基幹物理学IB

Title
基幹物理学IB
-電磁気学-
九州大学 工学部 電気情報工学科
竪 直也
01/27
本講義の概要
•対象:地球環境工学科1年生
•担当:21クラス…竪准教授@2305
•時間:月曜4限
•講義資料:随時ダウンロード可
http://npip.ed.kyushu-u.ac.jp/lectures.html
•教科書:栗焼久夫,副島雄児,鴇田昌之,原田恒司,
本庄春雄,矢山英樹 共著,「基幹物理学」(培風館)
※ 基幹物理学IB演習…木曜1限 西島准教授@2201
02/27
講義内容
第1回:電荷と電場
第2回:ガウスの法則と電位
第3回:導体と誘電体
第4回:定常電流
第5回:磁荷と磁束密度
第6回:磁性体と電磁誘導
第7回:マクスウェル方程式と電磁波
第8回:
03/27
講義日程
第8回
5限@2305
教場試験
04/27
マクスウェル方程式
電束密度
∫
D ⋅ ndS = ∫ ρdV
∫
B ⋅ ndS = 0
S
S
電場
磁場
抵抗率
V
磁束密度
∂B
!∫ C Eds = − ∫S ∂t ⋅ ndS 電流
⎛ ∂D ⎞
!∫ C Hds = − ∫S ⎜⎝ i + ∂t ⎟⎠ ⋅ ndS
マクスウェル方程式が表す描像を
視覚的に認識し理解できるようになること!
クーロン力の式
๏ 点電荷1が点電荷2より受ける力
点電荷2
点電荷1
単位ベクトル
1 Q1Q2
1 Q1Q2
F1←2 ( r1 ) =
e12 =
2 e12
2
4πε 0 r12
4πε 0 r1 − r2
真空の透磁率 = 8.854 x 1012 [C2/Nm2]
06/27
電場の式
๏ 電場の定義
✓ 電場は,位置ベクトルr で表される位置に正の単位
電荷を置いたときに,その単位電荷に働くクーロン力
F(r )と同じ大きさと方向をもつ
正の単位電荷(仮)
Q ⋅1
1
Q r − r0
E(r ) =
2 er − r0 =
4πε 0 r − r0
4πε 0 r − r0 3
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数学的準備①
๏ 座標系(直角座標系)とベクトル
✓ 3本の座標軸 x,y,z を設定することで3次元空間上の
任意の点を定義し,単位ベクトルの方向は各軸に沿う
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数学的準備②
๏ 座標系(円筒座標系)とベクトル
✓ 半径方向ρ とz 軸を中心に反時計回りに回る角度φ を
定義することで,円柱状や線状の系の記述を簡便化
09/27
数学的準備③
๏ 座標系(極座標系)とベクトル
✓ 中心からの距離r とz 軸およびx 軸からの角度θ ,φ を
定義することで,点中心の系の記述を簡便化
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線分布した電荷により生じる電場
๏ 無限個の点電荷が作る電場
線電荷密度
ρL [C/m]
ΔQ dQ
ρ L = lim
=
Δl →0 Δl
dl
ρ L Δl
ΔQ
ΔE =
e =
e
2 R
2 R
4πε 0 R
4πε 0 R
微小電荷 ΔQ
ρL
EP = ∫
eR dl
2
L 4πε R
0
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面分布した電荷により生じる電場
๏ 無限個の点電荷が作る電場
面電荷密度
ρS [C/m2]
ΔQ dQ
ρ S ( r ) = lim
=
ΔS →0 ΔS
dS
ρ S ΔS
ΔQ
ΔE =
e =
e
2 R
2 R
4πε 0 R
4πε 0 R
微小電荷 ΔQ
ρS
EP = ∫
eR dS
2
S 4πε R
0
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体積分布した電荷により生じる電場
๏ 無限個の点電荷が作る電場
体積電荷密度
ρ [C/m3]
ρΔv
ΔQ
ΔE =
e =
e
2 R
2 R
4πε 0 R
4πε 0 R
ΔQ dQ
ρ ( r ) = lim
=
Δv→0 Δv
dv
微小電荷 ΔQ
ρ
EP = ∫
eR dv
2
V 4πε R
0
13/27
【例題】分布した電荷により生じる電場
๏ 例題1.2
✓ 正に帯電した無限に長い直線が作る電場を求めよ.
R = rP − rA = rer − zez
@円筒座標系(r, z)
ΔQ
ΔE =
e
2 R
4πε 0 R
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Title
ガウスの法則と電位
-第2回電荷のまわりの電場を計算する場合に有用なガウスの法則に
ついて学び,電場が存在する空間のポテンシャル,等電位
面,電気力線等の概念を理解する.また,正負の電荷を近い
距離に置いたときのまわりの電場やポテンシャルについても
考察する.
