「こんなまちに住みたい」論文募集 優秀作品

BRI−H14 講演会テキスト
「こんなまちに住みたい」論文募集 優秀作品
研究総括監
Ⅰ はじめに
坊垣 和明
及び
研究主幹6名
Ⅳ 応募者の属性と審査結果
高度情報化技術の普及そしてこれを支える情報インフラ
応募いただいた論文の数は40編であり、決して多くは
の整備−私たちを取り巻く生活環境は電子情報技術の普
ありませんでしたが、熱心な思いの伝わる興味深い論文を
及・整備により、大きく変わろうとしています。この変化
お寄せいただいたと思います。応募者の方々の属性を字頁
にあわせて、私たちが生活する“まち”もその姿を変える
の図1∼図5,表1、2に示しています。 そして厳正な
必要があります。しかし現状は “まち”をめぐる課題や解
る審査の結果、下記の論文を優秀賞に選定いたしました。
決しなければならない問題が山積しているのも事実です。
国土交通大臣賞
私たちは、21世紀の真に良いまちや住まいの実現に向け
て、これらの課題の解消に努める必要があると考えます。
まちや住まいの主役は「住まい手」であり、理想のまち
の実現に向けて様々の問題を解決していくためには、住ま
い手の要求や理想の姿への思いを十分に把握することが不
可欠だと思われます。そこで広く一般の方々を対象として、
論文を募集することと致しました。
その結果、
“まち“について、
『こんなまちに住みたい』
のタイトルのもとに、皆様のご意見をお聞きすることがで
きました。このポスターセッションでは、論文募集の内容
と優秀作品3点を展示しております。ご応募いただいた
方々の思いの一端をお伝えできれば幸いです。
Ⅱ 論文募集の趣旨
論文募集の趣旨
大都市とその近郊で大幅に増加する高年人口、大きく変
小場瀬 令二 「コミュ事」のある街
住宅生産団体連合会会長賞
大野 拓也
地域に住み続けられるために
建築研究所理事長賞
宇賀 亮介
どこにでも座り込めるまち
優秀賞
中村 琢巳 老若男女の分業による地場産業が活きるまち
鎌田 康嗣 21 世紀の暮らしを支える、まちの再生と住まいの
あり方を考える
森永 智年 地域住民と共にあるコレクティブハウスの提案
Ⅴ 終わりに
村上周三審査委員長(慶応大学教授)の講評を示し、本
稿を閉じることとします。末尾ながら、論文をご投稿いた
だきました方々をはじめ、審査委員の皆様そして後援をい
ただきました機関・団体ほか、ご支援・ご協力を賜りまし
た皆様に、深く御礼申し上げます。
わる家族のかたち、活気を失った商店街、渋滞や過密、狭
講評−「まち」という今回の論文コンペのテーマは、前回
小宅地開発、などなど、大都市、地方を問わず、まちをめ
の「家」というテーマに比べ、論文をまとめるのが難しか
ぐる課題にはことかかないのが実態です。
ったようである。
「家」に比べると既存のものとは異なる新
だからこそ、いま、これからのまちのあり方を考える必
要があると思います。時代や世代を超えて安心していきい
きと暮らせるまち、過去から受けついできた魅力を承継・
しい街の形や都市システムをイメージするのが難しく、内
容に具体性を持たせて論文を構成するのが困難であったよ
うである。また、
「こんなまちに住みたい」というテーマ設
定により、結果的に日常生活を中心とした「住みやすさ」
発展させるまち、
地球環境の時代にふさわしいまち、
など、
という側面に視点を向けさせることになり、老人問題など
さまざまな理想のまちの姿をえがくことができるでしょう。
に内容が集中する傾向もみられた。そのような困難の中で、
20∼30年後のあなたが住みたい理想のまちを自由な
今回数多くの優秀な作品に接することができたことは大き
発想で描いてください。また、それを実現するためにはど
な喜びであった。選ばれたものいずれも、コミュニティ活
うしたらよいかを考えてください。
Ⅲ 募集要領
動、空き住宅管理、地場産業、独居老人等のユニークなキ
ーワードを駆使して、今後の“まち”のあるべき姿、方向
日本語で2000字以内の未発表の論文を募集いたしま
をさまざまの視点から具体的に示しており、建築・都市の
す。補足説明として、A4サイズの用紙1枚の絵や図によ
関係者に大きな示唆を与えている。これらの貴重な提案が
る表現を追加してもかまいません。
今後の都市行政、住宅行政に生かされることを期待する次
第である。
平成14年度建築研究所懸賞論文募集「こんなまちに住みたい」
応募者属性(応募数40名)
東京都
石川県
千葉県
女
男
大阪府
茨城県
福岡県
兵庫県
山形県
図4 応募者の男女比
率
宮城県
北海道
不明
会社員
学生
教育・研究
建築関係
公務員
自営業
福井県
広島県
長崎県
栃木県
埼玉県
神奈川県
愛知県
0
2
4
6
8
10
図1 応募者の都道府県別(職業別)構成
12
人数
表1 応募者の住居形態
借家
持ち家
一戸建て 集合住宅
2
13
14
9
~20
21~25
年齢(才)
26~30
31~35
表2 応募者の居住地の特性
不明
会社員
学生
教育・研究
建築関係
公務員
自営業
36~40
41~45
46~50
51~55
56~60
大都市
地方都市
都心
7
5
郊外
13
14
61~65
0
2
4
6
8
10
12
人数
図2 応募者の年齢別(職業別)構成
1~5年
6~10
11~15
不明
会社員
学生
教育・研究
建築関係
公務員
自営業
16~20
21~25
26~30
31~40
41~50
50年以上
不明
0
5
10
図3 住み始めてからの年数
15
20
人数
図5 応募者の職業