16/10/25 炎症(含む感染症)・腫瘍・内膜症 • 感染症(外陰炎、頸管炎、内膜炎、卵管炎) – 細菌・原虫感染症:梅毒・淋菌・クラミジア・トリコモ ナス – ウイルス:ヘルペス・ヒト乳頭腫(HPV) 子宮・膣・外陰 • 腫瘍 – – – – – – 尖圭コンジローマ パジェット病 扁平上皮癌(子宮頸部) 腺癌(子宮頸部・体部) 平滑筋腫 肉腫(平滑筋肉腫・間質肉腫) • 腫瘍類似病変 – 頸管ポリープ – 内膜ポリープ • 子宮内膜症(腺筋症を含む) 外陰炎 • 皮膚と粘膜 • 外部刺激を受けやすい – 接触性刺激性皮膚炎(尿・石鹸・洗剤・抗菌剤・防 臭剤) – 接触性アレルギー性皮膚炎(香水・クリーム・ロー ション・石鹸・下着) – 感染性(性交関連:ヒトパピローマウイルス HPV・ヘ ルペスウイルス・淋病・梅毒・カンジダ) – 原因不明(硬化性萎縮性苔癬) 尖圭コンジローマ(Condylomaacuminatum) • 重層扁平上皮へのヒト乳頭腫 ウイルス感染症(90%以上が HPV6or11) • 重層扁平上皮の乳頭状増殖 • 多発することが多い 特殊な外陰炎 • 硬化性(萎縮性)苔癬(Lichensclerosus etatrophicus) – 光沢性のみられる白色斑 – 閉経後の女性(クリトリス周囲・陰唇・肛門周 囲)に多い – 原因不明(自己免疫が疑われている:家族 内発症率、自己免疫疾患合併率) – Tリンパ球が上皮直下に多数浸潤 – 扁平上皮癌を合併することがある パジェット病(乳房外) ExtramammaryPagetdisease • 表皮(重層扁平上皮)内で 増殖する腫瘍 • 表皮内汗管細胞の腫瘍化 • 腺癌の一種(粘液・腺管) • 表皮内に増殖している間 は隆起や潰瘍をきたしにく いので、皮膚炎様にみえる • 年余に(時に10年以上)経 過すると真皮内浸潤をきた す(通常の浸潤癌と同じ) 1 16/10/25 頸管炎 • • • • • 子宮頸部腫瘍 細菌性 クラミジア ウレアプラズマ トリコモナス ヘルペスウイルス ヒトパピローマウイルス(HPV) • 乳頭腫と呼ばれるイボ を形成する二本鎖DNA ウイルス • ヒトに感染するHPVは 100種類以上 • 生殖器で報告されてい るものは40 l 若年~中年の多くがHPV感染は一過性(細胞診での報告) l 時に間欠的に検出(同時あるいは異時性に複数のタイプ検出) l E6、E7はホストのp53、Rbタンパクに結合して不活化する 2 16/10/25 HPVinfecKon G0 E6 E2F p53 E7 Rb p21・p27 CyclinE/CDK2 G1 M CELLCYCLE S G2 ProgressiontoCIN Invasivecancer 3段階分類から2段階分類へ 正常の頸部重層扁平上皮子宮頸部重層扁平上皮内腫瘍 (CIN:CervicalIntraepithelial Neoplasia) (SIL:SquamousIntraepithelial Lesion) 異形成(dysplasia) 低異型度 重層扁平上皮内病変 (LowSIL) 高異型度 重層扁平上皮内病変 (HighSIL) 3 16/10/25 LSIL 臨床医は経過観察 VS治療という二つの選択肢しかない Lesion Regress LSIL(CIN1) 60% HSIL(CIN2/3) 30% Persist 30% 60% Progress 10% 10% HSIL Squamouscellcarcinoma,keraKnizingtype Squamouscellcarcinoma, non-keraKnizingtype 扁平上皮癌 多いのはHPV16,18,31,33,35,45,52,58 現在の頸がんワクチンの対象は16と18のみ 16,18で全体の6割、黄色を加えると85% 4 16/10/25 現状の問題点 上皮内頸部腺癌 Adenocarcinomainsitu(AIS) • 頸がんワクチンの効果が何年持続するかは不明 • 同じCINでも自然消失するグループと進行するグ ループを区別できない 形態学的観察とHPVテスト以外のマーカーが必要! AIS AIS(Adenocarcinomainsitu) HPV18が多い 特徴的なコルポスコピー所見がないため、臨床診断が難しい 近年、増加傾向 不正出血とは? 