Asia Weekly (1/30

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ASIA Indicators
定例経済指標レポート
中国の景況感は依然堅調に推移(Asia Weekly (1/30~2/3))
~韓国のインフレ率は久々に中銀目標を達成、利下げ観測は後退~
発表日:2017 年 2 月 3 日(金)
第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 西濵 徹(03-5221-4522)
○経済指標の振り返り
発表日
指標、イベントなど
結果
コンセンサス
前回
1/30(月) (ニュージーランド)12 月輸出(億 NZ ドル)
43.8
42.3
38.5
12 月輸入(億 NZ ドル)
44.2
43.4
46.0
1/31(火) (タイ)12 月製造業生産(前年比)
+0.5%
+1.8%
+3.8%
2/1(水)
(韓国)12 月鉱工業生産(前年比)
+4.3%
+2.2%
+5.3%
1 月輸出(前年比)
+11.2%
+9.0%
+6.4%
1 月輸入(前年比)
+18.6%
+10.1%
+8.0%
51.3
51.2
51.4
(タイ)1 月消費者物価(前年比)
+1.55%
+1.50%
+1.13%
(インドネシア)1 月消費者物価(前年比)
+3.49%
+3.20%
+3.02%
(韓国)1 月消費者物価(前年比)
+2.0%
+1.5%
+1.3%
(中国)1 月製造業 PMI
2/2(木)
(注)コンセンサスは Bloomberg 及び THOMSON REUTERS 調査。灰色で囲んでいる指標は本レポートで解説を行っています。
[中国]
~製造業・非製造業ともに雇用に不安を抱えるものの、景況感はともに緩やかな景気拡大を示唆~
1日に国家統計局が発表した1月の製造業PMI(購買担当者景況感)は 51.3 と前月(51.4)から▲0.1pt
低下したものの、6ヶ月連続で好不況の分かれ目となる 50 を上回るなど景気拡大が続いていることが示され
た。足下の生産動向を示す「生産(53.1)
」は前月比▲0.2pt 低下するも 50 を大きく上回る水準で推移するな
か、先行きの生産に影響を与える「新規受注(52.8)」は同▲0.4pt、「輸出向け新規受注」は同+0.2pt とま
ちまちの動きをみせるもともに 50 を上回っており、早々に減産が意識される状況とはなっていない。ただし、
「完成品在庫(45.0)
」は前月比+0.6pt と在庫調整をうかがわせる動きはあるものの、依然として在庫の重
石が取れない状況が続くなか、
「受注残(46.3)」も同+0.1pt 上昇するも 50 を大きく下回るなど、不透明感
は残っている。また、
「雇用(49.2)
」は前月比+0.3pt と雇用底入れの兆しは出ているものの、製造業全体と
しては依然として調整圧力がくすぶるなど厳しい状況が残っていることには変わりがない。なお、
「生産活動
期待(58.5)
」は前月比+9.0pt と大幅に上昇しており、公共投資をはじめとする景気下支え策に対する期待
が根強い様子もうかがえる。企業規模別では、
「大企業(52.7)」に加え「中堅企業(50.8)
」もともに 50 を上
回るなど恩恵に浴している一方、
「中小企業(46.4)」は 50 を大きく下回るなど、その効果の裾野が必ずしも
広がっていない実状も垣間見える。
また、同日に国家統計局が発表した1月の非製造業PMIは 54.6 となり、前月(54.5)から+0.1pt 上昇
して好不況の分かれ目となる 50 を上回る水準で推移している。先行きの動向に影響を与える「新規受注(51.3)」
は前月比▲0.8pt 低下したほか、
「新規輸出(46.4)」も同▲2.5pt 低下しており、海外を巡る不透明感が重石
になっている。さらに、
「雇用(49.8)
」も前月比▲0.2pt 低下して 50 を下回る水準となるなど、サービス業
でも雇用調整圧力がくすぶっており、指数は改善しているにも拘らずその内実については極めて厳しい状況に
直面していると判断することが出来よう。
また、3日に英調査機関の Markit 社が発表した1月の財新製造業PMIは 51.0 と7ヶ月連続で好不況の分
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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かれ目となる 50 を上回ったものの、前月(51.9)から▲0.9pt 低下した。足下の生産動向を示す「生産(51.3)
」
は前月比▲2.4pt 低下して生産調整圧力が掛かっており、先行きの生産に影響を与える「新規受注(52.2)
」
も同▲1.0pt 低下する一方、
「輸出向け新規受注(52.9)
」は同+2.9pt と大幅に上昇しており、内需に一服感
が出ているものの、外需の堅調さが生産を下支えすると期待される。また、
「受注残(51.9)」は前月比▲1.1pt
低下して受注が頭打ちしつつあるなか、
「完成品在庫(49.6)
」も同▲1.4pt 低下して7ヶ月ぶりに 50 を下回
るなど、在庫が再び積み上がりつつある様子もうかがえる。生産調整圧力が強まっていることを反映して「雇
用(47.8)
