現代ファイナンス論 - 宿題 No.1 (解答例)

現代ファイナンス論 - 宿題 No.1
(解答例)
蛭川雅之
2016 年 10 月 31 日
エクセル・ファイル“hw1 finance 2016.xls”を適宜参照せよ。
問題1
(1)
永久債 A の現在価値は永続価値の公式から求められることを利用し、
P VA =
C
360 万円
=
= 2.4(億円)
r
0.015
を得る。
(2)
永久債 B の 10 年後の将来価値が (1) で求めた永久債 A の現在価値に等しいことを利用
すると、永久債 B の現在価値は
P VB =
P VA
2.4 億円
≈ 206, 800, 136(円)
10 =
(1 + r)
(1 + 0.015)10
と求められる。
(3)
1 年後から 10 年後の各年末に 360 万円が支払われる年金のキャッシュ・フローは、永久
債 A のキャッシュ・フローから永久債 B のキャッシュ・フローを取り除いたものに一致する。
従って、この年金の現在価値は
P VA − P VB = 240, 000, 000 − 206, 800, 136 = 33, 199, 864(円)
となる。勿論、この数値は年金現価の公式から得られるものとも一致する。¥
問題2
成長永続価値の公式から、この土地の現在価値は
PV =
C
1, 250 万円
=
= 5(億円)
r−g
0.0375 − 0.0125
と求められる。¥
1
問題3
エクセルを利用することにより、下表のような結果を得る。なお、括弧内の数値は基準値
(=割引率 2.50%、期間 20 年の場合の年金現価)からの変化を表す。想定される通り、割引
率の上昇(下落)は年金現価の下落(上昇)を引き起こし、一方、期間の延長(短縮)は年
金現価の上昇(下落)という結果となる。¥
(単位:円)
期間 T
(年)
19
20
21
1.75%
∗
41, 882, 203 (+1, 972, 922)
∗
割引率 r
2.25%
38, 307, 240
39, 909, 281
41, 476, 069
(−1, 602, 041)
(−)
(+1, 566, 788)
2.75%
∗
38, 068, 130 (−1, 841, 151)
∗
問題4
(1)
エクセルを利用すると、このプロジェクトの NPV は −122.56 と求められる。NPV が
負値であるから、このプロジェクトに投資すべきではない。
(2)
エクセルを利用すると、このプロジェクトの IRR は 4.72% と求められる。IRR が割引
率 6% を下回っているため、やはりこのプロジェクトに投資すべきではない。¥
問題5
エクセルを利用することにより、下表のような結果を得る。それぞれの IRR は割引率 3%
を上回っており、単純に IRR のみを比較すると、プロジェクト A に分があるように見える。
しかし、NPV による順位付けでは、全く逆の結果が出る。このような場合、企業の価値を高
めるプロジェクトを採用する観点から、NPV がより大きいプロジェクト B に投資すべきで
ある。¥
Project A
Project B
NPV
17.93
21.51
IRR
5.65%
5.49%
問題6
エクセルの関数“IRR”を利用する限り、IRR = 8.11% しか得ることができない。実際には、
割引率を横軸、対応する NPV を縦軸にとってグラフを描いてみるとわかる(図1参照)よう
2
に、このプロジェクトの IRR は 2 つ存在する。エクセルのソルバー機能を利用すると、(初
期値を変化させることにより)IRR = 8.11% 以外に IRR = 14.03% が求められる。¥
図1:割引率と NPV との関係
問題7
(1)
期間(もしくは耐用年数)が異なるプロジェクトの経済性を比較する場合、各プロジェ
クトの年金等価額を比較する。エクセルを利用すると、トラック A の年金等価額は 72.18 万
円、一方、トラック B の年金等価額は 73.88 万円とわかる。従って、トラック B を購入する
方が経済的に有利である。
(2)
エクセル・ファイル“ln02.xls”のシート名“均等返済”で、期間を“36”、割引率を“0.3%”、
借入元本を“3, 500, 000”と入力することにより、月次返済額 102, 712 円を得る。¥
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