に、「力強い経済は力強いミドルクラスから始まる」とし、経済成長に向けた土台
作りとして、雇用創出などを最重要事項として挙げました。当初案では、公共交通機関、上下水道、手ごろな
価格の住宅の提供、などに総額119億カナダドル(約9,300億円*)を投資するとしました。ただし、同年11月初
旬に発表された経済報告書では、2027年度までに公共交通機関、気候変動への取組、貿易支援等へ810億
カナダドル(約6.3兆円*)の追加予算を計上すると発表しました。その結果、2016年度から2027年度までの
インフラ投資総額は1,800億カナダドル(約14兆円*)以上となりました。また、政府はインフラ投資への支援を
加速するため資産規模が350億カナダドル(約2.7兆円*)超のインフラ投資銀行を新たに設立する計画を発表
しました。
【2016年11月の半期報告のインフラ投資概要】
①公共交通機関:11年間で総額253億カナダドル(約2兆円*)。公共交通機関を整備する事で、生活(居住、
仕事)を快適にし都市活動の利便性を高める。
②グリーン・インフラへの取組み:11年間で総額219億カナダドル(約1.7兆円*)。安全な空気・水の提供、
洪水や山火事防止のための投資。
③貿易支援への取組:11年間で総額101億カナダ
ドル(約7,900億円*)。カナダの貿易強化への取組。
例えばカナダの北部の交通網の整備。
(億カナダドル)
<カナダのインフラ投資予定額推移>
(2016年度~2027年度)
200
2016年度の当初予算
の760プロジェクトが既
に資金調達承認済
み。65%が予定通り。
180
160
140
④社会保障支援:11年間で総額219億カナダドル
(約1.7兆円*)。手ごろな住宅、ホームレス防止、早期 120
100
教育支援、子供手当ての拡大、ミドルクラスの生活
80
環境改善への取組を拡大。
60
⑤地方(北部)地域支援:11年間で総額20億カナダ
40
ドル(約1,600億円*)。道路やインターネット、再生可
20
能エネルギーなどの整備。
0
2016年秋追加予算
既存インフラ投資
2016年当初予算
16年度
19年度
22年度
25年度
* 2016年10月末現在の為替で円換算
出所:カナダ政府、ブルームバーグの各種資料をもとにマニュライフ・アセット・マネジメントが作成
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