」も前月比▲0.2pt 低下するなど、雇用にも調整圧力が掛かっている動きもみられるなか、先行き
については国内におけるインフラを中心とする公共投資の動向に加え、海外経済の動きが生産を左右する展開
が続くものと予想される。
図 1 CN 製造業 PMI の推移
(出所)国家統計局, Markit より第一生命経済研究所作成
[韓国]
図 2 CN 非製造業 PMI の推移
(出所)国家統計局, Markit より第一生命経済研究所作成
~世界経済の堅調さを反映して貿易動向は底堅いなか、インフレ率は久々に中銀の目標に到達~
1日に発表された 12 月の鉱工業生産は前年同月比+4.3%となり、前月(同+5.3%)から伸びが鈍化した。
前月比も▲0.5%と前月(同+3.6%)に大きく拡大した反動も重なり、2ヶ月ぶりに減少に転じるなど調整圧
力が掛かったものの、基調としては拡大が続いている。前月に大きく生産が拡大した自動車をはじめとする輸
送用機器のほか、電気機器や電子部品といった主力の輸出財で軒並み生産に下押し圧力が掛かっており、この
動きが生産全体の調整圧力に繋がっている。一方、鉄鋼製品などの資本財関連では底堅い展開が続いており、
世界経済の底入れに伴う輸出底打ちの動きを反映して生産拡大の動きが広がりつつあることに反応した流れ
と捉えられる。平均設備稼働率は 73.0%と前月(73.8%)から▲0.8pt 低下しているものの、過去数ヶ月に比
べて依然高水準での推移が続いており、この点でも足下の生産は底堅いと考えられよう。
また、同日に発表された1月の輸出額は前年同月比+11.2%となり、前月(同+6.4%)から伸びが加速し
た。当研究所が試算した季節調整値に基づく前月比では、前月まで2ヶ月連続で拡大基調が続いた反動も重な
り3ヶ月ぶりに減少に転じているものの、製造業を中心に世界経済の底入れが進んでいることも追い風に緩や
かな拡大基調を続けている。最大の輸出先である中国との関係悪化などによる悪影響が懸念される展開が続い
ているが、米国や欧州など先進国の緩やかな景気拡大に加え、アジア新興国の底堅い景気も輸出の押し上げに
繋がっているとみられる。一方の輸入額は前年同月比+18.6%となり、前月(同+8.0%)から伸びが大きく
加速した。前月比も2ヶ月ぶりに拡大に転じており、輸出の堅調さを反映して素材や部材などの原材料に対す
る需要が底堅く推移していることに加え、原油をはじめとする国際商品市況の底入れも輸入額の押し上げに繋
がったとみられる。結果、貿易収支は+32.00 億ドルと前月(+67.88 億ドル)から黒字幅が縮小している。
2日に発表された1月の消費者物価は前年同月比+2.0%となり、前月(同+1.3%)から加速して4年強ぶ
りの高い伸びとなったほか、中銀が定めるインフレ目標(2%)に到達した。前月比は+0.86%と前月(同+
0.11%)から大幅に上昇ペースが加速しており、異常気象などの影響に伴い生鮮品を中心とする食料品価格の
上昇圧力が急速に高まったことに加え、このところの原油相場の底入れなどを反映してエネルギー価格の上昇
圧力も高まるなど、生活必需品を中心に物価上昇圧力が高まったことが影響している。なお、農産品とエネル
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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ギー関連を除いたコアインフレ率は前年同月比+1.51%と前月(同+1.24%)から加速しており、前月比も+
0.62%と前月(同▲0.12%)から3ヶ月ぶりに上昇に転じており、幅広く物価上昇圧力が高まる動きが確認さ
れている。エネルギー価格の上昇に伴う輸送コストの上昇を受けて幅広く消費財で物価上昇圧力が高まる動き
がみられたほか、保険料の改定などの影響によりサービス物価で上昇圧力が高まる動きが広がったこともイン
フレ率の加速に繋がっている。足下における食料品を中心とする物価上昇が悪天候のほか、同国で流行してい
る鳥インフルエンザなどの影響に拠るものかを見極める必要はあるものの、インフレ率が中銀の定める目標に
達したことで、実体経済を巡っては不透明感がくすぶる状況が続いているものの、利下げという選択肢のハー
ドルは高まっているものと判断出来よう。
図 3 KR 鉱工業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 4 KR 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 5 KR インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[インドネシア] ~食料品やエネルギーなど生活必需品のインフレ圧力を受けてインフレ率に加速の動き~
1日に発表された1月の消費者物価は前年同月比+3.49%となり、前月(同+3.02%)から加速した。前月
比も+0.97%と前月(同+0.42%)から上昇ペースが加速しており、生鮮品を中心に食料品価格が上昇基調を
強めているほか、原油相場の上昇などを背景にエネルギー価格の上昇圧力も強まっており、生活必需品を中心
に物価上昇圧力が高まったことが影響している。なお、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同