15/27
数学的準備④
๏ Gradient(勾配)
⎛ ∂ ∂ ∂⎞
∇=⎜ , , ⎟
⎝ ∂x ∂y ∂z ⎠
∇φ = gradφ (勾配)
∂φ
∂φ
∂φ
gradφ ( x, y, z ) =
i+
j+
k
∂x
∂y
∂z
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電気力線
๏ 各点における電場の大きさと方向
1. 正電荷が始点,負電荷が終点
2. 途中で交差・分岐はしない
3. ゴムのように短くなろうとする
4. 隣り合う電気力線間には斥力が働く
5. ある点における電場の向きは,その点を通る電気力
線の接線方向
6. ある点における電場の大きさは,その接線方向を法
線とする微小面積を貫く電気力線の数の比例
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電荷と電場と電気力線
๏ 電荷から生じる電気力線の総本数
1
N=
lim ∑ E ⋅ nΔS
kG ΔS →0 ΔS
1
=
E ⋅ dS
∫
kG
電気力線の本数
…ΔN 本
ΔN
E = kG
ΔS
1 ⎛ Q ⎞
n ⋅ dS
=
2⎟
∫
⎜
kG ⎝ 4πε 0 R ⎠
Q
1
Q
2
=
× 4π R =
2
kG 4πε 0 R
kG ε 0
1
1
ΔN =
E ⋅ nΔS =
E ⋅ ΔS
kG
kG
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ガウスの法則
๏ 電荷と電場の関係を表す法則
✓ ある適当な領域において,その中に含まれる電荷
の総和とそれに由来する電場の強さは比例する
※ 閉曲面の外部の
電荷は無視できる
1 n
Qi
∫ E ⋅ ndS = ∫ E ⋅ dS = ε 0 ∑
i =1
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連続分布した電荷がつくる電場
๏ 連続分布した電荷に対するガウスの法則
✓ 個別の電荷は識別できないため,
電荷密度を用いて定式化
微小体積dvにおける
電荷密度 ρL
∫ E ⋅ ndS = ∫ E ⋅ dS
1 n
1
= ∑ Qi = ∫ ρ ( r )dv
ε 0 i =1
ε0
個別の電荷
電荷密度
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【例題】分布した電荷により生じる電場
๏ 例題2.2
✓ 球(半径a)の内部に正の電荷が一様に分布してい
る(電荷密度ρ)ときの電場を求めよ.
球状閉曲面大
1
∫ E ⋅ ndS = ε 0 ∫ ρ ( r )dv
E ∫ dS = E4π r
球状閉曲面小
2
(1) r<a(球内)
(2) r≧a(球外)
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電位差(電圧)
๏ 「電位差」の考え方
✓ 電位差(電圧)=単位電荷をクーロン力に逆らって
ある座標から別の座標へと移動させるのに必要な仕事
B
B
A
A
W = ∫ dW = ∫
( −F ( r )) dr = − ∫
B
A
qE ( r ) dr
q = 1 [C]
VAB = − ∫ E ( r ) dr
B
A
✓単位は [V] = [J/C]
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電池の「電圧」?
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電位
๏ 「電位」の考え方
✓ 無限遠を基準点として,その点における「電位」の
値を0 [V]と定義する
✓ 電位(静電ポテンシャル)=基準点とある点(位置
ベクトルr)との間の電位差(電圧)
rP
V(r )
V ( rP ) = − ∫ E ( r ) dr
∞
電位
rp
無限遠
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電場と電位の関係
๏ 電場は電位の「勾配」
A(x, y, z)
V(x, y, z)
B(x+dx, y+dy, z+dz)
V(x+dx, y+dy, z+dz)
点A
点B
E ( r ) = −∇V ( r ) = −gradV ( r )
✓ 電場の単位は [N/C] = [N・m]/[C・m] = [J]/[C・m] = [V/m]
今日のまとめ
✓ 電気力線は,空間における電場の大きさと方向をわ
かりやすく描写したものである.
✓ ある適当な領域中に含まれる電荷の総和とそれに由
来する電場の強さは比例する(ガウスの法則).
✓ 電場中で無限遠からある点まで単位電荷を動かした
ときに要する「仕事」を電位と定義する.
✓ 微小距離だけ離れた正負の電荷で構成される系を電
気双極子といい,その電気的特性は電気双極子モーメ
ントで表される.
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次回予定
導体と誘電体
-第3回導体のもつ性質について理解した後,導体に電荷を与えたと
きにまわりに生じる電場と静電エネルギー密度との関係を導
く.また,導体がコンデンサーとして電荷を蓄えることを学
ぶ.さらに,誘電体に電場を印加した時の分極および誘電体
がある場合のガウスの法則についても学ぶ.
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