2016 年度 国 語

2016 年度
国 語
■ 大学・学部(日程):広島大学 法学部・医学部保健学科(前期)
■ 出題構成(時間/配点):120 分/法 200 点・医(保健)400 点
大問
一
二
三
形 式
分野・内容 等
字 数
現代文・評 大村敬一「イヌイト・アート――「芸術=文
約 3700 字
論
化システム」との関係で」
現代文・小
永井荷風『ふらんす物語』
約 1300 字
説
高橋源一郎「「反知性主義」について書くこ
現代文・随 とが,なんだか「反知性主義」っぽくてイヤ
約 2700 字
想
だな,と思ったので,じゃあなにについて書
けばいいのだろう,と思って書いたこと」
難易度
変化
標準
→
標準
↓
標準
→
※難易度変化…↑難化/→昨年並み/↓易化
※難易度は広大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■ 出題傾向
・全体を通して,問題文の正確な読解と記述力をはかるものとなっている。他の国立大に比べて設問
数が多く,記述量の多いのが特徴。難しくひねったような設問はめったにない,正統派の問題。
・法学部と医学部保健学科は,出題の範囲が「国語総合(近代以降の文章)・現代文」とされ,現代
文のみの出題である。第一問は評論,第二問は小説,第三問は随筆が出題されることが多い。
・設問は記述式説明問題と抜き出し問題が中心の構成である。
・記述式説明問題は,字数制限のあるものと字数制限のないものが出題される。
・設問数や記述量が多いので,3題で 120 分は決して長い時間ではない。時間配分も考えておくこと。
・問題文の分量等の年度による変化はあるが,設問構成に関しては大きな傾向変化は見られない。
■ 2016 年度入試の特記事項
・現代文は,文学部・教育学部の第一問と共通。イヌイト・アートを例に,非欧米社会の文化が,近
代欧米ローカルな制度である「芸術=文化システム」の周縁として従属的に取り込まれていくこと
について考察した文章で,分量は 2015 年度の約 3000 字から 700 字ほど増加した。設問数は昨年同
様 8 問である。なお,図表の中に語を補うという,例年にない形の出題があった。
・第二問の小説は,主人公がフランスで旧友に出会い,その変化を疎ましく感じる話。分量は 2015
年の約 4300 字から 3000 字ほども減少した。解答は基本的に文中の情報に依拠すればよく,何を書
けばよいかの大筋をつかむのは難しくないだろう。設問数は昨年と同じく実質 7 問。昨年出題され
た,小説特有の表現効果を問う設問は,今年は出題されなかった。
・第三問の随想は,鶴見俊輔という人間のあり方を通して「知性」について考えたもの。語り口は平
易だが,問六(「答える」と「応える」の違い)や問八(表現効果について)など,設問にやや答
えにくいものがあった。
■ 求められる力とその養成
・現代文3題を読みこなさなくてはならない。幅広いジャンルの文章に対応できるようにしたい。
・問題文を正確に読みこなす読解力と,字数制限にあわせた簡潔で筋の通った答えを作成する表現力
が必要。最初は分量を気にせず内容をまとめる練習をし,慣れるにしたがって,答案のポイントを
しぼりつつ時間内にまとめられるようにしたい。
・文法や表現の効果などについて問われることがあるので,過去問をチェックしておくこと。
・小説・随筆は,人物の心情の把握・場面状況の把握など,日頃から読み慣れていないと解答しにく
い設問が出題される。複雑な心情を的確な言葉でまとめる練習をしておきたい。