2016 年度

2016 年度
神大 国語
■概要
(1)出題・解答の形式
・経営学部以外:現代文・古文・漢文/経営学部:現代文・古文
・ほぼ記述式(まれに選択式が1・2問出題される)
・記述式の説明問題は,基本的に字数制限が課される(古文・漢文の一部設問を除く)
。現代文が 80
~160 字前後。古文・漢文は 50~80 字前後。
(2)分量/難易度の変化(昨年度比)
分量:変化なし / 難易度の変化:変化なし
(3)特記事項
・問題文の分量は,現代文はほぼ変化なし,古文は減少して一昨年並み,漢文はやや増加。
・古文で3年連続文学史が出題された。
・設問数は,現代文は昨年と変化なし,古文と漢文は一問増えて一昨年と同じになった。
・古文の字数制限のある設問が 50 字・70 字・80 字(2015 年度は 70 字×2 問)とやや増加。ただし全
体を通じての記述量は 2014 年度からほぼ変化なし。
■各問の分析
大問
(経営学部以外:100 分 経営学部:80 分)
出題形式・テーマ
現代文(評論)
一
小林康夫『こころのアポ
リア――幸福と死のあ
いだで』
問題の内容・分析
難易度
プライバシーの発生とその意義について述べた上で,複数の他者に
開かれた新しいプライバシーへの変化を考察した文章。抽象度が高
く,読解の負担は重いが,
〈自己と他者の境界〉といったテーマは
標準
入試頻出。神戸大としては 2015 年度とほぼ同程度で,標準レベル
の出題といえる。
仏像が盗人の主張を受け入れてその窃盗行為を許し,国王もまたそ
二
古文(説話物語)
の主張を認めた,という,仏の大いなる慈悲心を語る,古代のスリ
『今昔物語集』
ランカを舞台にした仏教説話。読解上の難しい部分はほとんどな
巻第四第十七
く,設問も傍線部周辺の文脈を押さえれば対処できる易~標準レベ
標準
ルのものばかりなので,この大問での失点は最小限に抑えたい。
頻出出典である『史記』からの出題だが,
「滑稽列伝」からという
三
漢文
司馬遷『史記』滑稽列伝
のが珍しい。その出典名と,主人公が「背丈の低い芸人」であると
いう注をしっかり踏まえ,各設問の出題意図をよく考えながら取り
標準
組みたい。問二の読みはごく基本レベルであり,こういう問題を落
とさないように注意したい。
※難易度は神大受験生を母集団とする基準で判定しています。
■合否の分かれ目
神大の問題は「A:基本的知識事項に関わる設問」
「B:文章の細部を読解し,文脈に応じて解答する設
問」
「C:全体の内容を踏まえてまとめる設問」の三種類で構成されている。
「Aをとりこぼさないこと」
「B
の失点を抑えること」が大前提であり,そのうえで「Cで得点を加算すること」がポイントとなる。特に
古文は取りこぼしや失点を抑えたいレベルの出題だったので,ここで高得点をとっておきたい。
また,現代文は問題文が長文で記述字数も多いので解答に時間がかかるし,漢文も記述式が主体なので
それほど短時間ではまとめられない。大問ごとに解答時間を上手く配分し,いかに無駄なく時間を使えた
かでも差がつく。
■神大国語の要求
要求① 長文を処理する読解力
神大国語の最大の特徴は現代文の問題文の長さである。その量は 4,500 字~5,000 字で,他の国公立大の
1.5 倍程度になることもある。また,筆者の主張を導くための具体例から筆者が言いたいことを的確に押さ
え,限られた時間内で全体の構成をとらえながら読み進める読解力が必要。毎年受験生は,かなり高い難
度の長文への対応を強いられる。
要求② 全体の内容を踏まえてまとめる記述力
現代文では,問題文全体の論旨を踏まえる 160 字前後の記述問題が出題される。また,古文・漢文でも
全体の内容に関わる記述問題や,問題文全体を踏まえて解答する問題が頻出である。日頃から問題文全体
の構成や展開をとらえ,記述をまとめる力を養っておくことが望まれる。
要求③ 問題ごとのペース配分を行う時間管理力
神大国語は制限時間に対して文章量・記述量が多く,時間との戦いを強いられる。長文読解や記述問題
にかける時間を十分に確保するためにも,基本問題は極力時間をかけずに解きたい。古文の文法事項・漢
文の句形事項は完璧にしておく他,問題演習時に誤った基本問題は再度知識の補完を図っておくなど,少
しでも抜けがないように準備したい。
■神大国語攻略のために
バランスのとれた対策とペース配分の確立を!
読解と記述演習,苦手補強をバランスよく
神大国語の対策では,
「合否の分かれ目」に記したAからCの設問に対応する力をバランスよく伸ばすよ
うにしたい。まずは神大型の問題ばかりを解くよりも,広く国語の問題演習に取り組む機会を作ることを
意識し,演習内容の質を充実させることに注力してほしい。たとえば復習の際に『古典文法ハンドブック』
『漢文句形とキーワード』
(いずれもZ会出版)などを手元に用意し,知識事項の補強を合わせて行うとい
ったことができるとよいだろう。
また,問題文全体の内容を踏まえた解答が求められる神大国語においては,早いうちから全体への目配
りができるようなトレーニングをしておきたい。
(現代文)文章の内容を 100 字~200 字程度で要約する
(古文・漢文)問題文の展開を簡単に整理する
といったことを日頃の演習の際に行っておくとよい。
記述演習の継続と時間配分の練習
基礎力が身についてきたら,次は時間を意識して解答することを心がけよう。その際,基本事項はすば
やく解答し,記述問題にはじっくり取り組む,といったペース配分をするとよい。また,過去問演習など
の際には目標時間内に解答することも大事だが,1問あたりの解答作成にどれだけの時間がかかるのかを
意識するようにもしておきたい。自分の時間消費の傾向を把握し,実際の問題に合わせて解答のペースを
調整できる状態にしておくとより万全だ。
定期的な問題演習
入試を意識する時期になりやるべきことが増えてくると,国語の問題演習をしないまま月日が流れてし
まうことも珍しくない。新しい問題を大量に解く必要はないが,せっかく身につけた感覚を鈍らせないた
めに定期的な演習を積んで本番に備えよう。一度取り組んだ問題に時間を置いてから取り組むのもよい。