Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
甦る企業収益
2016年10月20日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・9月米住宅着工件数は前月比▲8.4%、104.7万件と市場予想(117.5万件)を下回り、8月(114.2万件)
から減少。2ヶ月連続の減少で均してみても基調は下向きに転じている。もっとも、人々の住宅購入意欲
を反映する戸建住宅は+8.2%と強く、弱さが振れの大きい集合住宅(▲38.0%)に集中していたことに鑑
みればヘッドラインの弱さは拭い去られる。同時に発表された住宅着工許可件数は前月比+6.3%と好調持
続。3ヶ月平均の数値は4ヶ月連続で増加しており、NAHB住宅市場指数の高水準維持と整合的な結果であ
った。当面、住宅市場は堅調に推移しよう。
(千件)
1300
900(千件)
住宅着工(許可)件数
800
1200
許可
住宅着工件数
戸建て
700
1100
600
1000
着工
500
900
400
800
300
700
200
600
100
集合
0
500
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均
15
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均
16
15
16
・8月英失業率(ILO基準、3ヶ月)は4.9%と7月から変わらず。就業者数が+10.6万人と4ヶ月連続で
10万人超となり量的改善が継続。一方、失業保険基準の失業率は9月に2.3%へと8月から0.1%pt上昇。
ただし、失業保険申請件数は+0.07万件と予想より少なく、まちまちのメッセージとなった。注目の週平
均賃金は前年比+2.3%、除く賞与ベースでも+2.3%と直近のレンジ内の推移が続いている。
9 (%)
英
雇用統計
(千人)
200
8
ILO基準
7
6
5
失業率
失業保険基準
4
8
150
6
100
4
50
2
0
0
英 週平均賃金
-50 -2
3
2
(%)
失業保険受給件数(前月差、右)
05 06 07 08 09 10 11 12 13
(備考)Thomson Reutersにより作成
14
15
-100 -4
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考)Thomson Reutersにより作成 太線:除く賞与
16
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は続伸。米企業決算が概ね好調で買い優勢。原油価格の急上昇も追い風となった。WTI原
油は51.60㌦(+1.31㌦)で引け。米週間石油在庫統計で原油在庫が予想外に減少したことが主背景。
・前日のG10 通貨はまちまちの展開。AUDが中国の経済指標を受けて一時売られる場面もあったが、その後
は買戻し優勢。GBPは英雇用統計を受けて買われた後に売られ、一日を通してみると最弱。このように主要
通貨全般でまちまちの動きとなった。そうしたなかUSD/JPYは103半ばまで押し戻された。
・前日の米10年金利は1.743%(+0.5bp)で引け。株高・原油高で逃避需要が後退する下、水準バイヤーの
買いが金利上昇のキャップに。欧州債市場(10年)は総じてみれば小動き。ドイツ(0.030%、▲0.5bp)、
イタリア(1.385%、+0.3bp)、スペイン(1.113%、+1.5bp)が何れも小幅な値動き。ポルトガル
(3.195%、▲5.0bp)はまとまった幅で金利低下。3ヶ国加重平均の対独スプレッドは概ね横ばい。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は米株上昇に追随して高く寄り付いた後、日経平均17000超の達成感もあり、その後はもみ合い
(10:00)。
・昨日発表の中国GDP(7-9月期)は前年比+6.7%と市場予想に一致して前期からの横ばいを確認。P
MIや他の経済指標と概ね整合的な結果で違和感はない。個別では生産の減速がやや気がかりだが、小売
売上高や固定資産投資は堅調で安心感をもたらす。
<#日米企業収益 #ダウンサイドリスク後退 >
・S&P500の予想EPS(先行き12ヶ月)が既往最高を更新。予想EPSは2014年10月に前回ピークを付けた
後、原油安とUSD高に下押しされてきたが、ここへ来てその逆風が緩和したことから、再び上向きのカーブ
に転じた格好。この間の長期金利の低位安定とそれを梃子にした自社株買いも支えとなり、米株価指数が
過去最高付近で推移していることを正当化している。
・次にTOPIXの予想EPS(先行き12ヶ月)に目を向けると、こちらも下げ止まりの兆しが見えている。実効
レートでは15年春頃に円安がピークを迎え、その後は為替の逆風が収益を蝕んできたが、高水準の海外収
益(国際収支統計の直接投資収益)、底堅い輸出(実質輸出)がダウンサイドリスクを後退させており、
前回の円高局面とは異なる展開となっている。実際、直接投資収益は10年程前と比較して約3倍に増加、
実質輸出でみた輸出は超円高期に実施したビジネスモデルの転換が奏功して、今やアベノミクス開始以降
の最高点付近にある(ただし、収益に直接影響を与える名目輸出金額は円高で減少している)。
・このように足元では日米の企業収益が回復しつつあり、投資家のリスク選好を促している。特に米企業の
収益改善は世界的株高の流れを後押しすることが多く、本邦金融市場にとって極めて重要である。筆者は
先行き12ヶ月の日経平均を15000と予想しているが、目下のところこの数値はアップサイドリスクに晒され
ている。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2
S&P500 予想EPS
120
TOPIX予想EPS
110
130
100
90
110
80
70
90
60
50
70
40
30
50
05 06 07 08 09 10 11
(備考)Thomson Reutersにより作成
12
13
14
15
05 06 07 08 09 10 11
(備考)Thomson Reutersにより作成
16
直接投資収益
(兆円)
1.4
110
12
13
14
15
16
実質輸出
1.2
105
1
0.8
100
0.6
0.4
95
0.2
0
90
-0.2
85
-0.4
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
10
11
12
13
14
15
(備考)日本銀行資料により作成。太線:3ヶ月平均
16
(備考)Thomson Reutersにより作成 季節調整済
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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