ASIA Indicators

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ASIA Indicators
定例経済指標レポート
中国製造業、中小の景況感は堅調に推移(Asia Weekly (9/26~9/30))
~国内外の受注の堅調さは生産を下支えも、雇用調整圧力は残る展開~
発表日:2016 年 9 月 30 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
指標、イベントなど
結果
コンセンサス
前回
9/26(月) (ニュージーランド)8 月輸出(億 NZ ドル)
3.39
3.60
3.97
8 月輸入(億 NZ ドル)
4.65
4.30
4.32
(タイ)8 月輸出(前年比)
+6.54%
▲1.00%
▲6.38%
8 月輸入(前年比)
▲1.48%
▲4.00%
▲7.16%
+0.1%
+0.5%
▲3.5%
+7.74%
+4.50%
▲0.36%
(香港)8 月輸出(前年比)
+0.8%
▲2.0%
▲5.1%
8 月輸入(前年比)
+2.8%
▲1.0%
▲3.3%
9/29(木) (台湾)金融政策委員会(政策金利)
1.375%
1.375%
1.375%
9/30(金) (韓国)8 月鉱工業生産(前年比)
+2.3%
+1.6%
+1.6%
50.1
50.1
50.0
+3.1%
▲1.8%
▲5.0%
(シンガポール)8 月鉱工業生産(前年比)
9/27(火) (台湾)8 月鉱工業生産(前年比)
(中国)9 月財新製造業 PMI
(タイ)8 月製造業生産(前年比)
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[中国]
~内・外需の堅調さは生産を下支えすると期待されるが、雇用調整圧力が残る展開は変わらず~
30 日に英調査機関の Markit 社が発表した9月の財新製造業PMI(購買担当者景況感)は 50.1 と3ヶ月
連続で好不況の分かれ目となる 50 を上回り、前月(50.0)から+0.1pt 上昇した。足下の生産動向を示す「生
産(50.9)
」は3ヶ月連続で 50 を上回ったものの、前月比▲0.7pt 低下するなど生産拡大に早くも一服感が出
ている。他方、先行きの生産に影響を与える「新規受注(50.8)
」は前月比+0.2pt、
「輸出向け新規受注(50.1)」
も同+0.8pt 上昇してともに 50 を上回る水準を維持しており、当面の生産は内・外需の堅調を背景に堅調を
維持する可能性は高いと見込まれる。足下における受注の堅調さを反映して「受注残(52.5)」は前月比+0.4pt
上昇しており、
「完成品在庫(51.0)
」も同+0.6pt 上昇するなど在庫調整が進んでいる様子もうかがえるなど、
先行きの生産を下支えする材料も揃っている。ただし、「雇用(47.2)」は前月比+0.1pt 上昇するも依然 50
を大きく下回っており、堅調な生産にも拘らず雇用調整圧力が掛かりやすい展開が続いていると判断出来る。
図 1 CN 財新製造業 PMI の推移
(出所)Markit より第一生命経済研究所作成
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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[韓国]
~生産は前年比の伸びこそ加速するも、外需の弱さを反映して製造業を中心に一進一退の展開~
30 日に発表された8月の鉱工業生産は前年同月比+2.3%となり、前月(同+1.6%)から伸びが加速した。
ただし、前月比は▲2.4%と前月(同+1.3%)から2ヶ月ぶりに減少に転じており、拡大と減少を交互に繰り
返す一進一退の展開が続いている。このところの国際商品市況の底入れなどを反映して鉱業部門の生産は堅調
に推移しているほか、一段の金融緩和などに伴い建設需要が底入れしていることを受けて建設部門も拡大基調
が続く一方、外需を巡る不透明感は製造業の生産の足かせとなっており、生産全体の下押し圧力となっている。
分野別では、低調な推移が続いてきた食料品や飲料など内需向けに底打ち感が出ているほか、化学関連や金属
関連でも比較的堅調な動きがみられる一方、電気製品や電気機械関連のほか、自動車をはじめとする輸送用機
器関連で軒並み下押し圧力が掛かっており、外需の弱さが生産の足を引っ張っている。平均設備稼働率も
70.4%と前月(73.8%)から大幅に低下しており、先行きについても一進一退の展開が続くと見込まれる。
図 2 KR 鉱工業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[ニュージーランド] ~主力の乳製品関連の輸出に大きく下押し圧力が掛かり、貿易収支は赤字が拡大~