月比+3.35%と前月(同+3.07%)から加速しており、前月比も+0.56%と前月(同+0.23%)から上昇ペー
スは加速しているものの、ヘッドラインに比べて落ち着いている。しかしながら、エネルギー価格の上昇に伴
う輸送コストの上昇を受けて消費財全般で物価上昇圧力が高まっているほか、このところのインフレ圧力の後
退を受けて内需の堅調さにより再びインフレ圧力が高まる動きもみられるなど、徐々に物価に上昇圧力が高ま
りつつある様子もうかがえる。インフレ率及びコアインフレ率ともに中銀の定めるインフレ目標(3~5%)
の範囲内に収まっているものの、国際金融市場を巡る不透明感も重なり、さらなる利下げ実施には慎重になら
ざるを得ない事態も予想される。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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図 6 ID インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[タイ]
~製造業の生産は一進一退が続くなか、インフレ率はベース効果で加速も上昇ペースには乏しい~
31 日に発表された 12 月の製造業生産は前年同月比+0.5%となり、前月(同+3.8%)から伸びが鈍化した。
前月比も▲0.55%と前月(同+1.99%)から3ヶ月ぶりに減少に転じており、依然として一進一退の展開が続
いている。平均設備稼働率も 65.8%と前月(67.2%)から▲1.4pt 低下するなど、調整圧力が掛かっている様
子がうかがえる。主力の輸出財である自動車をはじめとする輸送用機器関連のほか、電気機械や機械製品とい
った財の生産に軒並み下押し圧力が掛かっているほか、化学関連や衣料品関連の生産も鈍化するなど、幅広い
分野で調整する動きがみられた。世界経済の底入れに伴う輸出の底打ちが生産を押し上げる展開が続いてきた
ものの、そうした勢いが先行きも続くかは不透明な状況にあると判断することも出来よう。
1日に発表された1月の消費者物価は前年同月比+1.55%となり、前月(同+1.13%)から加速した。前月
比も+0.16%と前月(同+0.13%)から上昇ペースが加速しており、食料品価格は下落基調が続いている一方、
原油相場の上昇を反映して上昇基調を強めてきたエネルギー価格は上昇基調を強めており、生活必需品を取り
巻く物価動向はまちまちの展開が続いている。なお、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月
比+0.83%と前月(同+0.74%)から加速しており、前月比も+0.15%と前月(同+0.01%)から上昇ペース
も大きく加速している。エネルギー価格の上昇を反映して輸送コストに上昇圧力が掛かっており、このことが
消費財価格の全般的な押し上げに繋がっている一方、景気の先行き不透明感を反映してサービス物価は上昇し
にくい展開が続いている。
図 7 TH 製造業生産と設備稼働率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
図 8 TH インフレ率の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
[ニュージーランド] ~輸出入ともに一進一退の展開となるなか、貿易収支の赤字幅は大幅に縮小へ~
30 日に発表された 12 月の輸出額は前年同月比▲0.9%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったものの、
前月(同▲5.5%)からマイナス幅は縮小している。前月比も+9.1%と前月(同▲12.0%)に大幅に減少した
反動も重なり2ヶ月ぶりに拡大に転じており、一進一退の展開が続いている。原油相場の底入れの動きに一服
感が出たことを反映して原油関連の輸出額に下押し圧力が掛かったものの、主力の輸出財である乳製品や食肉
関連、木製品関連の輸出額の底堅さが全体の押し上げに繋がっている。国・地域別では、隣国豪州向けに一服
感が出る動きがみられたものの、最大の輸出先である中国向けが大きく押し上げられたほか、米国やEUなど
の先進国向けのみならず、ASEANなど新興国向けの堅調さも拡大に繋がっている。一方の輸入額は前年同
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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月比▲0.9%と2ヶ月連続で前年を下回る伸びとなったものの、前月(同▲5.6%)からマイナス幅は縮小して
いる。前月比も+3.9%と前月(同▲8.5%)に大幅に減少した反動も重なり2ヶ月ぶりに拡大に転じている。
原油及び石油製品関連の輸入が底堅く推移しているほか、内需の堅調さを反映して機械製品関連や電気機械関
連の輸入が拡大基調を強めたことも輸出額の押し上げに繋がっている。結果、貿易収支は▲0.41 億NZドル
と前月(▲7.46 億NZドル)から赤字幅が大きく縮小している。
図 9 NZ 貿易動向の推移
(出所)CEIC より第一生命経済研究所作成
以
上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。