東京都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会(中間のまとめ)について 東京都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会 (1)設置目的 都内公立学校における「教育の質の向上」に向けた多様な人材の在 り方及び校長・副校長を中心とする、多様な人材を活用した学校組織 運営の在り方について検討する。 (2)委員 学識経験者3名、学校関係者3名 (3)設置期間 平成28年6月1日から平成29年3月31日まで これまで5回の委員会を実施、平成29年1月を目途に最終報告(予定) 中間のまとめのポイント 1.「チームとしての学校」が求められる背景 多様化する教育課題 ○ ○ 国の動き 新しい時代に求められる資質・能力を育むための教育の実現 「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(平成27年 いじめ・不登校や貧困対策等複雑化・多様化した課題への対応 12月21日中央教育審議会答申) チーム学校とは、校長のリーダーシップの下、多様な人材が、それ ぞれの専門性を生かして能力を発揮し、一体的にマネジメントされ、 子供たちに必要な資質・能力を身に付けさせることができる学校 教員の労働実態 「次世代の学校・地域」創生プラン(平成28年1月25日文部科学大臣決定) ○ 国際的に見ても長時間にわたる教員の労働実態 OECD国際教員指導環境調査(TALIS) 週当たりの勤務時間の合計 日本53.9時間、参加国平均38.3時間 ○ 「社会に開かれた教育課程」の実現のため、国は「次世代の学校」 づくりを推進 ○ 「次世代の学校」づくりに向けて、チーム学校の体制を整備 2.目指すべき「チーム学校」像 ○ これまでは、教員の子供に対する熱意と研修や能力開発により、そ れぞれが専門以外の知識・技術を身に付けて「多能化」することで、 子供をめぐる教育課題の解決を図ってきた。 ○ 子供をめぐる課題が複雑化・多様化していくことに伴い、教員の 「多能化」には限界が生じ、授業や学習活動に費やす時間が十分に 確保できない状況となっている。 ○ 「チームとしての学校」は、これまでの教員を中心とした学校組織 から、教職員が多様な専門家と連携・協働しながら対応していく新し い学校観への転換である。 ○ そのため、校長・副校長には多様な人材をマネジメントする力、教 職員には多様な人材と協働して課題に対応する力、多様な人材には チームの一員として能動的に活動する意識を備えることが期待される。 3.東京都における公立学校の現状と課題 (1)公立学校の教員の働き方の状況 (2)専門人材の導入とその活用状況 ①教員の勤務実態 ○ 複雑化・困難化する課題の解決のためにスクールカウンセラー・ス ○ 教員が様々な事務作業や生活指導に追われ、勤務時間内に授業準備の クールソーシャルワーカー等の様々な専門性を有する人材を活用 時間を十分に確保できない状況 ○ 専門人材によるより質の高い児童・生徒への支援や教員と専門人材と ○ 中学校においては、部活動の顧問に伴う時間的・精神的負担が大きい。 の関係性の構築が課題 ②教育管理職の勤務実態 ○ 校長・副校長には事故対応や生徒対応のための負担が集中 (3)地域との連携 ○ 特に副校長に業務が集中しており、長時間勤務が常態化 ○ 小・中学校におけるコミュニティ・スクールの導入は、これまでのよ ○ 本来、多くの時間を掛けるべき教員の指導・育成や教育内容への指 うな一律的な取組では円滑に進まない状況 導・助言に十分な時間を当てられていない。 ○ 学校と地域との協働・連携について、教員に関心を持たせることが課題 ③教育管理職の確保状況 ○ 地域側も地域の組織を取りまとめできるコーディネーター等の確保が ○ 東京都における教育管理職選考の受験倍率は低倍率 課題 ○ 副校長の多忙感等により、管理職が一般教員にとって魅力あるものと なっていない。 4.チーム学校の実現に向けて速やかに取り組むべき事項 (1)「教員の多能化による組織運営」から「多様な人材との協働による組織運営」へ ○ チーム学校の実現に当たっては、「教員の多能化」から「多様な人材と の協働」による組織運営の転換が不可欠である。 ○ そのためには、校長・副校長や主幹教諭に対して、これからの学校運営 に求められる新たなマネジメント力の育成が必要である。 (2)学校マネジメントの強化 ○ 副校長の校務を支援する人材を新たに配置、副校長がその本来の役割に 注力できる環境の整備が必要である。 ○ 副校長の業務の直接的な支援人材の配置と「経営支援部」の設置を学校 マネジメントの強化策として位置付けるべきである。 (3)学校事務の共同実施の推進と学校事務職員の専門性の向上 ○ 小・中学校において学校事務の質の向上、効率化を進めるためには、共 同実施が効果的であり、推進のための課題解決について検討が必要である。 (4)教員と専門人材の役割分担と連携の在り方 ○ スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの学校内の位置付 けについて、国の法整備の状況を見ながら、検討すべきである。 ○ 中学校では部活動指導に係る顧問教諭の時間的、心理的負担が大きく なっており、外部指導員などを活用し教員の負担を軽減すべきである。 ○ 全国大会や都大会への大会引率や審判員の要請など、中体連や高体連 との調整が必要な事項について、都として働き掛けをし、改善を進める 必要がある。 (5)地域との連携による学校教育の充実 ○ 地域社会をチーム学校の構成員と位置付け、より一層連携・協働して いくことが必要である。 ○ 区市町村が行う地域における「コーディネーター」の育成支援や、学 校における地域の窓口となる人材の育成を行うべきである。
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