26 日に発表された8月の輸出額は前年同月比▲8.7%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなり、前月(同▲
4.9%)からマイナス幅も拡大している。前月比も▲8.6%と前月(同+1.8%)から2ヶ月ぶりに減少に転じ
ている上、そのペースは前月の拡大を大きく上回るなど調整模様が強まっている。財別では、原油相場の底入
れなどを反映して原油関連の輸出額は大きく押し上げられる一方、主力の輸出財である粉ミルクやバター、チ
ーズをはじめとする乳製品関連で大きく落ち込んでいるほか、肉食や機械製品関連の輸出にも下押し圧力が掛
かっている。国・地域別でも、EU向けは意外に底堅い展開を見せている一方、最大の輸出先である中国・香
港向けが落ち込んでいるほか、豪州や米国、日本など主要先進国向けが鈍化しており、ASEAN向けも大き
く落ち込むなど軒並み下押し圧力が掛かっている。一方の輸入額は前年同月比▲3.1%と3ヶ月連続で前年を
下回る伸びとなったものの、前月(同▲11.9%)からマイナス幅は縮小している。ただし、前月比は▲3.0%
と前月(同+4.1%)から2ヶ月ぶりに減少に転じるなど、拡大と減少を繰り返す一進一退の展開が続いてい
る。内需の堅調さを反映する形で機械製品関連のほか、電気機械や日用品関連など幅広い分野で底堅い動きが
みられる一方、原油及び石油製品関連の輸入が大きく落ち込んでおり、全体の下押しに繋がった。結果、貿易
収支は▲12.65 億NZドルと前月(▲3.51 億NZドル)から赤字幅が拡大している。
図 3 NZ 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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[台湾]
~外需の底打ちを反映して生産に拡大の動きがみられるなか、中銀は追加金融緩和に小休止~
27 日に発表された8月の鉱工業生産は前年同月比+7.74%となり、前月(同▲0.36%)から2ヶ月ぶりに
前年を上回る伸びに転じた。前月比も+1.81%と2ヶ月連続で拡大している上、前月(同+0.41%)からその
ペースも加速しており、調整模様が続いてきた生産に底打ち感が出ている。足下で輸出に底打ちの動きが出て
いることを反映して製造業を中心に生産に底入れの動きがみられるほか、過去数ヶ月に亘って低迷してきた建
設関連でも生産が底入れしており、足下で国際金融市場が落ち着きを取り戻していることも追い風になってい
る可能性がある。その一方、電力やガスなど国民生活に必要な公共財の生産は大きく落ち込んでおり、国内景
気については依然として不透明感がくすぶる状況は残っていると捉えられる。
29 日、台湾中央銀行は定例の金融政策委員会を開催し、主要政策金利を 1.375%に据え置く決定を行った。
同行は昨年9月の定例会合以降4会合連続で計 50bp の利下げを実施してきたが、今回5会合ぶりに金利を据
え置いた。会合後に発表された声明文では、同行の世界経済に対する見方はほぼ変わっていない一方、引き続
き英国によるEU(欧州連合)離脱や中国本土の景気減速、米国による利上げ実施などが金融市場のボラティ
リティを高め、ひいては世界経済の下押し圧力になることを警戒する姿勢をみせている。他方、同国経済につ
いては足下で外需を中心に底入れの動きが出ており、当局が先月に今年通年の経済成長率見通しについて上方
修正した動きを素直に好感する姿勢をみせている。足下においては世界的なディスインフレ圧力を反映してイ
ンフレ圧力が後退していることを受け、物価と金融市場の安定を図りつつ、景気下支えを促すためには足下の
緩和的な政策スタンスを維持することが必要との認識を示している。よって、当面は現行水準での据え置きを
続ける可能性が高まっているものの、状況如何では追加利下げに踏み切る可能性は残るとみられる。
図 4 TW 鉱工業生産の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[タイ]
図 5 TW 政策金利の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~輸出に底打ちの兆候がうかがえるなか、この動きに沿う形で製造業の生産にも底打ちの兆し~
26 日に発表された8月の輸出額は前年同月比+6.54%となり、前月(同▲6.38%)から5ヶ月ぶりに前年
を上回る伸びに転じた。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比も2ヶ月ぶりに拡大に転じている上、
拡大のペースも大きく加速しており、輸出が底入れしつつある様子がうかがえる。財別では、コメや天然ゴム
