便性状評価としてのスティックテストの有用性に関する検討

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便性状評価としてのスティックテストの有用性に関する検討
◎野村 勇介 1)、原 祐樹 1)、白木 涼 1)、山田 直輝 1)、浅井 幸江 1)、川島 誠 1)、安土 みゆき 1)、
伊藤 守 1)
名古屋第二赤十字病院 1)
【背景および目的】
前者が 15.7%、後者は 16.0%であった。
Clostridium difficile(以下、CD)は、抗菌薬関連
下痢症や偽膜性腸炎の原因菌として知られて
【考察】
いる。CD は医療従事者や患者の手指を介して
明らかな下痢便や固形便では、従来法でも一
伝搬するため院内感染対策においても重要な
致率が高かったが、軟便では技師間で評価が
菌である。
分かれる結果となった。これは、主観的評価
CD の検査については、糞便が検査材料として
に起因するものであると考えられた。一方、
使用されるが、有形便に対して検査する意義
ST による性状評価では高い一致率が得られ、
は低いとされている。当院検査室では、Bristol
技師間による結果のばらつきがなかった。ま
Stool Chart(1~7段階の性状)を用いて便の
た、CD 抗原および CD Toxin の陽性率を比較
性状を評価する方法を用いていたが、検査者
すると、ST 陽性検体では従来法とほぼ同等の
によって誤差が生じ、客観性に乏しいという
成績が得られた。このことから、糞便性状の
問題があった。そこで、従来法に置き換わる
客観的評価法として ST が有用である可能性が
客観的な便性状評価方法としてスティックテ
示唆された。しかし、ST 陰性であるが CD 抗
スト(以下、ST)の有用性について検討した
原および CD Toxin が陽性となる場合もあり、
ので報告する。
患者背景について検証を進めている。
【方法】
連絡先 0528321121(内線番号 13609)
2015 年 6 月から 10 月までに当院検査室に
CD 検査目的で提出された 229 検体を対象とし、
従来法と ST での便性状評価を検査技師 3 名で
行い記録した。なお、スティックテストとは、
便に綿棒を約 2㎝差し込み、倒れれば陽性と判
定する非常に簡便な評価方法である。
【結果】
従来法による便性状評価で 3 名の技師ともに
性状評価が一致した割合は 26.3%、2 名の技師
で一致した割合は 57.9%、3 名とも一致しなか
った割合は 15.8%であった。ST による評価に
関してはすべて一致した。ST 陽性となった便
の性状の平均スコアは 5.96 であった。そこで、
性状スコアが 6 以上の便と ST 陽性の便の
CD 抗原および CD Toxin 陽性率を比較すると