法学部 140 回講演会 2016 年 11 月 15 日 コーポレート・ガバナンスと民主主義 ―判例にあらわれる意思決定システムの調整― 法学部教授 土田 亮 株式会社における意思決定は、他の組織と同じように多数決によっておこなわれますが、 株主総会の決議については、各株主はその保有する株式1株につき1議決権を有すること とされており(会社法 308 条1項) 、いわゆる資本多数決の原理が採り入れられています。 もともと、多数決という決定方法には様々な弊害がありますが、最大の弊害は、少数派の 意見が原理的にみて反映されない(少なくともかなり反映されにくい)という点にあります。 仮に少数派の意見がまったく圧殺されることになれば、おそらく少数派は会社から離脱す るか、あるいはそもそもそのような会社の株主になることを選択しないことになりますが、 これは会社制度の基本的な存在意義を揺るがす事態となります。 そこで今回の講演においては、会社の意思決定において少数派の意見をくみ上げるため に(あるいは、少数派が意見をくみ上げてもらえると感じるようにするために)、会社法、 あるいは判例・学説がどのような仕組み、工夫を用意しているのかをお話しするとともに、 その根底にある、 「民主的な意思決定プロセス」というものについて考えてみたいと思いま す。
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