をはじめとする農産品の輸出額が堅調であったことに加え、半導体をはじめとする電気機械や機械製品といっ
た工業製品の輸出額も底堅い伸びをみせている。特に、自動車関連で出荷が大きく拡大したことは輸出額の押
し上げに繋がっている。一方の輸入額は前年同月比▲1.48%と3ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったものの、
前月(同▲7.16%)からマイナス幅は縮小している。前月比も2ヶ月ぶりに拡大に転じており、原油をはじめ
とする国際商品市況の上昇が輸入額の押し上げに繋がった可能性が考えられる。結果、貿易収支は+21.28 億
ドルと前月(+8.43 億ドル)から黒字幅が大きく拡大している。
30 日に発表された8月の製造業生産は前年同月比+3.1%となり、前月(同▲5.0%)から2ヶ月ぶりに前
年を上回る伸びに転じて約3年半ぶりの高い伸びとなった。前月比も+6.36%と前月(同▲3.90%)から3ヶ
月ぶりに拡大に転じており、足下で輸出に底入れの兆候が出ていることを反映して、エアコンや電子部品など
をはじめとする電気製品・電気機器のほか、ゴム製品や鉄鋼製品など幅広い分野で生産が拡大している。平均
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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設備稼働率(未季節調整)も 64.44%と前月(62.38%)から上昇しており、外需の底入れが生産の底打ちを
促す好循環に繋がっている。
図 6 TH 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[香港]
図 7 TH 製造業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
~中国本土との間の貿易の堅調さが続くなか、原油相場の上昇は輸入額の押し上げに寄与~
27 日に発表された8月の輸出額は前年同月比+0.8%となり、前月(同▲5.1%)から 16 ヶ月ぶりに前年を
上回る伸びに転じた。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比も2ヶ月ぶりに拡大に転じており、中国
本土経済を巡る不透明感がくすぶるなかで一進一退の展開が続いている。米国やEU、日本など先進国向けが
弱含んでいることに加え、ASEAN向けにも一服感がみられるものの、中国本土や韓国向けといった東アジ
ア向けの輸出の底堅さが全体の押し上げに繋がっている。財別では、電気機械や機械製品といった主力の輸出
財で堅調な動きがみられる。一方の輸入額は前年同月比+2.8%となり、前月(同▲3.3%)から 19 ヶ月ぶり
に前年を上回る伸びに転じた。前月比も2ヶ月ぶりに拡大に転じるなど一進一退の展開が続いており、先進国
からの輸入は鈍化している一方、中国本土からの輸入が堅調に推移していることに加え、原油相場の底入れを
反映して中東からの輸入が急拡大したことも輸入額の押し上げに繋がっている。結果、貿易収支は▲320.96
億HKドルと前月(▲333.07 億HKドル)から赤字額が縮小している。
図 8 HK 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[シンガポール] ~化学関連や機械関連で底堅い一方、電気機械やバイオ・医薬品関連の生産が重石に~
26 日に発表された8月の鉱工業生産は前年同月比+0.1%となり、前月(同▲3.5%)から2ヶ月ぶりに前
年を上回る伸びに転じた。ただし、前月比は▲0.04%と前月(同▲3.90%)から減少幅こそ縮小しているもの
の、わずかながら4ヶ月連続で減少するなど下押し圧力が根強く残っている。なお、その背景には月ごとの生
産の振れ幅が大きい上に生産全体の動向に影響を与えるバイオ・医薬品関連で前月比▲5.03%と前月(同▲
6.45%)から3ヶ月連続で減少していることがあり、バイオ医薬品を除いたベースでは同+1.53%と前月(同
▲4.80%)から2ヶ月ぶりに拡大に転じるなど一進一退の展開が続いている。半導体をはじめとする主力の電
気機械関連では生産に調整圧力が掛かる動きがみられる一方、石油製品などの化学関連や輸送用機器をはじめ
とする機械製品関連での底堅い生産が下支えしている。依然として外需を取り巻く環境は不透明ななか、生産
についても先行きは引き続き重石の取れにくい環境が続く可能性は高いと見込まれる。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
5/5
図 9 SG 鉱工業生産の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。