月経時以外に見られる出血 月経と関係なく見られる出血 不規則に発来する出血(月経?) 過多月経 通常よりも明らかに長い月経 経血量の異常な多さ(長く続く場合も) 不正性器出血の原因 • 機能的原因による出血 – 排卵に関与する様々なホルモンの分泌異常 • 卵巣の働きが不安定 – 初潮前後や閉経前後に多い • 間脳や脳下垂体、副腎、甲状腺の機能異常 これらはホルモンを分泌する側の異常 エストロゲン>>プロゲステロン 5 16/10/25 不正性器出血の原因 • 器質的原因による出血 – 頸管ポリープや子宮頚部びらん • 出血は少量で、性交時に多い – 子宮内膜ポリープや増殖症、粘膜下筋腫 • 月経終了後に引き続き見られることが多い – 子宮頸癌や内膜癌 • 頚癌は進行してから見られることが多いが、内膜癌は 初期から出血しやすい 頚部は機械的な刺激 / びらんによる出血 内膜はホルモンを受ける側の異常 体癌検診の対象者における不正出血の原因 • 40歳未満 – – – – 妊娠(不全流産) 機能性 ポリープ、筋腫、内膜炎 無排卵性月経 • 40-50歳 – 無排卵性月経 – ポリープ、筋腫、内膜炎 – 増殖症、癌 • 50歳以上 – – – – 萎縮 ホルモン剤投与 ポリープ、筋腫、内膜炎 増殖症、癌 不正出血の機序 • エストロゲンの持続刺激 • 無排卵性月経、増殖症、癌 • 内膜腺におけるホルモン感受性の不均一さ • ポリープ、筋腫、内膜炎、(増殖症、癌) • 萎縮 プロゲステロン作用(腺管上皮の増殖抑制・間質の血管増殖・ 間質細胞の成熟分化)不足による腺管の嚢胞状変化 内膜増殖症(過形成) • 内膜の前癌状態 • エストロゲン過剰分泌状態が誘因 – 卵巣多嚢疱症候群(polycysKcovarysyndrome) – 顆粒膜細胞腫 – 肥満 • 異型を伴うものは高率に類内膜癌に移行 (20-50%) • 過形成と呼ばれているが、腫瘍化したものを含 むと考えられている 内膜増殖症(過形成) • 形態的な定義は、腺管密度の増加(腺管:間質 =2:1~3:1) 単純 異型なし 複雑 異型あり • すでに癌抑制遺伝子PTENの不活化が起きてお り、PI3K/AKT経路異常をきたすことが知られてい る 6 16/10/25 内膜増殖症(過形成) 正常増殖期内膜 細胞異型とは? 内膜増殖症 異型増殖症(過形成) 異型増殖症 VS類内膜癌 子宮体癌 • 増加傾向 • 多くが類内膜癌(I型)だが、高齢者では漿液 性腺癌や明細胞性腺癌(II型)が多くなる • 類内膜癌 – 増殖症を伴うことが多い – 閉経前後から増加(40代~60代に多い) • 漿液性腺癌・明細胞性腺癌 – 萎縮内膜やポリープを伴うことが多い 7 16/10/25 類内膜癌の診断基準 類内膜癌 組織上の特徴 • 腫瘍腺管間の間質消 失(back-to-back) • 正常の内膜に類似する 腫瘍腺管増殖 • 腺管癒合(篩状腺管) • 扁平上皮化生や粘液 細胞化生等、細胞質変 化が多い • 腫瘍腺管間の線維化 (desmoplasia) 平滑筋種 内膜ポリープ • 平滑筋の腫瘍性増殖 • 成人女性の1/4~1/3 経産婦に多い頸管ポリープと異なり、年齢に関係なく発生 間質細胞のモノクローナルな増殖(6p21の異常) 不正出血の原因・発ガンの母地 子宮内膜症 • 逆流説 • 化生説 • 血行性・リンパ行性説 子宮内膜症の内膜は正常内膜と同じではない ProstaglandinE2産生能亢進 間質細胞のアロマターゼ活性が高い(エストロゲン産生亢進) COX2阻害剤・アロマターゼ阻害剤が治療に有効! 8
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